ロードスター、カップホルダーと灰皿の歴史

ロードスター、カップホルダーと灰皿の歴史

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クルマは時代の潮流とともに変化するもの。ここで面白いのは「便利」になるだけでなく、かえって「不便」になってしまうこともあることです。

4世代・約30年の歴史があるロードスターは、各世代のエクステリアだけでなく、車両重量やエンジン出力(馬力)などのスペックでよく比較されます。それぞれに良さがあるので「決定打はこれ!」という定量的な判断は難しいのですが・・・

ただ、スタートは「走る」基本性能以外は必要最低限からスタートしていますから、ユーティリティは細かく進化していきました。そのようなななかで、今回は「カップホルダー」を中心にしたエピソードのご紹介です。

NAロードスター


さて、これはNAロードスターのインテリア。

NAを日常使いするにあたり、地味に困るのは純正カップホルダーが無いことです。だからこそペットボトルのふたを閉めて助手席に「ぶん投げる」もよし、インテリア・モデファイの見せ場としてお洒落なホルダーを設置するもよしとされてきました。

一方で、デビュー時はオーディオ、エアコン、パワーウィンドウ、パワステですらオプション扱いだったくせに、センターコンソールに巨大な「灰皿(アッシュトレイ)」が設置されていたのは時代を感じます。

こちらはマツダの商用車・ボンゴシリーズから流用されているのは有名な話で(※SA(初代RX-7)でも使われています)、センターコンソールと微妙に色味とシボ(紋様)が合わないのは、こういった理由から来ています。ただしシガーソケットはライター(着火用)ではなく、電源供給ユニットとしての役割が主となっていました。


ちなみにレアな装備として、アッシュトレイを「小物入れ」に置き替えるオプションがデビュー段階から用意されていました。使い勝手はさもありなんですが、禁煙派にはこういった選択肢も用意されていました。

NBロードスター


こちらはNBロードスターのインテリア。左が前期(NB1)、右が後期(NB2以降)です。

NBは当時の世界的な衝突安全基準を順守するため、全車にエアバッグが標準装備となりました。また、地味に「カップホルダー」もセンターコンソールへ純正ユーティリティとして用意されています。余談ですが、ほぼ市場で流通しなかったグレード【標準車】以外は、エアコンも、パワーステアリングも標準装備になりました。

さらに、NAと同じく「灰皿」もNBでは全車に装備されています。ただし前期(NB1)は流用が効かない専用品で、後期(NB2以降)は取り外すと、「ふたつ目のカップホルダー」にすることが可能です。

貴島元主査も開発エピソードでカップホルダーのエピソードを語っていました。


特に、日本ではあまり文句いわれないんだけどカップホルダー!それもアメリカ人は2個付けろといってきた。要は、朝早くコーヒー飲みながら通勤するのに、それを楽しめる場所がないクルマなんてとんでもない。カップホルダーだけは絶対付けろ、灰皿よりもカップホルダー!っていうのがアメリカ人の特徴ですよ。

サイズも決められていてね、「キング」ってのが有るんだけど、それが入らないとダメなんだと。大きさとしてはカップが全部入らなくても、底が入って倒れなければいいってね。ダッシュボード側に付けば良かったんだけれど(NBでは)無理で、コンソールしかなかったんですよ。あのスペースで作るのがすごく苦しかった。NCも中央はカップホルダーだけど、横はボトルホルダーね。最近ならば魔法瓶も入れられますね。あれの有無で(市場)評価が全然違うんですよ!

ちょっとしたトリビア

NB後期のカップホルダーには切り欠きがあって、これはマグカップの把手(取っ手)が考慮されたものになります。日本には無い文化だけど、米国では朝食を購入するときにマイカップにドリンクを淹れて貰えました。国内でも近年はスターバックスなどでマイボトルを持参する方もいらっしゃいますね。

なお、シフト操作時にセンターコンソールに置いたボトルが肘に当たる不満を国内では聞きますが、ロードスターはそもそも北米のセクレタリーカー需要を満たす前提の企画です。キャリアウーマンが駆るクルマ(AT)であればシフト操作は最小限なので、メイン市場では問題視されませんでした。

参考:
https://mx-5nb.com/2020/01/04/kijima2017-7/

NC・NDロードスター


NCロードスターはセンターコンソールの「カップホルダー」とダッシュボードの「ドリンクホルダー」、合わせて4本の飲み物が置けますが、ついに灰皿が標準装備から消えてしまいました。一応、ショップオプションでドリンクホルダーに装着するものが用意されています。


また、NDロードスターに至ってはカップホルダーは基本ひとつのみで(※グレードによる)、それ自体も取り外し式になりました。しかも、運転状況によっては飲み物が車内ですっ飛んでいきます・・・そして灰皿も、NCと同じくホルダー装着タイプになりました。ちなみに、シガーソケット電源はナビシート足元奥に隠れています。

灰皿とカップホルダー、まとめ

まとめてみると、こんな感じです。

このように、装備ひとつでも世代によって時代背景の違いを感じてしまいます。

特にNB贔屓(ひいき)な私としては、NB後期のカップホルダーにある切り欠きは「日常に根差すスポーツカー」であろうとするロマン、これがマツダ・ロードスターたるアイデンティティであると感じます。

もちろん人馬一体の「楽しい」乗り味がロードスターの真骨頂ですから、カップホルダーは無くても「走り」には全く関係ありません。ただ、30年続いたからこそ知ることのできる、「重箱の隅」な話でした。

関連情報→

カップホルダー補修(NBロードスター後期型)

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