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相互扶助の仕組みを用いる自動車保険は、クルマの仕様だけではなく、乗られ方…つまり、ドライバー傾向を客観的数字として毎年更新しています。もちろんこれが全てではありませんが、歴代ロードスターで飛び抜けてジェントルな存在は、現時点でNCです。
自動車保険のうんちく
クルマを運転するにあたり絶対に必須なのが自動車保険。どう美化しても、客観的には公道を走る鉄の塊ですから、万が一の際には大きな賠償が発生するリスクを伴います。
仮に「自分は安全運転だ」と思っていても、いきなり歩行者が飛び出して来たら、技量に関わらず接触してしまうかもしれません。スポーツカーのような趣味クルマを乗るのであれば、なおさら他人に迷惑はかけられません。
さて、そんな自動車保険には【加入義務】である「自賠医療費保険」と、自賠責保険の不足分をになう「任意保険(民間保険)」の二種類があります。
自賠責保険はクルマ購入や車検時に加入(更新)するもので、他人(ヒト)に損害を出した場合の、慰謝料や治療費など対人賠償に対する保証に適用されます。しかし、金銭上限設定があることと、相手の自動車や自分のケガには適用されません。そのため、自動車を運転する上では任意保険に加入することが一般的です。
そんな任意保険は、以下の補償があります。
対物賠償保険:他人の自動車などのモノを壊した場合の損害を補償
搭乗者傷害保険:運転者自身や同乗者が死亡したり、ケガをしたりした場合の損害を補償
車両保険:自分の自動車が破損した場合の修理費用や買替費用を補償
※これらに「弁護士特約」や「自転車特約」など、保険会社によってオプションが用意されています
客観的な評価「型式別料率クラス」
自動車保険の保険料は、補償内容や運転者による客観的なスキル(ゴールド免許など)、等級などが同じでも、契約車両によって保険料が異なります。これは、保険料の算出に「型式別料率クラス」というものがあり、クルマ【事故実績】によって、保険料が変わるのです。
ロードスターは自家用乗用車(普通・小型)のカテゴリに属するので、1~9と9段階で料率クラスは区分けされます。なお、盗難対象や修理費が高額になりやすい高級車やスポーツカーは17段階で区分けされます。
この「型式別料率クラス」は年に1回【損害保険算出機構】が膨大な事故データを持って、客観的な見直しが入ります。つまり、事故が急増したクルマは料率クラスが上がってしまうのです。自分自身がそれまでの保険期間で事故を起こしていなくても、契約更新時に保険料が増減するのは、その変動によるものなのです。
参考:https://www.giroj.or.jp/
ロードスターの料率クラス(2020年)
料率クラスの数字は、保険金支払の実績が少なければ小さく、逆に支払実績が多いと大きくなります。すなわち、そのクルマがどんな運転をされているのか、客観的に評価されるといえるのです。
※損害保険算出機構において「NA6C」は算出未公開
調べた数字を並べてみると、NCロードスターが飛びぬけて優秀なことがわかります。搭乗者傷害でNAの項目が高いことは仕方がなくても、現行の安全基準を達成しているNDロードスターの数値が高いのは、単に事故が多いというのではなくユーザーの「母数」が多いという要因も考えられます。
ただ、この数値はクルマ自体の評価だけではなく、ユーザーの【乗り方】実績から算出されたもの。したがって、おのずとドライバーの顔が見えてくるはずです。
折角なのでライバル車種も調べてみました。
こう見ると(母数の差はあるけれど)、ガチライバルだったMR-Sに比べてNBロードスターが優秀なことが解ります。また、これらの車両保険料率がおしなべて高いのをみると、ロードスターシリーズが優秀であることも分かります。
保険料が「安い」のもヒット要因だった
実は、ロードスターは開発段階から「スポーツカーの復活と普及」があり、その一環として保険料を下げるための調査をしていたエピソードも残されています。
当時、調査会社が培ってきた修理実績データから、フロント・コーナー部の限られた部品群が修理・交換頻度が多いことを把握していました。そこで、ヘッドライト、バンパー、フェンダー、ラジエターなど、交換頻度の高い車両前部の部品代を戦略的に安く設定し、取付構造の見直しも行っています。
つまり、デビュー当時からスポーツカーの中でも群を抜いて保険料が安かったこと(維持コストのセーブ)がヒット要因の一つだったという評価があるのです。
また、現在はレストアプログラムでの純正パーツ入手ハードルが下がったことや、全ての歴代モデルがグローバルでの安全要件を満たしていたことが、総合的にアフォーダブル・・・「手が届く存在」として評価されているのです。
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