発表!新型ロードスター(1997年備忘録②)

発表!新型ロードスター(1997年備忘録②)

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1997年はマツダにとって経営再建を始めた大切な年。

この年末に開催されたイベント、東京モーターショーのブランドアイコンとして、NBロードスターはついにベールを脱ぎました。当然ファンの間では、直前まで予想合戦が繰り広げられており、ついにスパイショットの流出までありました。(ソースは前回に続き、miata.netです)

1枚の写真がリークした


まずは、意図せずリークした写真に関して。

Spy Shots?

The spy shot shown in Autoweek’s September 3, 1997 issue is most likely the real thing! (Tom Matano, speaking at Gold Rush ’97, confirmed that the Autoweek shot is “95% accurate.”) This photo marks the end of a year of speculation which has brought all sorts of fun possibilities to the Miata world. While still unofficial, we think its a good bet that Autoweek snagged it again. We’re not reproducing it here due to copyright issues, but the photo is probably closest to the yellow drawing below.

This photo generated quite an uproar when it came out. A US Mazda dealer had invited several members of a local Miata club to the dealership to watch a Mazda promotional video which contained this shot (along with a few others) of the ’98. One of those folks happened to have a video camera and was allowed to tape the show! We’re pretty sure this is a photo of one of the early ’98 concept models – not necessarily the real thing. But we don’t know for sure. Originally we decided not to publish this photo because it got back to us that Mazda was “hopping mad” about it, (can something be read into that?), but after it was published in just about every auto magazine around the world, we figured we might as well do it, too.

Copyright Brenda Priddy and Company / AutomediaOn the right are two images that were picked up by the UK MX-5 site. They definitely look like photos. Could they be the real thing? We don’t think so. (Photos copyrighted by Brenda Priddy and Company / Automedia)

【スパイショット!? ついに「本物」のお出ましだ】

「Autoweek」誌の1997年9月3日号に掲載されたスパイショット・・・こいつは十中八九、「本物」だ!(なんと、あのトム・俣野氏がイベント「Gold Rush’97」の席で、Autoweekの写真は「95%正確だ」と認めたのだから間違いない!)

この1枚の写真は、ミアータ(ロードスター)の世界に数々の楽しい妄想をもたらしてくれた、長きにわたる推測の時代が終わったことを意味している。 まだ非公式ではあるけれど、「Autoweek」がまたしてもスクープをものにしたというのは、まず間違いない賭けだろう。著作権の問題でここにその写真を転載することはできないけれど、おそらく下にある黄色いイラストに最も近い姿をしているはずさ。

実はこの写真、世に出たときにちょっとした「騒動」を巻き起こした。 事の発端は、ある米国のマツダディーラーが、地元のミアータクラブのメンバー数人を招待したこと。そこで98年モデル(新型)のプロモーションビデオを見せたんだが、そこにこのショットが含まれていたんだ。ところが、招かれたメンバーのひとりがたまたまビデオカメラを持っていて、あろうことかその上映会の様子を録画することを許された!(なんてこった!)

我々はこの写真が、98年の初期コンセプトモデルの一つだと確信している。必ずしも市販される最終形そのものではないかもしれないけれどね。 当初、我々はこの写真を掲載しないつもりだったんだ。なぜなら、マツダがこの件について「カンカンに怒っている(hopping mad)」という噂が耳に入ってきたからさ(逆に言えば、それだけ図星だったってことかな?)。でも、世界中のあらゆる自動車雑誌に掲載されてしまった今となっては、我々が載せたところで大した問題じゃないだろうと判断したってわけさ。

右側にある2枚の画像は、イギリスのMX-5サイトから拾ってきたものだ。 確かに写真のように見える。こいつが本物かって?いや、我々はそうは思わないね。(写真:ブレンダ・プリディ&カンパニー/Automedia)

実際に第32回東京モーターショーが開催されたのは1997年10月24日なので、オートウィーク誌のスクープは約2ヶ月前。ただし世界で内覧会が開催されており、この記事にもあるように公然の秘密だったようです。

東京モーターショー(1997年)でデビューする!?


そしてモーターショー直前、事前情報として下記のトピックが共有されます。

Our prediction for the rumored new model supposed to debut at the Fall Tokyo Motor Show

General silhouette easily suggests as the Miata Roadster at a glance. Retractable head lights would be replaced with fixed sets. Air intake underneath the front bumper will remain the same as current model. Engine choice would be available in both 1,600 and 1,800!? Door’s open/close line is supposed to be changed a little. Triangle front pillar windows will remain due to required structure strength. Tire is 15 inch and tire tread will be widen little due to suspension geometry change. Tail light design succeeds roadster’s identity. High mount stop lights are naturally blend in to the body line. Rear windscreen will be upgraded to the glass window. Trunk space will be expanded to now accommodate two golf bags. Floor and suspension change would be limited to refining the current model.

【秋の東京モーターショーでデビューが噂される「新型」の大胆予想】

我々が掴んだ情報をもとに、この秋の東京モーターショーでベールを脱ぐであろう「新型」の姿を大胆に予測してみよう。

まずそのシルエットは、パッと見ただけで誰の目にも明らかだ。「ああ、これは間違いなくミアータ・ロードスターだ」と直感させる、キープコンセプトの王道を行くスタイルだ。しかし、あの愛くるしいリトラクタブルヘッドライトとはお別れだ。時代の流れか、固定式のヘッドライトセットへと置き換わることになる。とはいえ、フロントバンパーの下で大きく口を開けたエアインテーク――あの微笑んでいるような表情は、現行モデルのイメージをしっかりと踏襲しているようだ。

エンジンに関しては驚きのニュースが飛び込んできた。なんと、1600ccと1800cc、その両方がラインナップされるという噂!?(日本市場などでは嬉しいニュースだね!)サイドビューに目を移すと、ドアの開閉ラインの形状にもわずかながら変更が加えられるらしいが、Aピラーの根元にあるあの三角窓は、オープンボディの構造強度を確保するため、そのまま残される見込みだ。足元は15インチタイヤで武装し、サスペンション・ジオメトリーの変更に伴って、トレッドは現行よりもわずかに拡大され、より踏ん張りの効くスタンスになるようだ。

リアに回れば、テールライトのデザインがロードスターのアイデンティティをしっかり受け継いでいることに気づくだろう。ハイマウントストップランプは取って付けたような形ではなく、ボディラインへ自然に溶け込むようにデザインされている。そしてついに!リアスクリーンはビニールからガラス製ウィンドウへとアップグレードされるぞ。実用性も抜かりはない。トランクスペースは拡大され、なんと2つのゴルフバッグを飲み込めるようになるらしい。

フロアやサスペンションといった基本骨格の変更については、ゼロからの作り直しというよりは、素性の良い現行モデルを徹底的に「リファイン(熟成)」する方向で進められているようだ。

Meanwhile…

What options are open? Well, if you’ve already got a Miata, there’s certainly no rush to make a decision. But if you’re thinking about one, you have a couple of options. You can wait until the debut, which is going to be at the Tokyo Auto Show this year (October). The North American debut will be around the beginning of ’98.

Another option is to enter into a 1 year lease. Mazda has made these attractively priced, low entry cost leases (something like $199/month, $1000 down) available for just that reason – a short term commitment.
Or you can find a pre-owned Miata, which will get you into the car of your dreams at a much lower entry cost than a new one would be.
Whatever you decide, we’re fairly certain you’ll have a permanent grin on your face once you get behind the wheel!

【一方で・・・我々にはどんな選択肢が残されているのだろう】

まあ、もし君がすでにミアータのオーナーなら、慌てて決断する必要なんて全くない(今の愛車を楽しめばいいのさ)。でも、もしこれから手に入れようと考えているなら、いくつかの道がある。一つは、今年の10月に開催される東京モーターショーでのワールドデビューまでじっと待つことだ。北米でのデビューは98年の初め頃になるだろうね。

もうひとつの賢い選択肢は、1年間のリース契約を結ぶことだ。マツダはこの時期のために、非常に魅力的な価格設定のリースプラン(月々たったの199ドル、頭金1000ドル程度といったところ ※)を用意してくれている。まさに「短期的なお付き合い」のためのプランというわけさ。あるいは、中古のミアータ(Pre-owned Miata)を探すのもいい。新車よりもずっと低いコストで、君の「夢のクルマ」を手に入れることができるんだからね。

どちらの道を選んだとしても、我々は確信している。どれを選択しても、そのステアリングを握れば、君の顔には消えることのない「満面の笑み(Permanent Grin)」が張り付くことになるってね!

※1998年当時の為替レートは1ドル/約130円 199$=25,870円 1,000$=130,000円

実際のモーターショーでは


実際にモーターショーのマツダブースにおけるコンセプトカーはミニバンブームへ対する直球勝負。左からMV-X(MPV)、SW-X(プレマシー)、MS-X(謎セダン)というラインナップで、アスレティックデザイン昇華前の味わい深い造形です。


現実路線のラインナップは2代目センティア後期型、海外名Mazda929。マツダ最後の大型FRセダンですね。(個人的にはNBロードスターに通ずるマイナー評価、いぶし銀の良さを感じます)


モーターショー直後11月にデビューする7代目カペラワゴン、海外名Mazda626、アテンザに続く系譜です。


そして1998年1月デビュー予定のユーノスあらため、2代目マツダ・ロードスター、海外名Miata/MX-5。なんとブースの大本命!テーマカラーのエボリューションオレンジと、グレースグリーンマイカが展示されました。

このモーターショーでは、商品開発チームが説明員としてクルマに張り付いていたそうで、NAのファンに怒られるのではないかとプレッシャーに苛(さいな)まれていたそうです。実際、最初はNA、NBの議論が始まり・・・でも、お互いにロードスターが好きなもの同士ですから、 最後には分かり合って「モデルチェンジしてくれてありがとう!」みたいな会話が繰り広げられたそうです。

そして現在


その後の評価は多くは語りませんが、当時は賛否両論(というよりも否の方が・・・)だったエクステリアは、約30年経った今になってやっと「愛くるしい、ロードスターらしい」となった気がします。当時は「見た目だけが変わった焼き直し」なんて揶揄もありましたが、逆を返せばキープコンセプトを守り、それはNC、NDにも継がれていくことになります。


いまでこそ正統ライトウェイトスポーツのベンチマークとなったロードスター。初心貫徹でいた虚仮の一念は「本物」になり、大本営のレストアプログラムにまで発展しました。その歴史の一端を少しでもお伝え出来ていたら嬉しいです。

関連情報:

NBロードスター実態調査2025②「NBの悩み」

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