おぼえていますか?「ユーノスFX」

おぼえていますか?「ユーノスFX」

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日本国内専売の高級車ブランド「ユーノス」が存在したのは1989~1996年。ユーノスロードスター(NAロードスター)の販売と同時にスタートし、バブル経済とともに儚く散った、マツダに大きな「負の遺産」を残したのは有名な話です。実は北米市場向けにアマティという高級車ブランドも控えていて、ユーノスコスモがアマティRX-8になる予定だったなんて、誰も覚えていないでしょう。

しかし一時とはいえ華やかに輝いていたことも事実です。その遺産として、アニメーション作品内に面白い「設定」が残っているのです。

2002年式 ユーノスFX(Eunos-FX)


ユーノスFX(登場作品:機動警察パトレイバー2 tha Movie 1993年作品)

作品は2002年末(公開時期の約10年後)が舞台になっており、警視庁警備部 特殊車両二課 第一小隊(通称:特車二課)南雲しのぶ課長代理が運転するクルマとして登場するのが、この「ユーノスFX」です。

ポイントは「ユーノス500」のエッセンスを継いでおり、ボンネットで主張するパワーバルジには「M2 1006」を彷彿とさせます(もしかしてロータリーだったりして)。また、ユーノスで併売していた「シトロエンBX」っぽいリアブーツも履いています。さらに観音開きスライドドア、サイドミラーレス、横長ナンバープレート、多目的アンテナなど1993年当時における未来(10年後)を見越した設定が施されています。

現実世界における2002年といえば、ユーノスは消滅している世の中でしたが、あのまま順風満帆にいけばこんなクルマがあったかも?というものになっています。

パトレイバーとは


釈迦に説法かもしれませんが、メディアミックス作品「パトレイバー」シリーズは、東京都内で大震災が起きたあとの復興需要(バビロン・プロジェクト)で、多足型作業ロボット「レイバー」が、重機に代わって運用されているという設定です。

近未来のお話なので、技術進歩はほんの僅かである程度の描写であり、現実世界が「10年経ったらどうなるか」を検証しながら作品を作っていたのが面白いポイントでした。レイバー(ロボット)描写も関節駆動には超伝導モーターと大容量バッテリーという、いまでいう電気自動車(EV)と一緒だったりします。

さて、劇中ではこの「ユーノスFX」に乗った南雲課長代理が横浜ベイブリッジ手前の首都高で渋滞にかかり、そこでF-16改から発射されたとされるミサイルによって、ベイブリッジが破壊されるシーンから始まります。

ユーノスFXのディティール


面白いのが、現実世界でも追いついてきた技術描写です。カーナビをフロントガラスに投影したり、先にも書いたサイドミラーがデジタル化されていたり、電話もハンズフリーで使用しています


小ネタでは、当時ヨーロッパと同じように日本国内も「横長ナンバープレート」になる噂があってそれが反映されていたり、ダイバシティアンテナの代わりにウイングのような多目的アンテナが装備されているところ。現実世界ではシャークフィンアンテナとして、もっと小型化されていますね。


また、リアビューには当時珍しかったバンパーカウルが付いていたりして、ユーノスだったらこれくらいオシャレなセダンを出してくれるだろう!という雰囲気が伝わってきます。

ちなみにユーノスFXのデザインはマクロス等で有名なレジェンド、河森正治氏です。

「ユーノス」のイメージ


なにより面白いのは、南雲しのぶさんはキャリアな上に、オトナで聡明な女性。そんな方だからこそ「ユーノス」を駆るイメージがピッタリだったのでしょう。余談ですがテレビ版「パトレイバー」では、しのぶさんは「ホンダ・レジェンド」に乗っていたりします。レジェンドも高級クーペとして、当時はそういう位置づけでしたね。

この「パトレイバー2」という作品自体も、ロボットメカものの姿を借りた人間ドラマでした。特に、平和ボケした日本にテロが起こったら?というシミュレーション・ストーリーが秀逸な描写で、現実世界でこの手の事件が起きるたびにパトレイバーを思い出すという、なかなか凄い作品でした。

何よりも、今はなきユーノスが光り輝いていた時代を思い出させてくれる、そんな貴重なフィルムだったりします。

ちなみにパトレイバーは近年ちょっとだけリメイクされていまして、そろそろ本格復活しそうです。でも、そこに新しいユーノスがいたら楽しいんですけれど・・・

関連情報→

ロードスター乗りの視点でイングラムを作る(ARTPLA)

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