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たかがクルマ、単なる移動手段であれば、ボロくても積載量があれば問題ありませんし、燃費が良ければなお良しでしょう。しかし【クルマ趣味】というと話は変わってきます。
特にスポーツカーであればカッコいいエクステリアに心躍る運動性能が欲しいし、さらに屋根が開くとなれば、とてつもない贅沢がたまりません。この背徳感というか、所有欲を満たす感覚というか…ひとことでは表現できない、素敵な世界がクルマ趣味には求められる気がします。
もちろんこれは、VIPカーでもキャンピングカーでもスーパーカーでもSUVでも、趣味性の高いクルマは、こういった魅力が溢れているのではないでしょうか。
ロードスターが凄いと思った、個人的見解
さて、ユーノス/マツダロードスターは2019年に30周年を迎えました。ここで勝手に今までを振り返ると、ロードスターが凄かったこと個人的に感じたことは、ふたつあります。
あこがれのオープンカーが「安く購入」できた
ロードスターは積載性もなく、幌がイタズラされるリスクもあり、家族全員で出かけることも出来ない。なによりデビュー当時は街頭では目にすることの少なかったオープンカー。オーナーは贅沢な奴だとやっかみを受けました。
つまりオープンカーを所有したいという潜在的オーナーは、それなりの覚悟が必要になったはずです。しかし、ロードスターは(想定外のヒットにより)モデル継続できたことが幸いしました。
新車購入でなくとも中古車市場が熟成し、「手が届く価格」のサイクル構築に成功したのです。つまり贅沢に対するハードルが低く、潜在的オーナーは「言い訳」をするチャンスを得ることが出来ました!
「哲学を持っていた」
また、ライトウェイトスポーツを成立させる「哲学」も見事なものでした。コストダウンをしても安っぽくはしない、馬力はなくても人馬一体(=走って楽しい)には妥協しない、そんな軸を守り、クルマ自体の世代と熟成を重ねていきました。
ロードスターはステアリングを握って初めて感じる事がとても多く、その「走り」に対する真骨頂を語れる文章力が私にないのが歯がゆいのですが、典型的な「乗ったら感じるものがある」クルマでした。だから、一度乗ったらハマる人はとことんハマります。(つまり、運転しないと本当の良さがわからない…)
ライトウェイトスポーツであるために計算されたデザイン哲学も、シンプルかつフレンドリーで秀逸な素材として、純正派からカスタマイズ派まで、世界中でファンを増殖させていきました。
長い能書きでしたが、ロードスターはざっくりいうと、費用対効果抜群の「すっごく楽しい」スポーツカーだったのです。
これから先、思う事
ロードスターは趣味車として完璧か?となると、人によって価値観は違いますから異論はあると思います。実際仲間内でも、より高パフォーマンスのクルマへステップアップするのを目にしてきましたし、それも正しい選択だと思うのです。
ただある時、ロードスター乗りの友人がぼそっと口にした一言が耳に残りました。
「馬力だ、スペックだと世間ではいうけれど、今まで(愛車に)全く不満を感じたことがないんだけどなぁ」
何気ない言葉に聞こえるかもしれませんが、そうそう!そうなんです!と心の中で大きく共感したのを実感しました。私にとってロードスターは「肩ひじ張らない緩さ」が魅力だとぼんやり感じていたのを、友人が見事に言語化してくれたのです。これは、自分のクルマ趣味のスタンスを再確認することができました。
実はわたし、「一生このクルマに乗る」みたいな決意表明が好きではありません。だから絶対口にしないし、耳にしても信用しません。だって決意が義務になった時点で、楽しい趣味ではなくなってしまうからです。
少なくとも私にとってクルマは走らせてナンボです。これから迎える電気自動車の時代に、内燃機関の自動車を維持するハードルがどう変わるか分かりませんし、走行税なんて導入された日には「費用対効果以上に楽しい」なんて時代が終わってしまうかもしれない。だから、ゆるく楽しめるのって本当に今の瞬間かもしれないんですよね。
だからこそ「30周年」という節目にNBロードスターに乗っていたことは、一生の思い出になると思うのです。最大限の楽しさを享受してくれるわが愛車にオーナーシップを感じずにはいられません。10年後の自分はなんていってるのか、想像がつきませんが…
以上、とりとめのない内容でしたが、ロードスター30周年はとてもめでたいと思います。本当に、本当におめでとうございます!
2019年10月31日
NBロードスターアーカイブ管理者