マツダデザイン遍歴

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マツダといえば昔から「走る喜び」を全面に打ち出しながら、デザインも「心ときめく」素敵なモデルを発表しています。そしてデザイン・アイデンティティを表現するために、テーマを設定していることでも有名です。

そのルーツは1990年前半までさかのぼります。当時、マツダの戦略で「人の感情に訴えかける魅力」をもとに差別化すると、ワールドワイド・ブランド・ポジョニングを策定していったそうです。

ちなみに、この写真はNCロードスターがベースであるFRスポーツ、3人乗りコンセプトカー「鏑(かぶら)」です。市販はありえなかったそうですが、本当カッコイイですよね・・・

ときめきのデザイン


90年代前半は「ときめきのデザイン」。コンセプトは光と影をコントロールしながら、パーツ単体ではなく全体のフォルムで魅せることを意識しています。

ユーノスロードスター(NA)、センティア、RX-7(FD)辺りが有名どころで、この時代特有の”有機的なライン”を垣間見ることができます。

ちなみに、セブンは「beauty in beast(野獣の肢体の美しさ)」をテーマにしており、艶やかで見るものを誘い込むデザインとされています。

響きのデザイン


90年後半には「響きのデザイン」というテーマに進化しました。これはメカとしての機能と、美しい造形の融合を試みるコンセプトになります。有名どころはユーノス500、ユーノス800、ランティス辺り。

ユーノス500は「Lasting Value(いつまでも色褪せない価値)」がテーマにしており、「ときめきのデザイン」からさらに有機的なものになっており、ヌルッとしたボディに獣のような薄いヘッドライトが超カッコいい。今や街中でもほとんど見なくなってしまいました・・・

コントラスト・イン・ハーモニー


しかし、90年後半のマツダは多ブランド戦略で経営が傾き、フォード資本が強くなります。

そこで、今まで車種によってはバラバラ、好き勝手に作っていたクルマの外観に統一した規格を策定しました。それが「コントラスト・イン・ハーモ二ー」です。これはフロントグリルを五角形に、フロント/リア、ステアリング/ホイール中央にマツダマークを入れる、リアビュー右に社名、左にマツダロゴを入れるという不文律です。

しして基幹車種はマイナーチェンジの時点から、フルモデルチェンジでは最初からそのルールを採用していきました。しかし、この頃は新車が全く出なくて・・・国内ではトリビュートしか発表されませんでした。(覚えていますか?ちなみにNBと同じ林浩一氏がチーフデザイナーです)

新車が発表されなかったおかげで、既存車種にもCM放送の出番がありました。セブンやNBロードスターがお茶の間に流れていたんです。プラモデルのパッケージっぽいやつ、覚えていますか?

アスレティック・デザイン


2000年前半は「はつらつな走り」を表現したZoom-Zoomのブランドメッセージと併せて、「アスレティック」というデザインテーマになります。マツダの車はスポーティ(動きのあるもの)というブランド発信として、エイトで有名なプロミネントフェンダーやリアストップランプのクリア化などを採用していきます。

対象はRX-8や初代アテンザ、初代アクセラ、2代目デミオ辺りになります。

流(NAGARE)デザイン


2000年後半は「流(NAGARE)」デザインという、「自然界に存在する動きの美しさを」クルマの造形に取り込むことにチャレンジしていきます。なお、デザインチームの一部では日本を誇張しすぎたデザインという、ネガな意見もあったそうです。

対象は3代目デミオ、2代目アクセラ・アテンザ、2代目プレマシー辺りがそのカタチとして発表されています。

魂動(こどう)デザイン


近年(2010年前半)は「魂動(こどう)〜SOUL of MOTION〜」というデザインテーマになりました。これは「生物が見せる一瞬の動きと強さ」を表現しているそうで、フロントグリルにメッキで加飾されたシグネチャーウィングと、力強いショルダーラインが特徴になります。これはCX-5をはじめとした現行(3代目)アテンザやアクセラ、(4代目)デミオ辺りから始まりました。

そしてMAZDA3からは「魂動デザインVer2」となり、引き算の美学・・・余計な加飾をそぎ落す、日本刀のような凛としたイメージが取り入れられています。

ロードスターのデザイン


ロードスターだけはキャラクターが特殊すぎて、「ロードスター」として造形され続けました。NAロードスターが「ときめきのデザイン」の筆頭でしたが、NBロードスターのデザインテーマもキープコンセプトの「ときめきのデザイン」だと、チーフデザイナーの林浩一氏が語っていたりします。


そして、デザインテーマ云々といっていたはずなのに驚いたのがNCロードスターの初期型デザイン。

これはファミリーフェイス(五角形グリル)を採用せず、あくまで「ロードスター」のデザインを押し通しました。これは原点回帰、シンプル、楕円というロードスターらしさを追求したものだそうです。

ちなみにチーフデザイナーは中牟田泰氏で、2代目デミオなどもされています。


魂動世代では流石にマツダ全車の統一デザインになるNDロードスターですが、それでもグリルのメッキ加飾はせず「フォルム」全体で魅せたり、余計なキャラクターラインを極力削るという「魂動Ver2」のデザインテーマを専攻して盛り込まれていました。

ファンで、フレンドリーで、シンプル。これがロードスターのキャラクターを表すキーワードになりますが、次世代型はどんなカタチになるのでしょうか。今から楽しみですね。

関連情報:

NAロードスターと日本文化

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