1/43 NBロードスター ミニカーの世界②(NB後期型)

1/43 NBロードスター ミニカーの世界②(NB後期型)

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比較的ミニカー化に恵まれていたNBロードスター。今回は1/43スケールにおけるNBロードスター後期型(NB2~4)バリエーションのご紹介です。

NB前期型と後期型のざっくりした見た目の違いは、エクステリアにおいて「ヘッドライト」が2眼から4眼となり、「エアインテーク」がオーバルからファイブポイントグリルに変更され、「テールランプ」のグラフィックが丸形に変更されました。インテリアでは「シート」も形状変更されているので、ミニカーではその辺りの再現が見どころになります。

余談ですが、90年~00年代前半は日本車が元気だった時代で、各社より安価で魅力的なクルマ(とりわけスポーツカー)が多く販売されていました。その相乗効果もあったのかミニカーメーカーも熾烈な戦いを繰り返しており、高品質なミニカーが今では考えられないほど安価に市場へ溢れていました。

Jコレクション マツダロードスター

 
2001年発売 当時価格:2,000円~

「Jコレクション(J-COLLECTION)」は、ホビーメーカーの「京商」が1/43統一スケールで日本車を中心にラインナップ展開したブランドです。京商の名が前面に出ているので国内生産と思われがちですが、実はマカオのミニカーブランド「イクソ(IXO)」に生産委託しています。


そうはいっても、かの「京商」ブランド発信であることから、クオリティに抜かりはありません。

遠方から見るとヘッドランプが大きめに見えますが、これはクリアパーツのメッキが反射して膨張してみえるているもので、近くで見るとNB後期型のハンサムな表情が上手く再現されています・・・が、若干優しめにデフォルメされています。また、フロントバンパーまわりが別造形になっているので、セールス状況が良ければ前期型のバリエーション展開があったかもしれませんが、実現しませんでした。

インテリアの細かい塗分けとともに、コンソールやオーディオもデカールで再現されているのはお見事。ただ、このミニカーが参考にしたであろう後期RS系のロードスターであれば全く問題ないのですが、グレードによっては「不必要な装備」が付いているので、再現度という点では残念な仕様が多々存在します。


ボディのコンセプトグラフィックや15インチホイール、ロールケージまで再現した意欲的な「NR-A」グレードに関しては16インチ用の「大型マッドフラップ」がついたリアバンパーであることや(実車はマッドフラップレス)、「VS」グレードをイメージしたタン内装も「純正16インチホイール」のまま(実車は15インチ)であることなどは、取材不足というか・・・ロードスター愛が足りないと感じてしまいます。

また、実車ではほぼ見かけないストライプが施されたNR-A仕様もバリエーションの水増しとしか思えず、せっかくの素性の良さに水を刺す状態です。最悪なのはグレースグリーンのエクステリアでロールケージがあり、タンのソフトトップカバーに赤いシートと・・・統一感のない組み合わせは如何なものかと思ってしまいます。


一方で特筆すべきは、かなりレアな仕様が存在していることです。当時、NBロードスターの成約記念としてディーラーよりミニカーが提供されており、「WebTuned」のステッカーがフェンダーにプリントされているものや「スプラッシュグリーンマイカ」のような、ウルトラレアカラーの存在が確認されています。

基本ラインナップは「クラシックレッド(赤)」「ピュアホワイト(白)」「グレースグリーン(緑)VS仕様」「ブリリアントブラック(黒)RS2仕様」「サプリームブルー(紺)」の5色が存在し、これに準じたロールケージ+赤内装+デカールグラフィックの「NR-A仕様」が存在します。また、先の「スプラッシュグリーン(ネオン)」のようなレア仕様も存在することから、ラインナップの全貌は不明です。

大昔、どこかのブログで「ガーネットレッド(ワイン)」を見た気がするんですよね・・・(譲っていただければ死ぬほど嬉しいです)

いいところ
・後期型特有のハンサムな造形
・コレクトラブルなラインナップ
・唯一再現されたNR-Aのロールケージ

今ひとつなところ
・純正には存在しないバリエーション展開(検証不足)
・一部デカールグラフィックがオーバースケール
・ヘッドランプの隈取り(切れ込み)が大胆すぎる

カララマ MAZDA MX-5


発売年不明 販売価格不明

「カララマ(Cararama)」は香港のミニカーメーカー「ホンウェル(HONGWELL)」が展開したブランドで、MX-5(NBロードスター)は1/43スケールだけでなく、安価な1/72スケールも展開されていました。


NBロードスター後期型のハンサムな表情は「Jコレクション」以上に再現度が高く、NB後期型のミニカーとしては唯一ドアの開閉ギミックも搭載しています。


ボディが薄くシャープに造形される一方で、Aピラーが立ち過ぎていることと、開閉ギミックの弊害からか三角窓に隙間があるのが残念ポイントです。MX-5なのに右ハンドル仕様であるのは、香港産(当時はイギリス返還前)のミニカーだった影響かもしれません。


確認できているバリエーションは「クラシックレッド(赤)」の他に「サンバーストイエロー(黄)」「ピュアホワイト(白)」「サンライトシルバー(銀)」「スターリーブル―(青)幌仕様」があり、全てVS準拠のベージュ内装(単色)が組み合わせられます。

珍しいポイントとしては、ホイールがマツダスピード「MS-03」になっていることと、「幌を閉じた」バージョンが存在することです。再現度という点では疑問な部分もありますが、ミニカーコレクションとしては貴重なのは間違いありません。

いいところ
・幌仕様が存在する
・伝説の「MS-03」が装備されている
・後期型で唯一ドアの開閉ギミックがある

今ひとつなところ
・Aピラー周りの造形が不細工
・フロントフォグの穴が大きい
・リア周り(特にテールランプ)が残念な造形

A-TEAM らき☆すた MAZDA RORDSTER MX-5


2009年発売 当時価格:4410円(税込)

フィギュア、模型関連商品の企画・製造・販売をおこなうアイズプロジェクトの痛車ミニカーブランド「A-TEAM」より、京商とのコラボで実現したのが、この「らき☆すた」ロードスターです。全国限定504台で、同ブランドではRX-7やスープラ、インプレッサ、ハイエースなどの痛車が用意されました。


そのルーツは模型メーカーアオシマより2007年から始まった痛車模型ブームにあり、アオシマ製の1/24「らき☆すたロードスター」は初期ラインナップでありながらも人気のキットとして、現在でも定期的に再販されています。アオシマ版はNB前期型(NB1)でしたが、本ミニカーは後期型をベースにデカール処理されています。


クルマの造形は京商製に準じるので問題なく、ボディ全面に貼られたデカールもビビットかつ活き活きとしてお見事です。プラモデルを作ることに敷居を感じるのであれば、購入して間違いはないでしょう。

最大の見どころは助手席で、通称「俺の嫁(かがみん)」がプリントされている超技術を使ったこだわりぶり・・・ちなみに、ボディサイドのグラフィックは左右とも同じものになります。

いいところ
・歴史が動けば激レアミニカーになる
・奇麗に張られている可愛いキャラクターデカール
・実車ではなかなかできないチャレンジを味わえる

今一つなところ
・時代を感じるキャラクター(愛着が無ければツライ)
・たまにボッタクリ価格でオークションに出ている
・飾り方に知恵を絞る必要がある

国産名車コレクション マツダロードスター

 
2010年発売 当時価格:1,790円(税込)

「国産名車コレクション」はアシェット・コレクションズ・ジャパンが販売した分柵コレクションブックシリーズで、1/43シリーズ「104番」としてNBロードスターがラインナップされました。原型制作は京商「Jコレクション」と同じくイクソ社が担当しており、どう見てもそのまま金型流用をしています。


安価なコレクションブックと侮るなかれ、原型の素性は折り紙付きなので「RS後期型」とみれば造形自体に問題はありません。しかし、最大の弱点は「エボリューションオレンジ(金)」であることです。(※写真の赤いミニカーはJコレクション(京商))

エボリューションオレンジマイカはNB前期型の最初の1年しか選択できなかったボディカラーなので、NBロードスターのテーマカラーとして有名であっても後期型には存在しません。


また、エボリューションオレンジではVS内装(ベージュ)も選択することはできず、検証不足というか・・・折角の出来なのに愛のなさを感じてしまいます。そういう意味では「Jコレクション」の悪かった部分をそのまま引き継いだ形です。(※緑はJコレクション)

ただ、造形自体は問題ないことと(むしろ、エボリューションオレンジの塗り具合は最高)、オークション等で比較的安価に手に入るので、改造ベースとしてはかなり優秀であると思います。

いいところ
・Jコレクションに準じた造形
・恐ろしく奇麗なエボリューションオレンジ塗装
・安価に手に入るので、改造ベースとして最適

今ひとつなところ
・実車では存在しない仕様(検証不足)
・たまにボッタクリ価格でオークションに出ている
・マッドフラップが一体造形なので、改造時に苦労する

ファースト43 マツダロードスター


2015年発売 当時価格3,080円(税込)

「ファースト43(First43)」はイクソ社の輸入元であった国際貿易社が、日本向けに安価な1/43スケールの入門モデルとして企画、輸入・展開するブランドで、そこにNBロードスターもラインナップ入りしました・・・が、こちらも京商「Jコレクション」金型流用モデルであり、「国産名車コレクション」と同様に、微妙な部分を引き継いでいます。


唯一アップデートされた点は「幌を閉じた」状態が新規造形されたことです。

バリエーションは「エボリューションオレンジ(金)」と「ストラトブルー(濃青)幌仕様」が存在します。ただ、エボリューションオレンジの色味は若干キツめになっています。もう少しオレンジ寄りなら「スパイシーオレンジ(日本未発売)」といえたんですけどね・・・

しかし、そもそもNBロードスター後期型に「エボリューションオレンジ」は存在しないし、NB4の「ストラトブルー」16インチ仕様であるならば、ホイール造形が異なるとともにエアロボードにスピーカーが付きます。つまり、両モデルとも検証不足であることは否めなく、比較的安価なミニカーだから・・・と割り切れればオッケーですが、こだわり派の方は改修する必要があるでしょう。

いいところ
・Jコレクションに流用できる「幌仕様」が存在する
・唯一「ストラトブルー」がある
・比較的安価に手に入る

悪いところ
・実車では存在しないバリエーション(検証不足)
・たまにボッタクリ価格でオークションに出ている
・良くも悪くもJコレクションの焼き直し

マーク43 マツダロードスター後期型

 
2017年発売 当時価格:10,120円(税込)


NB前期型で最強の造形を見せてくれた「マーク43(ポストホビー)」ブランドは、前期型の販売から2年後にNBロードスター後期型も提供してくれました。前期型と同じく隙のない出来・・・と書きたいところですが、後期型の特徴であるヘッドランプ周りの造形が今ひとつで、出来の良さでは頭ひとつ前期型へ軍配が上がります。


よく観察するとヘッドランプが「薄すぎる」ことと、ランプ周りに黒い縁が描かれていることに気づきます。

前期型で「黒い縁」は正解ですが、後期型にそれは存在しません。一方で内装はシートやセンターコンソールなど後期型仕様に準じており、RS2のようなマニアックな赤い指し色も再現されています。しかし、ダッシュボードの突起は直されておらず、少々残念なポイントを引き継いでいる形になっています。

しかし、それ以外は完璧であり、特に16インチホイールのシャープな出来はお見事。だからこそ、ちょっとした悪目立ちが本当にもったいないです・・・


バリエーションは「クラシックレッド(赤)RS2仕様」「ブリリアントブラック(黒)RS2仕様」「サプリームブルー(濃青)」「クリスタルブルー(空青)」の4種類が存在し、RS2仕様は実車同様ステアリング、シート、ドア内張が赤くなっています。また、NBロードスターのミニカーで唯一「クリスタルブルーメタリック」が提供されました。


残念なことは、カタログ等で「サプリームブルーマイカ」を「シュプリームブルーマイカ」と記載していたり、誰得なストライプ仕様が用意されていることです。基本、市場在庫しか存在しないミニカーですが、予想通りストライプ仕様は余っています・・・

いいところ
・NB前期型に順じた超絶造形
・質感の違いを感じる高精細な塗装
・クリスタルブルー、サプリームブルーはMARK43にしか存在しない

今ひとつなところ
・ヘッドランプの作り込みが甘い
・ダッシュボードのレジスターまわりの造形が甘い(NB前期型と同一)
・誰得なストライプデカール仕様


以上、1/43スケール・NBロードスターバリエーションのご紹介でした。

ちなみに、私の中でナンバーワンのミニカーは、かつての愛車と全て同じ仕様であるJコレクションの「スプラッシュグリーンマイカ」です。ただ、一番出来がいい造形は?と聞かれたら迷わず「マーク43」のNB前期型と回答させていただきます。

NBロードスターの人気を鑑みるとこれから新作のミニカーは期待できず、今後は市場在庫やオークションで手に入れることになるでしょう。その際に今回のトピックが何か参考になれば幸いです。

なお、他に存在するバリエーションがあれば、ご一報いただければありがたいです!

関連情報→

1/18 京商ユーノスロードスター(レストア)

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