ホットウィール「マツダスピードミアータ」

ホットウィール「マツダスピードミアータ」

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3インチモデルカー・トイにおける実質の国際統一規格、マッチボックスサイズの「マツダスピードミアータ(NBロードスター)」が【ホットウィール】ブランドより2023年にリリースされ、国内でも7月より入手できるようになりました。

マッチボックスサイズといえば、国内ではタカラトミー社の【トミカ】が有名です。名車をラインナップするトミカではNA、NC、ND、アバルト124スパイダー、ロックスターと各種ロードスターシリーズがラインナップ入りしていますが、残念ながらNBロードスターのみ販売に至らず、ファンとしては寂しい思いをしていました。

もちろん、選択肢が全くなかった訳ではありません。同じくマッチボックスサイズの【ジョニーライトニング】ブランドより「ミアータ(NBロードスター前期型)」は発売されていました。

そこへまさかホットウィールから最新造形、しかも初のNBロードスター後期型における新作ということで、期待は高まります。そこで、今回はレビュー&モデファイを行っていきたいと思います。

ホットウィール、プレミアム&ブルーバードとは

あらためてホットウィールを紹介すると、こちらは米国マテル社が1968年から販売しているダイキャスト成型モデルカー(ミニカー)ブランドです。そのラインナップは新車だけでなくヒストリックカーも織り交ぜた多様な展開を行っており、新作が発表されるたびに、その期待を裏切らない展開で世界のファンを唸らせています。


このシリーズの基点となるのは、英国レズニー社の【マッチボックス】シリーズです。

その名の通り「マッチの箱に入る」手ごろな3インチサイズで展開されたモデルカー(ミニカー)がベンチマークになっており、もちろんトミカもマッチボックスをベンチマークにしているので、3インチモデルカーが実質の国際標準規格になっているのです。ちなみに、マッチボックス・ブランド自体は紆余曲折あり、現在はマテル社傘下になっています。


今回発売されたマツダスピードミアータは、ホットウィールにおける「PREMIUM(プレミアム)」ライン、「BOULEVARD(ブルーバード)」シリーズNo75としてラインナップされました。

「プレミアム」ラインは素材や細部にこだわった高質なシリーズになります。特徴として、本体だけでなくベースシャシーもメタルボディになっており、各種ディティール(上質な塗装、精細なタンポ印刷、デザインホイール、ゴム製のタイヤなど)が造りこまれています。

トミカでいえば「トミカプレミアム」シリーズのイメージに近しい存在です。


また「ブルーバード」は翻訳すると「大通り」。かつて展開していた「Hot Wheels Garage」を引き継いだ、ストリート系のクルマをラインナップするシリーズになります。2013年頃には一旦終了になったのですが、2020年に米国ウォルマートの限定商品として「プレミアム」ラインにおけるブランド復活となりました。

当初、「ブルーバード」シリーズはアソート(複数のセット販売)展開のみだったのですが、「カッコいいならば何でもあり!」なラインナップが好評を得たのか、近年は単品販売もされるようになっています。


世界的な感染症対策以降、趣味性の高いホビーは買占め・転売などの被害を被ることが多かったのですが、今回の「マツダスピードミアータ」は流通が潤沢だったのか、それともNBロードスターの人気が無いからか、現時点でも(2023年7月)入手しやすい状況になっているようです。国内では700円前後で販売されていると思われます。

Hot Wheels ’04 MAZDA MAZDASPEED MIATA


「マツダスピードミアータ」の商品はブリスターパッケージで提供されており、このまま飾ってもインテリアになる素敵な出来になっています。ちなみに、同じシーズンでは「’93 フォードエスコートRS(ラリーカー)」「ワーゲンT1パネルバス」「’99ホンダ・シビックタイプR」「’96シェルビーインパラSS」と、本当に好きなクルマを出すぜ!感がプンプン漂うラインナップです。その中に「マツダスピードミアータ(NBロードスター)」が混ざっていることに、嬉しさを感じます。


なお、今回モデル化されたミアータは2004年に展開された「ロードスターターボ(NB4)」の北米バージョンです。特徴としてはロードスターシリーズで唯一ターボ化されたエボリューションモデルなこと。かといってドッカンターボではなく、リニアにトルクを効かせるスタイルの仕様になっています。


見た目でもノーマル・ミアータと差別化するために、ブラックアウトされたヘッドランプやフロント/リアにスポイラーが装着されています。また、国内の「ロードスターターボ」との違いは、左ハンドルであることはもちろんカラーラインナプも異なります。テーマカラーの「ベロシティレッドマイカ(赤)」に加え、「チタニウムグレーメタリックⅡ(ガンメタリック)」と「パッションオレンジマイカ」を選択することができました。ちなみに国内では限定車でしたが、北米ではカタログモデルでした。

参考→https://mx-5nb.com/2022/05/30/turbo_impression/


パッケージを開封すると、まごうことなきNBロードスターが降臨します!ボディには実車の「ベロシティレッドマイカ」同様ギラっとした赤いペイントがされていますが・・・


若干トーンは落ちており、どちらかというと「ガーネットレッドマイカ」の色味に近いです。


フロントビューでは特徴的な3眼ヘッドランプがプリントされています。驚きなのはフォグランプにもグラフィックが描きこまれている事。特徴的なリップスポイラーが付くフロントグリルの奥には、控えめにターボ用のインタークーラーが造形されています。フェンダーからタイヤがはみ出しているので、車検には通りませんね・・・


サイドビューはリアが長いように見えますが、(もちろんディフォルメはされていますが)NA/NBロードスターとしてはこのプロポーションが正解です。実は、幌を閉じたり、ハードトップを付けるといい塩梅になるのです。余談ですが、実車を撮影する際は若干フロント寄りにするとロングノーズが映える形になります。


リアビューも普段見慣れた後期型のテールランプがプリントされており、一発でNBロードスターだと分かります。ただ、ターボモデルなので特徴的なダックテールではなくトランクスポイラーが付いている事と、ターボ用のバンパーアンダースポイラーが造形されています。ちなみにオーナメントは「MAZDA」ではなく「MAZDASPEED(※長い)」が装着されるので、ナンバープレート左右のガーニッシュに付く国内仕様と異なり、トランクにプリントされています。


インテリアはエアロボード&ファッションバー(ロールバー)を装着したタイプです。ナビシートのエアバッグが大きめに強調されていますが、特徴的なT字インパネとエアコンルーバーももちろん再現されています。シフトの形状からマニュアルトランスミッションであることが分かるのと(そもそもMTしか設定がない)、後期内装の特徴になる「ふたつのドリンクホルダー」も造形されています。


ちなみに担当モデラーはMark Jones氏。30年以上ホットウィールのデザイナーを務め、先日勇退をされました。15年以降はプレミアムラインのリードデザイナー行っており、手掛けた作品は名車ばかり!同僚からはゴッドファーザーと呼ばれていたそうです。

参考→https://hotwheels.fandom.com/wiki/Mark_Jones

少しモデファイを施してみる


折角のマッチボックスサイズであるならば・・・やはりトミカと並べたいところ。そこで、少しだけ気になる部分を弄ってみました。折角「ガーネットレッド」に近しい色なので、愛車に寄せてみることにします。

ホットウィールの分解は簡単で、シャシー(ボディ裏面)にあるピンを、ピンバイスやノミで削り取ることで分解することができます。驚いたのは、ファションバー(ロールバー)が別パーツであったこと。シートバックと一体になっていないので、塗り分けが簡単にできますね!バリエーション展開もきたいしちゃいます。


まずは、一部で指摘されている「ヘッドランプ小さい」問題の対策です。


これは3眼ヘッドランプがプリントされていること自体はいいのですが、実車のターボ同様スモークタープになっているので隈取(くまどり)というか、縁(ふち)が強調されているからです。NB前期型であればヘッドランプにはっきり縁があるのですが、後期型では目立たなくなるのが正解に近しくなるのです。


そこで、ヘッドランプの周りをエナメル塗料の「白」で描き込んでいきました。折角プリントされているグラフィックは活かす方向で微調整をほどこして、ある程度形が見えたらクリアを上塗りしてあげます。


インテリアはLS内装(国内VS内装)に寄せるため、タンで塗装を行いました。パーツはABS樹脂製っぽいので、先にプライマー(ミッチャクロン)を塗布してから全体を塗り、細かいディティールをエナメル塗料で描き込んでいきました。


ちなみに、実車のマツダスピードミアータは基本ブラックレザー(もしくは赤黒2トーン)内装なのですが、今回はウッドインテリアっぽく仕上げています。ファッションバーは純正オプションタイプをイメージして描き込みました。最後にセミグロス(半艶)トップコートで塗面を整えます。


地味に苦労したのがシャシーです。プレミアムラインのメタルシャシーは剛性や質感という点では素晴らしいのですが、ホイールの取り外しが私のスキルでは不可能でした。そこで、ホイールのピンをカットして調整を行うことにしました。また、インテリアの足元はシャシーそのままなので、座席の下をタンで塗装をしました。


今回移植するのはトミカと並べた時に違和感がないように、トミカ純正ホイールをチョイスしました。手元にあったいくつかのパーツでフィッティングを行ったのですが、トミカ・ロードスターシリーズと並べる際にトレッドが「細い」方がマッチするので、5スポークタイプ(ユーノスロードスタートミカと同じもの)を採用しました。


タイヤをそのまま取り付けるとフェンダーの奥に行ってしまうので、シャシーの縁に1ミリプラバンを装着、塗装をしています。また、中央にエポキシパテを盛って車軸を固めています。


全ての作業が終わったら、元の形に組み直して完成です。

ロードスターシリーズのトミカと並べてみる


そんな訳で完成です!手前からホットウィール、ガレージキット、ジョニーライトニングです。どれも造形の方向(好きの方向性)に特徴があって面白いですよね!


リアビューはこんな感じです。拡大すると粗が目立ちますが、私のスキルではこれが限界です。驚くくらい実車とイメージが重なります。また、何気に純正塗装でハードトップのラッチが塗られているのは凄いですね!


そしてロードスターシリーズたち。並べてみたら、NBだけ少し解像度高くなっているかなぁ・・・ここは再考の余地ありですね。


ついでということで、トミカロードスターシリーズ全員集合で。NDロードスターのプレミアム系レッドもいい感じの塗装でしたが、ホットウィールの方がアルミフレークが多めなのか、トーンは落ちていてもリフレクションがギラギラしていました。


それにしても、発売から20年以上経って念願のラインナップ入りを果たしたNBロードスター。今回のモデルカーの造りを見ているとバリエーション展開も期待できそうです。

なお、ホットウィールではNCロードスターがまだ発売されていないので、最近の怒涛のラインナップ展開をみていると、ワンチャンありそうで楽しみですね!NC1はトミカ化されているので、マッチボックスサイズのNC2/3あたりだと飛びあがって喜んじゃいますね。


どちらにせよ、手元で気軽に扱えるNBロードスターが増えたのはありがたいことです。皆様もぜひ、手に取っていただければ幸いです!

関連情報→

なぜNBロードスターの「トミカ」がないのか

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