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今回はNBロードスターの国内販売台数を考察していきます。
実際の情報と差異がある可能性があるので、参考までにご覧ください。
オープンカーとしては空前のヒットとなり独壇場だったNAロードスターに対し、世界のスポーツカーが百花繚乱だった時代に「今さら?」と囁かれたNBロードスター。思ったよりも売れたのか、それとも想定内だったのか・・・数字の観点から紐解いていきます。
国内生産台数 1989~2005 Eunos/Mazda Roadster(NA/NB)
まずは国内販売数の表になります。ただ、緑はNA6、黄色はNA8、赤はNB、青はNCで生産期間に合わせて色をつけています。太字はマイナーチェンジ、黄色はフルモデルチェンジです。
面白いのは世代交代する際、約1ヶ月間工場生産が止まります。混流生産を行う上で、様々なアップデートがあったのかと想像してしまいます。
国内生産期間 1998~2005 Mazda Roadster(NB)JPN
生産期間を表にしてみました。NBがややこしいのは1600ccと1800ccふたつのグレードが存在することです。したがってシリアルナンバー(車台番号)も分かれていくのです。表にあるNB7とは「ロードスタークーペ」の型番で、ロードスターターボはNB4の括(くく)りに入ります。こちらを確認すると、NB3だけ生産期間が極端に短いことがわかります。
NB3とNB4の違いは、当時のマツダ車ラインナップが刷新されていた時期で、新たなボディカラーや細かいパーツの統合(有名どころだと、ヘッドライトのロービームやフォグランプ規格がHB4→HB7など)が行われた時期になります。
また、セールスに含まれない車体番号(シリアルナンバー)が存在し、それは研究開発等に回されていると思われます。唯一クーペの1600ccのみ、ロードスターシリーズで唯一シリアル1番で出荷されており、実車確認もさせて頂きました。
また、国内仕様のNB8はかなり早く生産終了になっています。これはクーペも同様で、宇品第一工場火災の影響で予定数の販売はされませんでした(これはのちに解説します)。余談ですが、NB終盤はNB6ロードスターとターボの選択できるボディカラーも基本色限定で、叩き売られていました。
排気量別国内生産数 1998~2005 Mazda Roadster(NB)JPN
NB6:43.8% 前期:55.3%(NB1)
NB8:55.9% 後期:44.7%(NB2~4)
排気量別の表で見ると極端で、NB2までは1800ccが売れていましたが、NB3以降は1600ccの生産数が逆転します。ハイパワー・ハイスペックのスポーツカーが市場にあふれていた当時、結果的に「気軽に楽しめるスポーツカー」という位置づけでロードスターが見直された結果かもしれません。
なお、NB4の1800ccは863台中300台がターボなので、ターボ仕様と同じくらいノーマルエンジンもレアだったことがわかります。
それでは、いくつかの比較データを見ていきましょう。
世界生産:290,123台
国内比率:30,039台 10.4%
NAロードスターは約3割が「日本を走っている」ことが判明していますが、NBロードスターは世界のロードスターの1割しか売れていないことが分かりました。したがって、NAと比較すると下記のようになります。
NA:119,547台 79.9%
NB:30,039台 20.1%
国内販売計:149,586台
NBロードスターへのフルモデルチェンジ時点でNAロードスターから9年経過しているので単純比較は出来ませんが、少なくとも国内では8:2の割合で圧倒的にNAロードスターが多かったことになります。このデータだけ見ても、国内ではNBロードスターが不人気だった事を実感します。しかし、世界に目を向けてみると…
NA:421,107台 59.2%
NB:290,123台 40,8%
世界販売計:711,230台
グローバル生産台数 まとめ
貴島主査が設定したNBロードスターの販売目標は、大ヒットしたNAロードスターの7割(約29万台)だったそうですが、十分クリアできる水準を達成しました。つまり、グローバル視点で見ればNBロードスターは成功したことがわかります。
なおNAロードスターの国内残存数が19%といわれていますが、それをNBに置き換えると5,707台。少なくとも全国にはこれくらいのNBロードスターが生き残っていると思われます。
2022年時点のNAロードスター残存台数は20,723台、NBは13,793台、NCは15,530台となっているようです。
なお、その後のグローバル生産データをみると、NCロードスターも順調に売れています。しかし2008年のリーマンショックで極端に生産台数が減少してしまいます。
それでも世界販売で18,000台/年をクリアしているのは流石ロードスターです。近年、NDロードスターのヒットが騒がれますが、実はNBロードスター現役当時の方が売れているのもポイントです。
「スポーツカーは継続して、育てることが重要である」という開発主査の言葉通り、30年続いたロードスター。その中でNBロードスターも健闘していた事実を感じて頂けましたでしょうか。
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