NDを購入しなかった理由

NDを購入しなかった理由

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2015年春、NDロードスターデビュー


2015年春に販売が開始された第4世代・ND型ロードスター。噂にたがわぬその出来は新車効果もあったせいか、クルマを語る皆が「最高傑作」と浮足立っていた気がします。

マツダのブランドピラー(柱)として過去では考えられなかった、ほぼすべてのディーラーにロードスターの【試乗車】がやってきて、それはもう「お祭り」のような雰囲気でした。


当然、私の近所のディーラーにもNDロードスターがやってきたので、速攻で冷やかしに行きました。

目の前のNDロードスターは2014年に舞浜で見た量産試作ではなく、ラインで組まれた生産型のロードスター。

手を伸ばせば購入することができる存在です!新車の香りを漂わせながら、真新しいエクステリア・インテリアにも目を奪われマス。エンジンはどんな音がするのだろう、アクセルのレスポンスはどんな感じだろう、ステアリングフィールはどんな乗り味だろう・・・と想像力が刺激され、大人げなくワクワクしてしまいます。

しかし・・・そこに同席した営業さんのひとことで、テンションが一気に下がってしまいました。

愛車への死刑宣告

それは・・・「試乗のついでにNBの査定をさせてください」といわれた一言です。

営業であれば、買わなそうな冷やかしにもワンチャンでトライしてみる「熱心な気持ち」は十分理解できます。もちろん好意かも知れませんし、販売マニュアルにある定番のセリフなのかも知れません。

ただ、頼みもしないのに愛車の【市場価値】を調べようとする姿勢に、恐怖すら感じてしまったのです。


その時点(2015年)でも12年落ちで、走行距離もそこそこあり、気を抜くとどこか壊れるNBロードスター。

しかし、愛車はそれを踏まえてもプライスレスに愛情を注いでいます。しかし、何が悲しくて望みもしない市場価値で死刑宣告を受けるなんて・・・それで目の前の新車を買う訳ないだろうと、心の中で猛反発しました。正直腹が立ちすぎて試乗もせず、しばらくそのマツダに立ち寄ることも無くなりました。

ディーラーとしては冷やかしを退散することができて良かったかもしれませんが・・・

ロードスターが不幸な点


今でこそ振り返ってみると冷静に考えることができるのですが、ロードスターは感性(=楽しさ)を刺激するプロダクトです。愛車と過ごす時間が経てば経つほど・・・愛着が自然に育まれていきます。それが、どんなに市場価値が無いNBロードスターだとしても、唯一無二の存在です。

さらに歴代ロードスターが不幸なことは(時代に即した装備の違いはあれども)、どのロードスターも「乗り味」の軸が変わらないことです。

NAオーナーが未だに愛車を手放さない事も、NCオーナーが愛車を愛でていることも、NDのオーナーがクルマにハマっていることも全て共感できるように、誰でも自分の愛車が一番な存在なのです。

だからこそ客観的な「市場価値」というのは厳しい現実で「あなたのクルマは○○円だ」と、いわば自分の価値観に値段を付けられる覚悟が、当時の私には足りませんでした。


一方で、「一生このクルマに乗る」とも断言はしません。

環境変化も天変地異も、万が一の出来事(どうしようもないシーン)はいくらでも存在するからです。実際、そのようなシーンに遭遇すると次のクルマを検討することは十分にありえます。

・趣味だからこそ、気楽に気兼ねなく、のんびりと
・趣味だからこそガチンコで

どちらが正しいともいえませんし、趣味の価値観なんてさまざまです。ただ、私はもうしばらくNBロードスターでもいいかな・・・と、あの出来事で改めて感じました。もちろん、NDロードスターも素晴らしいロードスターであることは分かっているつもりです!


関連情報:

なぜ自分の愛車が一番なのか(A-1)

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