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夏といえばオープンカーの季節・・・といきたいところですが、高温多湿な日本における「酷暑でオープン」は自殺行為になる可能性が高くなります。それは、身体から熱が抜けきらない「熱中症」になってしまうリスクが上がるからです。
お恥ずかしい話、私はロードスターの助手席にいた愛娘を熱中症にさせてしまった経験があります。ソロオープンだったら自己責任として納得できますが、家族に迷惑をかけた【反省と経験】をこの時期になると思いだすのです。
正直、ロードスターは趣味のクルマですから好きに乗ればいいと思います。
しかし、特に近年の酷暑は如何ともし難く、酷暑でのオープン走行はやせ我慢で済むレベルではありません。まさに「命がけ」で走る覚悟が必要です。そこで、少しおせっかいをさせていただきたいのが、今回のトピックです。
そもそも、日本で「真夏のオープンカー」は間違っている
オープンカーといえば海岸沿いを優雅にクルージングするイメージはありませんか?アメリカ東海岸のマイアミ、西海岸はロードスターデザイン発祥の地、カリフォルニアがあります。晴天のフリーウェイをオープントップにして駆け抜ける、そんな素敵な光景です。
ただ、例えばカリフォルニアは真夏(7~9月)でも平均気温が22度~23度と、日本の「春」くらいの気候です。現地は降水量も僅かなので湿度も低く、生活するうえでとても快適な環境とされています。緯度は日本の福島あたりと同じですが、日本国内はどこでも「夏日」となったら(東北地方でも)30度を越えは当たり前、さらに「湿度」も伴うので夏のイメージ自体にギャップがあるのです。(高原に行けばいいんですけどね・・・)
そもそも日本でオープンカー文化が一般化したのは、約30年前にデビューしたNAロードスター辺りから始まっています。つまり、それまでのオープンカーはエンスーアジスト(自動車愛好家)の世界で、語弊はありますがエンスーは不便なことやトラブルを「楽しむ」ことができる人種です。熱中症くらいで不満を漏らすことはありません。
したがって、そもそも「真夏にオープン」というのは、海外と国内では環境が違います。海岸沿いを優雅にクルージングするのは、極端な話、春や秋なのです。
熱中症の原因、人間のメカニズム
ここからは熱中症のメカニズムをざっくり説明します。
人間の身体は体温が上がっても、汗や皮膚温度で「体温が外へ逃げる仕組み」になっており、自然に体温調節をする生き物です。
しかし、「体温上昇」と「調整機能」のバランスが崩れてしまうと、どんどん身体に熱が溜まってしまいます。このような状態が【熱中症】といわれています。国立衛生研究所の資料によると、熱中症は【気温25度あたりから患者が発生(段階的に増え)、31度を超えると急増する】そうです。
なお、熱中症は下記三つの複合的な要因が引き金になるとされています。くっそ暑い中オープンで走っていたら、下記状況がいくつも当てはまりませんか?
身体:脱水症状、体調不良、低栄養、持病、高齢や肥満
行動:激しい運動、慣れない運動、屋外作業、水分補給できない状況
参考→https://www.wbgt.env.go.jp/doc_prevention.php
しかも、仮に頑張ってしまった後でも、次に「日焼け」が待っています。紫外線マックスななかで肌を真っ赤にするのは、自滅行為でしかありません・・・
オープンカーの熱中症対策
繰り返しますが、熱中症の原因は【体温の上昇と調整機能のバランスが崩れる】こと。つまりオープンカーの場合でもヤバそうな予兆があれば、素直に幌を閉じてエアコンをガンガン効かせることをオススメします。
また、駐車時にはサンシェードをしておくだけでキャビンの温度はマイナス5度になるそうです。また、紫外線によるインテリアパーツの劣化防止にもなるので、特に夏場は常備しておいた方がいいでしょう。安価なものならば100円ショップでも購入することができます。
加えて、エアコンを効かせる前に換気を行うと、涼しくなるまでのスピードが著しく変わります。やり方は簡単で、助手席の窓を全開にして、運転席のドアを3~4回「バタン」と開閉するだけです。車内の熱気を一気に外へ吐き出すので「エアコンが効くまで窓全開」よりも早く社内を冷やすことが可能です。
ロードスターは国内だけでなく、北米や欧州でも展開するグローバルカー。ただ、国内ではエアコンが標準装備となったのは2世代目のNBロードスターからであることからもわかるとおり、かつてはエアコンよりもヒーターが重視されていました。
したがって、キャビンは厳しい北欧の冬季でもオープンが楽しめるくらい、温度が保たれる構造になっています。センターコンソールもエンジンの熱が伝わってきますしね・・・つまり、冷やす事よりも温かくすることに長けているクルマなのです。
そのうえで、どうしても夏場でオープンをしたいならば、下記の心がけをおススメします。
・無理をしない
・涼しい服装(&日焼け対策)
・帽子を着用する
・マスクはしない
・困った時の連絡先を確認
・涼しい場所・施設に退避する
・スマホのアラート通知設定
特に、オープンカーで「涼しい服装」になると日焼け対策も必須です。比較的涼しい気候の高原であっても、夏場の強い紫外線ではガンガン日焼けをして痛い目にあいます。また、日本人は黒髪が多いので頭部から熱を吸収しやすく、帽子をかぶるだけでも頭皮の温度は平均でマイナス7度ほど下がるそうです。
このご時世だとマスク着用が必要とされるシーンもあると思いますが、マスクにより頭部温度はプラス5度上昇するともいわれています。クルマに乗ること自体がソーシャルディスタンスですから、ドライブ中は外したほうが賢明かも知れません。(屋外でのマスク着用は必要ないと、すでに厚生省より発表されていますしね)
また、NA以外のロードスターは風巻き込み防止のエアロボードが装着されていますが、オープン時にはあえて「エアロボードを使わない」ことでキャビンの風を循環させるテクニックもあります。可動式(取り外し式)なのは、そういった理由でもあるのです。
ともあれ、こういった帽子や日焼け止めだけでなく、冷間ジェルシートや飲み物なの熱中症対策品は、クルマに常備しておくことをオススメします。
さらに、スマートフォンの防災情報アプリ(Yahoo防災速報など)を通知設定しておくと、位置情報に基づいた自治体からの熱中症アラートを受け取ることができます。警告がきた際には素直に幌を閉めましょう。
熱中症になってしまったら
急に下記のような体調不良になったら、熱中症の疑いがあります!
熱中症が発症してしまったら応急処置をする必要がありますが、以下の点にひとつでも当てはまれば、すぐ医療機関に向かいましょう。
・自分で水分や塩分(ナトリウム)が摂取できない
・水分補給など、何らかの対処をしても症状がよくならない
意識がある軽度であれば、まずは涼しい場所へ避難をし、服を緩めて身体を冷やします。さらに、スポーツドリンクや経口補水液を補給し、安静になれる状況で休息をとりながら、回復を待ちましょう。
身体を冷やす際は、氷嚢や冷却ジェルシート(冷えピタなど)、濡れタオルなどを【首の両脇】【脇の下】【大腿の付け根の前面】に当ててます。熱には皮膚のすぐ近くにある太い血管を冷やすのが効果的だからです。
ただ、症状が明確ではなくても判断に迷うことがあれば、速やかに救急車を要請しましょう。
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