この記事を読むのに必要な時間は約10分です。
過去のアイテムにプレミアがつくのは昔からよくある話ですが、感染症の蔓延によりオンライン生活が身近になったせいでしょうか・・・趣味性の高いものに対するアイテムは、プレミアというよりもボッタクリ価格が横行している気がします。
そこで今回は、その筆頭といっても過言ではないGATE製のミニカー(モデルカー)をご紹介します。
1/18ビッグスケール、元は驚異の2900円
「GATE(ゲート)」とは、1998年に米国Gateway Global Ltd.(ゲートウェイグローバル社)が提供したモデルカーブランドです。同社は「AUTOart(オートアート)」、「UT Models」など、さまざまなモデルカーブランドを扱っており、「GATE」ブランドは安価な1/18ビッグスケールのモデルカーを中心に展開していました。
ただ、GATE製モデルカーは安かろう悪かろうといったものではなく、見えるところは徹底的に造り込み、見えないところは割りきる・・・といったもので、ボディは金属製ですが、それ以外は基本的に樹脂パーツで一体成型されているなど、コストダウンの努力を垣間見ることができます。
したがって、普通に眺める分には現行の高級モデルカーブランドとして名が残る「AUTOart」にも引けを取らない、素晴らしい出来になっているのが大きな特徴です。ただ、GATEがデビューした00年以降のモデルカー業界は高級路線にシフトしていったことから、残念ながらGATEはブランド消滅してしまいました。
さて、そんなGATEでロードスターはNAとNB2種類のMX-5がローンチモデルとして提供されていました。しかも、各モデルカーの価格はビッグスケールであるにもかかわらず驚異の2900円(税別)。今では考えられない値段ではありますが・・・現在の中古市場でプレミアがつく価値があるかどうかは、次項にてご判断ください。
GATE製1/18 NAロードスター
NAロードスターのバリエーションはボックスパッケージの「MX-5 Miata(左ハンドル)」「MX-5(右ハンドル)」「MAZDA Roadster(右ハンドル)」、さらに「組み立てキット」で両ハンドルを選択できるものが販売されていました。その名の通り、北米仕様、欧州仕様(&なんちゃって日本仕様)を選べる欲張りなモデルカーです。
当時はホビーショップに大量に置かれていて、しかも驚くくらい安かったので本当なのか二度見した記憶があります。
基本的な造形はNAロードスター準じたプレーンなもので、一目でNAだと分かる素晴らしい出来です。
金属ボディの塗装も見事で、曇りなきグロスな仕上げにより美しいボディカラーが再現されています。削除されがちなボンネットのウォッシャーノズルが再現されているところも芸コマです。
サイドミラーは根の細い手動ミラータイプ。個人的には、この細い台座の方がNAには似合っていると思います。
リトラクタブルヘッドライトの開閉機構やドアの開口部分の塗装はオミットされていますが、それでもボンネット、ドア、トランクなどの開閉機構を始め、エンジンルームも再現される凝った仕様になっています。
トランク内は京商のモデルカーでも再現されていなかった、テンパータイヤ(スペアタイヤ)がきちんと造形されているのも大きなポイントです。一方で、VS系の車体でもウッド内装(の塗装)は再現されていません。
また、リアビューは欧州MX-5に準じているのでハイマウントストップランプの造形は無く、ナンバープレートが収まるリアデッキプレートも幅広のものになっています。なお、実車において欧州仕様のオーナメント(MX-5とかMAZDAのマーク)はトランクに取り付けられます。
残念な点といえば、サイドシルの2トーン塗装が再現されていないこと。これは塗装コストを考えると致し方なかったものと思われますが、その存在を知らなければ違和感はありません。
価格が3倍になる京商製1/18モデルカーと比較すると、明らかにパーツ点数が抑えられていますが、それなりにカッチリした造りになっているので、特に劣っていると思う部分はありません。その誤差は「味」の範囲です。
一方、組み立てキットの方はプラモデルのように自身で組み上げるものになります。
ちなみにボディカラーのバリエーションは選択が可能で、このパッケージは「黒」が同梱されていました。実車よりも落ついたVS内装のシートのカラーがいい感じです。
面白いのは各種MX-5用のデカールが選択できること。リアデッキは欧州仕様に準じた造形なので厳密な実車再現とはいきませんが「EUNOS」や「Roadster」のプリントがあると、嬉しくなりますね。
カラーバリエーションはクラシックレッド(赤)、マリナーブルー(青)、サンライトシルバーメタリック(銀)、ネオグリーン(緑)、ブリリアントブラック(黒)が確認できています。
GATE製1/18 NBロードスター
NBロードスターのモデルカーとしては唯一のビッグスケールの存在となるのが、GATE製「MX-5 Miata(2nd generation:NB)」です。こちらはNAと違い、北米の「MX-5 Miata」仕様のみで提供されました。GATEのローンチモデルカーとして発売時期は98~00年であることからも分かる通り、NB1(前期型)をベースにした造形になっています。
私が所有しているGATE製NBロードスターは10周年記念車仕様なので、イノセントブルーマイカ(青)のボディカラーに青内装が再現されています。また、10周年記念車の「北米仕様」は全てフロントスポイラーやサイドステップ、フォグランプなどフルオプション架装になっています。また、サイドターンランプ(フェンダーのウインカー)はありません。
GATE製NBロードスターはビッグスケールを活かしたディティールの造り込みが素晴らしく、特にヘッドランプのメッキとクリアパーツの組み合わせはお見事としか表現しようがありません。また、サイドマーカーも実車同様クリアパーツになっているので、価格以上のバリューを感じることができます。
また、オーガニックシェイプ(オーガニックフォーム/有機的デザイン)なNBらしいボディラインも再現されており、特にリアフェンダーからトランクにかけてのダックテールはお見事。このモデルカーの底力を感じることができます。
もちろん10周年記念車の専用架装であるメッキ15インチ・純正エンケイ5スポークも再現されています。細かいところではソフトトップカバーやバケットシートの「しわ」が再現されており、当時はデジタルスキャンなんてありませんから職人の腕を垣間見ることができます。
NAのモデルカーと同様に、ボンネット、ドア、トランクの開口を行うことも可能です。エンジンルームはストラットタワーバーまで再現されている芸コマぶり。
トランク内は実車同様フラットな造形です。テンパータイヤはNBになるとカーペットの底に埋められているのでこれが正解です。また、トランクのハイマウントストップランプも再現されています。
重箱の隅をつつくとすれば、NA同様「見えないところへの割り切り」があるので開口部分が未塗装であったり、ブレーキキャリパーやサスペンションが再現されていなかったりします。また、ドアが緩めで空いてしまうので対策を行う必要があります(私は引っ付き虫を挟んでいます)。
驚かされるのは、ボディ底面のディティール。デフやPPFが樹脂製なので未塗装なのは仕方がありませんが、RS系NBロードスターに施されたボディ補強のブレースバーが再現されています。しかも、実車同様マフラーの形状に合わせてバーの「逃げ」も作ってあるので、NBロードスターへの愛情を感じずにはいられません。
カラーバリエーションとしてはエボリューションオレンジ(金)とシャストホワイト(白)、ブリリアントブラック(黒)のバリエーションあり、黒はLSグレードの明るい内装(※国内VSグレード)が存在します。(情報提供:T.N氏)
これらが10周年記念車と大きく違うのはフロントバンパーの造形で、フォグランプの再現がないフラットなフェイスになっています。ただし、サイドステップはそのまま造形されていることから、これらは10周年記念車が優先して作られた証拠なのかもしれません。
かつては2900円だったが・・・
GATE製ビッグスケールのモデルカーは如何だったでしょうか?
現在、某オークションの相場では7,000円~20,000円、Amazonではとんでもない価格がつけられています。また、海外のオークションではもう少し安価になりますが、送料を見越すと結構いい金額になりそうです。
その価格に見合う価値があるかどうかは個人の判断になりますが、間違いなくいえるのは、当時はこれらが2,900円だったという衝撃です。その後、GATEブランドは消滅しましたがスピリットはAUTOartブランドに引き継がれ、ビッグスケールのNCロードスターが販売されました。ただし、そちらもとんでもないプレミア価格を付けているようです。
その価値があるかどうかは定かではないですが、もしGATE製モデルカーの購入検討をされている方は、今回のトピックが参考になれば幸いです。
関連情報→