この記事を読むのに必要な時間は約8分です。
ロードスターの楽しみのひとつにあるメンテナンス作業。もちろんエンジンオーバーホールのような重整備を素人が行うのは厳しいですが、頑張れば誰でもできるタイヤローテーションでも「自分でやる」満足感があると思います。田舎道を走るとタイヤハウスも汚れるのでついでに清掃なんかして・・・ショップではなかなか頼めないプラス作業ができるのも楽しいところです。
愛用するパンタグラフジャッキ(車載工具)のメンテ
メンテナンスには様々な工具があると便利です。
特に、私が行うイージーなメンテで出番が多いのが車載工具の「パンタグラフジャッキ」。ロードスターから降ろすのが面倒なので、予備を購入しようと思っていたのですが、私の家族のクルマがマツダ「ベリーサ」なので同じジャッキが積まれていました。でも、クルマに積んでおかないと「いざという時」に困るので、結局戻してしまいましたが・・・
また、10年以上酷使していたら動きがぎこちなくなっていきました。そこでグリスを足してみたのですが、これはかなりの悪手でした。なぜなら、重いクルマを長年支えてくれたおかげでリフトアップ用の「ボルトのねじ山」が削れて鉄粉を生み、グリスでより固まってしまったからです。
これに気づくのに頭を捻ったのですが・・・ねじ山やボルトが通る穴をパーツクリーナーで徹底洗浄したら元に戻りました。とてつもない鉄粉が出ていて驚きです。どちらにせよ交換を検討しないといけませんね。
なお、パンタグラフジャッキでクルマを上げる作業は「タイヤ交換」くらいなら何とかなりますが、下回りを確認したい時はかなり危険です。マニュアルでも「タイヤ交換、タイヤチェーン交換以外では使用しないでください」「車の下に絶対に入らないでください」と指示されています。
見た目からも分かる通り、ジャッキ土台の縦方向の揺れには弱いので、地震が来たら一発アウトです。また、クルマの重量が分散されてしまうので、前後のジャッキアップポイントなどに複数のパンタグラフジャッキを使用することは、推奨されていません。
そうなると、素人が安全にクルマの下回りで作業を行うためには工具に頼りたいところ。そこでモノタロウにてフロアジャッキ、ジャッキスタンド(リジッドラック:ウマ)、ジャッキアタッチメントを購入しました。
下回りをチェックしたい理由
なぜ、ロードスターの下回りのチェックをしたいのかといいますと、私の運転がヘボいからなのが原因ですが・・・ちょっとした段差(スロープ)で下回りを「ゴリッ」と削ってしまうからです。金属物が擦れる音が床下から聞こえる瞬間、本当に嫌な汗をかきます。
私のロードスターはノーマル車高なので(足周りのスプリングが経年劣化で下がっているかもしれませんが)、基本的には駐車場の輪留めあっても問題はありません。ただしロードスターは全般的にフロントバンパーが低いのでバック駐車をする方が安心でしょう。
そんな配慮を持って慎重にしていたはずでも、スロープで「ゴリッ」とすることがあるのです。原因は分かっていて・・・NBロードスター後期型の「RS」および「NR-A」(※ハードサス仕様)で追加されている、フロア中央にあるクロスメンバーが地上高を下げており、そこが「ガリっ」ていたのでした。
余談ですが、このクロスメンバーはNBロードスターターボにて、さらに「面」で補強されています。見えないところにお金をかけるNBロードスター、痺れますね・・・
ボディ補強を行うスチール製の屈強なパーツですから、少し当たったくらいで形状が大きく変化することはありません。しかし、純正の防錆塗装が削れてしまうので、錆のトリガーになってしまいます。したがって、ボディの下にもぐって防錆剤を塗布したいのです。
NA/NBロードスターのジャッキアップポイント
整備書においてNA/NBロードスターのジャッキアップポイントとして指定されているのは6か所になります。
分かりやすいのはタイヤ交換等で利用する機会の多い、前後サイドシルの下にあるジャッキアップ指定位置の4ヵ所。このジャッキアップポイントはパネルが補強されているので、クルマを持ち上げても車重に耐えられる造りとなっています。それ以外の箇所でジャッキアップをおこなうと、接触面が破損したりボディが歪んでしまうので注意です。
一方、NA/NBロードスターにおいてクルマの中央からジャッキアップを行う(=フロアジャッキ)指定部分は、前方は足周りの「サブフレーム中央」です。奥にオイルパンが見えますがその手前の「平らな部分」です。釈迦に説法だとは思いますが、オイルパンでジャッキアップすると最悪エンジンが破損するので絶対に気を付けましょう。
なお、サブフレームに直接ジャッキの受け皿(あてがう部分)を直接当てると塗装が削れてしまうので、私は端材に線をいれてセンターを出して当てています。
後方からのジャッキアップはプロペラシャフトの後端にある「デフ」に直接かけるように指定されています。この際、PPF(パワープラントフレーム)のボルトにかからないように注意です。
もちろん、ジャッキアップのみで下回りで作業をおこなうのは自殺行為になるので、前後サイドシルにあるジャッキアップポイントにウマをかけましょう。ロードスターならではの注意点はFR車ならではですが、前輪は基本的にフリー状態・・・つまり、接地していなければ手でもタイヤホイールを回すことが出来るので、前輪を固定せずにリアから車体を上げるのは危険です。
特にボディ全体をジャッキアップする際は、サイドブレーキ&リアの輪留などで後輪を固定した上で、「フロントから」作業をおこなうことをお勧めします。なぜなら・・・
そのままじゃフロアジャッキは入らない
ところが、ロードスターは腐ってもスポーツカー。NBロードスターにはアンダーリップが付いているので、ノーマル車高であってもフロントにすんなりフロアジャッキは入ってくれませんでした(※低床タイプのフロアジャッキでも厳しかったです。ちなみに、NAロードスターは素直に入ります)。ほんの数センチ上げたいだけなんですけどね・・・そこで必要になるのがカースロープ、つまり前輪を持ち上げる簡易的な坂道です。
たかだか数千円のパーツなので購入する方が早いのですが、モノタロウでメンテ工具を揃えた後に「フロントにジャッキが入らない」事に気づきました。近所のホームセンターで探してみると、たまたま結構な値段のものしかなく・・・そこで、その場で「板」を購入して、適当にカットしてもらいました。折角なので自作してみることにします。
板の角をヤスリで削って段差を作っていき、長めの釘で固定していきます。輪止め用の端材は無料でもらってきました。
組んだスロープを使ってみると、キチンをフロントを上げることが出来、無事にジャッキアップ&ウマをかけることが出来ました。
自作スロープを長持ちさせるために、ニスを塗ってコーティングさせておきます。なお、無駄に手間をかけてしまったし、繰り返しますが買った方が絶対に早いです・・・でも、こういう事をするのもクルマ趣味の楽しさなんだよなぁと、個人的に思うのでした。
無事に作業を終えてひと段落
無事にウマをかけることが出来たので、クルマの下に回り込んで・・・
「ガリっ」とした部分をワイヤーブラシ&パーツクリーナーで洗浄し・・・
防錆剤を塗布しました。ついでにオイル漏れ等も確認しましたが、とりあえず大丈夫なようです。
たかが防錆剤を塗布するだけの作業でしたが、普段使わない筋肉を活用するので、翌日は身体がガタガタに・・・プロの整備士の皆様には頭が下がります。どちらにせよ、エクササイズがてらロードスターの下廻りをチェックすること、お勧めします!
関連情報→