ロードスターにチャイルドシート

ロードスターにチャイルドシート

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小さい子供と一緒に出かけるためにチャイルドシートは必須です。ロードスターは2座とはいえ普通車くらいのスペースがあるので、一般的なシートは普通に装着できます。実際は子供の安全、衛生、健康に気をかける心構えの方が必要になります。

幼児と一緒にオープンカー


私事で恐縮ですが、私が今の愛車であるNBロードスターを中古購入したのが2012年。その時に、家族がいるなかで趣味車の2シーターを活かすために掲げたテーマは、(本人たちが望むかぎり)なるべく子供と一緒に出掛けることでした。

「2人乗りで子育てなんて正気か?」

世間一般の常識ではそう思われるかもしれません。しかし、物理的に助手席が空いている以上、そこは彼氏、彼女だけでなく、愛する我が子のための特等席になる時が来るかも知れません。そこで今回は、ミーティング会場などで意外に聞かれることの多い「チャイルドシート」のトピックです。


もちろん、幼い子供と一緒に行動するためチャイルドシート(CRS)の装着は必須です。そこで、ミーティング会場が公園であることが多いので、ロードスターにチャイルドシートを載せて幼いころの娘と一緒にイベント参加をしていました。

なお、日本では2000年4月1日に改正された道路交通法により、運転者が【6歳未満の幼児を自動車に乗車させる場合】に、チャイルドシートの使用が義務付けられています。違反の場合は、行政処分の基礎点数が1点付加されてしまいますので注意。まぁ、点数以前に人の親であれば、当然子供の命を守ることが最優先でしょう。

チャイルドシートの装着に関して

「ロードスターは普通車くらいのスペースがあるから、一般的なシートで大丈夫!」

私は最初、安易にそう思っていましたが、厳密な安全性を追求するとNBロードスター特有のハードルがありました。結論からいえば装着は可能ですが、「正しい知識」に基づいたインストールを行わなければ、万が一の際に機能しません。


バケットシートの「座面補正」

NBのシートは乗員をホールドするために、座面が後傾(お尻が沈み込む形状)し、サイドサポートが盛り上がっています。一般的なチャイルドシートは平坦な座面を想定しているため、そのまま置くと安定しません。


RX-8時代の(姉が使っていた)チャイルドシート装着の時もそうでしたが、ロードスターの場合は座面の奥スペース(背もたれ側)に硬めのタオルや、市販のシート保護マットを噛ませることで「レベル出し(水平維持)」を行いました。土木工事と同じで、基礎が安定していないと上物は安定しません。このひと手間が、安全とシート表皮の保護に繋がります。


「ALR機能」を使いこなして剛結する

ロードスターは前向き(幼児用)シートであれば装着可能です。私が当時使用していたものも一般的な3点式シートベルト固定タイプでした。ここで重要なのが、シートベルトの「ALR(Automatic Locking Retractor:自動ロック巻き取り装置)」機能です。もちろんNBロードスターのシートベルトにも、このALR機能が備わっています。

① チャイルドシートにベルトを通し、バックルを留める
② その状態で、シートベルトを「限界まで全部」引き出す
③ すると「カチカチカチ」という音がし始め、巻き取り方向のみにロックがかかるモードに切り替わる
④ この状態で、親の全体重をチャイルドシートに乗せて座面を沈み込ませながら、ベルトをギリギリまで巻き取らせる

これをやるかやらないかで固定強度は雲泥の差が出ます。ALRを使えば、スポーツ走行のGにも耐えうる「剛結」状態を作り出せますし、グラグラのチャイルドシートは凶器です。必ず固定してください。(※詳しくはシート装着マニュアルを参照してくださいね)


絶対ダメ:後ろ向き装着

当然ではありますが「後ろ向き(乳児用)チャイルドシート」をロードスターに装着することは危険です。国内仕様のロードスターには、助手席エアバッグのカットオフスイッチ(キャンセルスイッチ)が装備されていません。

もし、後ろ向きでシートを装着した状態で事故が起き、エアバッグが展開したらどうなるか?エアバッグの展開速度は時速100〜300km/h、その衝撃力は数百kgに達します。この強烈な運動エネルギーが、チャイルドシートの背面(赤ちゃん)を直撃します。テコの原理でシートごと弾き飛ばされたり、最悪の場合は子供が座席と背もたれの間にプレスされることになります。

したがって、首が座っていない乳児(概ね1歳未満)をロードスターに乗せることは、不可能であると断言します。ロードスターデビューは、首が座り、前向きシート(幼児用)に座れるようになってから。それまでは、じっと我慢の時です。ちなみにメーカーによっても解釈は違っていて、S2000はチャイルドシート自体が使用禁止となっています。


ただ、この初代シートには大きな問題がありました。とにかく重いので、常時助手席にチャイルドシートを装着していれば問題ないのですが、荷物を運びたい時や、別のクルマにフ付けなおすなどの脱着が大変でした。


そこで、チャイルドシート一号機の反省を活かし、結局は軽量タイプのチャイルドシートを追加購入しました。また、子育てをされた方であれば「あるある」だと思いますが、チャイルドシートは子供が大きくなり使わなくなるととても邪魔になります。使う時期が限定されるので、こだわりがなければリサイクルショップのもので問題ないと思われます。(新品と比較しても、とても安価で驚く・・・)

チャイルドシート装着に関して(補足)


現在、チャイルドシートの固定方法は「ISO-FIX(アイソフィックス)」という規格が世界標準です。車体側の金具にガチャンと固定するだけで、誰でも確実に装着できる素晴らしいシステムです。

ロードスターにおけるISO-FIX対応状況は、実は、NB3(NB後期型)からNC2までのモデルには、ISO-FIXアンカーが装備されていました。対応シートであれば脱着も楽で、固定強度も最強です(4点式シートベルトを固定するにも便利・・・)。

しかし国内仕様においてはNC3以降(2008年12月~)および、現行のNDロードスターではこのISO-FIXアンカーが廃止されています。一般的に2012年(平成24年)7月以降発売の新車にはISO-FIX取付金具が法令で義務化されているはずなのに、その理由がどうしてもわからずマツダに問い合わせたところ、下記の回答をいただきました。

ロードスターからISO-FIXタイプのチャイルドシート・アンカーが無くなっている理由でございますが、道路運送車両の保安基準の国土交通省令により、『運転者席及びこれと並列の座席以外の座席を有しない自動車』は、ISOFIX対応チャイルドシート用の取付金具の設置義務付けから除外されております。


つまり、国内では「2シーターには法的にISO-FIXを付ける義務がない」という解釈のようです。

軽トラックなどの実用車を含めた特例処置かと思われますが、ポルシェ・ボクスターなどの欧州車には依然としてアンカーが装備されていることを考えると、ロードスターのキャラクター(=文化的なスポーツカー)としては少し残念な気がします。軽量化やコストダウンという理由だけで片付けて欲しくない部分ですね。海外(MX-5)では標準装備となっている分だけ、悔しいところです。

したがって国内における大半のロードスター乗りは、前述した「3点式シートベルト+ALR機能」を駆使して、安全を確保する必要があるでしょう。

最も重要なのは、子供と行動する心構え


物理的にチャイルドシートが装着できたからといって、それでミッション完了ではありません。むしろ、そこからが本番です。ロードスターは「NVH(騒音・振動・突き上げ)」の塊であり、大人には快感でも子供には過酷な環境になり得ます。出先でのお世話を含め、子供が健やかな状態を保つための心がけが必要です。

私の場合は1歳3ヶ月の頃から娘を連れまわしていましたので、それなりの準備が必要でした。

トイレのピットイン対策
子供が積極的に意思表示ができるようになれば「トイレに行きたい」と教えてくれますが、もっと小さければ親が気づいてオムツ交換を行う必要があります。大きい公園や商業施設であれば多目的トイレなどのスペースが確保できますが、緊急事態の際はロードスターで行うことになります。私の場合はトランクを開けてそこに寝かせたり、運転席(助手席はチャイルドシートがある)を倒してオムツ交換などを行いました。

・替えのオムツ/パンツ
・おしり拭き(多めに!)
・使用済みオムツを密閉するビニール袋
・目隠しや敷物になる大判タオル

これらはトランクの常備薬です。NBのトランクは浅いですが、オムツ交換台としては絶妙な高さだったりします。

飲食物のお世話
ペットボトルで直飲みできれば安心ですが、幼児はそうもいかないのでストローで飲める飲料や、哺乳瓶を用意しておく必要があります。スプーンが使えるようになると楽なのですが、うちの子が小さい時は粉ミルクとポッドを持参しペットボトルの水で希釈して飲んでもらっていました。また、子供は外で遊んでいると平気でいろんなものを掴むし、クルマの中でも平気で食べかすをこぼします。

ここで大活躍するのが「おしり拭き」。手拭きにもなるし、ダッシュボードのホコリ取りにもなる万能ツールです。ロードスターのグローブボックスは小さいですが、センターコンソール等の隙間にウェットティッシュを常備しておくことを強くお勧めします。

「熱」と「風」のマネジメント(重要!)
ここがオープンカー特有の注意点です。大人は風を感じて気持ちいいかもしれませんが、平均体温が高く、体温調節機能が未発達な子供は、直射日光と走行風であっという間に熱中症や低体温症になってしまいます。

・日差し対策
日差しがきつい時は、無理せずソフトトップを閉めて、エアコンで温度管理をしましょう。走行中に直射日光が当たる場合は、帽子をかぶせるだけでなく、タオル等で影を作ってあげる配慮が必要です。

・風の巻き込み
サイドウィンドウを上げれば、キャビン内の風速は劇的に下がります。高速走行時は特に注意してください。

・万が一の飛散防止
チャイルドシートに座らせると座高が上がるため、子供の頭の位置が高くなります。窓を全開にすると、風圧やゴミの直撃を受けやすくなります。NBロードスターに装備されている「ウインドウロックスイッチ」が、この時初めて役に立ちました。子供のイタズラ防止のためにも、窓は管理下におきましょう。


・安全運転こそが最大の安全装置
海外仕様(Miata/MX-5)の一部ではエアバッグキャンセラーが装備されていますが、国内仕様にはありません。そのため、助手席のシート位置は「一番後ろ(最後端)」までスライドさせてください。これにより、万が一エアバッグが展開しても、衝撃が緩和される空間を確保できます。

そして何より、子供と一緒だと恐ろしく安全運転になるはずです。Gをかけるようなコーナリングや、急加速は厳禁。子供の頭がグラグラ揺れるような運転は、同乗者(特に母親)からの信頼を一発で失います。峠を攻めたいときは、おとなしく一人で行きましょう。

英才教育のすすめ


実は、チャイルドシートよりも幼い子供のお世話ができるか?の方が重要です。その自信がないときは、あきらめも肝心です。でも、子供(が付いてきてくれる限り)と一緒にロードスターで出かけるのは楽しいし、幼児期が終われば恐ろしく手間がかからなくなります。

全然余談ですがチャイルドシートの弊害のひとつとして、ダッシュボードを思いっきり蹴られます。インテリア清掃のきっかけにもなるのですが・・・ともあれ、子育てにオープンカーを盛り込むのも、なかなか楽しいですよ!

「チャイルドシートの弊害」として地味に大きいのは、ダッシュボードを思いっきり蹴られること。靴の跡がつきますが、それもまた「インテリア清掃のきっかけ」とポジティブに捉えましょう(笑)。

こうして書くと「大変そうだな」と思われるかもしれません。しかし、実はチャイルドシートを活用するよりも【幼い子供のお世話ができるか?】の方が重要です。実際、子供(が付いてきてくれる限り)と一緒にロードスターで出かけるのは楽しいし、幼児期が終われば恐ろしく手間がかからなくなります。

したがって、自信がないときは諦めも肝心です。

一方で、晴れた休日の朝、屋根を開け放ち、助手席に小さな相棒を乗せて走り出す。流れる景色、風の匂い、信号待ちで見上げる空の高さ。「空が青いね!」「ブーブー速い!」隣から聞こえるその声は、ファミリーカーの後部座席をミラーで確認するモ日常からは、決して生まれないものです(幸いなことに、うちの子はノリもよかった)。

幼い頃に浴びた風と光、そしてエンジンの鼓動は、子供の原体験として刻まれるかもしれません。幼児期が終われば、子供は自分の世界を持ち、親と遊んでくれなくなる時期が必ず来ます(来ました)。だからこそ、今しかできない「オープンカー子育て」を、安全に配慮しながら楽しんでみてはいかがでしょうか。

関連情報→

【備忘録】愛車物語2015

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