MR-S④ 新世代LWS、評価は二分した

MR-S④ 新世代LWS、評価は二分した

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本トピックはトヨタのライトウェイトスポーツ「MR-S」の小特集シリーズです。なお、トヨタでは当時「MR-S」を「ライトスポーツ」としていましたが、当サイトでは「ライトウェイトスポーツ」の表現に統一しています。

「MR-S」は「人が楽しむためのクルマ」をコンセプトに開発されました。

駆動方式は「MR2」シリーズからミッドシップレイアウトを継承し、軽量化とロングホイールベースを持って、ミッドシップの特性を生かした走行安定性を確保。特に目標とした軽量化はボディ構造からエンジンに至るまで全てのパートで再設計を行い、車重は1トンを切る960kgを実現。まさに新世代のライトウェイトスポーツとしてデビューしました。

前回の記事はこちら→https://mx-5nb.com/2023/08/28/mrs_3/

1999年、時代は「平成不況」


1999年にデビューしたトヨタ初のオープン専用ボディ、ミッドシップライトウェイトスポーツ「MR-S」。当時、現役で販売されていたオープンカーといえば、同クラスでは「ロードスター(NB)」、「MG-F」、フィアット「バルケッタ」があり、上を見ればホンダ「S2000」、メルセデス「SLK」、BMW「Z3」、ポルシェ「ボクスター」など、豊富なラインナップが揃っていました。

折しも、1999年~2002年頃の日本は91年のバブル崩壊以来の経済危機が再来していました。アジア通貨危機、インターネットバブル崩壊、デフレーションといった約20年前【平成不況(失われた10年)】は記憶に新しい方も多いと思います。


そのうえで、クルマ界隈では1997年に登場した初代「プリウス(NHW10)」による【燃費28km/l(10・15モード)】というスペックに衝撃がおきていました。クルマの流行は経済性が高く、環境性能を追求することが最良であるという流れになっていったのです。


ちなみに当時のガソリン価格は約99円/L。デフレだった日本ではモノの値段が下がり、企業業績の悪化から賃金が減少。それが消費の減退につながり、さらに物価が下がるといった「デフレスパイラル」に陥っていました。マックのハンバーガーが59円、吉野家が280円、幸楽苑のラーメンが290円。100円ショップが身近なエンターテイメントと、とんでもない状況になっていました。

そういった背景のなか、自動車業界で爆発的に売れたのはベーシックなカローラは別枠として、ユーティリティ(使い勝手)に赴きを置いて「お得感」のあったヴィッツ、デミオ、キューブ、マーチなどのコンパクトカー(Aセグメント)たち。ステーションワゴンはミニバンブームに代わり、SUVは強いていうならニッサン「ムラーノ」やトヨタ「ハリアー」くらいで、まだ影も形もありませんでした。

それでもメーカーは「若者のクルマ離れ」を危惧し、頑張ってフルジャンル・ラインナップを揃えていたのでスポーツカーの販売自体は続いていましたが、少し先の2005年にはより厳しい環境規制が控えていました。各社が威信をかけて「280馬力」を達成したフラグシップのラインナップはガソリンを景気良く消費してパワーを捻り出します。そんなエンジンの改善にはコストがかけられず、モデル終了のカウントダウンが始まっていました。


したがって、ディーラーではロクに数が出ないスポーツカーの試乗車を用意することは稀であり(あっても圏内1台とか)、不況で、ライバルが多く、触る機会が少ないという悪循環が生まれました。つまり【運転の楽しさ】や【感性】に訴求する「MR-S」のような存在にとって、そもそもの環境が整っていない厳しい航海スタートになりました。

MR-Sの評価は二分した(当時)


スポーツドライビングに全力集中する先代のハイスペック路線から脱却した「MR-S」は、名前も変わっていたことからジャンルが違うと解釈され、幸か不幸か「MR2」とガチンコで比較されることは稀でした。そりゃ245馬力と140馬力を比較するのはナンセンスですよね。

そこで軽量化、必要十分なパワー、ライトウェイトスポーツ(オープンカー)、ユーザー層、そして近しい価格帯だったNB型「ロードスター」が相対評価のベンチマークになったのでした。しかし、そもそもNBロードスター自体が不人気だったことから・・・「MR-S」は想定外の流れ弾を受けてしまいました。

まずは「280馬力でなければ本物と認めない」という、声が大きかった(にわかを含む)スポーツカーファンからは、トヨタでは上を見れば「スープラ」が、マツダでは「RX-7」(そして「RX-8」)が控えていたことから、ライトウェイト勢はエントリースポーツカーという【格下】な扱いだったことです。(余談ですが、両車ともトミカ化されていないのも、当時の不人気ぶりが現れています・・・)


また、NBロードスターは先代ロードスターの「ヒラヒラ感(落ち着きのなさ)」を嫌がり、限界性能の向上(メカニカルグリップ)を意図したセットになっていました。

これは「分かっている人」には走りのレベルが向上したと好評でしたが、普通の人にとっては【軽快感が落ちた】イメージにつながり、リトラクタブルヘッドライトを廃止したデザインも伴って「味のない凡庸なクルマになった」と酷評される日々が続いていました。

同じく「MR-S」も、先代までに苦労したミッドシップの悪癖を抑えるためホイールベースとトレッドを拡大。メカニカルグリップを重視した「絶対にコーナーで破綻させない」、いわばドリフトなんて絶対にさせない安定志向寄りなセッティングでした。


そんな「MR-S」が「ロードスター」と比較されると・・・厄介なのはNBではなく、強烈に売れたヒラヒラ走る記憶のある「NAロードスター」のイメージがベースになってしまったこと。「アレよりも軽快感がない」「昔は良かった」「凄いのは軽さだけ」なんてメディアにまで書かれる始末で、それを自分の意見のようにキッズがファミレスやネット掲示板で語り、イメージは広がっていきました。

しかし、一方で「MR2」「NSX」「ボクスター」「MG-F」「ビート」「AZ-1」など【ミッドシップ車の特性】を経験している人であれば話が違ってきます。「ちゃんとまっすぐ走る!」「軽快感がある!」「スゲー曲がる!」「トヨタらしくない!」と、全く正反対の大絶賛になったのです。


キャビンでリアから聞こてくるエンジンやマフラーのサウンドも、「ガサツで色気がない」「ミッドシップならではの味」と正反対なレビューがあり、本当のことを知るには自分で感じるしかありませんでした。

そこで運よく試乗ができればいいのですが、そもそもディーラーにモノ(試乗車)がないので、結局はメディアやネットの情報を鵜呑みにするしかありません。

個人的なエピソードですが「CR-X(EF型)」「シビック(EG型)」に乗っていた友人が突然「MR-S」を購入し、「こんな面白いクルマ乗った事なかった!」と大絶賛して毎週末に日光で部活をしていた記憶が残っています。「MR-S」の鍵を借りた時「え?話と違っていいじゃん!」と笑顔になったので、噂なんて当てにならないなぁと思ったのでした。


要するに、一般的には「MR-S」のイメージは深く浸透せず「あのトヨタが作ったロードスターでしょ?」くらいの感覚でした。

「分かっている人に伝わればいい」と思うかもしれませんが、【日常域の楽しさを訴求するクルマ】であるからこそ、これは致命的でした。情報化が進んだ現代ならばまだSNS等で繋がって情報収集できるかもしれませんが、例えばふらっとディーラーに立ち寄った人が、カッコいいスポーツカーを試したら楽しかった!とならないと広がりがないのです。指名買いは別として、そもそも試乗車がないクルマを買うのは勇気がいるのです・・・

なお、ロードスターとのサーキット対決ではトラクションが活きる「MR-S」の方によく軍配が上がりました(※これはNBロードスター後期型の16インチがファッション目的で、15インチの方がベストマッチであることもありますが・・・)。したがって、当時からテンパチクラスで極端に「遅い」という評価は少なく、物理法則に基づいた「軽さ」という性能は、大きな武器になっていたことは間違いありませんでした。


面白いのは、海外ではポルシェ初代「ボクスター(986型:1996〜)」よりも【ミッドシップのハンドリングが楽しめる】とされていることです。その足周り(ストラットサスペンション)は2代目「MR2」を徹底研究して開発されたエピソードがあり、キャラクターの違いはあれども、日常域では「MR-S」のトヨタセッティングが一枚上手だったようです。


さて、「MR-S」には前期・中期・後期とざっくり3つのバリエーションが存在しました。これらは基本的にパワートレインの変更はなくクルマの質感向上(商品力向上)が中心になりました。

MR-S 前期型(1999/10~)

「MR-S」は1999年10月12日より、全国のネッツトヨタ店ならびにトヨタビスタ店を通じて発売開始しました。

テーマカラーは「グリーンマイカメタリック(※マイナーチェンジ前の2001年に廃色)」ですが、他車流用されている「スーパーレッドV」もMR-S用に開発されたもので、初期よりカラフルな7色のラインナップが揃っていました。また、内装には3色(黒、赤、黄色)のファブリックシートが用意され、オープンカーらしい華やかなカラーコーディネートを行うことが可能でした。


いわゆる「前期型」のエクステリアは、コンセプトカー時代の造形がより洗練されたモダンでスクエアなフロントグリルと、ブロック状に配置されているテールランプが特徴になります。また、マニュアルトランスミッション(C56型:5MT)のみの設定でスタートしました。

3グレード展開で、960kgと最も軽い【Bエディション】はスチールホイール、エアコンレス、パワステレス、助手席エアバックレス、オーデォオレスという、いわゆるチューニングベース車で168万円。ただし、走りに関する基本装備は全て詰まっていました。

ベーシックグレードの【MR-S】では細かい加飾が追加されますが、特徴的なのはスチールホイールであること。価格は188万円で、社外アルミホイールを交換する前提ともいえる良心的なグレード設定でした。


ただ、実質の売れ筋は【Sエディション】で、キーレスやアルミホイールなど全部入りの設定になっています。それでも198万円であり、同クラスのNBロードスター(NB1)が218.5万円だったので、ライバルよりもアフォーダブル(手が届く)な価格設定であることは凄いことですね。


SMTの追加
前期型で最も大きいトピックは、コンセプトカー段階から示唆されていた【SMT(シーケンシャルマニュアルトランスミッション)】が2000年8月に選択できるようになったことです。

これはAT免許でも運転可能なクラッチペダルレス5MTで、近年よく見るATのマニュアルモードではなく、電子制御でクラッチを切るロマンメカ。市販車ではフェラーリの「F1マチック」やアルファロメオの「セレスピード」として採用しており、シーケンシャルモード付の仕様は「MR-S」が国産車初の採用でした。

シフトレバーおよびステアリングに+(シフトアップ)と-(シフトダウン)が設定されており、、マニュアルトランスミッションに取り付けた油圧ギアシフトアクチュエーターをECUが制御します。4速→2速のような段飛ばしを行ってもオーバーレブしないよう調整するこのメカは、ドイツのルーク(LUK)社製となっています。ベースグレードから+7.5万円で選択可能で、重量増はわずか+10kgでした。


【Vエディション】の追加
4つ目のグレードとして設定された【Vエディション】は、専用色「ダークグリーンマイカ」に明るい内装(タンレザーシート/タン幌/タンレザー・ドアトリム)やメッキホイールなどの加飾を行ったグレードで、ブリティッシュライトウェイトスポーツをリスペクトした仕立てになっていました。素直にカッコいい大人な「MR-S」のコーディネートの価格は210万円。


ほぼ全く同じ加飾を施しているNBロードスター(NB2)のVSグレードは239万円で、ロードスターとの違いはウッドインテリアを採用していないことくらい。つまり「MR-S」における上級グレードのお得感は半端ありませんでした。ただ、ロードスター乗りは内心「プライドないなぁ」と思っていたという・・・

MR-S 中期型(2002/8~)

2002年08月02日、発売から2年後と早い段階で「MR-S」はマイナーチェンジを行いました。グレード構成は前期型と代わりませんが、全般的に価格は4万~10万のアップになりました。


エクステリアの変更
最も分かりやすい違いはエクステリア。フロントバンパーは低重心を強調した「押し出し感」のあるハッピースマイルなグリルになっています。また、環境性能をうたう次世代スポーツカーだけあって、バンパーにはリサイクル素材が採用されています。


1999 MR-S Fun Sport Package
このデザイン、前期型でディーラーオプション設定されていた「ファン・スポーツ・パッケージ」を洗練させた形状ともいえるでしょう。

灯火類も造形変更が施されました。前期型でブラックアウトされていた4灯式ハロゲンヘッドランプはより造形を強調するメッキ加飾が行われ、テールランプも丸く立体的な意匠変更となりました。細かいところではサイドインテークがボディ同色になっています。


ボディカラーは「グレーマイカメタリック」「ライトブルーマイカメタリック」の2色が追加され、なんと全9色!ファブリックシートの「黄色」は廃止され、代わりに「グレー」が選択できるようになりました。また、シルバー「シルバーマイカメタリック」に差替になったので色味が変わっています。


中期型のテーマカラーはこれらの新色のガンメタとライトブルーになるのですが、同系色の色がNBロードスターで登場しており(チタニウムグレーメタリック、クリスタルブルーメタリック)、ロードスター乗りは内心「プライドないなぁ」と・・・(以下略)。


メカの変更
マニュアルトランスミッションおよびSMTは5速から6速(C65M型)に変更となり、ギア比の見直しから高速クルージングの騒音低減や燃費向上に寄与することとなりました。細かいところでは、前期型のエンジンはエンジンルームの熱によるオイル管理がナイーブになる個体があったので、その対策がなされています。

また、もともと前後異形タイヤでしたがリアタイヤを15インチから16インチへ変更(205/50R15 → 215/45R16)とすることでグリップバランスを見直し、リアサスペンションまわりの剛性強化のためにブレースバーを追加。より優れた操縦安定性を得ることができました。

結果、車重は全車+10kgの970kg~980kgとなりましたが、それでも開発目標時の「1トン切り」プライドは保っています。重量増の内訳は、ホイールの16インチ化(2本で+5kg)とブレースバー(5kg)であり、初期型との価格差も納得できるお得なマイナーチェンジとなっています。

MR-S 後期型(2004/2~)

メディア等で積極的にアナウンスされていませんが、2004年に大きめなマイナーチェンジが行われました。

各国の衝突安全基準(いわゆるNCAP)に対応することを目的として、フロント周りのフロアを中心にサイドシルなどにガゼット補強が追加されており、全車で重量が+30kg(1,010kg)となりました。


実際にフロア下を覗くと、堅牢なグレーのブレースバーを確認することができます。フレーム直付けとなるので前・中期型にポン付けすることはできません。また、結果として剛性強化に寄与しているので重量増は悪い話だけではありません。補強による価格増は、中期型と比較して約+10万円でした。

また、中期型から後期型にかけて1ZZエンジンのマイナートラブル対策として、ヘッドカバー、ピストン、ピストンリングが刷新されています。

なお、チューニングベース車の【Bエディション】が廃止され、トヨタビスタ店がネッツトヨタとブランド統合したことから、「MR-S」の販売チャネルもネッツトヨタのみになりました。


MR-S最後期型(2005/12~2007/7)

とても細かい変更ですが、全車にフロントフォグランプのインジケーターが追加されました。また、リヤコンビネーションランプ内のブレーキランプとテールランプの配置の変更をしています(リヤフォグランプ非装着車のみ、適合バルブは中期型から変更なし)。

また、ベース車両は2007年1月で生産終了となり、1月9日~7月までは特別仕様車【Vエディション FINAL VERSION】のみを1,000台限定で販売、7月末にはついに、9年間続けた「MR-S」の生産ラインが終了となりました。

カタロググレードの差異


MR-Sのバリエーション車両

「平成不況」の終わり見え始めた2003年当時、自動車マーケットにおける景気回復の波はアフターパーツ市場に流れ込みました。特にカスタマイズカーにおける需要の高まりがあり、オートサロンの入場者数は東京モーターショーに匹敵するほどの増加傾向にあり、メーカーも無視できない状況となったのです。

そこで、個としてのカスタマイズだけでなくメーカーの威信をかけた「モデリスタ(トヨタ)」「オーテック(日産)」「STI(富士重工)」といったブランドが次々に市場参入していきました。そうなるとボルトオンのエクステリアなので容易にカスタマイズできる「MR-S」は、格好の素材としてに白羽の矢が立ちました。


2000 TOYOTA Caserta
「カセルタ」はモデリスタ(現トヨタモデリスタインターナショナル)創立3周年を記念して150台限定で発表されたモデルです。

エクステリアをすべて一新し、内装はフルレザー仕様に変更されています。現在もトヨタのコンセプトモデルを手掛けるMODI(モディ:村上商会アドバンス事業部)がデザインをおこなっています。サイズは「MR-S」から全長+155mm、全幅+145mmと3ナンバー化されていますが、パネルにカーボンファイバーを多用することで車重は+40kgの1,010kgに押さえています。

1台ずつ手作りで組まれていたこだわりのモデルですが、350万円~という価格設定で設定台数には届きませんでした。結果現在では非常にレアな存在になっています。


2000 TOYOTA VM180 TRD
「VM180TRD」はビスタとモデリスタの頭文字となる「VM」ブランドとして、トヨタ系レーシングカー開発を行っていたTRD(Toyota Racing Development ※当時はトヨタテクノクラフト傘下)の開発協力をもとに、ビスタ店20周年記念車として100台限定で販売されたコンプリートカーです。

フルエアロとともに吸排気系のファインチューンを行っており、ノーマル仕様から+15馬力の155馬力となっています。当時価格で272.5万円でした。


2001 TOYOTA VM180 designed by Zagato
「VM180ザガート」は、同じくビスタ&モデリスタのタイアップ第3弾として設定され、イタリアのカロッツェリア「ザガート」がエクステリアデザインを手掛けました。先代「VM180」と同じく吸排気系のファインチューンが施された155馬力エンジンになっています。

Aピラーまわりとドアミラーを除いて全てが新設計で、外装の構造材はFRP。ボディカラーはシルバーとレッドの二色があり、ほぼSMTで出荷されました。5MTは超希少な存在で、見たら拝みましょう。価格は398万~450万で限定100台の設定でした。


2001 MR2 Competition
もともとはTTE(Toyota Team Europe)が製作した「MR-S」ベースのフォーミュラコンセプトカー「Toyota TTR Street Affair Concept」があり、それをリスペクトした限定車がドイツのみで販売されました。

Toyota TTR Street Affair Concept

赤×白のF1をイメージする塗装と吸排気系のファインチューン、レーシングホワイトの17インチアルミホイールを採用し、100台限定で市場提供されました。


2002 Monocraft GT300 Widebody Kit
モノクラフトとは、オートバックスが企画していたカスタムブランドで「MR-S」以外にも多くのコンプリートカーを販売していました。「GT300」は2002年のJGTC(日本GT選手権)に参戦していたARTAチームのエアロを公道向けに修正したもので、デザインはTRD。限定100セットになりましたが前期、後期と分かれていて、後期はフェンダーのデザインに手が入った事でTRDのロゴが入っていません。

ボディキットはワイドボディになるため、3ナンバー構造変更が必要になります。価格はリアスポイラーを除いて約120万円でした。なお、イニシャルDに登場する「MR-S」はこのキットではなく、かつて存在したトヨタ系チューニングショップ「C-ONE」のものになります。


2003 MR2 TTE Turbo
「MR2 TTE Turbo」は欧州ディーラーにて300台限定で販売されました。その目玉はTTEによるワイドボディ化&ターボチューンで、184馬力までアップグレードされています。

インタークーラーが配されるバンパーは意匠変更され、フロントに17インチ、リアに18インチホイールが仮装されました。日本でも2005年のオートサロンに参考出品されていますが、当時の「MR-S」販売台数は150台/月という状況で、国内リリースされることはありませんでした。


2009 GALLANT ABFLUG MRX
アブフラッグはチューニングパーツ全般の制作を行うブランドで、国内メーカーによるスポーツカーが次々と消滅する中、「MRX」はプレミアムコンパクトスポーツカーを志して製作されました。ターボ仕様の【Spec.R(190馬力)】と自然吸気モデルの【Spec.A(146馬力)】のグレードが設定されました。

フロント17インチ、リア18インチのワイドボディで、価格は380万〜490万円。

時代の波に抗いながらも、ジャパニーズスポーツカーの一端をになった「MR-S」の販売台数は、予想よりも振るうことはりませんでした。次回はなぜ「売れなかったか」を検証していきます。

MR-S(ZZW型)1999-2007
総生産台数 77840台
国内販売台数 21039台

続く

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