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夏といえばオープンカーの季節・・・といきたいところですが、高温多湿な日本において「酷暑でオープン」にすることは自殺行為に繋がる可能性が高くなります。それは、身体から熱が抜けきらない「熱中症」のリスクが爆上げするからです。
正直、ロードスターは趣味のクルマですから好きに乗ればいいと思います。
しかし、恥ずかしい話・・・私は初夏でエアコンを付けずに窓全開のみで走行をしていて、ロードスターの助手席にいた愛娘を熱中症にしてしまいました。ソロオープンだったら自己責任なので納得できますが、この時期になると家族に迷惑をかけた【反省と経験】、つまり「暑さを甘くみてはいけない」と思いだすのです。
近年の酷暑は如何ともし難い状態です。
平成7年(95年)、ユーノスロードスター全盛期における夏場の東京の平均気温は約27度だったそうです。あの時代は、少し涼しい地域になると主流は扇風機で、エアコンがない家庭も普通にありました。NAロードスター自体もエアコンはディーラーオプションですしね・・・
でも、令和になってからは普通に30度を超えてきて・・・酷暑の35度はあたりまえ、地域によっては40度を超えてくることも。この状況でのオープン走行は「やせ我慢」では済まないレベルです。まさに「命がけ」で走る覚悟が必要です。
そもそも、日本で「真夏のオープンカー」は間違っている
オープンカーといえば海岸沿いを優雅にクルージングするイメージはありませんか?
アメリカ東海岸にはマイアミ、西海岸にはロードスターデザイン発祥の地、カリフォルニアがあります。晴天のフリーウェイをオープントップにして駆け抜ける、そんな素敵な光景です。
ただ、例えばカリフォルニアは真夏(7~9月)でも平均気温が22度~23度と、日本の「春」くらいの気候です。現地は降水量も僅かなので湿度も低く、生活するうえでとても快適な環境とされています。
緯度は日本の福島あたりと同じですが・・・日本国内はどこでも「夏日」となったら(東北地方でも)30度を越えは当たり前、さらに「湿度」も伴うので【夏のイメージ】自体にギャップがあります。
そもそも、日本でオープンカー文化が一般化したのは、約30年前にデビューしたNAロードスターの時代になります。つまり、それまでのオープンカーはエンスーアジスト(自動車愛好家)たちの世界で、語弊はありますがエンスーは不便なことやトラブルを「楽しむ」ことができる人種です。熱中症くらいで不満を漏らすことはありません。
したがって、そもそも「真夏にオープン」というのは、海外と国内では環境が違います。日本国内において海岸沿いを優雅にクルージングできるのは、極端な話、春や秋なのです。
熱中症の原因、人間のメカニズム
ここからは熱中症のメカニズムをざっくり説明します。
人間の身体は体温が上がっても、汗や皮膚温度で「体温が外へ逃げる仕組み」があり、無意識で体温調節ができる生き物です。しかし「体温上昇」と「調整機能」のバランスが崩れてしまうと、どんどん身体に熱が溜まってしまいます。このような状態を【熱中症】というのです。
国立衛生研究所の資料によると、熱中症は【気温25度あたりから患者が発生(段階的に増え)、31度を超えると急増する】そうです。
なお、熱中症は下記三つの複合的な要因が引き金になるとされています。くっそ暑い中オープンで走っていたら、いくつも当てはまる事象はありませんか?
身体:脱水症状、体調不良、低栄養、持病、高齢や肥満
行動:激しい運動、慣れない運動、屋外作業、水分補給できない状況
参考→https://www.wbgt.env.go.jp/doc_prevention.php
仮に、この状況でオープン走行を頑張れた後でも、次に「日焼け」が待っています。紫外線マックスななかで肌を真っ赤に焼くのは、自滅行為でしかありません・・・
オープンカーの熱中症対策
繰り返しますが、熱中症の原因は【体温の上昇と調整機能のバランスが崩れる】こと。
つまりオープンカーの場合でもヤバそうな予兆を感じれば、素直に幌を閉じて、随分を補給して、エアコンをガンガン効かせることをオススメします。
また、駐車時にはサンシェードをしておくだけでもキャビンの温度は外気温マイナス5度になるそうです。紫外線によるインテリアパーツの劣化防止にもなるので、夏場には常備しておいた方がいいでしょう。安価なものであれば100円ショップで購入することもできます。
加えて、乗車時に換気を行うと、エアコンが涼しくなるまでのスピードが著しく変わります。
やり方は簡単で、「助手席の窓を全開にして、運転席のドアを3~4回「バタン」と開閉する」だけです。車内の熱気を一気に外へ吐き出すので「エアコンが効くまで窓全開」するよりも早く車内を冷やすことが可能です。
ロードスターは国内だけでなく、北米や欧州でも展開するグローバルカー。しかし、国内ではエアコンが標準装備となったのは2世代目のNBロードスターからもわかるとおり、かつてはエアコン(冷風)よりもヒーター(温風)が重視されていました。
したがって、キャビンは北欧の厳しい冬季でもオープンが楽しめるくらい「温度が保たれる」構造になっています。センターコンソールからもエンジン(トランスミッション)の熱が伝わってきますしね・・・つまり、冷やす事よりも温かくすることに長けているクルマなのです。
いわば、寒い時期にオープンにしている方が「分かっている」人ともいえます。でも、暑い日のオープンはマジ厳しいのです。そのうえで、どうしても夏場でオープンを楽しみたいならば、下記の心がけをおススメします。
・無理をしない
・涼しい服装(&日焼け対策)
・帽子を着用する
・マスクはしない
・困った時の連絡先を確認
・涼しい場所・施設に退避する
・スマホのアラート通知設定
特に、オープンカーで「涼しい服装」となると日焼け対策も必須です。
比較的涼しい気候の高原であっても、幌を閉じて走っていても右腕だけ、夏場の強い紫外線ではガンガン日焼けをして痛い目にあいます。ランニング用のアームカバー(100円ショップに売ってる!)をするだけでも全然変わってくるのでおススメです。
また、日本人は黒髪が多いので頭部から熱を吸収しやすく・・・帽子をかぶるだけでも頭皮の温度は平均でマイナス7度ほど下がるそうです。
また、NA以降のロードスターでは風巻き込みを防止する「エアロボード」が装着されていますが、オープン時にあえて「エアロボードを使わない」ことで、キャビンの風を循環させるテクニックもあります。可動式(取り外し式)なのは、そういった理由もあるのです。
ともあれ、帽子や日焼け止めだけでなく、冷間ジェルシート(冷えピタ)や飲み物などの熱中症対策品は、クルマに常備しておくことをオススメします。
さらに、スマートフォンの防災情報アプリ(Yahoo防災速報など)を通知設定しておくと、位置情報に基づいた自治体からの熱中症アラートを受け取ることができます。警告があった際には素直に幌を閉めましょう。
なお、ロードスター自体もエアコンのスイッチを入れるとラジエーターの電動ファンが強制駆動します。オーバーヒート対策として有効なので、パワーは落ちるかもしれませんがクルマの為にもONにしてあげましょう。
参考→https://mx-5nb.com/2022/07/11/extreme-heat/
熱中症になってしまったら
急に体調不良になったら、熱中症の疑いがあります。
熱中症の疑いによる応急処置も重要ですが、以下にひとつでも当てはまれば、すぐ医療機関に向かいましょう。
・自分で水分や塩分(ナトリウム)が摂取できない
・水分補給など、何らかの対処をしても症状がよくならない
「意識」がある軽度の状態であれば、まずは涼しい場所へ避難をし、服を緩めて身体を冷やします。スポーツドリンクや経口補水液で水分を補給し、休息をとりながら回復を待ちましょう。
身体を冷やす際は、氷嚢(ひょうのう)や冷却ジェルシート(冷えピタなど)、濡れタオルなどを【首の両脇】【脇の下】【大腿の付け根の前面】に当ててます。熱には皮膚のすぐ近くにある太い血管を冷やすのが効果的だからです。
ただ、少しでも判断に迷うことがあれば、速やかに救急車を要請しましょう。
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