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人気車種としてレジェンド入りしているユーノスロードスター。2024年末には国内マッチボックスサイズの雄、「トミカプレミアム」シリーズとしてリニューアルされました。丁度その直前に近しいテーマで「ホットウィール」もラインナップ入りしていたので、今回はこの2台をレビューします。
トミカプレミアム概要
トミカプレミアムとは2015年からスタートしたモデルカーシリーズです。マッチボックスサイズ(3インチミニカー)でありながらもクルマのフォルム、細かな塗装、エンブレム等のディテール、ホイールデザインなど、細部に至るまで「専用金型」を用いて可能な限りリアリティを再現した「大人のためのトミカ」といえるでしょう。
ラインナップは基本40台体制で、通常のトミカと同様に番号による入れ替えが行われます。商品化される車種はスポーツカーや往年の名車が中心で、過去にレギュラートミカで製品化された車種も金型を変更して再登場しています。
2024年12月、ユーノスロードスターがトミカプレミアム「14番-5」としてラインナップ入りしました。ちなみに「-5」とは初代14番から数えて5番目となるからで、先代までのラインナップは「トヨタS-FR(コンセプトカー)」「トヨタスープラ(A80)」「マクラーレンセナ(P15S)」「トヨタセリカXX(A60)」となります。
トミカプレミアム14-5
マツダ ユーノスロードスター
発売:2024/12
価格:935円(税込)
スケール:1/57
1990 EUNOS ROADSTER V‐Special
商品画像で確認できる通り、緑のボディカラー(ネオグリーン)にタンの内装ということで、こちらはユーノスロードスター「Vスペシャル」をイメージしたモデルです。トミカらしく手のひらサイズにギュッと凝縮されたディテールが素晴らしいですね。サイドミラーレスなのはトミカの特徴です。
注目すべきは特徴的なNA6の7スポークホイールや、ピラー周りの繊細な塗装と(三角窓も塗られている!)、フロントとリアの「Roadster/EUNOS」エンブレム。このサイズでやりきるのが凄い。フロントナンバープレートやフォグランプ(オプション)が再現されたのは、このサイズとしては初かもしれません。ちなみにソフトトップカバーは別パーツとなっているので、ハードトップや幌を閉めたバリエーションが展開されそうです。
野暮なツッコミとしましては、商品名となる「マツダ」ユーノスロードスターはNA8(1800cc)からになるので、そこはユーノスで通して欲しかったな・・・なんて思います。
トミカプレミアム14-5
マツダ ユーノスロードスター【発売記念仕様】
発売:2024/12
価格:935円(税込)
スケール:1/57
また「トミカプレミアム発売記念仕様」として、初回のみ赤(クラシックレッド)のロードスターが発売されました。Vスペシャル内装(タンカラー)の赤は現実には存在しないのですが、トミカ用のお祭り仕様と思えばアリかもしれません。一番コストがかかるボディカラー&繊細な塗装を施してくれましたから、インテリアは自分で黒く塗ればいいんです。
しかし、別の問題が発生しました。レギュラーラインナップの「緑色」はしばらくホビーショップ等で購入が可能ですが、この「赤色」の【限定仕様】は予約開始された2024年10月頃からすぐ転売の餌食になり、通常価格で購入するにはかなり手間がかかりました。
これはロードスターに限らずホビー全般にいえることですが、新品通販を行うショップでさえプレ値を付ける始末。欲しい人にものが届かない、ちょっと闇を感じる出来事でした。
あえてトミカプレミアムの重箱の隅をつつくと、公式サンプル画像では実車同様に2トーンカラー(サイドシルの下端が黒く塗らる)ですが、販売商品ではオミット(除外)されていました。発表段階でここまでやるか!と驚いたんですけど少し残念です。
また、最近のトミカはリトラクタブルヘッドライトの開閉が再現されることが多いのですが、こちらも除外されてしまいました。とはいえ、オープンカーは内装も作りこまなければいけないのでパーツ点数が増えるということで、コストとの兼ね合いなのかもしれません。
ただ、プレミアムの名に恥じぬ上質な塗装や良好なプロポーションといった、「手のひらサイズ」のロードスターの新作が安価で気軽に購入できることを喜びましょう。
先代トミカ・ユーノスロードスターとならべて
あらためて、トミカとはタカラトミー(旧・トミー)社より販売している自動車玩具です。
2020年には誕生50周年を迎えたロングセラー商品で、一目で「そのクルマだ!」と分かる、クルマの特徴を的確にとらえたデフォルメされたボディは、子供だけでなく大人も魅了したコレクタブルアイテムとなっています。トミカ化される自動車はある意味での人気車種なので、ファンの間では愛車がトミカ化されることを心待ちにしていますよね。
歴代ロードスターでは派生車種も含めてNBロードスター意外が全てトミカ化されています。そこで、比較対象として過去にリリースされた「ユーノスロードスター」をストックの奥から出してきました。
トミカ 111‐2
ユーノスロードスター
発売:1994/09
価格:360円(税抜)
スケール:1/57
トミカのユーノスロードスターは意外にも現役後期(NA8)の次期にラインナップ入りしています。そうはいっても2002年9月と長期販売されており、当初は赤(クラシックレッド)の標準仕様でパッケージされていましたが、1998年7月以降からは緑(ネオグリーン)&タン内装のVスペシャル仕様に差し変わっています。NBロードスター乗りならお気づきかもしれませんが、1998年といったらNBデビューの年。2代目ロードスターになっても「緑のトミカ」で継続販売されていたのでした。
さておき、トミカならではの適度なディティールは最高で、ピラーやミラーの造形はクリアパーツを立体的に成型して成立させているアイディアものです。よく見るとサイドターンランプやドアハンドルなども彫られているので、一筆加えるだけで化けるのも魅力でした。
トミカリミテッド 34
ユーノスロードスター
発売:2003/11
価格:¥770(税込)
スケール:1/57
トミカ生誕30周年を機に企画されたブランドが、トミカリミテッドです。特徴としては、過去に発売された既存トミカをディテールアップしたことで、細やかな塗装やタイヤのゴム化、クリアボックスパッケージの採用、車名パネルが付属するなど、ディスプレイを意識したトミカでした。2013年にはブランド廃止になってしまいましたが、コンセプトはトミカプレミアムに受け継がれています。
驚くべきは価格帯で、レギュラーラインナップ(360円時代)からすれば高く見えますが、(既存金型の流用とはいえ)現在の目線でいけば驚くべき低価格で提供されていました。
ユーノスロードスタは黄色(サンバーストイエロー)のJリミテッド、緑(ネオグリーン)とタン内装のVスペシャルをイメージした2種類が発売されています。通常のトミカがベースとはいえ、各種ウインカーやピラー周りに精密な塗装が施され、エンブレムもプリントされています。ゴム製のタイヤに付くホイールは、実車ではオプションとなるBBSをイメージしたものを履いています。
三者三様並べてみると、どれも各自の解釈(良さ)があっていい感じです。左からトミカ、トミカリミテッド、トミカプレミアムになります。ボディカラーが一番イメージに近しいのは、何気に普通のトミカ(左)と思われます。インテリアにおいて一番近しい色味はリミテッド(中央)で、プレミアム(右)は少し明るすぎるかな・・・どちらかというと、タンというよりもベージュですよね。でも、一番まとまりがいいというか、上質に見えますね。
テール側から見るとクリアパーツを用いたプレミアム(右)の質感もいいのですが、精細なグラフィックが描かれているリミテッド(中央)も捨てがたいです。内装もステアリングポジションや3本スポークが再現されているなど、旧来チームもなかなかの出来栄えです。ちなみに旧来チームのダッシュボードはボディと一体成型です。なのでトミカは緑色、リミテッドは塗装が施されています。
サイドビューでみると、新規造形となるプレミアム(右)がより伸びやかなプロポーションになっていることが分かります。でも、旧来チームのずんぐりした体型も可愛いですよね。ちなみに、ハードトップ・アタッチメントとアンテナが塗られているのは、トミカリミテッド(左)のみになります。
同じテーマ、ホットウィールとの比較
トミカ・ロードスターと同時にマテルもMX-5(ミアータ)のバリエーション展開を行っていました。世界的人気を誇るマッチボックスサイズのミニカー「ホットウィール」にて、Vスペシャルに準じたアイテムを販売していたのです。
ホットウィール
カーカルチャー モダン・クラシックス
’91 マツダ MX-5 ミアータ
発売:2023/11月
価格:¥880(税込)
このモデルがインスパイアされた50~60年代の英国スポーツカーを彷彿とさせる、ブリティッシュグリーンのボディ色とタンカラーの内装を組みわせたグレード、『Vスペシャル』風のカラーリングで仕上げています。
1991 MAZDA Miata SE
ホットウィール「モダンクラシック」は、90年代に人気を博したクルマを中心にした【カーカールチャーシリーズ】としてリリースされています。説明文にVスペシャルとありますが、これは日本国内向けの説明であり、北米マツダでは「Mazda Miata SE(Special Edition)」として販売されていました。
なお、ホットウィールはバリエーション豊富なことでも有名ですが、このNAミアータは2019年に2回目のリメイクがされたモデルをベースにしています。初代版(1991年版)は比較的プレーンな造形でしたが、この2代目モデルはオフセットされたナンバープレート、ワイドフェンダー、リアスポイラー、ロールバーなどアグレッシブな造形であることが大きな特徴です。
シャシー(土台)を活用してフロントにBリップが付いてるような造形がカッコいい。テールランプの高精細なプリントはまさにミアータ。アウトセットな某ワタナベやパナスポーツっぽい8本スポークが渋い!サイドミラーが付いてるのも面白いですね。
MX-5 Miata(NA)/EUNOS ROADSTER(NA)
細かいツッコミどころでは、ミアータは助手席にもエアバッグが付いているのでインテリアの造形が国内仕様とは異なります。しかし、その装備は’91(1990年)ではなく’94モデル(1993年)からになるんですね。
また、ボディカラーの緑はメタリック塗装なので、NAのネオグリーン(ブリティッシュグリーン)よりはNBロードスターのグレースグリーン(ブリティッシュレーシンググリーン)にイメージが近しいです。
アグレッシブなホットウィール(左)とプレーンさを強調するトミカプレミアム(右)。こういう比較ができるのも、マッチボックスという統一サイズの良さですね!
折角なので手を入れてみた
素体のままでもカッコ可愛いマッチボックスサイズですが、人気の理由はコレクション性に加えてモデファイも容易なことです。確かに、ここまで完成度が高いともう「ひと手間」加えたくなります。
そこで、作業性を高めるために分解作業をおこないます。これらのミニカーはボディ裏面にあるカシメをピンバイスで崩すとボディとインテリアが分離できるようになっています。
なお、トミカプレミアムはシャシーだけでなくウインドウ周りもカシめてあるので分解は慎重に!ボディを傷つけないよう、ウエス(眼鏡拭き)で包みながら作業を行いました。
ちなみにトミカプレミアムのパーツ構成はこんな感じです。幌が別パーツになっているので、カラーバリエーションだけでなくハードトップやロールバーなどの展開も期待できそうですね。
面白いのはシャシー裏面のディティールです。ダブルウィッシュボーンやパワートレイン、とりわけロードスターならではのPPF(パワープラントフレーム)も造形されていました。芸コマ!
インテリアを作りこむ
ホットウィールは折角造形されているロールバーをより立体的に見えるよう加工を行いました。ストックパーツとして持っていたマッドマイク版ミアータの黒インテリアをヒートアイゼン(ホットナイフ)と彫刻刀で彫り込みました。
サフェーサーで状態を確認しながら、彫り込み&流し込み接着剤で表面を溶かすなどを繰り返し、質感を整えていきました。ロールバーが開口しているだけで見違える感じになったのですが、老眼にはキツイ作業だったのでもうやりたくない・・・細かい塗り分けは面相筆で行っています。
トミカプレミアムの内装は、オミットされていたセンターコンソール周り(黒く塗装)に加え、ウッドインテリアっぽく茶色で差し色を描いています。もう一つのパーツはブラックファブリック内装をイメージした黒一色で。質感を整えるためフラットクリアでコーティングを行いました。
エクステリアにひと手間入れる
エクステリアにおいては製品版で省略されていたサイドシル塗装や、ナンバープレートフレーム、ホイールの墨入れ等をおこないました。ウインカーにクリアオレンジを入れるといい感じになります。
こんな感じになりました
ほんの少しのモデファイですが、それでも手を加えた子たちは可愛く見えるもの。特に赤いユーノスロードスターはベーシックな黒内装が良く似合います!限定品なのでコレクション的な価値は下がってしまうでしょうが、転売するわけではないので問題ありません。なによりカタログ上は存在しない「Vスぺ内装のクラシックレッド」を修正したかったんです。
ミアータは運転席がバケットシートになっていたので赤い塗装を施し、4点式ベルトも塗り分けています。ロールバーは最初グロスブラックにしたのですが、似合わなかったのでパッドを巻いている体としてフラットにしました。
それにしても、35年前のクルマがこうやって製品化されるんですから、本当にユーノスロードスター(ミアータ)は世界で愛されているんですね。
サイドシルの塗装、とってもわかりづらいのですが自己満足なので・・・また、グリル内のフォグランプが微妙だったので、黒く塗りつぶしています。余談ですが、AT仕様のフォグランプはリコール対象で外す指示が出ていたりします。
そんなわけで、この勢いで歴代ロードスターがトミカリミテッドやホットウィール化されたら嬉しいんですけれど・・・こればかりは人気とか伝説によるものなんでしょうね。となると、NBやNCは厳しいのかなぁ・・・なんて。このトピックがフラグになることを祈るばかりです。
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