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私は以前RX−8のオーナーでもありました。エイトは本当にオーナーシップを満喫できるクルマでしたが、オーナー自身が試される部分もありまして・・・それで降りざるをえませんでした。
さておき、元オーナーとしては何か情報があれば積極的にチェックしてしまいます。そんな中、すこし気になるトピックを見つけました。
おぼえていますか、RX-01
それは2015年に発売された「ハイパーレブRX−8」内の小田昌司氏インタビュー記事です。この方は当時のマツダでシャシー実験部に所属されていた方(トップガン)で、セブン(FD)やNBロードスター、NCロードスターの”乗り味(ハンドリング)”を作り込んでいた方なのです。その記事が面白い話だったのでシェアさせていただきます。
RX−8のルーツ・・・というか最終型RX-7(FD)の次になる、新型ロータリーエンジン車のルーツは1995年のモーターショーで発表されたコンセプトカー「RX−01」から始まります。
このクルマはNAロードスターをベースにしたロータリークーペ。当時「市販前提(2年後目標)」とマツダが口を滑らせたら、親会社のフォードがとても怒って【全否定】したのは有名な話です。
しかし、エンジニアはロータリーの火を消さないために、社内研究用の車両にフォード幹部を乗せて・・・それでロータリーエンジンの開発が継続されたのは、当時のメディアでも目にされた方が多かったのではないでしょうか。NHKではRX-8デビュー前にプロジェクトXで「技術者魂 永遠に~新ロータリーエンジン 革命車に挑む」特集されました(懐かしい)。
トップガンの証言
そして、ここでインタビューの話になるのです。
「開発継続はOKとなるのですが、最初はロータリー・ターボの純粋なクーペで行こうと思ったが、それはNGで4枚ドアのスポーツカーとなった」
試験車両はFDのバンパーにNBロードスター後期ヘッドライト、テールはカペラ・・・
「開発段階でエンジンルームが狭くてターボが入らないと泣きが入って、NA(自然吸気)エンジンになった。」
つまりRENESIS(NAロータリー)の開発は結果論だったと。
「ホイールベースをBMWのM3に合わせるとなって、普通の4枚ドアを観音開きに変更した」
当時のM3(E46)のホイールベースは2,740mm、RX-8は2,700mmです。
そしてここがポイントです。
「エイトのボディはNCロードスターと共用することが決定していたので、オープンカーありき(先行開発)のボディ構造になっていた」
とつまり、エイトからNCじゃなくて、NCありきでのエイトという事なんですね。(※この内容に関しては、貴島さんのインタビューで別途フォローします)
つまり、オープンカー用のボディをクーペ(エイト)にしているから「そりゃ剛性は高いに決まっています」といった内容でした。
ロードスターありきのRX-8
NCロードスターの開発は、途中まで作っていたNCの原型がありえないほど重くて、貴島主査(NA〜NCの生みの親)が担当された際に、円高を理由に(エイトまで含めて)コストカットという名目で新規開発、軽量化を行ったのも有名な話ですが・・・なお、新規の足周りは28億円かかったそうです。
NCロードスターの話が出るたびに、RX-8ベースだから「大きい」とか「重い(※実はそんな事なく、NBロードスターと10kgしか変わらない)」とかありましたけれど、エイトはNCロードスターありきという話を裏付けるひとつの証言として、ご紹介しました。
それにしても走っているRX−01はとてもカッコいい。「ときめきのデザイン」の系譜ですから、なにげにNBロードスターにも通ずるラインがあるのを感じます。仮に市販されていたら・・・マツダのスポーツカーラインナップは今と違っていたかもしれませんね。