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今回は市販化直前と噂されましたが、様々な路線変更を行いつつ販売されなかった、ロードスターのエボリューション・コンセプトをご紹介します。
クルマの価値観は様々ですが、マツダ・ロードスターといえば「馬力」ではなく「軽さ」が性能であると、近年はやっと定着してきましたが、かつては違う時代もありました(断言)。
基本ができているからこそ、より凄いクルマに仕上げたい。この軽さにモアパワー、モアトルクを求めるとどうなるのか。プライベーターは勿論、マツダもそんな価値観で試行錯誤をしていた時期があるのです。それも正しいクルマバカの道といえるでしょう。
1992 M2「1006」
公式なエボリューション・コンセプトの先駆けといえば、NAロードスターのコンセプトモデルM2「1006」もその1台です。
第二のマツダ・M2より発表された「1006」は230馬力のルーチェ用V6エンジンに、RX-7の足周りと駆動系(リアサブフレーム&デフ)を組み込んだ伝説のモデルです。
暴力的なボンネットのバルジと3ナンバー(※当時は3ナンバーで幅があることに価値がありました)に拡大されたワイドトレッド&フェンダー。和製のシェルビー・コブラにあやかって「CobraSter」という愛称がありました。
タイヤは幅245の15インチ。当時は15インチですら珍しかった時代ですが、さらに幅広なタイヤはかなりの迫力がありました。なお、現在は有志により「1006」のレプリカエアロキットが販売されています。
1996 Miata「M SPEEDSTER」
こちらは、スポーツカーであれば米国で必ず一台は製作される「スピードスター」仕様のNAロードスターです。スピードスターとは「高速運転者、スピード違反者」を意味する英単語ですが、自動車用語的には装備を極力簡略化(&軽量化)してチューニングを施したオープンカーを指します。
1.8リッターSOHCエンジンは過給器を搭載して200馬力を達成。215/50/15のヨコハマAVSを履きつつ、エクステリアの大きなフォグ(というよりメイン灯火)がとてもカッコいい。こちらのデザインはNAロードスターのオリジナルデザインをされたトム俣野氏です。
リトラクタブルは丸目四灯。サイドスカート周りとか、ドアのパーテンションは後にNBロードスターが採用した流麗なラインになっています。もちろん、あくまでコンセプトなので市販化には至りませんでした。
2000 Miata「MONO-POSTO」
同じく米国にてNBロードスターのスピードスター仕様として発表されたのが、この「MONO-POSTO」です。スペック詳細を確認すると、HKSインタークーラー付きターボを纏って、190馬力を達成しているとか。怖くて踏めません・・・
ちなみに、オリジナルデザインのNBロードスターと比較して、残っている外装は灯火類とトランクリッドのみになります。
2001 マツダ・ロードスター「MPS」 ※初期発表モデル
東京オートサロンにて、新生マツダスピードのフルコンプリートモデルとして発表されたのが、このMPS(マツダ・パフォーマンス・シリーズ)です。
ただのショーモデルではなく、「市販化を前提にしたコンセプト」という触れ込みで、2リッター200馬力を達成しているとアナウンスされました。
なお、この時期のマツダは経営難からフォード資本に変わり再出発をしていた時期で、とくに2000年の新車は「トリビュート」しか発表されなかったという暗黒時代になります。
マツダは既存車種で戦うために、エボリューションモデルでラインナップ拡充が可能か模索していたようで、カペラの「MPS」もこの時に同時発表され、RX-7「MPS」も企画されていたそうです。
しかし、実際フォードはマツダスピード事業の撤退を指示しており、ここからの盛り上がりがエボリューション・コンセプトの明暗を分けていくのです。