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ソフトトップを空ければ、心までオープンになる。ステアリングやアクセルを思いのままに操れば、いつもの町が驚くほどスポーティになる。アフターファイブや週末には、山あいを巡るワインディングロードで爽やかな風を感じたくなる。それがオープン・ライトウェイトスポーツ、ロードスターの楽しさです。
そして今、チタニウムグレーメタリックのボディカラーやブラウンレッドの本革シートなど、新色で彩ったMVリミテッドがデビュー。2シーターコクピットにアクセントを効かせるメタリックテイストのパーツや、ニューデザインの15インチアルミホイールも特別装備しました。
小気味よい人馬一体の走りを誰よりもエレガントに楽しむ、MVリミテッド。あなたのための特別なロードスターです。
マツダロードスター(NB)MVリミテッドカタログより引用
MVリミテッド 概要
2001年12月18日、NBロードスター後期型(NB2)に設定された限定車が「MVリミテッド」です。
「MVリミテッド」はファッション性やクルマの質感を重視するであろうユーザーをターゲットにしています。車体は1600cc(NB6C)のSPグレードがベースで、エクステリアに専用色「チタニウムグレーメタリック(25G)を採用。また、15インチの専用アルミホイールがセットされました。
さらにロードスター初のブラウンレッドカラーを採用した専用のレザーシート、ステアリング、ドアトリムを設定。指し色としてアルミ調パーツもセットされています。ざっくり書くと、初代ロードスターの「Vスペシャル」以来、潜在的な要望のあった低排気量(1600cc)のラグジュアリーグレードがテスト的に復活したといえるでしょう。
販売実績は5MTが227台、4ATが73台。合計限定300台が国内販売されました。
なお、MVリミテッドの「MV」とは、国内NBロードスターの限定車命名法則から類推すると「Metallic Vintage(メタリック ヴィンテージ)」。特徴的なメタリックグレーのボディカラーとVS(Vintage Special)相当のインテリアを指していると思われます。
MVリミテッド 仕様
MAZDA ROADSTER(NB6C) MV-Limited | |||
車格: | オープン | 乗車定員: | 2名 |
全長×全幅×全高: | 3955×1680×1235mm | 重量: | 1,030kg(1,060kg) |
ホイールベース: | 2,265 mm | トランスミッション: | 5MT/4AT |
ブレーキ: | ベンチレーテッドディスク/ディスク | タイヤ: | 195/50R15 82V |
エンジン型式: | B6-ZE[RS]1597cc | 種類: | 水冷直列4気筒DOHC |
出力: | 125ps(92kW)/6500rpm | 燃費(10・15モード) | 14.2km/l(12.0) |
トルク: | 14.5kg・m(142N・m)/5000rpm | 燃料 | 無鉛レギュラーガソリン |
車両本体価格 | 2,098,000円(2,148,000円) | 発売日 | 2001年12月 |
※()はAT仕様のスペック |
ベースとなるNBロードスター後期型(NB6C)「SP」は、NA/NB1時代に「Special Package」としてカタログ設定されていたものと近しい設定です。ざっくり書くと、ベースから「いい感じに快適機能が付いている」もので、実質一番売れ筋になっているグレードででした。なお、「SP」は現行NDロードスターのグレード名にも引き継がれています。
NBロードスターにおける特徴は「トルセンLSD」「ABS&EBD」と走行性能に関わるものや、キーレスエントリーがデフォルトで設定、また、NB後期型では(全車)前後ブレースバーによる補強が追加されています。なお、元の「SP」は14インチホイール仕様です。
「MVリミテッド」がベース車と異なるのは、専用ボディカラー/専用インテリアが架装されているところです。にもかかわらず、販売価格は「SP」からプラス108,000円の209.8万円(ATは+5万円)というバーゲンプライスでした。ただし国内300台のための限定車ではなく、グローバルで5,000台近く同仕様が生産されました。
MVリミテッドの発売日(2001年12月18日(火))に先駆けて、前週12月13日(木)には走行性能に全振りしたグレード「NR-A」がNB2のカタログモデルとして追加されています。(※「NR-A」は1600cc(NB6C)ながら、フラグシップの1800cc(NB8C)「RS」相当のボディを採用しているモデルです)
ラグジュアリーな「MVリミテッド」と、走りの「NR-A」が同時にリリースされるとは、本当に恵まれた時代でした。この2台共通性は無さそうですが、実は15インチホイールのデザインが同一になっています。
それもそのはず、NBロードスター後期型の15インチ仕様はデフォルトが「エンケイ・5スポーク」になっているからです。前期型「RS」にのみ架装されていた15インチホイールは、後期型「RS」が16インチホイールに変更されたことから、 オプション扱いになっていたのでした。
MVリミテッド エクステリアの特徴
最大の特徴である専用ボディカラー「チタニウムグレーメタリック(25V)」は、少し赤味の入ったガンメタリック系の塗装です。クールななかにも暖かさを感じる不思議な色であり、メタリック系塗料なのでNBロードスターのオーガニックシェイプ(オーガニックフォルム)との相性もバッチリです。
名前の由来となっているチタン合金(チタニウム合金)は「軽量・高強度・耐腐食性」といった特性があり、航空機や潜水艇など限界域を追求するテクノロジーには欠かせない素材です。もちろん自動車の構成部材として使われることがありますが、これらのメカニカルでハイテクな「イメージ」を持つことから、スポーツカー(スポーツグレードの)のテーマカラーに採用されることが多いです。
有名どころでは「スカイラインGT-R」・・・と行きたいところですが、マツダでは「MVリミテッド」と同時期にリリースされていたRX-7(FD3S)の最終モデル「スピリットR」に、同色「チタニウムグレーメタリック(25V)」が採用されています。
さらにデミオ、ファミリア、プレマシーのスポーツグレードにも採用されており、まさに「色だけで速そう」と思わせる魅力を備えていました。ちなみにグレー系のエクステリアは【どんな場面でも】写真映えする、とても羨ましい特徴を持っています。
MVリミテッド インテリアの特徴
クールなボディカラーに対して、インテリアには「ブラウンレッド」を軸にしたファッショナブルなコーディネートが施されています。それまでのロードスターでは採用されたことのないレッドブラウンのレザーシートやステアリングは贅沢な「専用品」であり、他グレードではオプション扱いだったソフトトップカバーも標準採用するなど、上質な世界観を徹底させています。
また、落ち着いたトーンのインテリアではありますが、マットな質感のアルミ系パーツで「差し色」を入れており、(それまでの)ロードスターから一歩踏み出した、モダンな雰囲気も醸し出しています。まさに大人のロードスターといっても過言ではありません。
しかしレザー内装は経年劣化でシワを基点に割れていくので、ブラウンレッドのメンテナンスは手間がかかります。それをリペアする楽しみもあるんですけどね・・・!
MVリミテッドの兄弟車
国内では1600cc(NB6C)ベースでしたが、海外では1800cc(NB8C)仕様も存在します。北米における「チタニウムグレーメタリック」のボディカラーはイヤーモデル「MX-5 Miata SE(Special Edition)2002」として1250台が設定されています。
また「SE2002」は国内未設定の「ブレージングイエローパールマイカ(26S)」も選択可能でした。こちらはブラウンレッド内装ではなくブラックレザー内装で、やはり「黄色 × 黒」の鉄板コーディネート。このインテリアはNB3の「VSコンビネーションA」へ引き継がれます。
NB8C後期型なので16インチホイール仕様であり、ここで海外専用の純正メッシュホイールが採用されています。余談ですが、個人的にこのデザインは神がかっていると思うのですが、北米の友人は「クソデカで重いホイール」と評していました。国内でもWebTunedで選択することが可能だったらしいのですが・・・データがどこにも残っていなくて未確認です。でも、国内で一回だけ見かけたんですよね・・・
欧州、オセアニア地域では限定車「Phoenix」「Emotion」としてNB6C/NB8Cが約3000台設定されており、同時に「ブリリアントブラック(A3F)」も選択可能でした。ちなみに「チタニウムグレーメタリック」を選択するには、地域によっては追加費用がかかったようです。
もちろん左ハンドルで15インチホイール仕様(NB6C)も存在します。余談ですが、国内のNBロードスターにおいて「エンケイ・5スポーク」ホイールは初採用でしたが、欧州ではNAロードスターの限定車に架装されていました。つまり「懐かしの」デザインだったりします。
MVリミテッド・フォロワー
NB1の限定車「NRリミテッド」がNB3の「ガーネットレッド × VSコンビネーションB」として復活したように、NBロードスターでは限定車がカタロググレードに昇格するパターンが存在します。
「MVリミテッド」も同様で、ガンメタリック系である「チタニウムグレーメタリック(25V)」はNB4のテーマカラー「チタニウムグレーメタリックⅡ(29Y)」としてカタログ入りしています。ブラウンレッドインテリアは採用されませんでしたがアルミ調内装はNB4全車の標準装備となりました。
この「チタニウムグレーメタリックⅡ」は前色と比較して若干青味にトーンを振った落としたよりクールな色合いで、RX-8やマツダスピードアテンザなどのマツダスポーツカーにも積極的に塗られています。
また「MVリミテッド」のカラーコーディネートには確信を持てたようで、NCロードスターではカタログモデルのラグジュアリーグレード「VS」へ引き継がれています。特にテーマカラーだった「ギャラクシーグレーマイカ(32S)」は「チタニウムグレーメタリック」のリメイクといっても過言でないくらい、赤味のある特徴的なグレーです。なお、NCロードスターのカラーコーディネートはグッドデザイン賞(2005年)を受賞しています。
更に、NDロードスターRFでは「VS」、NDロードスター特別仕様車「REDTOP」において、近しいコーディネートが設定されています。特にNDロードスターRFの「マシーングレープレミアムメタリック&オーバーン内装」もオートカラーアウォード(2016年)を受賞しています。その受賞コメントは「MVリミテッド」から醸成してきたセンスを評するものではないでしょうか。
マシーングレーは“機械の持つ精緻な美しさの追求”をテーマに、力強い陰影のコントラストと表面の緻密さを高次元で両立することで、鉄の無垢感のような質感表現を実現しました。知的で成熟した大人の魅力表現のため、外は精緻で金属質なクールグレー、内は情熱的で成熟した大人の色合いのオーバーンをカラーコーディネートし、マツダの世界観“Machine Beauty”を完成させました。
これら後続の兄弟車たちが評価されるよりもはるか以前に、既に設定されていた「MVリミテッド」のコーディネートはマツダ・デザインチーム先見の明を示すものだったといえるでしょう。確かに、今の目で見ても「ガンメタル×ブラウン」の組み合わせは陳腐化していません。
なによりMVリミテッドの成功は、ロードスターの可能性のひとつである「オトナなスポーツカー」という方向性を定めてくれたといえるでしょう。そんなMVリミテッドの備忘録でした。
<MV-Limited専用装備> |
【エクステリア】 |
専用ボディカラー(チタニウムグレーメタリック(25V)) |
【インテリア】 |
ソフトトップカバー(ブラウンレッド) |
本革性バケットシート(ブラウンレッド) |
専用NARDI本革巻きステアリング(ブラック×ブラウンレッド) |
本革巻きパーキングレバー&シフトノブ |
アルミ調エアコン吹き出しベゼル |
アルミカバー付きペダル&フットレスト(MT車) |
ステンレス製スカッフプレート |
アルミ調インナードアハンドル |
【シャシー&メカニズム】 |
専用15インチアルミホイール |
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