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ロードスターは幸いなことに、さまざまなデザインスケッチが残されています。躍動感あふれるスケッチは眺めていてとても楽しく、完成車の美しさにも劣らないものを感じるはずです。今回は、そのあたりのご紹介です。
新世代オープンカー(V705)
ロードスターのオリジナルデザインはカリフォルニア州アーバインにあるマツダデザインスタジオ(MRA/現MNAO)が発祥となります。上のスケッチには海外でロードスターの父とリスペクトされている、俣野勉氏(トム俣野)のサインが入っています。
リトラクタブルヘッドライトを用いたサーフェイスなフェイシアに、パワーバルジやロッカーパネルなどのふくらみで力強さを強調する、古き良きスポーツカーデザインです。
NAロードスター(MX-5 Mk1)
光と影を融合させて、ディティールではなくフォルムで魅せる「ときめきのデザイン」をテーマに用いたNAロードスター。日本文化の「わび・さび」を極力シンプルな構成で表現したとされています。
なお、能面(若女)の柔らかな面がエクステリア各所のラインに引用されています。
こちらは北米コンセプトカー「M Speedster」のスケッチです。ドアのパネルラインや力強いロッカーパネルのフレアはNBロードスターの造形に引き継がれました。
NBロードスター(MX-5 Mk2)
ファン・フレンドリー・シンプルというのがロードスターのデザインであると定義づけたNBロードスター。プロダクトモデルと最後まで競合した「丸目モデル」と並んだイラストも残されています。
「ときめきのデザイン」をキープコンセプトとしながら「表情」を作ったNBロードスター。NAロードスターのウインカーをヘッドランプに置き換えつつも、ハッピースマイルフェイスは継承しています。また、ボディ各部に抑揚をつけたスポーツカーらしいコークボトルシェイプ、「止まっていても速そうな」躍動感を感じることが出来ます。
NAロードスターと並べていることでも分かる通り、どこから見ても「ロードスター」だと分かるデザインです。
こちらはコンセプトカーで終わってしまった「ロードスターMPS」のスケッチです。エボリューションモデルらしくマッチョになったラインを、当時のマツダデザインテーマ「アスレティックデザイン」として融合させています。なお、色鉛筆で塗装しているようです。
こちらはロードスターのワンメイクレース用グレード「NR-A」のイメージイラストです。実車にCGでバケットシートやロールゲージ、各種ステッカーなどを描きこんでいます。この画像は後に架装したNR-A車両の宣材写真に置き換わることになります。
こちらはロードスタークーペをベースにしたコンセプトカー「TSコンセプト」のスケッチです。基本コンセプトカー実車に近しいですが、オーバーフェンダーになっていることに注目です。
NCロードスター(MX-5 Mk3)
「ロードスターらしさ」を継承しつつ、マツダのデザインテーマ「アスレティックデザイン」により「スポーティさ、はつらつさ」というエモーショナルな表現がプラスされたNCロードスター。なお「ロードスター」らしさを優先しているので、ファイブポイントグリルは不採用となっています。
なお、20周年記念時に描かれたスケッチはNC2ではなく、オリジナルデザインのNC1であることもポイントです。
こちらはNCロードスターのカスタマイズモデルとして提案された「サーキットトライアルバージョン」です。後に、オートバックスセブン社のカスタマイズカー「mh1」として市販されました。
ドロップヘッドクーペをイメージしたロードスターRHTは、ボディカラーを含めた「上質」を表現しています。なお、ドロップヘッドクーペの語源は「馬車」の種類のひとつで、幌の内側に完全な内張りを持っていて、幌を閉じればほぼクーペと同等の居住空間を得ることができるモデルを指しています。
ロードスターは息が長い販売モデルなので、シーズン中でもデザインテーマがかわります。こちらはNC2時代の「流(NAGARE)デザイン」を取り入れて、「自然界に存在する動きの美しさ」を前提とした疾走感や安定感を表現しています。
NC1がNAロードスターをモチーフしていたことに対し、NC2はNBロードスターにあったボディの抑揚を取り入れているのがスケッチでも分かります。
NDロードスター(MX-5 Mk4)
クルマはアートと捉えるのが「魂動(こどう)デザイン」。現時点では第二世代「魂動」となっていますが、第一世代では「生物が目標に向かって動き出す一瞬の強さや美しさ」を表現しています。
色もデザイン要素のひとつとして、マツダ全車のテーマカラーをソウルレッドとして、ロードスター自身は無駄なものをそぎ落とした「日本刀」のような、凛とした美しさを表現しています。
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