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ロードスターを純正仕様で乗っていると、いまいち判断し辛いのが「脚周りの劣化」。ショック交換の目安とされる5年10万キロはあくまで新特別保証の期間ですが、実際はどうなのでしょうか。
しかし、NBロードスターはバンプストッパーが経年劣化で破損している可能性があります。サスペンションをいじったことがない方であっても、とりあえずリアダンパーのダストブーツをめくる事をお勧めします・・・
ロードスターは10万キロまでが「慣らし運転」でも・・・
歴代ロードスターはアフォーダブル(手が届く)オープンカーでありながら、車格以上に凝った足周り形式を採用しています。これはライトウェイトでありながらもスポーツカーの持ち味であるメカの素性、つまり「走り」には妥協しない姿勢であり、それがクルマの評価となっている点のひとつでもあります。
実際、お世辞にもエンジンは官能的でもパワーを絞り出すようなものではなく、【実用ユニット】がベースである堅牢さが売りであり、速度域にとらわれないハンドリングは、大きな持ち味とされているのです。
ただ、現行型(NDロードスター)ならまだしも、3代目ロードスターのNC型でさえデビューは10年以上さかのぼり、NA/NBロードスターに至ってはネオクラシックな領域に片足を突っ込んでいます。走行距離10万kmまでが慣らし運転であるロードスターですが、経年劣化により消耗・破損していくパーツ類は、部品供給が完全に絶たれていないとはいえ、維持にはそれなりにコストが嵩(かさ)むのでオーナーシップは常に試されています。
我が愛車のNBロードスターもロールアウトから15年以上が経ち、走行距離15万kmを超えています。したがって、兄弟車の例に漏れず車体がヤレており修理を重ねてきましたが、ついに「脚周り」に違和感を感じるようになってきました。
脚周りの「違和感」
実は、普段乗りしている分にはほぼ問題なく、いつも通り楽しいロードスターでした。
しかし、路面にうねりが繰り返される状況や(※近所の工業団地がそういった道路にしてあります)、勾配のある橋から降りる(ラリーではジャンプする)ような状況で、リアから「ガコン」と底付きの異音が発生し始まったのです。したがって、そういう状況が想定される時はクルマをいたわって速度を緩めていました。
また、砂利道などでは路面からのインフォメーションも雑になり、スカットルシェイク・・・つまり、車体の前後がバラバラに振動する余波が増えてくるようになりました。急制動をするような状況でなくてもブレーキ時のノーズダイブも大きく、ちょっと「今日の走りは雑だったかな・・・?」と、自身の腕を疑うような事も増えていきました。
ただ、(繰り返しますが)自分が気にしなけばハンドリングに違和感はありませんし、タイヤの変摩耗などもありませんでした。
しかし、クルマの劣化は【徐々に進行していく】のが厄介なところで、オーナーは愛車を【味として補正をかける】ので結局は乗れてしまうそうです。ただ、15年・15万km以上走っているクルマに何もないと思う方が、怪しいと思い始めました。
サスペンション交換の検討時期は?
ロードスターにおけるサスペンション周りのリフレッシュにおける定番は、ショックアブソーバーやブッシュ(ダブルウィッシュボーンなどのフレームに組み込まれている硬質ゴム)の交換とされています。ただ、その交換時期は不明瞭であり断言する方もほぼいません。
それは単純な理由で、対象になるクルマの使用状況によって時期が大きく異なるからです。
タイムアタックでコンマ秒までこだわったり、ガチのチューニングカーであれば時期は【早いに越したことはない】し、街乗りレベルであればショックアブソーバーのオイル漏れなど明らかに破損している状況でもなければ、【不要】という考え方もあるようです。むしろ、サスペンションよりもタイヤで辻褄を合わせる事もあり、オーナーのクルマに対する考え方に依存しているような状況です。
また、参考までにNBロードスター開発主査の貴島さんからは、下記のようなアドバイスもいただいています。
ブッシュの耐用年数、交換に関して
ブッシュはゴムで出来ているパーツなので経年劣化で硬くなる。それが新車に比べてクルマに馴染み「味」になる事もあるのだが、一定期間でねじり剛性は低下する。しかし、その劣化自体は徐々に進行するので、いつも乗っているオーナーでは気付きづらいはず。本当に気になったら変えて欲しい。ただ、ブッシュが駄目になったからといって、いきなりアームが落ちる事は無いので安心を。きちんと走れます。
愛車の最大の違和感は、バンプ時の「底付き」でした。そこで、今回はブッシュ交換ではなくショックアブソーバーが怪しいので、こちらの交換を検討をすることにしました。そのうえで、ショックアブソーバーの交換時期を調べてみると・・・さまざまな意見が乱立しており、どこにも定量的なデータは示されていませんでした。
仮にデータが書かれていても、カーショップやサスメーカーのプロモーションに行き当たってしまい、要領を得ません。ただ、一般的なものとしては自動車メーカーの特別保証である【新車購入から5年10万km】が、ひとつのポイントになっているようです。つまり、この数値を超えた時点で「いつぶっ壊れてもおかしくない」という考え方が大半でした。
では「違和感」というモヤっとしたものに関してはどうすればいいのか。そこで一番しっくり来たのが、日本よりも過酷な状況でクルマを扱う北米の「10マイルブレーキ」というテストでした。10mileとは、時速約16km/hであり、そこでブレーキをかけてクルマの挙動を確認するというものです。(※上の動画はメンテナンス後のものです)
実際に16km/hで走ってみるとわかるのですか、これは自転車くらいのゆっくりした走行スピードです。そこからブレーキをかけた挙動に違和感があれば、検討をした方がいいという考え方で・・・確かに、交差点で揺れが大きいな・・・と思っていたことと一致できました。
また、(ショック交換作業をした際に気づいたのですが)可能であればショックアブソーバーのダストブーツをめくってみる事をお勧めします。私のリアショックはダストブーツ内のウレタン製バンプストッパーが砕けていました。そりゃ底付きするはずですよね・・・
ショックアブソーバーの検討
実際にショックアブソーバーの交換検討をするにあたり、選択肢にも悩むことになりました。
私自身は「車高を落とす」ことは全く考えていません。なぜならマツダスピードRX-8に乗っていた際、家電量販店駐車場の急勾配でバンパーを割った経験があるからです・・・(下手くそ)
また「サーキット走行」もおこなわない前提であるので、車高や減衰力を調整できるショックはオーバースペックになります。ぶっちゃけ、脚周りのプロショップさんにお願いできるほど経済状況も潤っていません・・・
ただ、愛車はNR-A相当なのでビルシュタインのショックアブソーバーが装着されています。タイヤを外したときに黄色い筒が見えるのがカッコいいし、それがNR-Aのアイデンティティのひとつといえるかもしれません。
幸いなことに、NBロードスターの純正ショックはパーツが出るので、【純正ビルシュタイン】やオークションに出品されている【低走行ビルシュタイン】を調べたのですが・・・純正NR-Aビルシュタインは前後4本で約15万円、後者は様々な価格帯がありましたが素性は不明です。
また、以前試乗させてもらったTD-1001(NBロードスターのコンプリートカー)のしなやかにロールしながら粘るコーナリングに痺れ、実は吊るしの状態ではノーマルサスでセッティングを出していると聞いて、目から鱗になったことも思い出しました。そこで純正仕様のショックアブソーバーを調べてみると、前後で4本で約9万円でした。
NBロードスター純正ショックアブソーバー | 型番 | 価格 | 消費税 | 前後セット | |
ノーマル | フロントダンパー | N066-34-700 | ¥20,430 | ¥2,043 | ¥89,892 |
フロントダンパー(ABS付) | N068-34-700 | ¥20,430 | ¥2,043 | ||
リアダンパー | N066-28-700 | ¥20,430 | ¥2,043 | ||
ハードサス (ビルシュタイン) |
フロントダンパー | N067-34-700 | ¥35,010 | ¥3,501 | ¥148,104 |
リアダンパー | N067-28-700 | ¥32,310 | ¥3,231 |
(※あくまで2020年5月時点の参考価格です)
小遣いの範囲でクルマを維持している身として、10万円近い出費はそれなりに覚悟がいります・・・そこでさらに調べていくと、車高調整式ではなくともリプレイス品として販売されているショップアブソーバーもメーカー各社からリリースされていたので、比較検討を行いました。
ちなみにリプレイスとは、現状のものを置き替えて使用することを前提にしたものであり、いわば近代化改修に近いアップデートになります。そこで、私の使用用途に近くアフォーダブルだったのが、KYBの「NEW SRスペシャル」でした。
下記、KYBブランドサイトより引用
日常の走りをより快適にNEW SR SPECIALは純正ショックアブソーバと同等の形状を採用、耐久性など品質はそのままに減衰力特性を最適化することでクルマの「走る」「曲がる」「止まる」といった基本性能をしっかりグレードアップさせながら「乗り心地」とのバランスをコンセプトに開発しています。
「硬くないけどシッカリ!」普段使いの軽快なカジュアルシューズを履いた感覚で安心して走れる、なんか運転がうまくなった?と思わせるショックアブソーバに仕上げています。
そして、検討の決定打になったのが「ビルシュタインはオーバーホールできる」という友人氏のアドバイスでした。つまり、愛車から取り外したビルシュタインはレストアすることが可能であり、価格は4万円+αほどでいけるようです。
「NEW SRスペシャル」のブランドコンセプトに共感したことと、さらにネオクラシック・オーナー間ではこのショックアブソーバーがの定番ブランドであることも知り・・・ショック周りの消耗品と合わせて、モノタロウ10%OFFの際に注文ボタンを押したのでした。その価格、ショックアブソーバー前後セットで31,581円・・・
参考リンク→