NB Roadster Meeting 貴島さん質疑応答(2016)

NB Roadster Meeting 貴島さん質疑応答(2016)

2016年1月10日にMRYで開催された、NBロードスターミーティング。講演を頂いた貴島主査へ、質疑応答の時間をいただきました。開発リーダー直々の回答なので、今だからこそ語られる部分もあって、なかなか興味深い内容でした。

また、ここが違うとか、こんな話があった・・・というのがあれば、ご指摘ください。また、一部重複する部分は要約しています。ご了承ください・・・

現行ロードスターの価格に関して

若者のクルマ離れが懸念される昨今、特に最近のスポーツカーはNDロードスターも含めて高い気がするのですが、どう思われますか?

確かにおっしゃる通り。現在のクルマは初任給から考えると、新車なぞなかなか買えない。そうなると、かつては中古のスポーツカーが選択肢に入ったのだが、今はそれも選択肢が乏しい状態。特にロードスターは皆さんがなかなか手放さないので、市場に出回らないですよね。

なぜ、ロードスターにターボ?

ロードスターターボをリリースした理由は?

米国ディーラーのオーナーで、レースを趣味にしている方がいるのだが「MX−5でレースに勝ちたい」とオーダーがあり、10000台売るといってきたので、国内では二つ返事で予算承認された。

そのついでで日本でもリリースをおこなった。もちろん馬力重視ではなく、人馬一体のバランスが取れるような調整をおこなった。しかし、結局7000台しか売ってもらえず、理由を聞いたら「モデル末期だったから」といわれてしまった・・・

パーツ欠品に備えて、確保すべきパーツは?

今後NBロードスター乗り続けるにあたり、覚悟を決めたい。そこで、メーカーからなくなる前に確保しておくべきパーツはありますか?

基本的に今はワンオフで何でも作れてしまうので、価格を考えなければそれ(欠品)は無い。特にNBロードスターは海外でとても売れているから、中古も含めてパーツはワンサカあるので、いざとなれば通販でもいけると思う。


ブッシュの耐用年数、交換に関して
ブッシュはゴムで出来ているパーツなので経年劣化で硬くなる。それが新車に比べてクルマに馴染み「味」になる事もあるのだが、一定期間でねじり剛性は低下する。しかし、その劣化自体は徐々に進行するので、いつも乗っているオーナーでは気付きづらいはず。本当に気になったら変えて欲しい。ただ、ブッシュが駄目になったからといって、いきなりアームが落ちる事は無いので安心を。きちんと走れます。

※主催者補足:ロードスターはオープンカーなのにボディ剛性は非常に高く、ボディが緩くなってきた、ガタが来たと感じたら、ブッシュ交換のみで格段なリフレッシュを体験できる。交換時期は、5万キロで感じたら5万キロ、10万キロで感じたら10万キロと、個人の感覚で大丈夫。ボディ強化を考えるならば、足回りだけでなく、エンジンマウントなどを含めた、各種ブッシュを見直すことをお勧めします。

NAロードスターとの違い

NAから比べて、ここは拘ったというパーツはありますか?

サスペンションのセッティング、特にキャスター角を始めとした操舵安定性の部分になる。NAロードスター開発当時、一旦設定した足回りを最終的に変更されてしまって、NBロードスターは最初に、それを戻すところから始めた。正直NAロードスターだと、アウトバーンでフラフラして危ない。(※貴島さんはNAロードスターのシャシー開発を担当しています)

また、拘りとは違うかもしれないが、ドアトリムのパーツにはサイドエアバッグが入る予定だったが小型化が出来ず、断念した経緯がある。(※ちなみにNCでは実現されています)

ボディカラーはどう決める?

ボディカラーはどのようにして決めていくのですか?

ふたつの観点から決まってくる。

先ずはコストの点。マツダでは塗料のタンク容量が決まっていて、基本的に一ヶ月単位でそれを消費し、それを他車種と共有する。特にロードスターのようなクルマは専用色の設定が難しく、それに併せている形になる。それでも一色だけは専用色を選ぶことが出来た。モデルサイクルの合間で発表される限定車は、タンクを使い切ったら塗れなくなるので、台数が限定される。

次にコーディネートの件。マツダには専門のカラーデザイナーがいて、全車種を壁に並べて数年単位でロードマップを作成している。トレンドから選んだボディカラーは沖縄で年単位の耐候テストを行い、それをクリアしたものが市場に出てくる。(※クリスタルブルー、スプラッシュグリーン、ガーネットレッドは当時のカラートレンドです)他メーカーからも同じ時期に似たようなボディカラーが出てくるのはそのため。

また、近年ではNAに設定されていたブリティッシュ・レーシンググリーン(ネオグリーン)のような緑色は流行らなくなっており、全メーカーからも緑の設定は減りつつある。

ソウルレッドに関して

マツダが赤、ソウルレッドをイメージカラーにしているのは広島カープと関係はありますか?ちなみに広島のイメージカラーも赤ですよね。

最近ヘルメットをソウルレッドにしたのは聞いているけれど、直接は関係ないと思う。でも、赤をイメージカラーにするのはエモーショナルなスポーツカーとしては当然で、NBロードスターのコンセプトモデルも赤かったでしょう?これが似合うように作っている。
また、赤は購買意欲を促進する色でもあるので、スーパーの入口にトマトや苺をおいているのはそのせい。逆に、イメージカラーが赤ばかりになってしまった今のマツダはどうかと思う。

トヨタ86に関して

トヨタが86(現行)を開発する際に、助言をされたと聞きました。どんな話だったのですか?

相談があったのは、開発者から「スポーツカーの企画を通すにはどうすればいいか」という相談だった。でもそれは、少量生産で売れないけど、趣味性が高く、価格も高くなりがち・・・といった、“スポーツカーは儲からない”という前提であった。

こちらからお伝えしたのは「ロードスターは儲かる努力をしている」という事だった。例えば部品コストに関しても当然だが、組立コストにしてもマツダは混流生産を行っているので、デミオと同じラインで作られ、同じコストで組まれている。つまり、儲からないならば、儲かるように技術でどう解決していくかというのがエンジニアの仕事だよ、とお伝えした。

スポーツカーは開発者の夢でもあるし、作るのは楽しい。しかし、メーカーは作るだけでなく、育てるという努力も大切だ。その点でMR−SやS2000が続かなかったのは残念だし、86リリース時には「20年続くスポーツカーにしてください」と祝辞をした。

まとめ


以上、「中の人」が語る機会なんて貴重だと思いますが、それが実現されたのが「愛着を持った機械」であるロードスターならではのミーティングだからでしょうか!会場のNBロードスターたちも、自分を育ててくれたご本人に逢えた事は嬉しかったことでしょう(

会場の皆さん、そしてレポートを読まれた皆さま、想う事は色々あると思いますが、愛車に乗れる幸せを改めて感じませんか?

イベントカテゴリの最新記事