ロードスター クロス幌の洗い方

ロードスター クロス幌の洗い方

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洗いすぎても、ほっときすぎてもいけないオープンカーの幌。

NBロードスター後期の一部から採用された「クロス幌」の洗浄は、ボディ用の洗剤だとアクリル繊維を傷めてしまうので、台所にあった中性洗剤を薄めて使います。

奇麗に乾いた幌の姿は、それだけでカッコよく見えること請け合いです。

自動車用、アクリル繊維のクロス幌


ロードスターはオープンカーなので、屋根が「こうもり傘」のような幌(ほろ)であることが特徴です。

この幌も少しづつ仕様変更を行っていまして、初代ユーノスロードスターの幌はポリビニール製でしたが、2代目NBロードスターの後期型から一部グレードでアクリル繊維の「クロス幌」が採用され、4代目NDロードスターは全てクロス幌になっています。


なお、オープンカーの幌生地は自動車販売メーカー問わず、ほぼ全てアメリカのハーツ社(Haartz)のものが使用されています。アクリルの特徴として、糸の状態で染色したものでは対候性が劣ってしまうので、原着(原料に直接着色する)をおこない、水を止める層を挟み込んだ3層構造になります。

技術的には再現性のあるものでも数の出ないオープンカー専用の布生地となるとコストが合わず、ハーツ社ほぼ1社の事実上専売状態だとか。

アクリル繊維は丈夫で長持ちしやすく「ウールによく似たふっくらとした風合い」「保温性が高い」「水をほぼ吸わない」といった特徴があり、まさに幌の生地にぴったりの素材です。ただ、黒い幌ならまだしも明るい幌だと汚れが目立ちます。

そこで、今回は愛車の純正クロス幌をしっかりと洗ってみました。

幌はどう洗えばいいのか?マニュアルを確認


どの世代のロードスターでも、幌のメンテナンスにおいてマツダのマニュアルに書かれていることはほぼ同じです。ただ、北米のミアータではより詳細な記載がありますので、NBミアータ最終型のマニュアルを参考にしてみます。

Convertible Top Maintenance

The convertible top is made of a special high-grade material, but if it’s not taken good care of, hardening, staining, and loss of luster will result. Maintain it under these guidelines.

Washing
Don’t wait until the top gets really dirty before cleaning it. Dirt that’s there too long will cause deterioration.

1. Before washing, remove dust and coarse particulate with a soft brush.
2. Gently clean the top with a synthetic neutral detergent, lots of water, and a soft brush.
3. Rinse it thoroughly with clean water to remove all the soap.
4. Wipe it as dry as you can before the water dries on it.
5. Then allow it to dry completely before lowering it.

CAUTION
Automatic and high-pressure car washes are harmful to a convertible top. Avoid them.Don’t spray water directly on the area where the window glass and the top meet. This would probably cause water to enter the cabin.

Appearance(Polyvinyl only)
Dress the top once a month after washing and drying it well. For best results, use a water-based leather treatment or vinyl top dressing. This will help maintain good appearance and material condition of the top.

CAUTION
Some leather treatment products can ruin the top’s gloss. Be careful of the one you choose.Test on an inconspicuous, small corner of the top if you are not sure.
Don’t get any car wax on the top.If you do, remove it with a good leather cleaner.
Too much treatment on the top can be as damaging as too little. Follow the manufacturer’s directions. Don’t overdo it!
Let the top dry completely before lowering after applying treatment or dressing.


コンバーチブルトップ(幌)のメンテナンス

幌は高品質な幌生地を使用しています。手入れの方法を怠ると、生地が硬化したり、シミや光沢のムラが発生します。これらのガイドラインを参考に、コンディションを維持しましょう。

洗い方
上部が本当に汚れるまで待ってから掃除してください。しかし、汚れが長すぎると劣化の原因になります。

1. 洗う前に、柔らかいブラシでほこりや粗い粒子を取り除きます。
2. 合成中性洗剤、大量の水、および柔らかいブラシで上部をそっと掃除をします。
3. きれいな水で完全に洗い流して、泡はすべて取り除きます。
4. 水が乾く前に、できるだけ乾かして拭き上げます。
5. 幌は完全に乾かしてから開けましょう。

注意
自動洗浄機および高圧洗車機は幌にとって有害なので、使用しないでください。窓ガラスと幌の合わせ目に直接水をかけないでください。室内に水が入る恐れがあります。

ポリビニール製幌の場合
月に一度はよく洗って乾かしてください。最良のコンデションを保つにはコーティングを行うことで、外観と素材の状態を良好に保つことができます。

注意
・一部のコーティング剤はトップの光沢を損なう可能性があります。選択に注意してください。よくわからない場合は、幌の目立たない角などでテストをしてください。
・幌にはボディ用のワックスを付けないでください。もしついてしまったら、良質なセーム皮などでそれを取り除きます。
・幌を過度に洗いすぎると、洗わない状態と同じくらい劣化する可能性があります。メーカーの指示に従って、無理をしないでください!
・トリートメントやコーティングを施した後は、幌を完全に乾かしてから開けてください。

クロス幌を実際に洗ってみた

<① 水洗い>

 
まずは作業前のクロス幌。写真だとわかりづらいですが、埃っぽいとでもいいましょうか、触るとザラっとした質感になっています。幸い、大きなごみはついていなかったので、軽くポンポンと叩いて誇りを浮かせていきます。

 
浮かせたホコリを、水流を使って流していきます。特別なコーティングなどはしばらく行っていませんでしたが、それなりに水を弾いてくれます。

しばらくすると表面層へ水がしみていきますが、それはそれで味がある色合いになってくれます(汚れは目立つけど)。

 
<ポイント>
あまりにもひどい埃(汚れ)が目立つ場合は、いったん掃除機をかけると驚くくらい奇麗になります。ただ、幌に負担はかけないように吸引力は抑えめにすることをお勧めします。

<② 中世洗剤で優しく洗う>

 
次に、バケツに中性洗剤を溶かしていきます。水全体に5%ほどの割合がベストのようです。ちなみに中性洗剤は食器用の洗剤を使用しました。

そこに、やはり食器用の若干固めなスポンジに含ませて、幌を優しくゴシゴシしていきます。あくまで力を入れず、泡の力で汚れを浮かす感じです。

当然ではありますが、シンナーやガソリンなどの有機溶剤やアルコール、塩素系漂白剤は絶対に使ってはいけません。あっという間に生地が駄目になってしまいます。

 
泡がしみこむのが嫌だったので、幌の半分まで(手の届く範囲)泡立たせたのち、水が透明になるまで泡を水流で徹底的に流していきます。

なお、ベルトラインやウインドーの隙間へ過剰に水をかけると、雨漏りする可能性があるので注意です。


角度を変えてみると、違いが判るでしょうか。左半分が泡洗い、右半分が水洗いの状態です。

 
そんな感じで泡洗いを行い、水で流すこと数回。マツダのマニュアルにもありますように、やりすぎないように注意!あくまで表面の汚れを洗い流す要領です。

 
完全に泡を取り除いたのち、待っているとみるみる幌が乾いていきます。

アクリル繊維自体は汚れずらいのですが、繊維の隙間に入ってしまった汚れを取り除くことは容易ではありません。特に、幌のリンク(稼働部位)は仕方がない感じです。これも「味」と思うことにします。

なお、木工用ボンドでコーティングして、一気に剥がすと奇麗になるというテクニックも存在します・・・が、ガレージなど屋根のある場所じゃないと、作業は厳しいと思われます。

<③ コーティング>

 
折角なので定番のコーティングも行っておきます。

今回使用するのは定番のフッ素コーティング剤。こちらはクロス幌(キャンバス地)/ビニール幌兼用になっています。施工は道具がないと厳しいので、100円ショップで紙コップと刷毛を購入しておきました。

幌はすぐに薬剤を吸ってしまいますので、本当に少しづつ・厚塗りしないように塗り込んでいきました。


フッ素コート剤はボディに垂れるとシミが残ってしまいます。水を弾く成分なので、当然水洗いでは取れません・・・ただ、パーツクリーナーを使うと奇麗にシミが取れてくれます。もちろん、この後はワックスをかけておきました。

 
<ポイント>
刷毛塗りが上手くいかない場合は、スプレーボトルに入れなおして塗布する方法もあります。ただ、幌以外の部分に薬剤が付くと洗浄するのが大変なので、マスキングしてからの作業をお勧めします。


施工した日は晴れていたので、30分もすれば完全に幌は乾いてくれました。見た目はあまり変わらなく見えますが、手触りは明らかに変わりました。表現が的確ではないかもしれませんが、キャンパス地独特のサラッとした触感に変わってくれました。


洗車後は、レインレールまで乾いたことを確認してからオープントップにします。幌を閉じても、開けてもロードスターはカッコいいですね。

ちなみに、今回はクロス幌の例でしたが、基本的な幌のメンテナンスは水洗い(水流)で十分だそうです。

また、ビニール生地の場合は水洗いしながらメラミンスポンジで磨いたり、本文にも書きましたが木工用ボンドを全体に塗りたくって1日~3日ほど放置し、バリバリとボンドを剥がすというテクニックもあります。

ちなみに、一番幌にダメージが蓄積されるのは「幌を開くこと」なので、消耗品と割り切る覚悟がある程度必要です。何か参考になれば幸いです。

関連情報→

NA/NBロードスター 雨漏り対策

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