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ロードスターのエンジンオイルは定期交換しているからメンテナンスは十分と思っていましたが、いつかやろうと思っていたミッションやデフのオイルは、放置していつの間にか9年・・・交換作業では「ドブ色の廃オイル」とともに、ドレーンプラグに「大量の鉄粉」が。
古いクルマであればこそ、これらのメンテナンスをお勧めします。
NBロードスターのオイル交換時期(公式見解)
意識して定期的にエンジンオイルの交換は行ってはいたのですが、年間走行距離が短くなるとどうしても忘れてしまいがちです。タイミング的には車検整備時に行えばいいのですが、整備費用と車検費用で一気にコストがかさむと、お財布と精神的なダメージが大きく・・・
そんな折、自動車整備系ユーチューバーさんのチャンネルで、油脂類交換時のマグネットドレーンに鉄粉が付いている動画を見ていて、もしかして笑えないのではと、ふと気づいてしまいました。エンジンオイルやブレーキフルードは定期交換していても、ミッションやデフなど他の油脂類は「あとでいいや」と車検時でも見送って、いつのまにか10年近く経っていました。
そこで、よくよく調べてみるとロードスター/ミアータのマニュアルには下記のようなデータ記載されていました。
部位 | 型番 | オイル指定 | 量(L) | 時期 | 国内 | 海外 |
エンジン | B6-ZE(NB6) | SAE 10W-30 API SG,SH,SJ級 |
3.2 | 標準 | 15,000km/1年 | 10,000km/6ヶ月 |
BP-ZE&VE(NB8) | 3.6 | シビア | 7,500km/6ヶ月 | 8,000km/4ヶ月 | ||
ミッション | M15M-D(5MT) | SAE 75W-90 GL-4 |
2 | 標準 | 無交換 | 100,000km/5年 |
Y16M-D(6MT) | 1.75 | シビア | 48,000km/2年 | |||
SB4A-EL(4AT) | 純正ATF(M-Ⅲ) | 6.7 | 標準 | 無交換(透明な赤が正常、茶褐色~黒は点検) | ||
シビア | 60,000kmごと | |||||
デファレンシャル | SAE90 GL-5 | 1 | 標準 | 100,000kmごと | 80,000km/4年 | |
シビア | 60,000kmごと | 48,000km/2年 | ||||
※エンジンオイルフィルター交換時は+0.2L |
メーカー指定は幾分かマージンがあるとはいえ、私の愛車は完全にアウトなコンディションであることが判明しました。そこで、現状を確認したかった好奇心もあり、友人氏のガレージでオイル交換のDIYを行いました。今回はそんなレポートです。
各種オイルを準備する
エンジンオイルはさておき、デフオイルやミッションオイルは購入経験がありません。そこで、モノタロウ等で検索をかけると「ミッションオイル」だけでも複数ヒットします。しかし、ここでオイルの粘度だけで選択をしてしまうとリスクがあることがわかりました。
オイルに指定されているGLとは「Gear Lubricant(ギヤ用潤滑油)」の頭文字を取ったもので、使用する条件に応じて対応する番号が定められているからです。粘度表記は近しくても各グレードで極圧剤の配合量が異なり、数字が大きくなるほどギヤの保護性能が高くなっているそうです。
GL-2:少々過酷な条件で、GL-1では不十分なもの
GL-3:過酷な条件のディファレンシャル、MT
GL-4:高低速トルク、低速高トルクのハイポイドギヤー
GL-5:高速で衝撃荷重が加わる厳しい条件で使用される、ハイポイドギヤー
そうなると、コストとの兼ね合いで選択肢が限られてきます。そこで私は1L単位で注文できる日産純正のミッションオイル/デフオイルを購入しました(価格は全部で約3,000円ほど)。ペール缶を置く場所もないですしね・・・
ミッションオイル:75W-85 GL-4 1L×2
デフオイル:80W-90 GL-5 1L
また、これを機会にマグネットプラグ(ドレーンプラグ)なども新調することにしました。各種シールや工具は友人がストックを提供してくれました。感謝です。
デファレンシャルオイル(デフオイル)の交換
まずはロードスターをウマにかけ、デフオイルの交換から始めることにしました。また、用意したオイルは粘度が高いので、作業性をあげるためにエンジンヘッドカバーの上において温めておきます。
デフにはふたつのプラグが付いています。上がオイル状態を確認するためのフィラ・プラグ。下がドレーンプラグです。フィラ・プラグに印がつけられていたことから、前オーナーも一度は交換していたことが分かります。
なお、フィラプラグを外すだけでもオイルは(少しだけ)溢れてきますので、受け皿をうまく待機させておきます。ブレースバーにオイルが跳ねるのは仕方がない・・・
ドレーンプラグを外すと、古いデフオイルが溢れてきました。汚れているとは予想していたけれど、思ったよりも透明度を保っていたのが意外でした。なお、ドレーンプラグは磁石が仕込まれているので、鉄粉が付着しています。しかし、思ったよりも少ない印象でした。
しばらく待つと、オイルの流れはポタポタという状態になります。粘度が高いので、いつまでも出続けるので・・・プラグを閉めて、注入作業にうつります。なお、プロショップはオイルを抜いたら翌日まで放置(抜けきるのを待つ)するとか。
そんな時間はありませんので、ドレーンプラグに新しいシールを取り付けて封印し、注射器のようなオイルサクションガンを使って、上側のホールから新しいオイルを注入していきます。1L入るとありますが、オイルが穴からあふれてくればそれでオッケーです(980mlくらい入りました)。
新品オイルはお茶くらいの濃さだったので、やはり古いデフオイルは劣化していたことが分かりました。ちなみに、新しいドレーンプラグは形状(型番)は同一でも、メッキ処理が違っていました。メッキ処理のレギュレーション変更による近代化のようです。オリジナル状態にこだわる方は要注意ですね。
ミッションオイルの交換
作業を行うにあたり、NBロードスター後期型にあるトンネルメンバーはオイルが飛びちり大事故になりそうだったので、外しました(※一応サービスホールは設けてある)。ボルトはそれなりに固着していたので、ラスペネ(潤滑剤)が大活躍しました。
このメンバーをよく観察すると、肉抜きやクラッシュ時にわざと曲がるように、バルクヘッド直下あたりに折れが入れています。剛性を上げつつも、軽量化と安全性の思想も入っている凄いパーツでした。擦った部分が錆びていたので、防錆加工も行っておきます。
デフと同じく、ミッションも側面にあるフィラ・プラグを外します。これが特殊形状でなかなか手ごわい・・・
外した段階で、ミッションオイルが垂れてきます。メンバーを外しておいてよかった・・・
そして、ミッションのドレーンプラグを外すと、粘度が高いせいもありますが、恐ろしくドブ色の液体が抜けて行きました。これはかなり衝撃です。
ドレーンプラグのマグネットには凄まじい量の砂鉄が。珠玉のシフトフィールと偉そうな記事を書きながら、メンテ不良でメカに負担をかけていたことが恥ずかしいです。
新しいミッションオイルは紅茶くらいの色合いでした。ドレーンプラグを新品(+シール)に交換し、フィラ・プラグの穴からミッションオイルを注入していきます。2L注入と指定されていましたが、実質1.7lほどで溢れてきましたので、プラグを閉めて終了です。
ちなみに、デフオイルやミッションオイルは粘度が高いため、完全に抜には【一昼夜放置する】といいそうです。屋根付きガレージの方は、そういったチャレンジも面白いと思います。
エンジンオイルの交換
いつもはカーショップにお願いしていて詳細を見る事がないエンジンオイル交換もDIYで行います。まずは、オイルパンにあるドレーンプラグを外し、オイルを抜きます。なお、前回交換から2000kmほどの走行距離だったので、透明度は一応保っていました。
次に、エンジン右側面にあるオイルフィルターを外します。ここはエンジンルームからアクセスするのが正しい方法らしいですが、偉く作業性が悪いです。フィルターレンチとエクステンションを駆使して、何とか外していきます。
ちなみにNB3以降では排ガス対策のパイピングが走っており、だだでさえ悪い作業性の難易度が上がっています。また、フィルターを外すとオイルも垂れてくるので、フロントメンバーにオイルが飛び散ります。これ、今までショップの人たちはどう処理していたんだろう・・・と思ったら、めっちゃオイル汚れが付いていました。自分でやれってことですね・・・
新しいオイルフィルターに、少しだけオイルをにじませてからエンジンに取り付けていきます。これはエンジン再始動をした、際にオイル切れにならないようにするための処置です。
フィラーキャップのゴムシールも劣化していたので交換しました。僅か数ミリかもしれませんが、15年15万キロも乗っていると痩せてしまうものなんですね。
メッキ処理が変更された新しいドレーンプラグと質感の比較です。ちなみに、青いアルミ製のマグネットドレーンプラグは柔らかすぎるので、一部ショップでは非推奨になっているそうです。
今回はオイルフィルターも交換していたので約3.4L(3.2+0.2)のオイルを注入していきます。
オイル注入後、いったんエンジンをかけて循環させたのち、エンジンを切ってレベルゲージの確認を行いました。規定量になっていたので、これで作業完了です!
オイルは自治体のルールに従って処理をする必要があります。今回はオイル処理ボックスに染み込ませて、燃えるゴミとして処分をしました。
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