フロントマッドフラップを装着する

フロントマッドフラップを装着する

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国内需要しかない?マッドフラップ


クルマのデザイン段階で描かれることは少ないけれど、国内では一定需要があるパーツとしてショップオプション(ディーラーオプション)で設定されるのが、フェンダー後端に取り付ける「マッドフラップ」。NAやNBのロードスターではそれなりに見かけることはありますが、実はNCやNDロードスターにも設定されています(ただ、NDは付けている人を見たことがない・・・)。

その効果は、走行中のタイヤから跳ね上がる水しぶきや泥が、自車や他車へ飛び散ってしまう事を防ぐこと。また、メーカー純正パーツなのでデザインの親和性に優れており、ちょっとしたドレスアップ効果もあります。また、意外にも海外で装着されることは少ないので「ミアータ」ではなく「ロードスター」であることをさりげなく主張するパーツともいえるでしょう。


また、例外としてマッドフラップが純正装着になったのNBロードスター後期RS系です。16インチを履いたことにより限界までバンパーを削った純正デザインだとタイヤがはみ出してしまうのです。そこで、車検対応のために大径のマッドフラップが標準装備されました。面白いのはMX-5やミアータで、海外でこのレギュレーションは存在しないらしく、16インチでもノーマルバンパーのまま出荷されています。


同じ理由として存在するのが、NBロードスターターボに架装されているリップタイプの小型マッドフラップ。17インチを履いているので、上記と同じ車検対応のために取り付けられているのですが、リアバンパーには全体を覆うアンダースカートを取り付けています。16インチと同じ大径マッドフラップだと下端が干渉するので、致し方なく「耳」が付いています。ちなみにこちらも、本丸の北米「マツダスピードMX-5ミアータ」には装着されません。

まとめると、NBロードスターには複数種類のマッドフラップがメーカーから用意されていました。実はまだ在庫があるらしく、執筆時点で一部は新品注文が可能でした(パーツナンバーには塗装コードの枝番があります)。

ショップオプション(フロント)
ショップオプション(リア)
ショップオプションアンダースカート(リア)※MSVで標準架装
16インチモデル純正架装(リア)
17インチモデル純正架装(リア)


上記のリアマッドフラップは比較的見かけることはできますが、よくよく調べていくとフロントマッドフラップの装着が少ないことに気づきました。私の愛車はNR-Aベースですが見た目はVSなエレガンス仕様。折角なので某オークションで手に入れ、愛車に取り付けることにしました。

マッドフラップの塗装準備(下地)


届いたマッドフラップはブリリアントブラックに塗装されていたものでした。素材はTPE(サーモプラスチック・エラストマー)という「熱可塑性樹脂ゴム弾性体」素材で、軽量かつ弾性に優れたものになっています。ショップオプションとはいえメーカー提供されていたパーツですから、塗装もしっかりしていました。


ただ、実車に取り付けられていたものだったのでしょう(ドナーは廃車でしょうか・・・)。えらく汚れていたので、ブラシで泥をこそげ落としました。未塗装面に「PT」とサインが書かれていたのですが、これはブリリアントブラックのカラーコードですね。


奇麗な塗面ではありますが、塗装を行いたいので涙を呑んで表面処理を始めます。

まずは耐水ペーパーで全体が艶消しになるまで水研ぎを、最終的には1200番までおこないました。使用感のあった擦り傷もこの段階で滑らかになっていきました。ペーパー自体は100円ショップでも手に入るので、DIYには便利な時代になりましたね。


手で研いでいるとどうしてもペーパーが当たらない部分が出てきますので、メラミンスポンジでさらに磨き込んでいきます。この時点でかなりいい感じの「艶消し」になったのでこれもアリかと思いましたが、実車に充てるとバランスがちぐはぐになったので、作業工程を進めていきます。


パーツが乾いたら、マスキングテープとメンディングテープで塗装不要な淵をガードしていきます。塗面は「耳」の部分が樹脂部分に回り込んでいたので、立体的なマスキングになりました。

このままだと作業がしづらいので塗装用の取っ手(その辺にあった木材)を取り付けてシリコンオフ(脱脂)をおこない、20分間隔で2回ほどミッチャクロン(プライマー)を吹き付けました。ちなみに塗装ブースはないので、裏庭で段ボールを敷いて作業を行っています。この日は風も強くなかったので、ゴミなども付かずに済みました。


ミッチャクロンが乾いたのを確認のち、15分間隔でサフェーサーを吹き付けていきます。最初はうっすらふんわりと捨てサフを行い、徐々に塗面を乗せていく感じです。薄吹きながら4回ほど吹いたら見事なフラットホワイトになりました。一旦はここで作業を修了し、下地が乾くまで1週間ほど自然乾燥を行いました。

マッドフラップの塗装


上塗りには、カーショップで調色してもらった25F(ガーネットレッドマイカ)のスプレーと上塗りのクリア塗装を使います。ちなみに、調色自体はかなり昔(7年前!)にお願いしたものですが、問題なく使うことができました。99工房、一生ついていきます!

まずは完全乾燥したであろうサーフェーサー状態のマッドフラップを、2000番のペーパーで優しくなでていきます。すると、指先の感覚が「ざらざら」から「ぬるぬる」に分かりやすく変わっていきます。ちなみにやりすぎると、エッジの下地が欠けてしまうので注意。

その後、削りカスを洗い流し、シリコンオフで脱脂を行います。ここから塗装予定の面に触れるのはご法度のようです。人間の油脂は塗装を弾くそうで・・・


まずはガーネットレッドのスプレーを砂吹きしていきます。エッジから先に吹き付け、あとは「ふんわり」塗料を乗せていく感じです。一気に塗りたくなりますが、そこは落ちついて15分のタイマーをかけて放置します。


15分ごとに2回、3回と色を乗せていき、5回目でいい感じになりました。一応仕上げで6回まで色を重ねて、最後は30分ほど乾燥させました。なお、今回も屋外で段ボールを敷いて塗装しているので、塗装前にエアダスターで全体の埃を飛ばしています。


マイカ塗装のキラキラ感は再現できましたが、このままだと半艶状態なのでクリア塗装を重ねていきます。クリアも一回目はエッジから塗布し、全体には「ふんわり」と砂吹きを行います。


15分間隔でクリアを重ねていき、こちらは都合3回でいい感じになりました。

2日ほどかけて乾燥させるといい感じに「柚肌」に仕上がりました。本来ならここから1500〜2000番で水研ぎを行いコンパウンドでツルツルに磨く工程がありますが、フロントマッドフラップが付くNBロードスターの腰下はチッピング塗装になっているので、このままで行くことにします。


マスキングを剥がす瞬間は緊張しますが、気持ちいいですよね・・・


さらに、無塗装の部分にはシャシーコートクリアを吹いておきました。

フロントマッドフラップを取り付ける


まずは、作業性を高めるために、ステアリングを片側に思いっきり切っておきます。

 
マッドフラップは、インナーフェンダー3箇所のクリップと友締めできるようになっているようなのですが・・・一番上と一番下は、そのまま外したクリップはハマりませんでした。おそらく別途用意する必要がありそうです・・・が、ショップオプションなのでパーツリストに情報がありません。

 
そこで、棒ヤスリを使ってクリップがはまるように慎重に穴を広げていきました。


また、底面の固定は諦めて、要所でエアロ用の両面テープを使うことにしました。

 
そんなわけで、いい感じに固定することができました!色合いも違和感がなくて一安心です。


全体のフォルムはこんな感じです。フロントからはあまり主張しませんが・・・


リアから見ると、かなり可愛いワンポイントになりました!

繰り返しますが、最近の日本車でもかなりレアな装備になっているフロントマッドフラップ。2枚増やして520グラムの重量増ですが、内輪にあるのでヨー感性にも影響がほぼ無いところも、ロードスターっぽいパーツだと思います。時代を感じるレトロかっこいい装備として、大満足できるDIYでした。

関連情報→

Aピラーのブラック化(ビフォーアフター)

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