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私の居住地はひとり1台クルマがないと生活ができないような地域です。さらにNBロードスターは家族用ではなく私自身の趣味車なので、維持コストは一定の範囲で行うと家族に約束をしています。
クルマ維持のコストで地味に効いてくるひとつに、ガソリン価格があるのではないでしょうか。スポーツカーにおいて燃費を気にするなんて・・・って意見はある一方で、開発主査も「アフォーダブルのために、レギュラーで走れるようにした(※NB1まで)」という逸話もありました。
ガソリン価格は変動する
総務省統計局のデータを確認すると(オイルショック以前のガソリン価格60円以下というのは論外として)90年代から04年代まで徐々にガソリン価格は下がり続けていていました。ロードスター世代ではNA~NBの全盛期にあたりますね。その後、刻々と変わる世界譲勢、災害、パンデミックなどによる景気動向の変動で、かなりのブレ幅がある状態になっています。
(※グラフは統計局データより引用)
こんな状況の中で、クルマの燃費がいいことに損はありません。
重さと燃費の相関関係
ハードトップは意外と重い
ロードスターはライトウェイトスポーツ(LWS)というジャンルのクルマです。ざっくりではありますが、LWSは運動性能を上げる施策としてクルマの軽量化にエンジニアリングを注いでいます。「軽さは性能」ととらえて、公道を楽しく走るための装備以外は、基本的にそぎ落としているのが特徴なんですね。
また、オープンカーであっても普段使いの際は屋根に「幌(ほろ)」を張ってしのぎます。一見やわにみえる幌ですが、青空駐車であっても問題なく使えるのがロードスターの凄いところです。消耗品ではありますが、少なくとも5年は耐えるように出来ているようです。
一方で、梅雨・酷暑・降雪など悪天候のシーズンには、幌の耐久性やキャビンの快適性(エアコンの効き)を考慮して、NA~NCのロードスターにはデタッチャブル・ハードトップ(DHT)という樹脂製の屋根を後付けすることも可能です。
ただ、このハードトップは結構重くて、約30kgくらいの重量があります。例えるなら8~9歳児ほどの重さを、クルマの重心の高い位置に設置するようなものです。
「重さ」と「燃費」を検証してみる
さて、クルマには「カタログ燃費」というものがありますが、「クルマが重いと燃費が落ちる」と話を耳にされた事はありませんか?そこで、私のロードスターは季節によってハードトップを脱着しますので、燃費ログから重量増と燃費の関係を検証してみました。
私のロードスターは毎週末(土日)エンジンに火を入れることを心がけていますが、基本的には近所(公園や買い物など)に行く「街乗り」メインの使い方です。長い距離を走るツーリングは数か月に1度くらいなので、給油も月1~2くらいのペースになっています。
また、ハードトップ(DHT)を装着する時期は6月~8月(梅雨~酷暑)と12月~2月(冬季)の約6ヵ月で、平均燃費は11.01km/Lになるのですが・・・赤く区分けしたハードトップ装着期間は目に見えて平均燃費を下回っているようです。特にハードトップ装着時期は酷暑が続いてエアコンを常時使用していたこともあり、燃費が極端に下がってしまいました。
なおNB6C(NR-Aベース)の車重は1,030kgでハードトップは約30kgなので、重量増は+3%くらい。カタログ燃費は14.2kmとなっているので、そこから燃費を比較してみますと・・・
つまり、ハードトップ装着時期は通常よりも1割以上の燃費悪化が起こっているようです。余談ですが、旧車(ネオクラシック)なので、カタログ燃費から比較しても通常で8割くらいの燃費しか出ていません・・・乗り方が下手なんですかね。ちなみに、幌を骨組みから外すとハードトップを付けていてもプラマイで同じくらいの重量になります。
燃費に関して「軽さは性能」を検証する
せっかくなので、アカデミックな検証記事を探してみると下記データが公表されていました。
参考リンク:国立研究開発法人産業技術総合研究所
https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/aistinfo/aist_today/vol06_01/vol06_01_p16_17.pdf
乱暴な計算ですが、上記のロジックでいけば+30kgは燃費0.3km/L減という計算になります。また、重要なポイントは「カタログ燃費」における乗員の重さです。基本要件では一人当たり55kgで計測されているので、恰幅(かっぷく)がいい2名乗車になると、それなりに影響が出そうですね。
さて、NDロードスターのように、先代から100kg軽量化というのはなかなか出来る事ではありませんが、トランクや後部座席裏に収納してある重量物(普段使わない荷物)を片付けるだけでも燃費には効きそうです。
もちろん、その他にも「一定の回転数で走る」「空気圧を上げる」「プラグを変える」「エコタイヤを履く」など、様々な燃費改善手法はありますが、恒常的に効きそうな軽量化は、ドライバーのダイエットになりそうです。健康のためにもブクブク太るのはよくないですからね・・・軽さは性能・・・とは、よくいったものです。
https://mx-5nb.com/2019/12/22/eco-tire/
スポーツカーでエコドライブ!?
現実問題として、少しでも移動距離は伸びることはメリットになるし、昨今の環境問題を加味すればエコロジーな運転は(趣味車においては特に)たしなんでおきたい習慣です。オラオラ運転はやっかみの対象になりますしね。
なお、国土交通省の「乗用車燃費目標値」は2030年で25.4km。1998年式のNBロードスターカタログ燃費(NB6:14.2km)から計算すると、(燃費計測方式は違えども)30年も経過すれば8割以上のの燃費向上がレギュレーション指定されています。
歴代ロードスターのカタログ燃費を並べても、(真偽はさておき)燃費は徐々に改善されていることが解ります。現行型のNDロードスターからさらにブレイクスルーを行うには、噂されているモーターアシストなども選択肢に入るかもしれませんね(スカイXやスカイZは次世代でしょうか)。
なお、エコドライブや燃費改善に関するトピックは、ロードスターの取扱書(説明書)にも興味深いデータが掲示されています。燃費改善はクルマ自体の先天的な素性だけではなく【ユーザーで行えるもの(=乗り方)】があるからです。
経済的な運転方法(整備関係)
燃費改善を意識する運転は、結果的にエコドライブに繋がります。そこで、歴代ロードスターの説明書に記載されている事例を引用していきます。
なお、ベンチマークは2リッター乗用車(AT)の燃費=11.7km/l(10・15モード)が計算のベースになっているので、単純計算をロードスターに当てはめることはできませんが、今回はNB6ロードスター(14.2km/L)に置き換えて数値を逆算していきます。
不要な荷物は積まない
燃費:14.2km/l → 13.8km/l
荷物が多いほど、燃料は多く消費します。不要な荷物は降ろして走行しましょう。100kgの不要な荷物を載せて走ると、3%程度燃費が悪化します。10kgの荷物を降ろして50km走ると、約15mlの燃料を節約できます。
タイヤの空気圧を適正に
燃費 14.2km/l → 13.9km/l
こまめに点検し、適正な空気圧に調整しましょう。タイヤの空気圧が適正値より50 kPa (0.5 kg/cm2) 不足した場合、市街地で2%程度、郊外で4%程度と、それぞれ燃費が悪化します。適正値で50km走ると、50kPa減の時に比べて、約150mlの燃料を節約できます。
経済的な運転方法(運転技術)
アイドリングストップをしない
10分 → 1.8km分浪費
コンビニでの買い物、人待ちや荷降ろしなど、ちょっとした駐車のときにもエンジンを止めましょう。10分間のアイドリングで、130cc程度の燃料を浪費します。
空ぶかしをしない
10回 → 0.8km分浪費
空ぶかしは環境にも車にもよくありません。空ぶかしを10回やめると60mlの燃料を節約できます。
エアコンの使用は控えめに
燃費 14.2km/l → 12.5km/l
エアコンの使用を控えると、燃料の節約になります。外気温25°Cの時に、エアコンを常時使用すると、12%程度燃費が悪化します。エアコンを5分間停止すると、約55mlの燃料を節約できます。
・始動時:約4秒:始動性向上
・加速時:役2秒:加速性向上
・スロットル全開時:約5秒:加速性向上
・スロットル全開戻し時:約1秒:エンジン回転安定性向上
・水温115℃の時:112℃未満になるまで10秒ごとにON/OFF:エンジン信頼性向上
ゆとりある走行を
燃費 14.2km/l → 13.9km/l
急発進、急加速、急ブレーキは避けましょう。速度にムラのある走り方をすると、市街地で2%程度、郊外で6%程度燃費が悪化します。急発進を10回やめると約170ml、急加速を10回やめると約110mlの燃料を節約できます。
経済的速度
一般道路で40km/h、高速道路で80km/h程度の等速走行が経済的です。
アクセルペダルの上手な踏みかた
加速終了時 (AT車)
アクセルペダルを少し大きめにもどしてみましょう。適切に無駄なく自動変速されるため、燃費がよくなります。
下り坂に入るとき、減速を始めるとき
早めにアクセルペダルをもどし、エンジンブレーキを使いましょう。アクセルペダルをもどすと燃料噴射が停止されるので、燃費がよくなります。
一定速度のとき
アクセルペダルの踏み加減を一定に保ちましょう。アクセルペダルの踏み込み、踏みもどしは少ないほど燃料噴射が少なくなるため、燃費がよくなります。
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