ロードスターの生産台数/販売台数(1989-2023)【更新版】

ロードスターの生産台数/販売台数(1989-2023)【更新版】

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この記事は2024年更新情報です


生産100万台を突破して「最も売れた2シーターのスポーツカー(Best-selling two-seater sports car)」として2016年4月22日にギネス世界記録を更新したロードスター。

余談ですが本件は2024年時点で継続申請は行われていないのか、ギネス世界記録のWebサイトでは結果なし(404エラー)になっています。ただ、基本的には挑戦から証拠物提出までの有効期限が1年間であることや、年間5万件以上の申請があるため再認定に時間がかかるなどのハードルもあるようです。※2024年時点で全世界120万台は売れている

さて、本稿記載時点で2024年も終わろうとしていますが、昨年までのロードスターにおける各種スコア累計はどのような状態なのか、可能な限り情報を集めてみました。一部予測値も入りますので、あくまで参考値としてください。情報ソースはマツダ会社概況、EPC2、MARKLINES等のデータより算出をしています。

ロードスター/MX-5 グローバルスコア(2023)

ロードスター/MX-5 グローバルスコア
2023末時点 生産台数 世代割合 販売台数(※) 世代割合
NA 431,506 35.6% 421,207 35.1%
NB 290,123 24.0% 279,296 23.3%
NC 231,632 19.1% 230,590 19.2%
ND 257,952 21.3% 253,314 21.1%
1,211,213 1,198,937

※NA/NBともに販売台数は約5,000台オンされると思われるが、詳細を追えず。
【情報ソース】欧州マツダ概況/EPC2を基にした独自集計

まずはグローバルスコア全体像です。

生産台数と販売台数における差異は、市場に流れるまでの時間差や、実験・研究などに使われたクルマが含まれるからです。また、海外ではイヤーモデル制を取っているので、まとめて年間販売見込み台数がディーラーへストックされます。生産台数も販売台数もNDロードスターはNCロードスターを抜いており、このままのペースで推移すれば数年以内にNBロードスターを超えてくることが予想されます。

NDロードスターのフルモデルチェンジは当初2026年頃と予想していましたが、2024年の電子プラットフォーム刷新(※ND3)はフルモデルチェンジ並みの仕様変更でもあるので、少なくとも2028年までモデル継続すると思われます。そうなると2015年のデビューから13年以上経過するので、最も長い期間販売するロードスターになりそうですね。※海外市場ではエンジン仕様変更がなされた2018年以降のモデルをND2、2024年以降のモデルをND3と呼称します

また、生産台数は既に120万台を超えており、ギネス世界記録で達成した記録は現在進行形で更新されていることが分かります。

ロードスター/MX-5 グローバル生産台数(暦年ベース)1998-2023

ここからは暦年ベースの生産台数集計です。ロードスターは年間30,000台(2,500台/月)売れれば成功とされていますが、ユーノスロードスター(NA)のヒットはさておいて、NBもNCも基本的には健闘をしていたことが分かります。2008年と2011年に大幅に数字が落ちるのはリーマンショックによる世界的不況と、東日本大震災による物資不足や、生産優先順位の影響です。

また、NC2ロードスター(2007〜)の頃は猫も杓子も「燃費」「積載量」が重視された、スポーツカーのような趣味車は悪の象徴となる冬の時代でした。さらに、本来は2012年のフルモデルチェンジが予定されていましたが、フォード資本の撤退によりフルモデルチェンジの企画がリセットされ、急遽NCロードスターの延命処置(NC3)が行われました。

つまり、マツダに限らず日本経済自体が立て続けに窮地を迎えていたなか、ブランドピラー(象徴)としてロードスターを継続生産してもらえたことは、感謝しかありません。一方、海外に目を向けると国内市場と状況は異なり、一定以上の支持があったことが読み解けます。

ロードスター/MX-5 グローバル生産台数
NA NB NC ND 合計
1989 45,278 45,278
1990 95,640 95,640
1991 63,434 63,434
1992 52,712 52,712
1993 44,743 44,743
1994 39,623 39,623
1995 31,886 31,886
1996 33,610 33,610
1997 24,580 2,457 27,037
1998 58,682 58,682
1999 44,851 44,851
2000 47,496 47,496
2001 38,870 38,870
2002 40,754 40,754
2003 30,106 30,106
2004 24,232 24,232
2005 2,675 27,275 29,950
2006 48,389 48,389
2007 37,022 37,022
2008 22,886 22,886
2009 19,341 19,341
2010 20,554 20,554
2011 14,995 14,995
2012 15,400 15,400
2013 11,639 11,639
2014 12,246 12,246
2015 1,885 30,022 31,907
2016 40,101 40,101
2017 38,861 38,861
2018 27,452 27,452
2019 26,179 26,179
2020 21,492 21,492
2021 23,129 23,129
2022 27,137 27,137
2023 23,579 23,579
合計 431,506 290,123 231,632 257,952 1,211,213
先代比 67.2% 79.8% 111.4%

近年最大のトピックは2020年に起きたパンデミックです。生産・流通をはじめとした世界的な経済活動の打撃により、それまで堅調だったNDロードスターにも影響が出たことが分かります。ロードスターに限りませんが、この頃から納車待ち期間が「半年待ち」が普通にあるうる時代となりました。

同時に、この時勢による価値観の変化は「趣味にお金をかける」「自分らしく生きる」ことに作用し、特に内燃機関で駆動するエンジンをICE(インターナル・コンバッション・エンジン:internal combustion engine)と呼称するようになり、EV(電動化自動車)もBEV(Battery Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PHEV(Plug in Hybrid Electric Vehicle)、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)と細分化され、全自動車の電動化カウントダウン(見切り発車)が、「今しか買えない」純ガソリンエンジン・スポーツカーのセールスに結びつきました。

既に5代目NEロードスター(仮)は電動化技術を採用すると公式にアナウンスされており、NDロードスターは内燃機関(ICE)の最終モデルとして確定しています・・・が、2023年末から中国製EVの台頭(=欧州メーカーの衰退)により、電動化一辺倒だった自動車業界のシナリオが書き換わろうとしています。

また、モデル末期と思われていたNDロードスターも2024年の大型マイナーチェンジにより延命が確定され、生産能力の回復とともに需要が急回復する、驚異的な状況が続いています。

すでに周知されているとおり、NDロードスターは2リッター幌やファイナルモデルが控えています。2022年時点のマツダは2026年までに全車へ電動化技術を採用すると宣言していましたが、さらなるマイナーチェンジでハイブリッド化されるかも知れませんね。ハイブリッドモデルであればマニュアルトランスミッションも継続されるでしょうし、現時点の人気を鑑みればモデル継続でも「売れる」でしょうから、じっくりNEロードスターを開発して欲しいですね。

ロードスター/MX-5 グローバル販売台数(暦年ベース)1998-2023

ここからは市場ごとの販売台数リザルトです。もともと北米市場向けに企画されたロードスターですが、注目したいのは欧州市場です。NAロードスター時代はディーラー網が整備されていなかったことから台数は出ていなかったのですが、リトルジャガーとされたNBロードスターやNCロードスターは「ライトウェイトスポーツの本家」となる欧州で、北米よりも支持されていたことがわかります。

なお、生産台数と販売台数は連動するので、前項と同様に2008年~2011年(リーマンショック/東日本大震災)あたりで数値は大幅に落ち込みます。その後において国内市場は回復の兆しが見えませんでしたが、海外では一定の需要が継続できていたことに注目です。

ロードスター/MX-5 グローバル販売台数
日本 北米 欧州 太洋州 中国 その他 合計
1989 9,307 25,879 0 657 0 0 35,843
1990 25,226 39,850 9,267 1,455 0 0 75,798
1991 22,594 34,196 14,050 698 0 0 71,538
1992 18,648 27,241 6,632 499 0 0 53,020
1993 16,779 23,089 4,824 453 0 0 45,145
1994 10,828 22,573 5,019 404 0 0 38,824
1995 7,171 21,108 7,174 196 0 0 35,649
1996 4,409 18,966 9,585 241 0 0 33,201
1997 3,537 17,812 10,480 206 0 0 32,035
1998 10,174 20,890 16,831 1,310 0 0 49,205
1999 4,952 18,936 21,130 1,354 0 30 46,402
2000 4,644 19,627 19,268 1,038 0 33 44,610
2001 4,211 17,757 16,368 924 0 6 39,266
2002 2,934 15,622 19,670 698 0 34 38,958
2003 1,520 11,999 18,934 540 0 11 33,004
2004 1,646 10,501 13,885 483 0 248 26,763
2005 3,657 10,658 9,852 743 0 353 25,263
2006 4,067 18,479 19,402 1,468 0 827 44,243
2007 3,845 16,888 18,899 1,170 0 772 41,574
2008 1,858 12,384 13,252 639 0 610 28,743
2009 1,947 8,767 9,709 521 720 474 22,138
2010 1,120 7,106 10,317 440 652 431 20,066
2011 1,104 6,286 8,147 315 284 446 16,582
2012 941 7,016 7,207 159 75 438 15,836
2013 768 6,334 6,113 178 46 331 13,770
2014 595 5,256 5,813 118 18 362 12,162
2015 8,509 9,221 6,881 917 1 979 26,508
2016 6,126 10,368 14,145 1,577 0 2,351 34,567
2017 7,005 12,438 16,039 1,459 0 2,832 39,773
2018 5,331 9,785 13,787 820 454 1,761 31,938
2019 4,717 8,527 14,378 442 47 1,774 29,885
2020 4,413 9,323 4,833 457 0 1,300 20,326
2021 5,369 11,563 7,004 744 0 1,433 26,113
2022 9,567 6,845 5,327 495 0 1,931 24,165
2023 5,991 10,011 7,281 653 0 2,088 26,024
合計 225,510 533,301 391,503 24,471 2,297 21,855 1,198,937
市場割合 18.8% 44.5% 32.7% 2.0% 0.2% 1.8%

※欧州は東欧・西欧合計、大洋州はオセアニア地域、その他は日本と中国を除く累計


面白いのは2015年以降のNDロードスター販売動向です。

ローンチ後は北米市場よりも欧州市場の方が堅調に推移していたのですが、2020年のパンデミックを契機にガクっと崩れてしまいます。ただでさえ環境規制が厳しくなってスポーツカー継続が減退しているところに、ウクライナに端を発した欧州情勢不安(2022年~)によるエネルギー価格の高騰も重なり、なかなか厳しい状況が継続しているようです・・・

物価高騰は国内にも影響が出ており、ガソリン単価が約160円/Lとリーマンショックや東日本大震災の時よりも高値更新を続けており、さらに欧州では円換算で約250円~270円/Lとなっているようです(これでも一時期よりは落ちついた)。為替換算(円安)を指し抜いても、欧州では一時期EVシフトを推していたこともあり、趣味車にとって厳しい状況であることが分かります。


一方、国内市場では趣味車(スポーツカー)の復権に加え、NDロードスター「990S」グレードのスマッシュヒットにより、2020~21年は納車待ちが多かったとはいえ、2015年のデビュー時よりも「売れている」とんでもない事なっています。特に2022年は海外よりも日本市場が一番売れており、これはユーノスロードスター(NA)でも実現しなかった快挙です。ただし、これは海外市場のレギュレーション対応や、一部グレード廃止のために輸出が滞った可能性もあり、翌年には海外需要も回復の兆しがみえています。

ちなみに、国内におけるNDロードスターの目標販売数は9,000台/年(幌750/月 RF250/月)です。2024年にはマイナーチェンジとともに、昨今の物価高による価格改定があったのですが(Sグレード:2,689,500円→2,898,500円)、魅力が継続していることから売り上げダウンにはなりませんでした。

なお、2024年モデルはパーキング・アシスト・ユニット制御プログラムの修正リコールが行われ、11月上旬から一時受注停止になっていました。それでも11月までの累計で9,051台(幌6,817/RF2,234)が売れている、素晴らしい成果を上げています。

ロードスター・シェア分析(2023)

2023末時点 世界販売台数(※) 国内販売台数 世界での
国内シェア
母数 1,198,937 世代割合 225,510 世代割合 18.8%
NA 421,207 35.1% 118,499 52.5% 28.1%
NB 279,296 23.3% 30,717 13.6% 11.0%
NC 230,590 19.2% 19,266 8.5% 8.4%
ND 253,314 21.1% 57,028 25.3% 22.5%

※NA/NBともに販売台数は約5,000台オンされると思われるが、詳細を追えず

国内ではNAが圧倒的に「売れた」ことは周知の通りですが、NDロードスターは既にNBやNCをぶっちぎって売れています。ただし、NBやNCに魅力がないわけではなく、時代背景によりNDの販売に追い風(ブースト)がかかっている結果ともいえるでしょう。特に、国内ではNBやNCがレアな存在となるので、ゆくゆくはプレミアに繋がるでしょう。

また、2022年末のマツダイベントにて先代までの国内登録車数が公表されています。母数の多かったNAロードスターは約2万台がナンバープレートを付けているようですが、注目すべきはNBロードスターです。知らぬ間に「国内で最も少ない」ロードスターになっていました。むしろNCロードスターはまだまだ現役で頑張っているようです。

2022時点 国内販売台数 世代割合 国内残存数
(登録車)
残存率
母数 219,643
NA 118,499 54.0% 20,723 17.5%
NB 30,713 14.0% 13,793 44.9%
NC 19,283 8.8% 15,530 80.5%
ND 51,148 23.3%


以下は、ロードスターの世界シェア割合です。ロードスター(MX-5)は北米向けでありつつも、20周年記念車(NC)、25周年記念車(NC)や30周年記念車(ND)などの限定車割り当てでもわかるように、日本よりも欧州市場の方がスコアを稼げる状況であったことがわかります。人気に時代が追いつき、35周年記念車(ND)は期間限定とはいえ受注生産モデルになるのは嬉しいですね。

逆に、8割以上が海外需要になっているとはいえ、国内にしかないロードスター(NBクーペやWebTuned、各世代のNR-Aや現行「S」「990S」シリーズなど)を大切にしてくれているのも嬉しい事実です。「日本のスポーツカー」を設定してくれるマツダの心意気に感謝です。

ちなみに「その他」地域にはアラブ首長国連邦、クウェート、サウジアラビアなどが含まれます。ミリオネアに可愛がられているMX-5が約100台ほど(特にNCロードスター)がいたようです。一方で、中国市場向けに輸出されていた時期がありましたが、昨今のチャイナリスクによりテストマーケティング程度の数しかでていませんでした。

グローバル・マーケット割合(2023)
日本 18.8%
北米 44.5%
欧州 32.7%
太洋州 2.0%
中国 0.2%
その他 1.8%
以上、数字で読み解くロードスターの世界でした。じっくり表を眺めていると、もっと見えてくるものがあるかもしれません。ご参考いただければ嬉しいです。

関連情報→

NBロードスター 国内販売台数(ALLまとめ)

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