NBロードスターのボディカラー(全30色)

NBロードスターのボディカラー(全30色)

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なぜNBロードスターのボディカラーが豊富なのか

NBロードスターのボディカラーは国内仕様で全26色、海外仕様のみで販売されたボディカラーが4色、あわせて全30色になります。これは歴代ロードスターのなかでも最もカラフルなラインナップになっています。

その背景の主な理由は、フォード傘下だったことにあります。

当時、販売多チャンネル戦略の廃止や関連会社を整理して(ユーノス、アンフィニ、オートラマ、M2、マツダスピード)、マツダブランドの再構築および、もちろん販売車種にもテコ入れが入り、バッジチェンジ車はもちろん、恐ろしいくらいに増えていたカペラやファミリアの兄弟車も廃止され商用車も中止と、開発資本の集中がおこなわれました。もちろんロータリーなんて問題外で、環境規制の段階で廃止が決定していました(のちに「RX-8」としてロータリーは復活しますが)。

そのようななか、なぜロードスターが生き残れたかといえば「儲かるクルマ」だったことと、カーガイが多いフォードからもMX-5は愛されていたからとされています。ただしラインナップ統合計画には盛り込まれており、スペシャリティカーのMX-3(ユーノスプレッソ、AZ-3)とキャラクター統合が行われています。

なので、NBロードスターは型式が変わっていても先代と基本骨格(N系マツダFRプラットフォーム)は同じで共通部品も多く、環境規制や安全規制に対応した実質はマイナーチェンジだったりします。これは、車種継続のために決められた予算内で「中身を鍛える」ことを選択したエンジニアの英断です。したがって、1989年のNAロードスターデビューから2005年のNBロードスター終了まで、約15年間クルマが熟成されました。

一方、開発原資を集中したマツダは1998年のNBロードスター以降、新型車の発表は1999年「プレマシー」、2000年「トリビュート」と2車種のみで、他はOEM車やマイナーチェンジでしのいでいました。つまり2002年の「アテンザ」までは新車発表がないので、マイナーチェンジしたロードスターやRX-7のTVCMが流された奇跡のような時期がありました。

したがって、既存車種における実験的な取組みには比較的寛容で、NBロードスターにおいて今では絶対に無理そうな車種が販売されました。インターネット注文で独自グレードを設定できる「Webtuned」や、カスタマイズカー需要に応える「ロードスタークーペ」、ハイパワー仕様の「ロードスターターボ」などです。

また、当時のキャッチフレーズ「Zoom-Zoom」は溌剌(はつらつ)さを示す言葉であることや、バリエーションを増やすために内外装のカラーラインナップを豊富にすることが認められたことから、NBロードスターにはビビッドなものからシックなものまで、豊富なボディカラーが揃ったのでした。

NB1 1998年1月~2000年6月(約2年半)


生産制約の多かったNBロードスターのボディカラーは、基本的に宇品工場で生産されるマツダ他車種の流用になります。ただし、慣習によって1色のみ専用色の開発が許されたそうです。

そこでNBロードスターのテーマカラーとして開発されたのが「エボリューションオレンジマイカ」です。薄目なメタリックオレンジは色名を気にしなければまさに「金色」であり、NBロードスターのオーガニックシェイプを際立たせる美しいボディカラーです。しかし、この専用色は1998年モデルのみで、1999年からはカタログ落ちしています。つまり、実質1年間の限定色でした。

また、NBロードスターにはもう1色テーマカラーが設定されています。それはVSグレード専用色の「グレースグリーンマイカ」です。先代Vスペシャルのソリッドカラーだった「ネオグリーン」から一歩踏み出し、NBロードスターのボディ抑揚を強調するマイカ系のブリティッシュレーシンググリーンに仕上げてあります。ちなみにカペラ(MAZDA626)と共有するボディカラーです。

なお、グレースグリーンはNB4(2004)生産前半まで「VSグレード専用色」として継続されており、NBロードスターの象徴的なボディカラーともいえます(※Web-tunedやロードスターターボでも選択可能)。

<マツダ技法より転記>
幅広いカスタマー層をカバーするため7色のボディカラーを設定。アイキャッチカラーとしてオレンジメタリックを追加した。また、個性を強調するグリーンカラーを、抑揚のあるスタイルに合わせ、動きのある色にするため、従来のソリッド系からメタリック系に変更した。


限定車として設定された「イノセントブルーマイカ」はRX-7(5型のテーマカラー)に設定されているものです。また「アールヴァンレッドマイカ」はユーノス800、ユーノスロードスタの限定車「VR-A」と同じ色になります。

なお、グレード構成のトピックとしては【標準車】が設定されていました。パワステレス、固定アンテナ、オーディオレス、手動サイドウィンド、スチールホイールというもので、オプションでエアコンレスモデルもありました。これは車重1,000kgというもので、現在も継続するメディア対抗レースのベース車両として30台存在します。また、その他【標準車】は28台。中途半端な限定車よりもレアリティの高い、伝説のグレードですね。

NB2 2000年7月~2002年6月(約2年)


かつてNAロードスターは2000年まで「デザイン凍結宣言」がアナウンスされており、98年のNB1は予定よりも前倒しでフルモデルチェンジとなりました。これは世界的な環境規制や安全規制に対応するためです。

そして2000年、フェイスリストだけでなく中身まで大きくテコ入れされたのが、NB2(NBロードスター後期型)です。もちろん新たなテーマカラーも設定され、新色「クリスタルブルーメタリック」はオートカラーアウォード(AUTO COLOR AWARDS)にてイヤーカラーを受賞しています。

また、定番色である銀、青、白系のカラーがマツダ他車種の更新と共に新色設定されました。この時点でNAロードスターから続く「クラシックレッド」がカラーコード変更(SU→A3E)されています。ちなみにNDロードスターで1年限定でクラシックレッドが復活しましたが、もちろんカラーコードも同じくA3Eでした。ソリッドな赤が似合うクルマは名車とされますが、NBロードスターもなかなかお似合いです!


限定色「ブラックマイカ」はメタリックがはいる黒で、初期CX-5にまで息が長く採用されていました。限定色「スターリーブルーマイカ」は限定車マツダスピードバージョンの印象が強いですが、マツダスピードファミリアにも塗られました。デミオや海外のNBロードスターではカタログカラー設定されています。

限定色「チタニウムグレーメタリック」はRX-7の最終限定車スピリットRと同色になります。NB4では「チタニウムグレーメタリックⅡ」が設定されますが、それよりも赤味が入るガンメタルカラーになります。「サンバーストイエロー」はNBロードスターにおいてはWebTuned限定色でしたが、当時ファミリアSワゴンやRX-7限定車にも塗られていました。こちらのカラーコードは旧ルールのまま(HZ)になります。

グレード構成としては標準車が廃止され、それに代わりNR-Aが設定されています。また、グレード名称変更(MパッケージがMへ)や、RSⅡ(赤内装)などインテリアカラーのバリエーションが追加されました。また、エンジンにも手が入りNB8C(1800cc)はハイオク化とともに(145ps→160ps)パワーアップが施され、全車補強による剛性強化が行われています。

NB3 2002年7月~2003年8月(約1年)


当時の国内ではライバルのスポーツカーが百花繚乱ひしめいており「今更ロードスター買うの?」なんていわれていたのがNB3時代です。

排気ガス規制対応で1800ccエンジンの出力が抑えられ(カタログ値はそのまま)、国際レギュレーションにともないエンジンチェックランプ、燃料計、自己診断機能(OBD2)が追加されました。また、撥水ドアガラス、チャイルドシートアンカー、Aピラートリムの形状変更といった細かな作り込みも行われています。


テーマカラーとしては「スプラッシュグリーンマイカ」が設定されています。このビビッドな緑は、同時期にデビューした2代目デミオ(DY)のスポーツグレード(スポルト)に開発された色になります。陽射しによっては青く見えたり、暗い場所でも存在感があったりと不思議な色でした。また、新たに設定された「ガーネットレッドマイカ」はファミリアセダンに用意されたカラーで、シックで大人な雰囲気を醸し出します。

限定色「セリオンシルバーメタリック」は緑がかった銀色・・・いわゆるシルバーグリーンです。この色が設定されたSGリミテッドのベースはRSおよびNR-Aと走りのグレードでバリューの高い構成だったのですが、NBロードスターの最終時まで売れ残っていた限定車でした。なお、デミオにも同色が設定されています。

グレードの目玉としては、VS系グレードがふたつに分かれ、「VSコンビネーションA」はブラックレザー、「VSコンビネーションB」は既存のタンからベージュ内装になりました。滅多に見ることのない「VSコンビネーションA」ですが、現行型NDロードスターの「SLP(Sレザーパッケージ)」へ引き継がれるコーディネートとなります。

NB4 2003年9月~2005年6月(約2年半)


当時、やっとマツダの新型車種が発売された時代で、それらはアスレチックデザイン(RX-8、アテンザ、アクセラなど)というテーマが設定されていました。モーターショーやTVCMで流れたリズミカルな「Zoom-Zoom」系ミュージックは、ネットスラングにまでなりました。


新たに設定されたテーマカラーは「チタニウムグレーメタリックⅡ」となり、前のチタニウムグレーとは異なり青味が入っています。こちらも息が長い長い色でRX-8では最終限定車「スピリットR」まで続きました。また、マツダスピードアテンザにも塗られたスピード感のあるガンメタルです。

ロードスターターボに採用された「ベロシティレッドマイカ」はRX-8のテーマカラーであり、のちのNCロードスター限定車にも塗られています。また「ライトニングイエロー」はロードスタークーペもしくはWebTunedでしか選択できなかったもので、RX-8のカタログカラーではありますが、エイトでも初期にしか選択することができませんでした。

NB4のトピックは、グレード構成はNB3と代わりませんが、インテリアにシルバーアクセントが採用されたり、レザーシートの質感向上、運転席バイザーにもバニティミラーが採用されるなどの利便性向上が行われました。一方でナルディの経営破綻により、それらが設定されていたインテリアパーツは同等品に代替されました。

限定車としてはロードスターターボと固定ルーフとなるクーペがあります。ただし、クーペは当時マツダ工場で大規模な火災が起き、復旧に向けて基幹車種が優先されたことと、NBロードスター自体モデル末期の不人気さもあり、販売予定数が達成できませんでした。

NBロードスター海外限定色

NBロードスターの(とりわけモデル末期における)国内販売は振るわなかった一方で、海外(特に欧州)において「MX-5/Miata(※ロードスターの海外名)」の評価は非常に高く、国内販売されたっかった魅力的な限定車が存在しています。


2000 サンバーストイエロー(HZ)※NB1

国内NBロードスターにおいてはNB2(後期型)の「WebTuned」のみで設定された、NAロードスターの「Jリミテッド」以来の「サンバーストイエロー」。海外ではNB1の「Mazda MX-5 California」に採用されていました。色見はいわゆる「濃ゆい」黄色で、訳すると「雲間から指す陽光」という素敵なネーミングです。


ちなみに、後期型のサンバーストイエローは「VividYellow(ヴィヴィッドイエロー)」と違う名前が付けられています。


2001 ブリティッシュレーシンググリーン(A3V)

北米のMX-5後期型の「MX-5 Miata Special Edition Roadster(※MX-5、Miata、Roadsterと全ての名前が入っている!)」という限定車、いわゆる「2001 SE」に用意された緑が「ブリティッシュレーシンググリーン」です。A3系のカラーコードといえば、NA時代からキャリーオーバーされたボディカラーの新コードであり、ロードスターでソリッドの緑といえば、ユーノスロードスターVスペシャルから続く伝統の「ネオグリーン」です。

ちなみに米国での「グレースグリーンマイカ」は「エメラルドグリーンマイカ」という名称のマイカ系カラーです。新コードませでっ呈されていたのに、伝統のVスペシャルカラーは米国のみの販売でした。日本で出なかったのが悔やまれますね・・・


2002 ブレージングイエローパールマイカ(26S)

こちらは主に北米の「Special Edition」もしくは「Arizona」等の限定車に設定されました。国内では2代目デミオ(DY)のフェイスリフトされた後期型にのみ設定されたボディカラーで、「サンバーストイエロー」よりも赤みの入った黄色です。イメージはピカチュウのような、もしくはNC2の「サンフラワーイエロー」に近しい色味になっています。

黄色系のマイカ塗装ということで、後期型デミオで見かけてはハッとさせられるくらい目立つ色でした。


2004 レイザーブルーメタリック(28P)

こちらは欧州のNB4「Arctic」という限定車に採用された色です。国内ではベリーサやMPVに採用されており、NB2の「クリスタルブルーメタリック」よりもクール寄りな青となっています。

ちなみに、この「Arctic」というシリーズはNC、NDにも青系限定車に付けられる定番の名称です。


2005 パッションオレンジマイカ(27Y)

欧州のMX-5最終型「MX-5 Icon」に採用された「パッションオレンジマイカ」。日本国内では3代目デミオ等に設定されました。


一方、NBロードスターの最終生産時(2005年)において、国内ではNB6C(1600cc)しか注文ができず、ボディカラーも「白か銀」しか選択できなかったのですが、海外はまさかのオレンジ色が採用されていました。なお、北米の「MazdaSpeed(ロードスターターボ)」でも選択が可能で、写真では隣に置かれているベロシティレッドと比べても、色温度が高いことが分かります。ロードスター初の純粋なオレンジ色はNDロードスターの「30周年記念車」ではなく、NBロードスター最終型なのです。

NBロードスターのボディカラー:まとめ

以上、国内のNBロードスターは全26色、グレードは27になります。全てのNBカラーラインナップが一堂に介する日はなかなか厳しそうですが、そんな光景を見ることができたら壮観でしょうね!


また、海外専用のボディカラーはの4色(NB1サンバーストは除く)とすると、全30色!流石NBロードスター、バリエーションだけは豊富です。


全てのカラーラインナップが並んだら、それはもう壮観な光景ですね・・・海外に行かれる機会がある方は、珍しいMX-5/Miataをぜひウォッチしてみてください!

関連情報→

クリスタルブルーメタリックのNBロードスター

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