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今回はロードスターのプロトタイプ車両に施した「擬装」ご紹介です。新車開発も佳境に入ってくると、メーカーは安全性や走行性能などを徹底的にチェックするために、市販モデルに近い状態でテストを行います。
未発表車種のデザインは、ローンチまで明らかには出来ませんので擬装(カモフラージュ)をエクステリア・インテリアに施します。意識して流出することもあるようですが、基本的には企業秘密を守るための装備です。
それは当然ロードスター(MX-5)も例に漏れません。市販バージョンを知る今、これらを見直すとなかなか味わい深い擬装になっていますので、今回はそのご紹介です。
NAロードスター
NAの擬装はツーリングワゴン、今でいうシューティングブレイクタイプのレザーラッピングが施されています。そういえば、この頃はツーリングワゴン&RVブームでしたね・・・
ボンネットはリトラクタブルヘッドライトのクリアランスを確保するためにボンネットが分厚くなっています。また、Aピラー上端は幌だと分かってしまうので、ダクトテープがべっとり貼られています
擬装オーバーフェンダーやスカスカのCピラー(櫓(やぐら))が、現車を知る今なかなか面白いです。よく見れば片側一枚ドアで、ホイールベースも短いので用途不明なクルマにみえます。まさに実車が予想しづらい。
NBロードスター
大ヒットしたNAロードスターの後継は早い段階から存在が噂されていました。ぱっと見いつものMX-5のハッピースマイルフェイス。
グレースグリーンっぽいですが、NAのVRリミテッドと同じホイールを履いているのと、メタリック塗装だとNBボディの抑揚で違いが分かるので、もしかしたらエクセレントグリーンに塗られていたと予想していました。しかし、貴島さんに確認したら「ブリリアントブラック」が正解でした。
クルマ自体はノーズブラに穴を開けて、NAのウインカーっぽく見せているだけです。(リアからの画像が見つかりませんでした)こう改めて見ると、NBはNAの系譜だと良くわかります。多分、このままのボディラインでリトラクタブルヘッドライトだったら伝説になった気がします・・・が、軽さが性能のロードスターには固定ライトは必要な選択でした。
余談ですが、最後のリトラクタブルヘッドライト採用車は、国産では2002年のRX-7(FD3S)、世界では2005年のコルベット(C5)になります。
NCロードスター
NCの擬装はレザーラッピング。面白いところは、ボンネットバルジや、アスレティックデザインのアイデンティティであるプロミネンスフェンダーを隠しつつ、擬装でRX-8風の顔を作ってミスリードを誘っているところです(ヘッドライト、グリル、フォグランプまで)。
エイトと基本車体が共有化されることは当然知られていたのですが、ドライバーの小ささを見ればコンパクトな車であることが判ります。
でも、この姿だけではNC1の実車はなかなか想像がつかない、面白い擬装です(実車でマツダファミリーフェイスを採用しなかった!)。また、5穴で17インチのホイールはなかなかの迫力。
NDロードスター
これは最近のものですから有名かも。今時のデジタルカモフラージュでラッピングされています。この写真は意図的にリーク(ファンサービス)されたものだという話です。ここまで近づいていてフロントの写真がありませんし!
テールライトをみて、歴代の“釣鐘・小判”形状を踏襲するのか?とか、サイドマーカーは同じものになるのか?なんて物議を醸したのも記憶に新しいです。
ちなみにNDロードスターのみ国内の写真ですが、他は海外行脚のものばかり。
プロトタイプ車両、つまり市販前のクルマを日本で走らせるためには法規が厳しくて、現実的にはあまり行われることは少ないそうです。NDは舞浜の発表会直前だったので、その辺をクリアしていたのでしょうか?
まとめ
海外、とりわけヨーロッパではクルマ文化が熟成しているので、その辺が「わかっている」文化があるのは流石だと思います。スパイショットでお祭りになるのはお約束です。
それにしても、ユーザー目線で考えれば擬装車は新車発表前の想像力を膨らませる素敵な存在。それが自分の好きな車種であれば尚更です。そんなロマンの塊のような、歴代擬装車のご紹介でした。