流(ナガレ)と魂動(NC2/NC3ロードスター)

流(ナガレ)と魂動(NC2/NC3ロードスター)

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2008年末、NC1から約3年を経てNCロードスターはマイナーチェンジを迎えました。通称「NC2」と呼ばれる進化は、フェイスリフトだけではなくメカとセッティングの熟成など、わかりやすい性能向上がなされました。

NC2ロードスターは、当時のマツダデザインテーマ「流(NAGARE)」をうまく取り込みながら、テーマカラー「サンフラワーイエロー」の鮮烈さも伴い、牧歌的だったNCロードスターのイメージを、研ぎ澄ませた雰囲気に刷新しました。

NC2ロードスター 流(ナガレ)デザイン


「流(NAGARE)」デザインとは、アスレティックデザイン(NC1)の「スポーティさ、はつらつさ」の次のステップとして「自然界に存在する動きの美しさ」をテーマに据えています。

そこで、NC2ではファイブポイントグリル(マツダファミリーフェイス)の採用を軸に、引き締まったヘッドライトと力強いフォグベゼル、そしてボディサイドにキャラクターラインを入れて、ワインディングや海岸線などの自然界を走り抜ける「疾走感」を表現しました。

NC2ロードスターの特徴


フェイスリフトされたフロントセクションは衝突安全基準の対応上、NC1の3,995mmから4,020mm(+25㎜)と若干延長されています。ファイブポイントグリルはマツダマークを中心に構成するので、実物をみると「とても大きいカモメ」バッジを中央にして、ハッピースマイルな五角形グリルを構成しています。

また、コンセプトイラストで比較すると気づくのですが、バンパー下方からサイドシル、リアバンパーまで一本のキャラクターラインが入っています。この車体全体を突き抜ける大胆さが「流デザイン」の特徴です。


また、フォグランプベゼルは(アクセラやアテンザなど)他「流デザイン」のアイコンを単に使っているのではなく、フロントフェンダーへ綺麗に繋げているのはさすがです。


エクステリアの変更点は「ヘッドライト」「フロントバンパー」「サイドシル」「テールライト」「リアバンパー」と大幅にリファインされてました。余談ですがMX−5(海外モデル)は、サイドミラーの造形も違っています。

実は、先輩たちのリスペクトだった


テールランプはNC1のクリアテールから赤みを注入させつつ、若干張り出した造形になっており、全体のフォルムも形状が違います。したがってNC1に流用すると、若干の隙間がでてしまいます。


ちなみに、NC1ロードスターはNAロードスター、NC2はNBロードスターがモチーフになっています。ファイブポイントグリルのフェイスもそうですが、テールライトの造形でもそれが見て取れるはずです。また、NC2でモデファイされたリアバンパーの造形はディフレクター効果(風切り音防止)を伴いながら、空力特製も上げています。

ワイド感!?意外な事実


少し意外な事実としては、NC2の広報資料には「安定感」「ワイド感」といった単語が出てきます。NC2デビュー当時は環境性能の対応ができなかった数々のスポーツカー死滅していき、ライバル不在になってしまったので、車格を上げるためにこういった表現が必要でした。

余談ですが、NCロードスターはアフターパーツによるモデファイも視野に入れているので、サイドシルなど様々なパーツが「パコン」と簡単に外れます。組立時の工数減とともに、エアロパーツを重ねて重量増にさせないための配慮でもあります。


もちろんNCロードスターなのでRHTグレードも設定されました。

幌モデルとの差別化は、各種メッキでアクセントを入れたり、クリアタイプのハイマウントストップランプを採用したりと、RHTのキャラクターに合わせたエレガント寄りなドレスアップが施されています。個人的な感想ですが、NC1ロードスターRHTよりも高級に見えるのが不思議です(実際に値段は上がりましたが・・・)。


インテリアデザインは「サドルタン」から「ハバナブラウン」がVSグレードのイメージカラーになりました。また、ピアノブラックのデコレーションパネル廃止や、サイドマルチポケットの容量を減らして足元を広げたりと、3年の経験を経たうえでコストダウンしつつも質感アップを行っています。

最後の貴島ロードスター

また、特徴の一つといっても過言でないこととしては、初代から3世代にわたってロードスターの主査をされていた貴島孝雄さんの、最後の担当がNC2ロードスターになります。

貴島さんは自分のロードスターとして黄色(サンフラワーイエロー)を買おうと思ったら家族に反対され、メトロポリタングレーを選んだそうです・・・ミスターロードスターが最後まで作り込んだモデルと考えれば、NC2はある意味で「NCロードスターの完成系」といえるモデルでした。

こちらが当時のプロモーションムービーです。稜線を駆け抜ける姿がたまりません。こんな道をオープンで走りたいですね・・・

最大の貢献「車」、NC3ロードスター


ロードスターシリーズ最大の貢献者・・・まさかのNCロードスターのマイナーチェンジが2012年7月に発表されました。通称「NC3」ロードスターです。

実際、NC1ロードスター発表から7年が経過し、NCロードスターはフルモデルチェンジのサイクルに入っていました。

しかし、リーマンショック問題(2008年)で【NDロードスターになる予定だったもの】の開発が一旦凍結されてしまい、NC3ロードスターは予定外の存在として延命処置が施されました。主査をされたのはNDロードスターのリーダーをされた山本修弘氏です。なお、NDロードスターはこの出来事をきっかけにゼロリセットを行い、ブランドピラーになるべく完全にゼロからの作り直しをはじめました。


もちろん延命処置とは、いえ手を抜いたわけではありません。

メカやセッティングの熟成はもちろん、さらに厳しくなった衝突安全基準に対し、フロントノーズは伸ばさずにアクティブボンネット(衝突時にボンネットが跳ね上がる)で対応しながら、その重量増をバンパーの軽量化でしのいでいます。したがって、主な見た目の変更点はフロントバンパーのみになりヘッドライトはNC2と基本共通で、グレードによってブラックアウトなどの小変更がされました。

なお、NC1、NC2と日本発のデザインでしたが、NC3は米国のデザインチームが担当しています。

NDロードスターのティザーデザイン 魂動NC3



デザインの見所としては、「魂動(コドウ)デザイン」のエッセンスを取り込んでいるところです。フォグランプベゼルにそのイメージが集中しがちですが、実はファイブポイントグリルがNDロードスターと共通の「優しい口」になっています(これは、次世代への予告であると思われます)。


また、RX−7(FD)のようなリップスポイラーも装着されました。人がぶつかった時に上に跳ね上げる効果があるのだとか・・・

そしてNCロードスター最後のファンサービス「25周年記念車」は、ソウルレッド、黒ミラー、黒RHT(屋根)といったカラーリングとしてNDロードスターを予告しているのもポイントです。

尊敬すべきNCロードスター


NC3ロードスターで時間を稼げたからこそ、NDロードスターの開発を根本から見直し、LWS(ライトウェイトスポーツ)としての在り方を追求することができました。ただ、歴史にIFは禁句とはいえ、リーマンショックがなかったらどんなNDロードスターが登場していたのでしょうか・・・おそらくアドバンス(先行)デザインは存在したと思いますが、絶対に表に出てくることはないでしょう。

一部では「こんなデカいのは」「こんな重いのは」「こんな高級なのは」「こんなエンジンじゃ」「こんな見た目は」・・・最終的には「昔のロードスターの方が良かった」といわれ、NCロードスターには逆風が吹いていたことも事実です。


しかしロードスター史上で約10年以上と一番長く生産され、さまざまな制約の中で何よりもライトウェイトの理念を守りつつ、その血を絶やさず守ってくれたNCロードスターの存在は、ロードスター乗りであればリスペクトせずにはいられません。今後、名車として再評価されることを確信して、この話を閉めたいと思います。

ロードスター乗りなら嬉しい動画はこちら。


そして、新たな歴史が始まりました。

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