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今回はNBロードスター2002年のマイナーチェンジモデル、通称NB3のグレード内訳をご紹介です。ソースは某EPC2のデータ解析からです。
NB3ロードスターの特徴
なお、これまでの解析内容は要約したのもですが、実際はシリアルナンバー、グレード(仕様)、トランスミッション形式、ABS有無、内装タイプ、シートタイプ、外装色、製造年月日までを解析しています。特にNB3シリアルコードの特徴は、NB2(特にWebTuned)で細分化しすぎた内容が整備統合され、非常に分かりやすいデータベースになっていました。
また、NB3ロードスターの特徴は、エミッション(環境)対応をおこなうための排気系ユニット追加や、自己診断装置にODB2規格を採用するなど、より国際基準に即したリファインが行われました。それに伴って若干の重量増とエンジン出力低下(1800cc)があるのですが、諸元はNB2と同じ記載になっています(大人の事情)。
重箱の隅ネタでいきますと、衝突対応の為にAピラーの内装材が厚くなっていたり、ガソリン残量やエンジンの警告灯が追加され、ISO-FIX対応のチャイルドシートフックが助手席裏に配置されています。
2002-2003 Mazda Roadster(NB3) 国内生産台数
NB3の国内生産全体像をみると、NB2の約1/4の販売台数(8,643台 → 2,250台)にみえますが、生産期間は約1年になるので(他世代は約2年)、実質は半数ほどの販売数になります。しかし欧州では堅調なセールスを記録し、世界全体でみると年間4万近くのオーナーが誕生していました。
販売傾向の特徴としては、1800ccハイパワーユニットの需要がひと段落したのか1600ccの出荷が逆転したことと、新車販売のABS装着義務が控えている時期だったので、先行対応として9割近くがABS付きの個体になります。また、トランスミッションのMT比率は歴代NBロードスターと変わらず75%強を維持しました。
BodyColorList Mazda Roadster(NB3)
ボディカラーは前年のトレンドカラーだった水色(クリスタルブルーメタリック)に続き、2002年のトレンドカラー、ターコイズの「スプラッシュグリーンマイカ」と「ガーネットレッドマイカ」がテーマカラーになりました。(※余談ですが、この頃の携帯電話(ガラケー)はターコイズ・カラーが多いです)
またVIN記載の内装コードが変更され、バリエーションも格段に分かりやすくなりました。ちなみに基本コードは「NC0 → 黒」「NC2 → 赤」「NC3 → ベージュ」となっており、NBロードスターではありますが、内装にはNCというコードを使っていてややこしいです。
BodyColorBreakdown MazdaRoadster(NB3)
近年のロードスターと比較するとなかなかカラフルなラインナップです。フォード資本だった影響か、それともマツダのカーラインナップが少なかった影響でカラーバリエーション勝負をしていたか・・・2000年代のマツダ車はビビッドな色使いがとても素敵です。(※なお、海外のNB3では新色の黄色もラインナップされています)
内訳をみると、白・銀・黒が検討していますが、実は2番目に売れているのは限定色「セリオンシルバーメタリック(24V)」でした。また、テーマカラーの「ガーネットレッドマイカ(25F)」も割合としては健闘していますが、NBロードスター全盛期から比較すると、国内販売が落ち込んでいるのが分かります。
そして、もうひとつのテーマカラーだった「スプラッシュグリーンマイカ(25R)」はまさかの最下位でした。全NBロードスターの中で74台と、カタログカラーなのに限定車よりも少ない出荷でした。(※余談ですが、私が新車購入したスプラッシュグリーンマイカのシリアルコードを調べたら、量産車で一番最初に塗られたオーダーでした)
見慣れない27Aというコードは、RX-8やNB4ターボで採用される「ベロシティレッドマイカ」です。1800ccに1台だけ塗られた履歴があり、スペシャルオーダーだった可能性があります。
NB6C(NB3)BreakDown
NB6(1600cc)の内訳です。シンプル装備の「MP」は「M」というグレード名に変更されました。「NR-A」はNB2時代はグレード追加のタイミングで数は出ていませんでしたが、NB3では人気モデルになりました。全体でみてもABS比率は9割近くなっており(※1800も同様)、むしろABSレスがレアモデルになります。
「SGリミテッド」は専用色「セリオンシルバーメタリック(24V)」に塗装され、「NR-A」と「RS(1800cc)」ベースで用意された限定車です。予定販売数は400台でしたが、実際に販売されたのは399台になりました。排気量に違いはあっても基本的な架装は同じで、エクステリアの差異はホイール形状のみになります。余程のNBロードスターファンでないと気づけないかもしれません。
また、カタログ記載には存在しない「WebTuned」専用の「S/M」というグレードも存在しています。ちなみに「WebTuned」の「スプラッシュグリーンマイカ」は世界で1台、NC4内装コード(VS内装黒幌)の「ガーネットレッドマイカ」も世界で1台です。
NB8C(NB3)BreakDown
NB8(1800cc)の内訳です。RSシリーズ(Ⅱ、SGリミテッド含む)が全体の6割を占めることもあり、他のNB世代よりもMT比率が高くなっています。この時期にハイパワーモデルを購入した層はスポーツドライビングのニードありきだったことが分かります。
また「VS」グレードは2つに分岐しました。「VSコンビネーションA」は黒内装の黒革シート、「VSコンビネーションB」は従来のタンより明るいベージュに色彩が変更された内装に、ベージュ革シートです。また、両グレードとも内装に合わせたクロス幌(布製の幌)が新規採用されました。クロス幌は高い質感とともに、冬でも柔軟性があるので直ぐに幌を開けることが可能になります。
しかし「VSコンビネーションA」の実車はレアで、NB3ロードスターで61台、NB4ロードスターで94台、日本のNBロードスター全体では0.5%しかありません。ほぼ見かけることがないので、その機会があれば拝むべき個体です。
NB3ロードスター 総括
NB3を総括しますと、同じマツダでもRX-8のリリースが控えていたり、エンジンスペックではインテグラ・タイプRを始めとしたホンダVTEC(NA)が全盛期の時代でもありました。対抗馬としてロードスターでも「MPS(未発売)」や「RSクーペ」が立て続けに発表されたりと、オーナー予備軍が「待ち」になってしまうことにも繋がりました。
また、手頃なNAロードスターの中古が市場に溢れており、マツダ自身から「マツダスピード・リフレッシュビークル」まで登場する始末です。つまり、ロードスターは中古で十分という空気感があったのです。さらに国内でロードスターはRX-7と共にモデル廃止の噂さえありました。
しかし実際は、エミッション(環境)対応の延命に加えて、ブランドピラーとしての役割を担う予定になっており、インターネット黎明期だった時期ならではの情報遅延を感じます。当時、世界は今よりも遠かったのです。
世界的に見ればポルシェ911(996)とベストハンドリングカーを競ったことにもあるように、ライトウェイトスポーツの模倣(リスペクト)といわれていたマツダ・ロードスターが、ついにライトウェイトスポーツのベンチマークという不動の地位を築き上げた、そんなモデルでもありました。
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