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今回はNBロードスター2003年のマイナーチェンジモデル、NB4/NB7の内訳をご紹介します。ソースは某EPC2のデータ解析になります。
NB4/NB7ロードスター 概要
モデル末期とはいえ、「ターボ」や「クーペ」といった派生モデルが追加されたNB4ロードスター。これは1989年にデビューしたNAロードスター誕生から15年以上、クルマを熟成させたからこそ出来るチャレンジでした。
一方、2002年の時点(NB3時代)より3代目NCロードスターの開発はスタートしているので、ロードスターの方向性を探るテストマーケティングの意味合いがある・・・など、いわれることもありますが、これは後付けのストーリーかと思われます。
特にデザイナーサイドの悲願であった「クーペ」は、ビジネス的な結果はさておき、テストマーケティングの範疇を超えていました。また、現在は希少モデルとして価格高騰しているのも、何とも皮肉な結果です。
さて、ベーシックなNB4ロードスターの特徴はインテリアに集中します。スピーカー内蔵のエアロボード、コンソールやエアコンベンチ、ドアノブにはアルミ調の処理が施されました。また、当時のナルディは経営破綻を起こし、その影響インテリアパーツの供給が止まりました。そこで国内メーカーのものに変更されています。
また、最後期仕様(2014年9月以降)はヘッドライトのロービームの規格変更(HB4→H7)、フォグランプの規格変更(HB4 → H11)などがありました。これはベリーサなど他マツダ車に併せたものであり、ボディカラーも同じく変更になっています。また、VINデータの内装コードがND0系に更新されました。
2003-2005 Mazda Roadster(NB4) 国内生産台数
NB3ロードスターの2,250台に対してNB4は2,305台と近しい数字になっています。ただし販売期間はNB4の方が倍(2年)になっているので、国内販売はかなり右肩下がりになっていました。なお、1600ccと1800ccのシェアは完全に逆転し、その影響かAT率が(5%近く)上昇しています。
NCロードスターが発表されたあとは駆け込み需要があり、最後一気に1600ccが市場に出ます。ただ、国内最後期の注文は1800ccは販売終了になっており、1600ccも在庫色意外は銀か白の「SP」しか注文できなくなっていました。
BodyColorList Mazda Roadster(NB4)
NB4のテーマカラーはRX-7/RX-8のスピリットRにも採用されていた「チタニウムグレーメタリックⅡ(29Y)」というスポーツカーらしい銀灰色です。また青系は「ストラトブルーマイカ(25E)」、緑系は最後期に「ノルディックグリーンマイカ(27C)」、ワイン系は「ラディアントエボニーマイカ(28W)」に変更されています。これは他のマツダ生産車とカラータンクを共有するための処置です。「ライトニングイエロー(A4J)」はクーペとWebTune用に設定された希少色になります。
BodyColorBreakdown MazdaRoadster(NB4)
内訳をみると、テーマカラーの「チタニウムグレーメタリックⅡ(29Y)」が健闘しています。それまで不動の人気色だった「グレースグリーンマイカ(18J)」のシェアが下がるのは、「ノルディックグリーンマイカ(27C)」に終盤で指し変わるのと、緑色自体の人気が衰えてきたことが起因しているようです。
NB6C(NB4)BreakDown
1600ccの内訳です。最終的には廉価グレードの「M」よりも装備に振った「SP」、もしくは走りに振った「NR-A」に二分することになりました。ABSの信頼も追いつき、94%以上がABS装着になっています。また、クーぺは車台番号がかわりますので、NB7として別カウントにしています。
全体の母数が少なすぎるので、どれもレアカラーになってしまうのですが、特にATの「WebTuned」はどの色も5台以下の設定でした。(※1600ccの黄色は全てMTでした)
NB8C(NB4)BreakDown
1800ccの内訳です。「RS」「RSⅡ」が3割以上の人気は当然として、グレード追加された「ターボ」が全体の35.2%という数字になっています。また、モデル末期であったこともあり(NAロードスターの「SRリミテッド」的なサービスで)4種類のインテリアを選択することが可能でした(ファブリック赤黒、ファブリック黒、VSA基準・赤ステッチ黒革、VSB基準ベージュ)。
ただ、予定台数350台のうち実際に出荷されたのは300台です。「ターボ」のテーマカラー「ベロシティレッドマイカ(27A)」が人気の中心かと思いましたが実際は約1/3ほどで、銀や白にもカラーはばらけています。また「グレースグリーンマイカ(18J)」の「VSコンビネーションB仕様・ターボ」が7台存在するようです。
さて、NAロードスター由来の伝統色「クラシックレッド」は最後までカタログカラーとして奮闘していましたが、最後期は不人気色だったようです。近年、NAレストアプログラムに併せてクラシックレッドが復活されましたが、オリジナル塗装で塗られていたNBロードスターやAZ-1も系譜に入れてもらえると嬉しいです・・・
2003-2004 Mazda Roadster Coupe(NB7)国内生産台数
ここからはNBロードスター改「ロードスタークーペ」の内訳です。改造申請車両であることから、シリアルナンバーが700,000番からスタートしており、NB7という表記にしています。
NB6ベースの「クーペ」は53台、NB8ベースの「クーペ」は126台、併せて179台が生産されたことが分かりました。カスタマイズされたクーペモデル「モノクラフトmm1(NB6C改ベース)」は30台出荷予定16台の出荷でしたので、純粋なNB6クーペは37台になります。
AT専用の「クーペ タイプE」の台数も少ないですが、どちらにせよ「クーペ」自体が希少車であることに変わりはありません。割り切ったグレード構成なので、ABS率は100%になります。
BodyColorBreakdown Mazda Roadster Coupe(NB7)
ボディカラーも割り切られていて、クーペはロードスターのベーシックカラー3色しか選択できず、「TypeA」「TypeE」は「ベロシティレッドマイカ(27A)」と「ライトニングイエロー(A4J)」しか選択できません。総数的には黄色が出ているのは、希少車ゆえの事象だと思います。
マツダの工場火災もあって生産停止になったことは有名ですが、受注生産の期間自体はそれなりに長く取られていました。つまり、クーペは「売れなかった」のです。
NB4/NB7ロードスター 総括
ボディの軽量化を守りながらも国際安全基準に対応し、ハンドリングの熟成をおこない、デザインの熟成をさせ、電子デバイスの細やかなアップデートも行い、更なるエミッション(環境)対応も行った。
更には、固定ハードトップのクーペという夢の実現や、モアパワーにも対応し、ワンオフモデルの注文まで可能になった。
屋根を開けて走ることが最大の楽しみであり、その他は何もつける必要がないシンプルさ。そんなライトウェイトスポーツを継続させるために、少しづつ進化を行ったNBロードスター。その完成形がNB4になります。
もちろん、後継モデルのNCロードスターにもスピリットは引き継がれていくのですが、NBロードスターの一番すごいところは、NAロードスターの基本骨格を引き継ぎ15年以上熟成させたという、日本車でも貴重な存在であることです。
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