この記事を読むのに必要な時間は約4分です。
多様化したクルマのデザイン
奇抜、新鮮、斬新・・・次々に発表されるクルマのデザインの多様さは本当に面白いです。
初見で驚いた「カウンタック」や「ムルティプラ」。国産車では「最終型プリメーラ」や「ジューク」、「X-90」もありました。マツダでいえば「AZ-1」や「ビアンテ」など、書き出したらキリがありません。
今でこそ近代トヨタ・フェイスのキーンルックも見慣れたものになりましたが、4代目「プリウス」のデビュー時のインパクトは、本当にこれを「プリウス」で売るのか!なんて話題になったのも記憶に新しいです。ただ、トヨタの営業力は素晴らしく、きょうび「プリウス」を見かけない日はありません。
プリウスのマフラーカッター?
そんな中、街で見かけて少し驚いた「プリウス」がありました。
単にオプションパーツを装着していただけかもしれませんが、標準ではブラックアウトしているリアバンパーの樹脂部分をドレスアップする「リヤロアバンパーカバー」の存在にインパクトを感じたのです。
何が凄いかというと、これは「デュアルマフラーカッター」を模したパーツということです。「プリウス」本来のテールパイプは、カバーの下部に大人しめなものがこっそり配置されています。
本来、太いマフラーは(ライト)チューニングカーの証。しかし、環境に配慮した「プリウス」が太いマフラーを付けるほどナンセンスなことはありません。つまり、これはハイパフォーマンスのクルマに太いマフラーが存在した「名残」をアイコンとして表すパーツなのです。
ハイパフォーマンスがアイコンになる時代
これはいい代えると「のし袋」のイラスト・・・袋の右上にある物と一緒です。
本来の熨斗(のし)は「のしアワビ」の略で、昔は鮑(あわび)の肉を薄く切り、「火のし」を使って平らにのばし、贈答品に添えていました。しかし、そんな手間を掛けていたら大変なので、今やその名残が「イラスト」になっています。その風習や文化が現代的に解釈され、継承されている事例です。
つまり「プリウス」のパーツは「太いデュアルマフラー」がクルマの高性能を示していた名残であり、それを「のし袋のイラスト」のように継承しているパーツということです。
電気自動車が今後主流になっていくなかで、こうやってイメージがアイコンとして継承されていくのか・・・ということが衝撃でした。
既に一般化している事実
ただ、周りを探してみると意外とそういった「アイコン」は存在するようです。
例えば近年の「MINIクーパー」におけるボンネットバルジは穴の奥が閉じていますし、「S660」には往年のホンダ車のエンジンサウンドをスピーカーから鳴らす、サウンドオブホンダというアプリが採用されています。
よく考えると、ロードスターのボンネットにあるパワーバルジやコークボトルシェイプも過去のスポーツカーデザインのアイコンに沿ったものでもありました。しかし今回の「プリウス」のパーツは何段階も桁が上の表現と、個人的に感じています。
私たちはクルマという乗り物の概念が変わる、時代の狭間にいるのかもしれませんね・・・
関連情報: