アルミニウムという「贅沢」

アルミニウムという「贅沢」

新型の現行NSXが米国生産と聞いたとき「アメ車かよ!」と、微妙な思いを抱いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

アメリカ産の現行NSX


個人的には、初代NSXは専用工場を高根沢(栃木)に造ったなんてストーリーがかつてあったので、地元出身として「アメ車」になったのは残念な気持ちになりました。

価格も初代NSXの約1000万円から2000万円台と倍額になり、販売網のブランド力の心配をされていたり、所詮はアメリカ企画だよね、など勝手なことを色々ささやかれますが、それだけではない事情があるようです。

オールアルミボディ


初代NSXは、世界初の「オールアルミボディ」で話題になりましたが、現行NSXもスーパーカー(ハイパーカー)で流行っているカーボン材ではなく、アルミを中心にしたボディになっています。

カーボン整形するよりもアルミの技術が蓄積されていたことと、「軽さ」と「剛性」は引けを取らないだけではなく、加工性が高い素材なのでモデル拡張やアップデート(オープンモデルなど)まで見越せる利点があるそうです。

アルミは鉄の1/3の軽さで「耐食性」も強く「加工性」もいい、まさに夢のような金属です。デメリットとしては「柔らかい」ことと、「高価」なこと。価格は鉄の約7倍になるそうです。

何故そんなに値段が張るのかというと、アルミをボーキサイト(原料)から精錬・加工するのに大量の電力を使うからで、別名「電気の缶詰」といわれる金属だとか。

エネルギー価格の推移


特に日本では、オイルショック以降に電気料金が3倍になり、精錬に関する国際競争力が地に落ちています。当時でトン当たりのアルミ価格18万円に対して、精錬料金が12万円。その後さらにエネルギー価格の高騰となれば、確かに高い金属になってしまいます。

一応、国際価格の推移は安定とまではいわずとも、オイルショック当時くらいで安定をしています。ちなみに初代NSXのデビューは1990年ですから、その前後で考えたら今よりも「アルミ価格」だけで見れば近しい水準で推移しています。


もちろんコスト管理は10銭以上細かい単位で行うので、原価の変動による影響は、ひとことで片付けられません。しかし、注目したいのは電気料金。実は、米国の産業用電気料金は日本の約4割ほどで、家庭用電気料金も約半額です。

エネルギーの値段が半額となると、もろもろの開発ストーリーはあるでしょうが、オールアルミにこだわったNSXが米国工場で造られても文句はいえません。むしろ、日本で組むとなったらどうなってしまうのか・・・


ちなみに「発電」は、水力、火力、原子力と様々ありますが、これらも原油や石炭を燃焼させて発電タービンを回すので、エネルギーコストがモロに連動します。


近年のアメリカはシェールガス革命が起きて、燃料費がとても下がった話がありますが、きちんと調べてみると・・・日本の半額です。なお、原油自体の価格が横ばいでも税金で調整してしまうのは、エネルギー大国か否かの分かれ目です。日本は何でも税金ですからね・・・

アルミパーツを使う贅沢さ


どちらにせよ、誰がお金を使ってくれるかで考えれば北米市場中心になっても致し方ない話ですが、単に「アメ車」ではなくて、エネルギー情勢まで含めた事情があったという話でした。

「アルミを鉄にするだけであっという間に採算が取れる」とは、ロードスター主査、貴島さんの言葉です。そう考えると純正アルミパーツを採用することは、アフォータブル・スポーツカーとして考えると凄いことだと思うのです。


ロードスターの話で締めてしまいましたが、どちらにせよ、NSXやスープラのように「日本産」ではなくとも、「日本企画」のスポーツカーが世界で活躍する姿は嬉しいものです。そして、アルミ製パーツはやはり贅沢なんですね・・・!

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