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今回はNBロードスターの各種プロトタイプ車両のご紹介です。
経営不振によりフォード傘下となったマツダですが、ロードスターは開発中止の対象ではなく、むしろ「やりたいクルマ」という位置づけでした。(※そのエピソードは別途ご紹介します)そのような状況の中、1994年から開発がスタートしていたNBロードスターは、エンジニアリングサイドからの記録も残されていました。
試験車両たち(メカニカルプロトタイプ)
NAロードスターの衝突安全を始めとしたレギュレーションが、既存コンポーネントの流用(マイナーチェンジ)では限界になっていたことが、NBロードスターの開発に繋がっていると、当時から主査インタビューでは語られています。
NBロードスターにおける(見た目の)大きな変更であるリトラクタブルヘッドライトの廃止です。したがってヘッドライトを固定式にすることが決まっていたので、メカプロト車両ではオーバーハングをばっさり切り落とした姿になっっています。また、脚周りのセッティング等も変更されていて、メカ的には実質NBロードスターになっています。なお、鼻先を不要な部分(クラッシャブルゾーン)としているのは、当然量産車に活かされています。
同じくメカプロト車両ですが、注目は隣にいる試験車両です。NBロードスターの開発車にしてはいかついですが・・・こちらはロータリーエンジン搭載試作車です。
RX-8のNA(自然吸気)ロータリーエンジン「レネシス」に繋がるクルマになります。したがってホイールベースが延長され、5穴のホイールを履いており、マフラーもデュアルタイプになっています。
メカプロト車両と、NBロードスターのベンチマークたちが並んでいるショットです。「BMW・Z3」「フィアット・バルケッタ」「ホンダ・インテグラ・タイプR」「MG F」・・・どのクルマも今は亡きライバルたちです・・・
ベンチマーク車両と試験車両がランデブーしているショットです。
NBロードスターは固定ヘッドライトが前提なので、この車両はリトラクタブル部分が閉じず、各種スポイラーを装備して空力特性を測っています。
試作車 S1
外装デザインまで仮装し、さまざまな環境の走行のテストを行うテスト車両が「S1」と呼ばれます。こちらはそのホワイトボディであり、まさにクルマの骨格です。この段階でもオープンカーとしての機能美を感じます。
ホワイトボディといっても、カラーテストを兼ねて塗装が施されています。奥に分解中のNAロードスターいたり、手前右にはリアの脚周りが置かれています。
こちらはパワーユニット周りです。様々な駆動部品の組み合わせでできるクルマは、まさに工業芸術品です。
足周りのパーツをチェックする「トップガン」ドライバー、シャシー実験室の小田昌司氏が写っています。NCまでのロードスターや「RX-7」、「RX-8」のハンドリングを作りこんだ偉大な方です。
パーツの組み付けは、量産前のプロトタイプなので、ほぼ手作業で丹念に組み立てられます。
貴島主査も、世界一のユーティリティを誇る(当時)NB幌の組み付けをチェック。
こちらは完成したS1車両です。奥にはサンバーストイエローのボディが見えます。
世界の道を走りこむ
こちらは偽装を施されて、さまざまな環境で走りこまれた様子です。奥にはベンチマーク車両の一台、BMW Z3が見えます。なお、ボディカラーは「黒」になっています。
ノーズブラを装着しウインカーのようにヘッドライトを偽装していますが、この状態ではまさにNAロードスターのように見えます。賛否両論あるかもしれませんが、ヘッドライトはやはりNBロードスターのアイデンティティだと思います。なお、この画像はアウトバーンを走りこんでいる様子です。
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