NDロードスターのハードトップ(DHT)は登場するのか

NDロードスターのハードトップ(DHT)は登場するのか

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第4世代ND型ロードスターのルーフ形状において、山本主査(※ND初代主査:当時)が「(RHTとは違う)もうひとつの可能性」というものを示唆されていましたが、それがRFだったのか、もしくは純正ハードトップだったのかは謎のままです。中山主査(ND2代目主査)もRF発表の後に「第三の屋根」をいう表現をしていた気がするのですが・・・

NDロードスター純正「ハードトップ」がない理由は?


2019年にマツダから発表されたコンセプトカー「DROP-HEAD COUPE CONCEPT」登場まで、NDロードスターには公式に純正ハードトップは用意されないと発表されていました。

では、歴代ロードスターと同じリアデッキにあるアタッチメントはどういうことか!?となるのですが、あそこは「社外ハードトップなどに用いるハードポイントである」とアナウンスされていました。でも、シンプルなデザインを志していたところに、余計なパーツは付けませんよね。

結果としてコンセプトカーでDHT(ディタッチャブル・ハードトップ)が仮装された状態で発表されましたが、噂話としてはDHTのデザインにおける完成度が至らなく承認がおりないとか、コスト問題などが聞こえてきましたが・・・

ただ、一番もっともな理由は「必要ない」からなのかも知れません。

そもそも、NDロードスターの幌はフレームとアルミ製のルーフパネルが一体化されています。

つまり見た目は「幌」でも、固い屋根(=ハードルーフ)を内蔵しているので、歴代モデルよりも耐候性があるのは間違いありません。さらに、どうしても固定ルーフを求めるのであればRF(RHT)も併売されています。

そもそも2015年のデビューから「8年以上売る」とされるNDロードスターは、モデルサイクル後半に突入しています。

現時点でメカの熟成はあっても、エクステリアの大幅なマイナーチェンジを行わないことを鑑みると、幌をまとった現行ロードスターのデザインは、これが最良であると判断されているのかも知れません。2016年のワールドカー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)受賞は、世界的に評価されている証拠でもあります。(※後の情報では、フルチェンは2024年とか・・・)

なお、海外のNDロードスターRFは「MX-5 RF/Hardtop Convertible」と表現されます。NCロードスターRHTは「MX-5 Coupe」という表現だったのはトリビアです。

MX-5グローバルカップカー・ハードトップ


なお、北米マツダでは「MX-5CUP」に使用されるグローバルカップカー用のハードトップが販売されています。但し、カップカー専用なので一般販売はされておらず、価格もフルカーボン製で$4,420-(約50万円)とのことです。


また、このMX-5のグローバルカップカーは2016年から国内販売もされていましたが、グローバルカップレース「MX-5CUP JAPAN」にエントリーを行うチームが存在せず、2019年時点で開催中止となりました。始まる時は鳴り物入りのプレスリリースだったのに、秘かに終わっていたのは残念です。※北米のグローバルカップは継続開催しています。

参考→https://mx-5nb.com/2020/07/06/global_cupcar/

アバルト124・ハードトップ


2018年に開催されたジュネーブモーターショーでは、NDロードスターの兄弟車「アバルト124GT」に、カーボン製のハードトップを装着するとアナウンスがありました。重量は約16kgなので、ひとりで全脱着可能な軽さです。


ハードトップのデザインはWRCのR-GTクラスで活躍する「124R-GT(Rally)」に準じていますが、ロードスター伝統の素晴らしいのは湾曲グラスが採用されているところです。勿論Fiat謹製ですからマツダは関わっていないと思われますが・・・


価格は€3,400-(日本円換算で約42万円)、国内の正規販売はありませんので仮に純正購入を検討すると、さらに送料などのコストが加算されると思います。

参考→https://mx-5nb.com/2020/07/20/abarth124rally/


ここで気になるのはNDロードスターとの互換性です。

NDも124も(もちろん卑弥呼やロックスターも)幌自体のパーツは共通です。しかし、ベルトラインやアタッチメントのスペースを現車で確認したところ、そのままポン付けは厳しそうです・・・まったく形状が違っていました。なお、兄弟モデルのカラフルな幌は、もちろんコンバート可能です。

大本命?NDロードスター・純正ハードトップ


2019年初頭の東京オートサロン/大阪オートメッセでは、NDロードスターのコンセプトモデル「DROP-HEAD COUPE CONCEPT」が展示されました。


このモデルは脱着式のカーボン製ディタッチャブル・ハードトップ(DHT)が架装されたことが話題になり、「ついに純正ハードトップが登場するか!」と注目を集めました。しかし、2021年2月時点でも市販化のアナウンスはありません。

なお、本来の「ドロップヘッドクーペ」とは、幌を持つオープンモデルではありつつも、幌の内側に完全な内張りを持っており、幌を閉じればほぼクーペと同等の居住空間を得ることができる・・・というモデルを差します。有名どころでは、ロールスロイスなどがこの名称を使います。

コンセプトかあーはクオリティの高い【固定ルーフ】を強調した、秀逸なネーミングだと思います。

しかし、カーボン製ハードトップということは「軽さ」さておき、「コスト」は先のアバルト124に準じたものになるのではないでしょうか。下手したら中古のNBロードスターが買えてしまう・・・

スピリットレーシング・ロードスターのハードトップ(参考)


公的なレース活動は休止していたマツダですが、2022年春に「MAZDA SPIRIT RACING(マツダ スピリット レーシング)」チームとして正式に活動再開するアナウンスがありました。現時点で発表されているのはスーパー耐久シリーズで「MAZDA2 Bio concept」と「ロードスター」の2台で参戦するとのこと。

先んじて4月15日のイベント「オートモビルカウンシル2022」にてロードスターのみ一般公開され、そのレーシングカーにはハードトップが装着されています。

ただし、こちらはマツダ制作というわけではなく、もともとスーパー耐久に参戦しておりマツダスピリットレーシングのマシン製作をおこなっている村上モータース謹製のカーボンルーフです。その特徴は、先代までのロードスターや124スパイダーにみられたラウンドしたリアガラスではなく、グローバルカップカーのような平坦なリアガラスになっていること。(熱線やガラス面積を確認したところ、純正幌のものを流用?)


このハードトップは視界確保だけでなく、ドライカーボンのハニカム構造で製作されているそうで軽量かつ剛性を確保する太いCピラー(相応のパーツ)になっています。天板に厚みがあるのはヘルメットの空間確保でしょうか。

納期2か月の受注生産品で、価格は748,000円(税込)と同社ホームページにてアナウンスされています。

歴代ハードトップコストを比較してみる

では、歴代ロードスターにおけるハードトップの相場はいくらに換算できるのかを調べてみました。もちろん、現時点でNA~NCロードスターは新車販売されていませんので、あくまで参考値です。


※NCRHT、NDRFは「幌」ベースグレードとの差額

こう並べてみると、NCロードスターRHTの差額が普通にハードトップ(DHT)を購入したときよりも小さいことに驚かされますが、国内のNDロードスターはパワーユニットの仕様(エンジン排気量)が違うので、こういった差が出たかと思われます。

なお、欧州では1.5LエンジンのロードスターRFが販売されていました。英国価格で幌1.5Lが£23,800-(約320万円)、RF1.5Lが£25,700-(約346万円)。単純計算できないかもしれませんが、価格差は約26万円となります。そう考えると、RFもハードトップ代金としては適正なのかも知れません。


また、そのうえで「カーボン製」の固定ルーフは、RFとの差別化を図るための軽量化やプレミア性を踏まえても、40万を超える価格が設定されるのは仕方がないかも知れません。

ただ、そこまでして「欲しいか」となると、NDロードスターにはRFもありますし、アフターマーケットのハードトップも販売されているので、そちらの方で検討する方が現実的な判断だと思われます。まぁ、そんなに数が出ないことは予想が付きますよね・・・


ちなみにNDロードスターのプロポーションから検証すると、NDの重量配分は歴代ロードスターと同じく50:50とされてはいますが、着座位置は中心よりも後方、リアタイヤ寄りになっています。(だからコンセプトカーを「ドロップヘッドクーペ」という表現にしたかも知れません)

できないことを妄想しても仕方がないのですが、これを先代ロードスターと同じく「人間中心」にバランス調整すると(※下の画像です)・・・あれ、もしかして超絶カッコいい?純正ハードトップがなかなか登場しないのは、デザイン許可が下りないという噂は先にかきましたが、あながち嘘ではないのかも・・・と、妄想してしまうのでした。

関連情報→

NA/NB ハードトップ(DHT)のススメ

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