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ロードスターのアルミボンネットは乗り味に関わる素敵なパーツです。しかし熱伝導率が高く、ボンネットは常に弱火フライパン状態で経年劣化を促進します。そこでNBロードスター後期型にお勧めしたいのがボンネットインシュレーター、しかも純正品です。
3倍のコスト、3倍の効果、アルミボンネット
シンプルなメカにエンジンパワーはそこそこで、インテリアはカスタマイズの余地をあえて残している(つまり初期状態はしょぼい)NBロードスター。しかし「軽さ」はライトウェイトスポーツの性能ということで、一流スポーツカーと同じく、ボンネットには軽量なアルミニウム素材を採用しています。
スチール(鉄)とアルミの差はとてもわかりやすく、重量ではアルミが約1/3、価格ではアルミが約3倍・・・となっています。たかがボンネットと思うなかれ、性能に関わるものにはコストをかけるその姿勢に、開発の哲学を感じる素敵なパーツです。
熱伝導によるボンネットの浸食
ただ、NA/NBロードスターのアルミボンネットは、雨の日にはエンジン熱で湯気が立ち、冬でも日中はうっすら陽炎が発生します。酷暑の日は、目玉焼きが焼けるかも知れません。
それもそのはず、熱伝導率(熱伝導による熱の移動のしやすさを規定する物理量)は、鉄の83.5に対してアルミニウムは236と、こちらも約3倍とされています。ある意味、放熱を促すことのできる利点はありますが、ボンネットの塗面やコーティング層を弱火でじわじわ焼いている状態です。
NA/NBロードスターのボンネット塗面におけるトラブルは、持病のレベルで発生します。劣化を避けるために洗車・コーティングなどのメンテナンスをこまめに行っていても、ウォータースポットの原因になるような熱攻撃がエンジンルームの中からもじわじわ行われ、経年劣化を促すのです。
事実、私自身も生産から14年目にボンネット塗面が劣化して、再塗装(リペイント)を行いました。
→https://mx-5nb.com/2020/05/28/remove-aero-parts/
純正ボンネットインシュレーター
こういったトラブル対策のために架装されるのが、欧州仕様車や高級車ではおなじみの(近年は普通のクルマでも採用されている)ボンネット保護をおこなうインシュレーターです。
ボンネット裏面に取り付けるインシュレーターは、エンジンの騒音を漏れないようにしたり、熱を防いで塗装を傷めないようにする効果があります。
実は、NBロードスターでは後期型から「純正インシュレーター」が存在しています。
国内では限定車「マツダスピードロードスター」のみ、海外では一部の上位グレードで採用されたパーツです。したがって、国内のパーツリストでもシリアル200,000番台(NB2)でしか記載されていません。
つまり大前提としては、国内で積極採用されていないのでメーカーでは「必要ない」という判断を下しています。しかし、NC/NDではベースグレードとNR-A以外では積極採用されているので、あって困るものではないパーツともいえます。
まだ国内でも注文できる!
NBロードスターの純正ボンネットインシュレーターを試しにモノタロウ(通販サイト)で検索してみると・・・現在も「在庫あり」というステータスで表示されます(2020年9月現在)。
そこで、全品10%OFFという悪魔のキャンペーンが行われる日に【注文ボタン】をクリックしました。なお、注文金額が3,500円以上になると送料無料になります。パーツ番号は以下の通りです。
NC69-56-681D ¥10,460-
ボンネット・ファスナー(GA)
GA2A-56-694 ¥130- × 14
※14個必要です
ボンネットインシュレーターは当時6,960円だったので、現在は約1.5倍の価格になっていました。なお、NB前期型のボンネット裏面には、インシュレーター装着のためのビス穴が開いていないので、ポン付けでの装着はできません。あくまで対象はNB後期型になります。
純正ボンネットインシュレーターを装着する
注文から程なくして自宅に届いたボンネットインシュレーターですが、まず驚かされるのは梱包サイズです。
ボンネット裏面を覆いつつも曲げ厳禁なパーツということで・・・とても丁寧に梱包された巨大なダンボール・ボックスが玄関を占拠することになります。今流行りの「置き配」は絶対に無理なサイズです。
パーツ取り付けの前に、ボンネット裏面を綺麗に洗います。しかし、以前トラブルがあった際に吹き出したラジエター液が固着して、残念ながらしつこいシミになっていました。
コンパウンドで本格的に磨くこともできたのですが、どうせ見えなくなってしまうので、可能な範囲での拭き取り対応だけにしました。写真に見える穴はファスナー(ピン)の取り付け部分になります。
丁寧に梱包されていた箱を開け、インシュレーターを取り出します。試しにエンジンの上に置いてみると、エンジンルームをまるまる囲うことのできる巨大なサイズであることが分かります。
インシュレーターの裏面を見ると、厚みがありつつも軽くてしっかりした素材でした。ただ、最低限の剛性しかないので、片手で持つと折れてしまうので注意が必要です。
取り付けは作業はとてもシンプルで、位置極めをしたらファスナー(ピン)で固定していきます。作業自体は10分もかかりませんでした。
むしろ、空き箱になったダンボールを解体する方が、時間がかかりました・・・
以上で取り付け完了です。純正パーツですから、当然ながらフィッティングは完璧です。
インシュレーターは基本的に見えないパーツなので、恩恵を感じることができるのはオーナーのみになります。国内では積極採用されなかったことからも、ある意味自己満足に近い装備ともいえます。
ただ、間違いなくいえるのはボンネットから見えた「陽炎」が発生しなくなりました。また、エンジン音も気持ち小さくなったのですが、オープン走行する前提ではあまり関係がないので、あくまでボンネット保護と捉えたほうが幸せになれそうです。
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