クルマのカッコいい写真を撮りたい

クルマのカッコいい写真を撮りたい

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カメラがアナログ・フィルムからデジタルに移行して久しいですが、今や恐竜的進化を遂げたスマートフォンでも手軽に高機能な「カメラ機能」を謳う時代です。40枚ぐらいの低解像度しか撮影できなかったけれど、かなり衝撃だったデジカメ・カシオQV-10に感動したのも、「写メール」として携帯メールに写真が添付できるようになった事件もすでに20年以上前の出来事。歳も取るはずです・・・

そんなジジイの戯言は置いといて、クルマ趣味にとってデジカメの普及はまさに僥倖でした。日常(スナップ)も、作業風景も、事故現場もとりあえず・手軽にスマートフォンへ記憶できるからです。本当にありがたい進化です。

そのようななか、クルマ趣味をおこなっていると周りで「カッコいい写真」を撮る方をよく見かけませんか?撮影タイミングや構図などのテクニックで大きな差が出ることは明らかですが、一方で「メカ」である程度その隙間を埋めることが可能っぽいのです。そこで今回は「にわか知識」ですが、お金がそんなにかからない範囲で、少しだけカメラの差をご紹介します。

ちなみに、超絶こだわるとNBロードスターの中古車が買えてしまいます・・・

スマートフォンでカッコよく撮る


私のスマホは2017年発売の「iPhone8Plus」・・・正直、現行機種のほうがもっと凄い画が撮れると思いますが、あくまで旧機種の参考としてご紹介です。ちなみに8Plusのカメラ性能は以下の通り。意味をざっくり書きますと「ピクセル数値」が多い方が高解像度の写真が撮れることと、広角(広い範囲を撮る)と望遠(遠くから撮る)の、ふたつのカメラが本体に搭載されているので、それなりの表現が可能です。(前面カメラは自撮りやビデオ通話用です)

背面:①12メガピクセル広角カメラ
   ②12メガピクセル望遠カメラ
   裏面照射型センサー/4Kビデオ 24.30.60fps
前面:
   7.0メガピクセル
   裏面照射型センサー, HDカメラ


さて、クルマを対象にしてカメラの写り方を比較すると面白いことがわかります。

スマートフォンのカメラは風景などで広い範囲を撮影するため(情報量を稼ぐため)、基本的に「広角」で起動します。何も考えずにスマートフォンのモニターでプレビューしながらクルマ全体を撮ると・・・こんな感じじゃないでしょうか?


さらに近づくと、特にロングノーズのロードスターではこんな感じになってしまうはず。これは人間の目と同じく近くのものが大きく見えるパース(遠近感)が付いてしまうからです。作業の記録ならいいけれど、愛車の魅力が詰まっているかといえば微妙かも知れません。


そこでパースが付かないよう遠方からクルマを撮るとこんな感じです。風景写真ならばいいけれど、クルマ単品としてみるとまだ寂しい感じです。


そこで、簡単に実行できる改善ポイントとしては、カメラのデジタルズーム機能を使うこと。

上の写真と同じ立ち位置で撮っていますが、拡大機能を使うだけでいい感じに全体を抑えることができます。iPhone8Plusの場合はズームで望遠カメラに切り替わってくれるので、パースを抑えた歪みの少ない写真になるのです。基本、他のスマートフォンも一緒ですし、SNS用に縦長の写真を撮る際も同じ要領でいけます。


さらに写真のトリミング(切り抜き・調整)機能でクルマの「足元」を揃えてあげると、気持ちよく画面に収まります。私の場合はナンバープレートをガイドラインにして、この写真の場合は(上の写真から)2度ほど右下に傾けています。

繰り返しますが、クルマをスマートフォンで撮る場合は「遠くから拡大(ズーム)」して撮ると、いい感じに収まります。


なお、現行機種(スマホ)ではかなり解像度が高いので、遠くから撮ったものをそのままトリミングしても行けちゃいます。この写真は上記のクルマが小さい写真を拡大切り抜きしています)。ただ、少しざらついてしまうので用途は限られるかも知れませんね。

やはり「専用カメラ」は凄い


スマートフォンの利便性は圧倒的なので、それでオッケーならばこれ以上のトピックを読まなくても大丈夫です。

ただ、専用カメラで撮った写真はやはり一味違います。これは霧雨(きりさめ)の日に友人氏が撮ってくれた写真ですが、なんていうか・・・圧倒的な立体感によりドラマ性を感じます。何が言いたいとかというと、写真で撮れる表現力の幅が広がるのでクルマを撮りたくなってしまうのです。


専用カメラで最も違うのは「レンズの表現力」に尽き、それを知ることにより撮りたいイメージと合致させることが可能です。ただ、それを学ぶだけでも一つのサイトができてしまうので、あくまで簡単にざっくり「規格化された共通言語」でのにわか解説をさせていただきます。最初に押さえておきたいポイントはふたつほど。

①焦点距離
焦点距離とは被写体にピントを合わせたときの、レンズから撮像素子までの距離です。一般的に28mmや50mmなどの数値で表されますが、拡大可能なズームレンズの場合は、18-55mmというように焦点距離の両端の数字で表します。ちなみに人間の目線は35mm相当とされています。

数字の小さい(焦点距離の短い)ほど広角になり、広い範囲を写せます。逆に、数字の大きい(焦点距離の長い)ほど被写体が大きくなり、画角が狭くなる「圧縮効果」で背景を一つの画に詰め込めます。

②開放絞り値(F値)
明るいレンズという表現されますが、人間でいえば目をパッと見開いた状態・・・レンズの絞りをもっとも開いた状態のことを「開放絞り」といい、それを「F値」としています。乱暴な表現ですが、数字が小さいほど背景をボカすことが可能です。

つまり、焦点距離で撮影の立ち位置を決めて、絞り値で背景のボケ方の表現を行います。勿論カメラメーカーごとに描写エンジンやセンサー性能が違うので色合いにも差があり、露出時間の調整も含めたマニュアルフォーカス機能や現像方法などのテクニックを駆使すれば、更にこだわることも可能です。

ただ、これを書き出すとキリがありませんので・・・今回はオートフォーカス(設定をいじらないでシャッターを切るだけ)の撮影で、レンズ比較を行なっていきます。

まずは、基準になる写真から。

(iPhone8Plus 望遠カメラ — 56 mm F2.8)
普通にスマホの望遠モード(&ズーム)で撮った写真です。気にしなければ、全然これでも事足りるのですが・・・

レンズ交換式カメラ(ミラーレス)


ミラーレス一カメラとはデジタルカメラの分類のひとつで、光学式ではなく電子ビューファインダーや液晶ディスプレイを通じて像を確認するカメラ形式の総称です。要するに、お手軽にレンズ交換を楽しめるカメラです。

私が愛用しているのはソニーのNEX-3DというEマウント入門カメラ。もはや旧機種なので恐ろしくリーズナブルになっていますが、手軽に使えるので未だに愛用しています。基本的な性能は以下の通り。

2011発売、1620万画素「Exmor」CMOSセンサー、「BIONZ」画像処理エンジンなどを搭載。ISO200-12800まで対応。省電力化により撮影枚数も400枚に増加した。大きさ109.6 x 60.0 x 33.0 mm、最薄部25.9mm、本体質量225gを実現し、発表時点で、APS-Cサイズのイメージセンサーを搭載したレンズ交換式デジタルカメラボディにおいて、世界最小・最軽量だった。


(Eマウント 16mm F2.8)F9 露出時間1/100
キットに付属していたパンケーキレンズは薄くて持ち運びの邪魔にならないメリットがありますが、極端な広角レンズなので近くのものにパースがついてしまいます。そこでこの写真は距離を置いて撮影したものを切り抜いたものです。少しシャープさに欠けるのは普通は風景写真を撮るものですから、仕方ないかも知れません。


(Eマウント 18-55mm F3.5-5.6)20.25 mm F4 露出時間1/200
こちらはカメラ付属の標準レンズです。普通にピントを合わせただけなのに、いまだ色褪せないシャープな写りは唸るものがあります。入門カメラといっても侮れず、専用カメラの底力を感じます。


(Cマウント変換 CCTV 50mm F1.4レンズ)マニュアルフォーカス 露出時間1/2500)
マウント変換キットを用いて、いわゆる「オールドレンズ」の撮影を行いました。このレンズは大きな被写体よりも手元のものを撮ることに適したレンズですが、オールドレンズ特有のボケまくりな味のある写真に仕上がるのが特徴です。(本当はもう少しシャープにできるのですが、ヘボい写真になったのは私のせいです・・・)

レンズ交換式カメラ(デジタル一眼)


デジタル一眼カメラとは、実際に撮影できるイメージをファインダーで確認できるものをいいます。言葉を選ばず書くならば・・・昔からあるレンズ交換式カメラがデジタル化したもので、ちょっとだけ気合の入ったカメラです。

私が愛用しているのはミノルタの遺伝子を受け継ぐAマウントの名機、ソニーα55です。もはや旧機種なので処理速度もそれなりですが、それでもハッとする写真が撮れるので、とても愛用しています。スペックは以下の通り。

2010年発売、αシリーズのメインストリームに位置づけられ、最大毎秒AF追従10コマという当時の高級機を凌ぐ高速連写機能を中級機以下の価格で実現し、ベストセラーとなった。新開発の有効約1620万画素「Exmor(エクスモア)」APS HD CMOSセンサー、電子ビューファインダー、GPSを搭載。


(Aマウント 35mm F1.8)20.25mm F4 露出時間1/250
こちらは単焦点レンズで撮った写真です。単焦点というのはズーム機能がないので、撮影の立ち位置(焦点距離)は自分で移動して決めるのが特徴です。本来はクルマよりも人物を撮る方に適しているのですが、レンズがコンパクトで携帯性が良くF値も高いので、設定が合うと綺麗に背景がボケてくれて、とてもお気に入りのレンズです。


(Aマウント 18-55mm F3.5-5.6)35mm F6.3 1/100
カメラ付属の標準ズームレンズで、恐らく誰が使ってもカッコいい写真が撮れます。ちょっとしたズームもできるので、迷った時はこれを持参すれば間違いありません。


(Aマウント 55-200mm F4-5.6)55mm F5.6 1/160
カメラ付属の望遠ズームレンズで、子供の運動会などでも活躍しています。ただ、上の写真とヘッドライトの大きさを比較するとわかりやすいですが、クルマが被写体になると全体像をカッチリ掴んでくれる万能さも持ち合わせています。荷物に余裕があったら装着しているのですが、地味に大きいので取り扱いに少し気合が必要です。


(Aマウント 50mm F1.4)50mm F2.8 1/125
ミノルタ時代に提供された明るい単焦点レンズで、色味に派手さはありませんが、クルマ写真としては背景のボケ方も相まってベストショットが撮れるため、一番重宝しています。ただ、焦点距離の絡みから撮影距離を稼ぐ必要があり、狭い場所ではなかなかショットを決められないのが辛いところ。

コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)で撮る


かつて隆盛を誇ったコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)も、スマホ普及により絶滅するかに思われました・・・が、近年は小さいボディに究極技術を詰め込んだハイスペックカメラとして生き残っています。レンズ交換はできませんがポケットにも入る持ち運びのしやすさと、恐ろしく綺麗な写真が気軽に撮れるので、旅先やイベントで活躍できるはずです。

私自身、カメラはスマホでいいや・・・と思っていた矢先、友人から見せられたコンデジ写真に衝撃を受けて購入に至りました。愛機はソニーRX100M5Aというコンデジなのに明るいレンズを持つシリーズ。簡単なスペックは以下の通りです。

2018年発売、RX100M5の後継かつ進化モデル。M5との違いは、BIONZ XがRX100M6に搭載されている物と同様の最新版になり、連続撮影モード「Hi」、画質「ファイン」時でAF・AE追随最高約24コマ/秒・最大233枚の連続撮影が可能になった。このほかに、高感度撮影におけるノイズ粒状表現の向上、EVF表示タイムラグ低減、瞳AFの検出精度・速度・追随性能向上等の機能向上が成されている。


(8.8mm-25.7mm F1.8-2.8)6.6mm F2.8
焦点距離が短い(広角気味)ので近づくとパースがついてしまう弱点がありますが、このカメラの本領は手軽に「超絶綺麗で高解像」な写真が撮れることにあります。


上の写真から切り抜いていますが、ここまで拡大しても情報が劣化せずディティールが確認できます。つまりトリミング前提であっても劣化せずに使える万能メカなのです。また、明るいレンズを持っているので、設定が合えば背景を簡単にボカすことも可能です。


改めてですが、ぶっちゃけスマートフォンでも十分にかっこいい写真は撮れます。ただ、「餅は餅屋」とでもいいますか、メカの力で引き出せる世界も間違いなく存在します。実は、私は友人氏が撮影してくれたこの写真に感動してカメラを覚えようと思いました(まだ全然腕が追いつけていませんが・・・)。


とりあえずシャッターを切るだけでも恐ろしくかっこいい写真が撮れるデジカメの世界、愛車のためにこだわるのも面白いですよ!

関連情報→

NBロードスター 奇跡のアングル

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