クルマの熟成

クルマの熟成

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クルマ、特にスポーツカーは育てていくもの・・・なんて概念をよく耳にしませんか。近年はモデルイヤーという考え方も浸透してきたので、平成〇年式とか、2019年式・・・なんて感じで、数年ごとのマイナーチェンジどころか、結構細かく仕様が変わって行きますよね。

マイナーチェンジによって新しいグレードが追加されたり、出力が強化されたり、メカが作りこまれたり、コストダウンをされたり・・・こんて悲喜こもごもをチェックすつのも、クルマの楽しみ方の一つではないでしょうか。

しかし、考えてみると・・・


クルマが市販されたあと、市場(ユーザー)からのフィードバックで使い勝手が向上するというのは良くある話です。

ECUの書き換えなどはゲームのレベルアップのように、データの上書きで対応されて行くのはわかります。でも、新たな部品(機構)が採用されるなんていうのは、それなりの準備期間がかかるはずです。クルマは複数のパーツで構成される精密機器。それを量産するといったら、手間のかかり方は半端ないはずです。

だから外装変更だけでなくセッティング変更や、それに伴う中身(メカ)は、計画がある程度きまっているという話なんですね。

NBロードスターでいえば、後期型1800ccで採用されていたS-VT(可変バルブタイミング機構)を搭載したBP-VE(RS)型エンジン。これはローンチする1998年時点でS-VTの技術は存在しており、ファミリアのB型エンジンには既に採用されていた技術です。しかし、ロードスターに搭載されたのは2000年の後期型からになりました。これは明らかに、後期型に搭載するための準備をしていたことになりますね。ちなみに、BP-VEエンジンはアジア・オセアニア市場と比較して北米・欧州市場では、同じ型式でもパワーが抑えられています。

また、エクステリアでいうと後期型におこなったフェイスリフトは、NBロードスター新車発表のタイミングで既にデザインが始まっていたなんて話もあります。

また、ロードスターのようにモデルサイクルが長い車種になると、新型のため準備していた技術が現行車種のマイナーチェンジに盛り込まれていることもあるようです。NC3ロードスターのマイナーチェンジ内容(アクティブボンネットやブレーキフィールの改善など)は、NDロードスターに用意されていた技術だったなんて話もありますからね。

もちろんメーカーは常に新技術を研究しています。現行車種の技術というのは既に確立された、5年〜10年前のものであるという話まであります。自動ブレーキとか、電気自動車とか、よくよく考えてみると10年前からアナウンスされていましたしね。モーターショーで絵空事のように感じる技術も、いつの間にか現実のものになってきています。

ただ、ユーザー視点からいうとマイナーチェンジのタイミングはきになるものです。かつてのロードスターは、夏頃に小変更をされていましたが、最近のマツダ車はモデルイヤーどころか、新技術が確立したら早く市販車に反映するのが売りになっていますし。欲しい時が買い時って事でしょうか。

次世代の技術


また、残念ながら次期型までいかなかったクルマもギリギリまで熟成されます。RX-8の後期型や最終形なんてのは分かりやすい例で・・・AZ-1もリリースには至らなかったけれど、薄いウイングのついた後期型(写真は初期型です)がマツダミュージアムに存在するとか。

でも、そういった技術や経験が、年月をまたいで次世代の新型に反映されていくと嬉しいもんです。ユーノス500のミラーサイクルエンジンが、スカイアクティブエンジンの技術解説で出てきたときは感動しましたし。2021年にはマツダがFRクーペ(マツダ直6FR)を出すという噂もありますが、過去の遺産を引き合いに出されると、ファンとしてはシビれますよね・・・

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