なぜNBロードスターの「トミカ」がないのか

なぜNBロードスターの「トミカ」がないのか

この記事を読むのに必要な時間は約12分です。

NBロードスターのトミカは何故販売されなかったのか?

ロードスターのトリビアネタでよく話題になる内容ですが、お察しの通り「人気が無かったから」が答えです。しかし、チャンスが無かったわけではありません。今回はそんなトピックです。

トミカ化はエンスーの夢


トミカとはタカラトミー(旧・トミー)社より販売している自動車玩具で、2020年には誕生50周年を迎えたロングセラー商品です。

用意されるラインナップは縮尺にこだわらず「箱の大きさ」に合わせた統一スケールになっているのが大きな特徴です。また、レギュラーラインナップは通し番号内(1~150)で定期的に入れ替わり、現在までに約1000車種以上発売されています。また、ギフトやアソート、イベント記念品、特注品など、数多くのバリエーションが存在し、累計販売個数は7億台を超えています。


希望小売価格550円(税込み)と幼児向け玩具でありながら、適度にデフォルメされたボディはクルマの特徴を的確にとらえ、一目で「そのクルマだ!」と分かります。また、長い歴史もあることからコレクタブルアイテムも存在し、163万円で落札される事例もあります。

自動車がトミカ化されるのはある意味一つのトロフィーなので、自動車ファンのあいだでは愛車がトミカ化されることを心待ちにしています。


ちなみにトミカ化の選定基準は「子どもたちがよく見かけるような車種や子どもが好きなテーマ(動物・食べ物・乗り物)を取り入れたもの、人気が高い車種、世間で話題の車種などから広く選定」と広報されており、逆に企画されながらも発売されなかった車種は多く存在しているそうです。


なお、トミカの人気車種はスポーツカーと思われる方が多いかも知れませんが、一番売れているのは「働くクルマ」です。頭一つ飛びぬけて「日野はしご付消防車」がナンバーワンで、それ以降もトップランク5位以内にスポーツカーはありません。

トミカ化直前だった?NBロードスター


実は、NBロードスター(マツダロードスター)がトミカ化される商品検討のチャンスは存在していました。

2000年当時、誕生30周年を迎えていたトミカは「トミカ博」というイベントを4月より全国でスタートしていました(このイベントは現在も年次開催されています)。その第一回目において「大トミカ人気投票」という企画が行われました。


これはファンの声をダイレクトに商品化するもので、僅か1ヶ月間(2001年2月1日~28日)のあいだにも関わらず1万5千を超える票が寄せられたとニュースリリースされています。そして、30周年のファイナルイベントになる2001年3月の東京おもちゃショー「大トミカ博」にて、投票結果が発表されました。

その「トミカにしてほしい車部門」のなかに、しっかりとNBロードスター(マツダロードスター)が入っていたのです。ちなみに、投票対象のラインナップは以下の通りです。(※メーカー順でないのは、ニュースリリース記載の通りです)

ホンダアコードワゴン、ニッサンセレナ、マツダデミオ、ニッサンキューブ、ホンダシビック、ニッサンエクストレイル、トヨタマーク2、マツダロードスター、トヨタカローラ、ダイハツムーブ、ホンダライフ、三菱ランサーセディア、トヨタファンカーゴ、スバルレガシィB4、コマツガラパゴス、災害急所ショベルカー。いすゞエルフ、三菱ふそうノンステップバス、高規格救急車、ニッサンスカイラインR34レーシング

当時のニュースリリース

これらは何気に激アツラインナップで、同じくトミカ化されずに泣いたデミオは初代、シビックはEKだったりします(タイプRのトミカは近年実現しています)。また、実はこれらのクルマはイベント会場でプロトタイプの展示も行われました。どうしても当時の資料が発掘できなかったのですが、当時のホビー誌では他のラインナップ候補と一緒に「赤いNBロードスター」のトミカが掲載されていたのです。

個人的な思い出ですが、記事内容を読まず写真だけ見て、トミカの赤いNAロードスターっぽいものが展示されている写真に違和感を覚え(当時のNAロードスタートミカは緑色だった)、よく見るとNBロードスター前期型(NB1)だったことに驚き「NBもトミカになるんだ!」と喜んだ記憶が鮮明に残っています。


ただ、投票結果では残念ながらNBロードスターは落選してしまいました。

これは不人気で単に票が集まらなかったかもしれませんし、時期としても良くないタイミングでした。投票結果発表は2001年3月でしたが、その頃のNBロードスターはマイナーチェンジを受けて既に後期型(NB2)になっていました。投票時に展示されていたNBロードスターは前期型だったので、仮にトミカ化されたとしても旧型になってしまうのです。

トミカの開発は約10ヶ月かかり、人気車種が発売と同時にトミカ化されるのは、メーカーが事前にデータ共有をしてくれるからこそ可能な商品展開だそうです。企画スタートの2000年4月(NB1)時点で商品化も約束されないものに企業秘密(マイナーチェンジフェイス)をマツダが提供できたとは思えません。

結局ウィナーは「ニッサンスカイラインR34レーシング」となり、企画の通りスカイラインは秋に商品化されました。

 
ちなみに、同時に行われた「歴代トミカ550台(※当時)」人気投票のウィナーもアソートの商品化がされました。ただ、投票結果1位のものではなく「人気車種」だったりします。

トミカジュニアのNBロードスターMPS

トミカのレギュラーラインナップ入りを果たせなかったクルマにも救済策はありました。それは、ユージン(現タカラトミーアーツ)が2001年12月よりスタートした「トミカジュニア」です。

トミカジュニアはカプセルトイ形式で販売されているトミカで、通常品よりも一回り小さいサイズ(75%)になっていますが、本家譲りのダイキャストボディやサスペンションを持っており、もちろん適度なデフォルメもなされています。

そのラインナップは本家ラインナップに準じたいわゆる「売れ筋商品」が中心でしたが、そこに(同じくトミカ化されなかった)MR-Sなどがこっそり交じっていました。


トミカジュニアでNBロードスターがラインナップ入りしたのは、2002年7月・・・いわゆるモデル末期でした。そこで、今更感を払拭するためか通常モデルではなく、当時発売が噂されていた「ロードスターMPS」として造形されました。

したがって、特徴的な異形ヘッドライトカバーやアスレチックデザインに寄せたオーバーフェンダーも再現されています。


また、ハートトップは取えい外し可能で、キャビンも再現されています。

今でこそMPSの立体物は唯一無二ですし、「なぜこんなマニアックなものを?」と思われる方が多いと思いますが、それだけ普通のNBロードスターはオワコン扱いだったのです・・・

トミカジュニアの「ロードスターMPS」バリエーションは4種類あります。


2002年7月の「トミカジュニアパート3における」ハードトップ(DHT)装着型と、ボディステッカーが貼られたオープンのクラブマン仕様。


2006年2月の「トミカJr.Part7(※商品表記が変わっています)」における「マツダ ロードスター白・黄」です。

2006年は既にNCロードスターが発売されており、本家トミカにもNCロードスターがラインナップしていた状況で・・・ただでさえマイナーなMPSですから、それを知らずに当てた人はナニコレ?ってなったでしょう・・・

手にしてほしいジョニーライトニング MX-5


トミカに大きな影響を与えたブランドとして有名なのは英国マッチボックス(MATCHBOX)といわれています。マッチボックスの偉大なアイディアは「箱でスケールを統一する」「商品に通し場号を付ける」手法でした。

これは結果的に、ホットウィール(※現在はマッチボックスを傘下に置く)やマイスト、フランクリンミント、ファーストレーン、マジョレットなど、小スケールミニカーにおける統一仕様となっていったのです。


そのマッチボックスサイズ・ブランドにひとつに当たるのが、米国「ジョニーライトニング(JOHNNY LIGHTNING)」です。同社はメーカー存続に紆余曲折ありながらもブリスターのミニカーを販売しており、その中に「1999 Mazda MX-5 Miata」がラインナップ入りしていました。つまり、マッチボックスサイズのNBロードスターです。


最初はアメリカのTVシリーズ(V.I.P(Vallery Irons Protection 1998~2002))において、元ボクサーで格闘家のクイック・ウィリアムズ(ショーン・ベイカー)が搭乗するクルマとしてのミニカー化で、ブロンズのオリジナルカラーに塗られていました。(ちなみに、シーズン3ではプリマス・プロウラーに乗り換えます)


また、同金型の流用で近年クラシックゴールドシリーズとして復活し、金色(エボリューションオレンジ)と黒(ブリリアントブラック)の2色と・・・


ストリート・ヒートシリーズとして水色(オリジナルカラー)とワイン色(アールヴァンレッド)がランナップされています。ただ、一部仕様にはストライプが入るので好みが分かれるところです。各カラーでホイールが異なるのも大きなポイントです。


カラーラインナップからも分かる通り、ベースになるのはNBロードスター前期型です。また、ミアータなので左ハンドルであり、フォグランプやサイドステップが付く珍しい仕様になっています。


見所は塗装精度の高さで、Aピラーから三角窓も塗装され、特にリア周りは造形も含めてNBらしいオーガニックシェイプが再現された素晴らしい出来になっています。


ただ、ヘッドライトだけは「薄目」に見えるので大きめにレタッチしてあげることと、グリルの中を塗装してあげるだけで、よりNBロードスターっぽい顔により近づくのでお勧めです。なにより、ミアータではありますがNAからNDまで並べても違和感ない出来になっています。

NBロードスターにワンチャンあるか?


現在まで、トミカのレギュラーラインナップ入りをしたマツダロードスターは、兄弟車も合わせて5種類存在します。なお、NDロードスター辺りは息が長いかと思っていましたが、2022年8月現在で全てランナップ落ちしています。探される方は、すぐにプレ値が付いてしまうので速めに探しておいた方が安心かも知れません。

111-2 ユーノスロードスター(NA:1994-2002)
115-3 マツダロードスター(NC:2006-2010)
26-8 マツダロードスター(ND:2016-2020)
21-9 アバルト124スパイダー(NF:2017-2020)
103-7 ミツオカロックスター(ND改:2019-2022)


また、NBロードスターのトミカ化は実現しませんでしたが、ワンチャンあるかもしれません。

それは、近年スタートした「トミカプレミアム」ブランドです。トミカプレミアムのコンセプトは大人向けトミカ(=大きいお友達向け)なので、当時トミカ化が実現しなかったシビックやインテグラタイプRのような、時代を超過した激熱ラインアップが揃っています。


現在、平成スポーツカーブームが再来している事と、マツダ枠でRX-7(FCやFD)が揃っているので、ラインナップ入替時にもしかしたら・・・と、夢を抱いてしまいます。希望投票とかあったらやってくれないかなぁと思ったりしますね。


ただ、サイドミラーがないシンプルな造形の、手軽に手に入って砂場で汚れながら気兼ねなく遊べるNBロードスターのトミカが欲しかったことは変わりません。今でこそ名車扱いになりつつありますが、チャンスを活かせなかったところがまさにNBロードスター「らしい」エピソードだと思うのでした。


なお、国内では微妙な扱いでも海外ではそれなりに需要があるのか、ホットウィール/マッチボックスいずれかのブランドで、2023年にMazda MX-5 Miataが販売されるとリークされています。新しい造形のNBロードスター、楽しみですね!

関連情報→

1/43 NBロードスター ミニカーの世界①(NB前期型)

NBストーリーカテゴリの最新記事