【落札相場】ロードスターの中古車相場分析(2022年版)

【落札相場】ロードスターの中古車相場分析(2022年版)

この記事を読むのに必要な時間は約14分です。

上昇基調にあるスポーツカー中古車相場


2022年末現在、90年以降のスポーツカーにおける中古車価格は高騰しています。その理由は明白で、新型コロナウイルス蔓延(2020年)によりあらゆる価値観が見直され、とりわけ趣味性の高いものにお金が集まるようになったからです。

ロードスターの中古車市場に関しては、そもそもアフォーダブル(手軽)に楽しめるよう長く続いているシリーズですから、誰でも(勇気を出せば)購入できる環境が整っていました。


また、2017年から始まった公式レストアプログラムの部品供給や、2019年に迎えた30周年イベント、NAロードスターの自動車殿堂入りといったありがたいイベントが続いたことと・・・電動化に舵を切った自動車業界のなかでNEロードスター(仮)も「電動化する」とアナウンスされたことが、相場の上昇に拍車をかけたようです。

さらに、これはロードスターに限ったことではありませんが、内燃機関(エンジン)メインのスポーツカーは買えなくなる予想から、一部車種は投機対象のような扱いになってしまいました。約10年前、エコだハイブリッドだ燃費だと騒いでいた「スポーツカー冬の時代」が嘘のようですね・・・

ロードスター、買取相場の実情は


現時点(2022年10月)の中古車検索サイト「Gooネット」で検索できた一番高いロードスターは「NDロードスターRF30周年記念車(MT)」の459.9万円。一番安いロードスターは「NCロードスターVS(AT)」の20万円。ついでですが、NAロードスターで一番高いのは「96年式ユーノスロードスター(MT)」の308万円でした。M2シリーズのような希少車は、もはや応談扱いになっているようです・・・

趣味性の高いクラシックスポーツカーは高値が付きやすい前提はありましたが、それでもRX-7やスカイラインGT-Rが100万円を切っていた時代もありました。先に出た308万円のNAロードスターも、冷静に考えれば26年前(96年式)のクルマです。

そこで、定量的な中古車相場を掲示してくれるWebサイトより、ロードスターの買取価格を検索してみました。もちろん走行距離やボディカラーなどで条件は変わってきますので一概には言えませんが、あくまで参考値ということでご参考ください。

ロードスター買取相場 前提条件
走行距離:100,000km/ボディカラー:ホワイト/グレード:STD
年式  :各世代の初期型と最終型(NDは初期型のみ)
検索  :車買取相場データベース(Webサービス)
https://car-sokuhou.com/
Series Year 中央値 変動値(万円)
NA 1989 0 0~18
1997
NB 1998
2004 ¥349,000 14~53
NC 2005 ¥418,000 21~60
2014 ¥1,360,000 98~162
ND 2015 ¥1,513,000 109~180
NDRF 2016 ¥1,590,000 126~177

ここで分かるのは、20年以上経ったクルマは基本的には無価値と判断されることです。確かに、昔は値段が付かないので後輩に5万円でユーノスロードスターを売った(私の事です)なんて時代もありました。

ただ、現在の中古車市場ではロードスターにそれなりのプライスタグが付いているのも事実です。しかし・・・お気づきかもしれませんが、サイトに掲載されていても「売れていない」ロードスターは間違いなく存在しているようです。理由は明白で「その価値に見合わない」からではないでしょうか。


そこで注目したいのがオークションでの落札価格です。場所を問わず、個人売買が主となるので程度が確認しづらいデメリットがありますが、入札者自身が「それでもいい」と自分で落札するので、ある意味で適正価格に近しくなっていると判断できるのです。したがって、380万で出品されているようなNAロードスターは落札されないので、データに反映させていません。

次項では、今般のスポーツカーブームが来る前になる2018年からのデータから「落札相場」を調べてみました。多少誤差があるかもしれませんが、あくまで参考値としてご覧ください。(※2022年分は10月中旬までのデータを集計しています)

ソース:オークション価格研究所(ヤフオク、メルカリ等のアーカイブ) https://auc1.net/

NAロードスターの相場(2018-2022)

青いグラフはNAロードスターMT車の年次最高値、オレンジのグラフはAT車の年次最高値を繋げています。これは、その値段をかければ「全てが落札できる」前提になると判断してください。

適切な表現かどうかは分かりませんが、2018年では最高値でも58万円でMT車が落札できたのは羨ましいですね・・・でも、当時のNAロードスター中古車価格は「そんな感じ」でした。

全体平均値でみると大きな変動が無いように見えますが、実際はレストアベースの不動車が格安で落札されていることから、相場の「横ばい」を維持しているようです。

NA相場 2018 2019
最低 最高 平均 台数 最低 最高 平均 台数
MT ¥98,000 ¥581,000 ¥278,211 19 ¥102,001 ¥1,000,000 ¥377,609 36
AT ¥100,000 ¥480,000 ¥269,750 4 ¥129,000 ¥420,000 ¥203,688 8
NA相場 2020 2021
最低 最高 平均 台数 最低 最高 平均 台数
MT ¥150,000 ¥1,059,000 ¥444,695 36 ¥98,000 ¥1,800,000 ¥588,198 27
AT ¥50,000 ¥750,000 ¥326,577 13 ¥205,000 ¥501,000 ¥404,000 5
NA相場 2022 サマリー
最低 最高 平均 台数 2018 2022 上昇率
MT ¥180,900 ¥2,200,000 ¥645,523 22 MT ¥278,211 ¥645,523 232.0%
AT ¥261,000 ¥711,000 ¥401,750 4 AT ¥269,750 ¥401,750 148.9%

なお、最安値は5万円のAT車。最高値はショップレストア済みの220万円でした。注目していただきたいのは全体のサマリーで、価格上昇率は2018年から2022年にかけてMT車で2.3倍。AT車で1.5倍になっていました。

ここ最近の市場動向を鑑みると、本当に極上なユーノスがオークション市場に流れてくるかは怪しいですが、レストアベースと割り切ってでも、それなりの価格上昇になっているようです。

NBロードスターの相場(2018-2022)

青いグラフはMT車、オレンジのグラフはAT車で、先のグラフと同じく落札最高値を繋げています。

NAロードスターよりも人気が無いことはグラフレンジが(NAより)低いのでよくわかりますが、21年以降は「ターボ」「クーペ」「限定車」「NR-A」などの希少グレードとともに、後期型1800ccエンジン(NB8C)を中心に軒並み値上がりしていきました。

逆に、カジュアルにオープンカーを楽しめるNBのAT車は、ずっと安定してバーゲンセールになっています。普通に街乗りでは問題ない楽しさですし程度もいい個体が多いので、そのうちレストアドナーとして買い漁られそうな予感がします。

NB相場 2018 2019
最低 最高 平均 台数 最低 最高 平均 台数
MT ¥73,000 ¥900,000 ¥360,823 36 ¥80,000 ¥611,000 ¥309,781 59
AT ¥107,000 ¥220,000 ¥159,667 3 ¥1,200 ¥395,000 ¥214,090 14
NB相場 2020 2021
最低 最高 平均 台数 最低 最高 平均 台数
MT ¥32,500 ¥672,000 ¥353,578 41 ¥151,000 ¥1,750,000 ¥496,147 63
AT ¥111,002 ¥340,000 ¥245,112 10 ¥104,000 ¥776,000 ¥267,322 14
NB相場 2022 サマリー
最低 最高 平均 台数 2018 2022 上昇率
MT ¥183,000 ¥1,850,000 ¥535,285 38 MT ¥360,823 ¥535,285 148.4%
AT ¥198,000 ¥550,000 ¥337,667 6 AT ¥159,667 ¥337,667 211.5%

ちなみに落札最高値はロードスタークーペ(MT)の185万円、最安値は驚きの1200円でした。1200円の個体は不動車ではなく、中古車販売店のオープニングセール品でした。ある意味で伝説の価格ですね・・・落札額の幅における上下幅が半端ないのがNBロードスター相場の特徴でもあります。

サマリーを確認すると、2018年から比較したMT車の上昇率は約1.5倍と、そんなに阿漕(あこぎ)なことにはなっていないようです。また、AT車はそもそもが安値継続しているので、本気でお買い得だと思います。

NCロードスターの相場(2018-2022)


青いグラフはMT車、オレンジのグラフはAT車の落札最高値です。黄色いグラフはNDロードスター(幌)のMT車の平均落札額を記載しています。ただしNDのオークション出品数は少ないので参考値としてみてください。

NCはかなり近代化改修されているロードスターですから、全般的に高値安定しています。衝撃だったのは、2018年時点でNC2幌(MT:サンフラワーイエロー)が80万で落札できていたことでした。今だったら倍の落札額になってもおかしくありません。

グラフ上では2020年にいったん山を作ってはいますが、翌年以降は中古車相場相応に下降を始めているのも注目です。NAやNBは逆に上昇基調になっているのは、クラシックスポーツカーが注目されていることも分かりますね。

また、AT車は高値安定どころか「上昇基調」になっていることも注目です。特にRHTの上昇率が大きく、走行性能ではNDのRFと比較しても遜色ないし、むしろフルオープンで走れたり、上品な雰囲気が再注目されているのかも知れません。

NC相場 2018 2019
最低 最高 平均 台数 最低 最高 平均 台数
MT ¥150,000 ¥905,556 ¥437,200 6 ¥275,000 ¥800,000 ¥468,000 7
AT ¥458,000 ¥1,017,593 ¥478,000 3 ¥200,000 ¥879,000 ¥423,334 4
NC相場 2020 2021
最低 最高 平均 台数 最低 最高 平均 台数
MT ¥158,000 ¥2,400,000 ¥563,267 16 ¥361,001 ¥1,680,000 ¥886,626 8
AT ¥200,000 ¥607,273 ¥341,286 7 ¥104,000 ¥898,282 ¥316,804 6
NC相場 2022 サマリー
最低 最高 平均 台数 2018 2022 上昇率
MT ¥350,000 ¥1,308,000 ¥678,700 10 MT ¥437,200 ¥678,700 155.2%
AT ¥500,000 ¥1,861,000 ¥1,361,000 3 AT ¥478,000 ¥1,361,000 284.7%

ちなみに、最高値はRHT(MT)の240万円、最安値はワンオーナー過走行のMT車15万円でした。

2018年からのMT車上昇率は約1.5倍なのでNBとほぼ変わりませんが、AT車は2.8倍とロードスター相場上昇率のなかでダントツのスコアになっています。NCロードスター自体そもそもタマ数が少ないのですが、これから先に余程のことがなければ相場が下降する可能性は少なそうです・・・

「あの頃は良かった」は老害意見ですが・・・


最後に、各世代で一番人気のあるMT車の最高値を並べてみました。

あくまでオークションの高値落札価格なので、店頭購入であればさらにもう何割か高くなるとともに、心理的な安心やアフターサポートを受けることができるでしょう。

ただ、こう比較してみるとロードスター各世代の差はそんなに大きくないというか、21年以降に「肩を並べている」ことが分かりました。極端な高値ではないですが、極乗車やトップグレードなどの価値があれば、それなりの値段はつけてもおかしくないようです。これが希少車のAZ-1やRX-7、タイプRだと、えぐいグラフになるのでしょうね・・・


幸いロードスターは海外販売の実績(Miata/MX-5)があったので、クルマが海外マーケットに流出するリスクはなさそうですが、それでも昔のように「5万円で先輩から買う」ような時代は戻ってこなさそうです。

もちろん、愛車はプライスレスですし今更リセールバリューを狙うのはナンセンスです。しかし、狙って文鎮にする方がいるかもしれないくらいの価値が付きつつある事は、知っておいて損は無いかも知れません。

逆にいつが買い時か・・・なんて思っていたら、このご時世何が起こるか分かりませんから、手が届かない存在になるかも知れません。そもそもエネルギー高騰やエミッション改定で、ガソリン車の乗れなくなる前に、ロードスターを満喫するのはアリかも知れませんよ!

関連情報→

自分に合ったロードスターの選び方(参考)

ロードスターヒストリーカテゴリの最新記事