NBロードスター限定車「SGリミテッド」

NBロードスター限定車「SGリミテッド」

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本物のスポーツを、粋に乗る。

研ぎ澄まされた「人馬一体」の走りが、洗練を極めた上質な個性を身につけました。セリオンシルバーメタリックのボディカラー、ブルーのクロス製ソフトトップ、スタイリッシュでスポーティなブルーインテリアとアルミ調パーツ。さらにBOSEサウンドシステムも特別装備。そして走りのポテンシャルが、スポーツカーを意のままに操る楽しさを叶えます。

本物を乗りこなす歓び。1600と1800、2つのSGリミテッドがお届けします。

マツダロードスター(NB)「SGリミテッド」カタログより引用

「SGリミテッド」概要


2002年12月16日、NBロードスター後期型(NB3)に設定された限定車が「SGリミテッド」です。当時はアンフィニブランドも残っていたので、【全国のマツダアンフィニ系及び一部のマツダ系販売店を通じて発売する】とプレスリリースされました。

「SGリミテッド」のテーマはスポーツ&ハイクオリティ。NBロードスターのカタロググレードとしても「走り」に振っている「NR-A(1600)」と「RS(1800)」をベースに、専用色「セリオンシルバーメタリック(24V)」のボディカラーとブルーを基調にしたインテリア&ソフトトップ、さらに専用アルミホイールを架装しています。

販売予定台数は限定400台で、市場には1600ccが205台/1800ccが194台納車されました。合わせると399台・・・1台足りない!となりますが、その1台はロードスタークーペ(NB7)のベースモデルに流用されています。限定車を流用とは贅沢な話ですが・・・それには理由がありました。

なお、SGリミテッドの「SG」とは「SILVER GREEN(シルバーグリーン)」という意味であり、専用ボディカラー「セリオンシルバーメタリック(24V)」であることとを指していると思われます。

SGリミテッド 仕様

MAZDA ROADSTER(NB6C) SG-Limited【1600】
車格: オープン 乗車定員: 2名
全長×全幅×全高: 3955×1680×1235mm 重量: 1,050kg
ホイールベース: 2,265 mm トランスミッション: 5MT
ブレーキ: ベンチレーテッドディスク/ディスク タイヤ: 195/50R15 82V
エンジン型式: B6-ZE[RS]1597cc 種類: 水冷直列4気筒DOHC
出力: 125ps(92kW)/6500rpm 燃費(10・15モード) 14.2km/l
トルク: 14.5kg・m(142N・m)/5000rpm 燃料 無鉛レギュラーガソリン
車両本体価格 2,150,000円 発売日 2002年12月

MAZDA ROADSTER(NB8C) SG-Limited【1800】
車格: オープン 乗車定員: 2名
全長×全幅×全高: 3955×1680×1235mm 重量: 1,080kg
ホイールベース: 2,265 mm トランスミッション: 6MT
ブレーキ: ベンチレーテッドディスク/ディスク タイヤ: 205/45R16 83W
エンジン型式: BP-VE[RS]1839cc 種類: 水冷直列4気筒DOHC
出力: 160ps(118kW)/7000rpm 燃費(10・15モード) 13.0km/l
トルク: 17.3kg・m(170N・m)/5500rpm 燃料 無鉛プレミアムガソリン
車両本体価格 2,450,000円 発売日 2002年12月

先にも書きましたが、「SGリミテッド」は走りのグレード「NR-A(1600)」もしくは「RS(1800)」がベースとなっており、スペックの差はほぼありません。もともとノーマル車と比較してボディ補強とストッピングパワーを向上させているので、NBでも重めな設定になっています。ただしオプション扱いだったABSは全車標準装備されていることも特徴のひとつです。

<ベース車標準装備(共通)>
・ビルシュタイン社製ダンパー
・大径ブレーキディスク(フロント、リア)
・トルセンLSD
・スタビライザー(フロント大径サイズ)
・フロントサスタワーバー
・パフォーマンスバー(フロント、リア)
・トラスメンバー

当時「NR-A」は204.8万円、「RS」は233.3万円だったので、ベースグレードとの価格差は10.2万~11.7万円。専用ボディカラー、専用ソフトトップ、専用アルミホイール、エクステリアオプションなどの差分を考えれば、十分にお買い得であることが分かります。今では絶対に実現できない価格ですね・・・

SGリミテッド エクステリアの特徴


SGリミテッドの専用ボディカラー「セリオンシルバーメタリック(24V)」は、うっすらと緑色がかかる銀色で、英語表記では「Therion Silver」・・・セリオンとは「神格的・荘厳」という意味なので、高貴な銀とか神殿色のような意味で、いわゆるアースカラー系に属しています。

面白いのは、光の当たり方でくるくる印象が変わるところ。都会的な背景でも、大自然の中でもそれなりに主張してくれる、なかなか味わい深い色味になっています。


他マツダ車では、同じ工場で製造された2代目デミオ(DY)や2代目MPV(LW)に塗られていたので、ロードスター以外で当時目にする事があったかもしれません。両車種とも現在は風前の灯火ですが・・・


また、ロードスターでは珍しい重厚感のあるデザインの専用ホイール(※重量は標準と変わらず)が1800ccのみに採用されています。翌年に発売を控えていたRX-8(2003年)と共通性のあるデザインであり、マツダスポーツカーの系譜を継ぐものでした。(※マツダは車種をまたいでデザインコーディネートを行う)


なお、1600ccは15インチを採用しています。NR-A用のエンケイホイールをシルバー塗装したものが架装されており、このホイールは海外のNAロードスターから採用されていた、息の長い軽快感のあるデザインでした。


そこにコーディネートされたのはブルーのソフトトップ(幌)。素材もNB3のVSグレードより採用された質感の高いクロス製で、10周年記念車のブルーソフトトップとは異なるものになっていました。ちなみにソフトトップカバーはディーラーオプションでした。

SGリミテッド インテリアの特徴


インテリアはシートやドアトリム、ステアリングやシフトノブをブルーで統一しており、そこへアルミ調のパーツによる差し色が入ります。RS2系(&NR-A)の赤基調と対になっているのが特徴で、スポーティながらも大人な雰囲気で仕上げています。

これらのブルーコーディネートは当時インテグラタイプR(DC5)等でも行われており、スポーツカーにおいて定着するかと思われましたが、いつの間にか消えてしまいました・・・と思ったら、近年NDロードスター「990S」にてこれらに近しいカラーコーディネートが復活しているのもポイントです。


なお、これらの専用パーツは国内専用(400台分)のみで作られたものではありません。NBロードスターはグローバル展開しているので、世界一括のマーケティング企画を行います。

SGリミテッドの系譜は世界で5500台以上発売されているので、量産効果を見越したデザイン採用になっています。したがって、当時はパーツナンバーが分かればアフター購入することも可能でした。(※現在はおおよそ廃版です)

SGリミテッド 兄弟車


国内では専用ボディカラーにエンジン2種類といったバリエーションで販売されたSGリミテッドですが、海外ではさらに「兄弟車」が設定されていました。


豪州では「Classic」としてSGリミテッドの準じた仕様でしたが、北米では年次改良時に設定される「SE(SpecialEdition)3」として、国内NB4のマイナーチェンジでカタログ入りする「ストラトブルーマイカ(25E)」のボディカラーにシルバーのインテリアを配するという、SGリミテッドと正反対のコーディネートを行ったモデルになります。


また、欧州では「Twins」「Silver Blues」「Venity」といった名の通り、セリオンシルバーとストラトブルーの両方と、エンジンも1600と1800から選択することが可能でした。つまり、SG系の限定車は2色セットで企画されていたのです。宣材画像の影に注目、対になっていることが分かります!


国内SGリミテッドとの違いは、エクステリアにメッキフィラーキャップが採用されていたり、ストラトブルーのシートは銀(白)のレザーシートである(青シートはファブリック)など細かいものになりますが、基本的なものは同じになります。

SGリミテッド その後


国内でストラトブルーマイカの限定車が設定されなかった背景は、憶測でしかありませんが当時のNBロードスター販売は芳しくなかったことや、NCロードスターでも20周年記念車などの「青」も見送られていたことから、日本国内で「青」は売れなくなっていたマーケティング的な意味合いが強かったのではないでしょうか。

事実、SGリミテッド自体の販売も厳しかったようで、週末のマツダディーラー広告には【大特価】として大幅値引きされている常連のメンバーになっていました。

翌年には新型RX-8の販売も控えていたし、アテンザスポーツのような利便性の高いスポーツモデルが同じディーラーラインナップに並んでおり・・・横眼にはシビックやインテグラのタイプRやMR-Sもいましたし、販売終了後の駆け込み需要のシルビアなどのライバルもわんさかで、登場から約6年経過していたNBロードスターの「今更感」が半端なかったのです。

しかし、販売から20年以上経過した現在は、もともと走りに振っていた素性と共に「レア仕様」であることからオーナーの元で大切に乗られていた個体が生き残っているようです。事実、ミーティング等で見かけるセリオンシルバーの車体は高コンディションを維持している奇麗な印象があります。


ただ、海外のストラトブルー版はホワイト内装も相まってM2「1002」以来のコーディネート。企画段階で意識していないはずはなく、実際にそれをリスペクトしていることも分かり・・・国内販売されなかったことが悔やまれます。

ちなみに、WebTunedでも明示されなかったホワイトソフトトップはNBロードスターの「隠しメニュー」であり、アフター品としてディーラーでもパーツ国内購入することが可能でした。


ただし、これらのコーディネートは近年NDロードスターの特別仕様「SilverTop(②019-2020)」で再び採用されています。一部メディアで「白のソフトトップはロードスター初」とされていますが、実はNBロードスターの方が先だったのです・・・現行型ロードスター「990S」の青内装やアースカラーの採用、ソフトトップカラーのコーディネートが存在するのも、NB時代から試行錯誤していった結果ともいえるのです。

SGリミテッドの走り?・・・そんなの書くまでもありません。最高です!

<SG-Limited専用装備>
【エクステリア】
専用ボディカラー(セリオンシルバーメタリック)
ガラス製リアウィンドウ付きブルーソフトトップ(クロス製)
新デザインアルミホイール(1600は15インチ、1800は16インチ)
【インテリア】
撥水加工クロス製バケットシート、専用ドアトリム(ブルー)
NARDI社製本革巻ステアリング(ブラック/ブルー)
本革巻シフトノブ(ブラック/ブルー)
レザーパーキングブレーキレバー
4ステッチシフトノブブーツ
<アルミ調パーツ>
センターパネル、シフトプレート、エアベントベゼル
パーキングブレーキリリースボタン、インナードアハンドル


 
関連情報→

NB3ロードスター 国内販売傾向

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