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私のNBロードスター(後期型)の前後バンパーには、ディーラーオプション設定されていたクリアタイプのサイドマーカー(商品名:ホワイトレンズ)を装着しています。
ボディカラーの【ガーネットレッドマイカ(25F)】はシックな色合いなので、クリアで色味を落として全体のトーンを合わせることでクールにみえるようなり、とても気に入っています。(※マーカーという表現はMiataのオプションに準拠しています)
ロードスターから白煙、ディーラーは入庫拒否
寒かったある冬の日、出先でNBロードスターにトラブルが起きてしまいました。ヒータークーラントパイプにピンホールが発生し(経年劣化で穴が空き)、漏れたクーラントがエンジン熱で蒸発してボンネットから白煙が!自走で帰宅するのは危険と判断、幸いその近くにあったマツダディーラーに駆け込みました。
居住地と同じ県内だったのでディーラー顧客情報とも照合してもらえて、いざ修理を依頼したら・・・「クリアマーカー」が整備不良、つまり車検非対応ではないかと指摘を受けました。
純正ショップオプションパーツであるにもかかわらず、マツダディーラーで指摘を受けるのもどうかと思いましたが、ディーラー検査官も立場があるのでしょう。とても強いトーンで「整備不良車は修理できない」と指摘されたので、自分が間違っているのか心配になると同時に、仮であっても愛車に「整備不良」の烙印を押されたことで、とても悲しい気持ちになりました。(※対応自体は、受付ではなくメカニックの方の機転によりことなきを得ました。)
ただ、これは故障先におけるディーラーの指摘。近所のディーラーでは「純正オプションですよね」と理解されているので、車検・整備等は問題なく通過していました。しかし、仮に車検非対応のままドライブを行うのは「正しく・楽しく」クルマを楽しむ私のポリシーに反します。
そこで、本件に関してマツダの【お客様相談センター】へ相談を乞いますと、以下の回答を得ることができました。
マツダ本社へ問合せ
平成15年式のマツダ・ロードスター(NB6C)に関してご質問です。
先日、マツダディーラーにて後期型NBのディーラーオプションに設定された「ホワイトレンズ」という名称の、バンパー前後に装着する白色のリフレクター(当時価格 約2万円(税抜き))が保安基準適用外(車検対応ではない)と指摘されました。
そこで、純正クリアリフレクターは車検対応になるのか、お手数ではございますがアドバイスを頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。
お問合せを頂きました「ホワイトレンズ」につきまして、ご回答申し上げます。
私共でも平成15年当時のショップオプションカタログを探しましたところ、「ホワイトレンズ」は、リフレクターでなく、ガーニッシュと記載されておりました。実際に「ホワイトレンズ」はガーニッシュとして設定されており、そのためレンズ裏面を塗装し、リフレクター機能が無い仕様としております。
リフレクターではありませんので、保安基準に関係ございませんが、もともとはリフレクターが取り付いていましたので、担当する検査員がリフレクターと認識した場合は、バンパーのリフレクターは側方にあたり、保安基準では橙色となっておりますことから、不適合と判断をされる場合があるかと存じます。
クリアサイドマーカーの法的解釈
なるほど、マツダの回答としてはあくまで【ガーニッシュ】、つまり装飾品なので、保安基準には関係しないという事でした。ただし、元から取り付けられていたものが変更されているという点では、検査官のさじ加減で解釈が変わる可能性があるということですね。
それでは、リフレクター(反射板)の保安基準とはどういったものか調べてみますと・・・
第38条 自動車の後面には、後部反射器を備えなければならない。(省略)
・色…赤色
・明るさ…夜間に後方150mの距離から走行用前照灯で照射した場合にその反射光を照射位置から確認できること
・形状…文字及び三角形以外の形であること(O、I、U又は8といった単純な形の文字又は数字に類似した形状は、この基準に適合するものとする)被牽引自動車は正立正三角形又は帯状部の幅が一辺の5分の1以上の中空の正立正三角形であって、一辺が 150mm 以上 200mm 以下のものであること
・取付位置…上縁の高さが地上1.5m以下、下縁の高さが地上0.25m以上、最外縁は自動車の最外側から400mm以内、車両中心面に対して対称に取り付け、自動車の前方に表示されないこと
ロードスターを検証
ここで検証してみると、NA/NBロードスターのバンパーにあるリフレクターは前後とも側面に付いており実質【サイドリフレクター】です。つまり、後方150mの位置から視認できるものではありません。それもそのはず、真のリフレクター(後部反射板)はテールランプに内蔵されています。
そこで、国産車のサイドリフレクター規定を調べてみると「長さが6mを超える普通自動車」に取り付けるという用件で、ロードスターにはそもそもサイドリフレクターが必要では無い事も分かりました。
では何のためにあるのかというと、北米の保安基準で設定されている【サイドマーカー】に対応するためのものです。北米ではクルマの車幅灯レギュレーションがあり、ロードスターではNA時代からバンパー部分が点灯するようになっています。
私見ではありますが、グローバル販売を行うロードスターで、仕様地による専用バンパーを作成するのはナンセンスなのでしょう。そこで、日本国内ではデザインのアクセントとして当該箇所にリフレクターを装着したと思われます。
注意したいのは、北米仕様モデファイでサイドマーカーを点灯させると、日本では車両整備違反(車検に通らない)となります。(ややこしい)
ちなみにNC以降のロードスターの国内仕様では前後ともサイドリフレクターが廃止されていますが、北米仕様では【サイドマーカー灯】が継続装着されています。NDロードスターではマーカー取り付け部分(フェンダーアーチの縁)に蓋がされており、ショップオプションでリフレクター・ガーニッシュを装着することができますね。
純正クリアマーカーが車検対応であるもう一つの理由
クルマに取り付ける純正パーツには、各国の保安基準に対応するための刻印が入っています。
例えばフロントのクリアマーカーには「自R-798」という刻印が刻まれていました。これは国土交通省の保安基準適合「R」はリフレクター(反射板)で、798は付与番号(左右共通、リアは799)ということが、のちの調査で判明しています。この話を指摘された時に言えればよかった・・・
逆にいうと、ランプやリフレクターの刻印をスムージングするモデファイがありますが、保安基準に適応している証拠を消すことになるので、万が一の際にリスクがあることもわかりました。社外ヘッドランプが車検を通らないのは、光量以上にこういったチェックもあるようです。
参考→https://mx-5nb.com/2022/04/04/security-standards/
結果は「合法」、安心して運転するために
さて、先のマツダから頂いた回答の通り、実際は検査官のさじ加減(解釈)ひとつで対応が変わる可能性があるので、この記事が太鼓判になることはありません。また、この「クリアランプ」類はNBロードスターのオプションなのでNAに同じ話が適用されるかも不明です。
ただし、法規を調べたうえで私の解釈はNBのクリアサイドマーカーは【合法】であると認識しました。このロジックとともに、当時の【ディーラーオプションカタログ】を車検証に挟んで、安心して愛車を運転しようと思います。
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