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春頃から国内イベントで登場予告がされていた「ロードスター35周年記念車」が2024年12月25日に正式リリースされました。
本来は11月上旬発表予定だったものが、ND3ロードスター(NDXRE)の「パーキング・アシスト・ユニット」リコール対応(12月13日に公示)にて先送りになったそうですが・・・制御プログラムの書換で無事に対応するということで、納車は2025年2月になるそうですが、なんとか「35周年(期内)」に間に合いましたね!
ありがたいことに、台数限定ではなく受注生産ということで「ほんの少しの勇気」があれば誰でもこのロードスターをお迎えすることが可能です。このトピックを執筆する段階で、事前情報は「2025年3月末まで受注(台数制限なし)」だったものが、「1,000台見込み※(3月3日までの受注期間後は在庫販売のみ)」に変更になりました。12月下旬より予約は始まっていましたが、実質2カ月の販売期間になります。
※期間中に想定以上の注文があれば増産検討
2025 NDXRC(ND3※) | V selection/VS | 35th anniversary | difference | |
幌 | MT | ¥3,553,000 | ¥3,753,200 | ¥200,200 |
RF | MT | ¥4,154,700 | ¥4,354,900 | ¥200,200 |
AT | ¥4,182,200 | ¥4,382,400 | ¥200,200 |
※海外市場では2018年以降の出力向上モデルをND2、2024年以降の電子プラットフォーム改良モデルをND3と呼称します
35周年記念車のベースとなる、NDロードスター(ND3)の幌 Vセレクション/RF VSとの差額は約20万円。通常はショップオプションとなるフロアマットが標準装備(専用タンカラー:31,680円相当)となり、他マツダ車であればアーティザンレッドプレミアムメタリックのボディカラーは特別塗装色となり77,000円(税込)が上乗せされます。さらに35周年オーナメントなど専用加飾を鑑みると、Vセレクション系を検討されているならば「お得」な仕様であることが分かります。
でも、そもそも375万のロードスターがアフォーダブル(=手が届く)なのかを検証するのが今回のトピックです。
歴史あるカラーコーディネート
35周年記念車のカラーコーディネート「ワインレッド×ベージュ」は、クルマだけでなくインテリアやファッションなどの分野でも用いられてきた歴史を持つ、プレミアム感を示す定番スタイルです。少しだけ紐解きますと・・・
ワインレッド(ノワールレッド)
「ワインレッド」はその名の通り赤ワインに由来する「深い赤色」を指し、古くから高貴な色とされてきました。
ワイン自体が宗教儀式や祝祭で使用する神聖な飲み物であったことや、生産するには高度な技術と豊かな土地が必要であること、さらにそれ自体が権力や経済性を示す手段であることから、ワインレッドはステータスシンボルとなる色だったのです。例えば欧州においては、王族や貴族が衣服や装飾品をワインレッドに染めていました。日本では臙脂色(えんじ)や葡萄茶色(えびちゃ)とされ、落ち着きのある「大人」「玄人」をイメージする色とされています。
ベージュ
「ベージュ」はフランス語において「羊毛(beige)の織物」となり、オーガニックで柔らかいイメージを持つ「薄い黄色/茶色」を指します。特に生産効率が上がった19世紀末~20世紀初頭にかけて、ファッションやインテリアで人気が高まりました。和名では「白茶(しろちゃ)とされ、日本人の生活域に馴染む色として定着しています。
タン
「タン」とは皮革(ひかく)の鞣し(なめし)に用いるタナム(タンナム:オークの樹皮)で染められた色であり、「明るいブラウン」から「キャメル」まで幅広い色味の総称です。つまり、ベージュやアイボリーの色味もタナムの手法で染めることが可能だったことから、これらの色を「タン」と呼ぶ風習があります。
ベージュやタンなどのオーガニックカラー(自然由来の色)はシンプルで洗練された印象のため、日常のなかでも「清潔感や純粋さ」を象徴するものとして、フォーマルな場面で採用されてきました。
組み合わせのマジック
「ワインレッドとベージュ」の組み合わせが始まったのは、ヴィクトリア朝時代(19世紀)とされています。この時代のファッションは、深い色合いと柔らかい色合い(ピュア&オーソドックス)の対比が好まれたのです。
もちろん現代においてもファッション、インテリアデザイン、もちろんクルマのコーディネートでも広く採用されており、クラシックかつ洗練されたものとして、プレミアム感を象徴する組み合わせとして愛されています。また、差し色として「金」や「銀」の組み合わせが映えるのもポイントです。
MAZDA ROADSTER 35th Limited(ND3)
2025 | MAZDA ROADSTER 35th Limited(ND3) | |
ExteriorColor | Artisan Red Premium Metallic Artisan Red Premium Tricoat |
51F |
Wheel | 16inch(High brightness) | 17inch(High brightness) |
SoftTop | Beige(Cloth) | |
InteriorColor | Sports Tan | |
Seat | Sports Tan #35th(Nappa Leather) | |
Steering | Leather | |
Shift/Brake | Leather/Chrome | |
Price | SoftTop | RF(35th) |
¥3,753,200 | ¥4,354,900 | |
WLTC (fuel cost) | 16.8 | 15.8 |
3,600km (fuel cost) | ¥40,179 | ¥42,722 |
ロードスター35周年の歴史において、このコーディネートが歴代車種に採用されていたことと、今回は「35年の熟成」をテーマにしていることから、まさにベストマッチであったことが類推されます。35周年記念車が秋のイベントで先行公開された際、エンジニアからは「ワインとチーズの・・・」という例えがありましたが、まさに巧みな表現といえるでしょう。
35周年記念車は、ND3ロードスターのカタロググレード「Vセレクション」がベースであり、エクステリアには専用塗装「アーティザンレッドプレミアムメタリック(ワインレッド)が塗られ、ボディフレアにはシリアルナンバー入りのオーナメントが取り付けられます。
インテリアはスポーツタン(ベージュ)のシートに「35th」を示すエンボス加工が施され、通常はディーラーオプションであるフロアマットが標準装備となり、コーディネイトを徹底しているのもポイントです。また、幌仕様はMT車のみの設定ですが、RFではAT仕様(+27,500円)の選択も可能です。
35周年記念車は「高い」のか?
超カッコいい「35周年記念車」ですが、気になるポイントとしてはやはり車両本体価格ではないでしょうか。幌モデルで375万、RFで435万というプライスは、ロードスターも「いい値段になったな・・・」となるところ。総じてスポーツカー(というよりも物価)が高騰しているなか、販売してくれるだけでもありがたいんですけどね。まさにプレミアムなロードスターです。
一方、ロードスターはアフォーダブル(=手が届く)な存在であることを標榜し続けていました。趣味に使う金額はプライスレスとはいえ、諸事情により欲しくてもタイミングが合わない方もいるでしょう。準備貯金や下取りの差額を考慮したうえでも、一般的に無理のない自動車購入金額は【年収の半分】とされていますからね。
しかし、よく考えるとこれは【過去の価値観】に基づくもの。35年前と現在(1989年 → 2024年)では、(デフレの物価安もありましたが)特にここ数年はエネルギー価格を始め、そもそもの物価や税金などあらゆるものがコスト上昇しているので、一概にいえないのです。
そこで「35周年記念車」系譜となる歴代ロードスターを並べて、【現在の物価】に換算するとどうなるのかを調べてみました。ちなみに、35周年記念車の紹介映像ではワインレッドとタンの系譜は途絶えていた・・・とありますが、それに近しいモデルはずっと継続していました。
ソースとなる物価上昇率は平均大学初任給から、さらに車両本体価格にかかる消費税(自動車は総額表記)の変化や、一つの指標として燃費を現行式(WLTCモード)に変換し、計算を行っています。
年代 | 大学初任給 | 物価変換率 | 消費税 |
1996 | ¥193,200 | 1.167 | 3% |
2000 | ¥196,900 | 1.145 | 5% |
2002 | ¥198,500 | 1.136 | 5% |
2003 | ¥201,300 | 1.120 | 5% |
2005 | ¥196,700 | 1.146 | 5% |
2006 | ¥199,800 | 1.128 | 5% |
2018 | ¥210,100 | 1.073 | 8% |
2024 | ¥225,457 | 0.000 | 10% |
ガソリン価格 レギュラー176.2円、ハイオク187.5円で計算
※2024年12月末時点の全国平均価格
歴代車両を2024年度物価に換算する
EUNOS ROADSTER VR Limited Combination A(NA8) 230万 → 287万
ユーノスロードスター(NA8)VRリミテッド・コンビネーションAは、アールヴァンレッドのボディカラーと、トープ(フランス色名=もぐら)インテリアをコーディネートした限定車(700台)です。専用15インチアルミホイールに加え、モモ製レザーステアリング&アルミシフトノブなど、「走り」に対する演出も抜かりなかったMT専用モデルです。ちなみに兄弟車ではVRリミテッド・コンビネーションBというエクセレントグリーンマイカ(緑)の限定車(800台)も存在します。
NAロードスターにおいては、実質的にほぼ全ての装備されていた「エアコンとオーディオ(ショップオプション)」の価格も加え、2024年度換算を行いました。なお、(意外かもしれませんが)NAロードスターにおける純正の「赤×明るい内装」組み合わせはVRリミテッド・コンビネーションAしか存在しません。
1996 | EUNOS ROADSTER VR Limited Combination A | |
ExteriorColor | Art Vin Red Mica/Merlot/Vin Rouge | A1Q |
Wheel | 15inch 5Spoke custom | |
SoftTop | Tan(Vinyl) | |
InteriorColor | Black/Tope | |
Seat | Tope(Leather) | |
Steering | MOMO(Leather) | |
Shift/Brake | Aluminum | |
Price | ¥2,080,000 | |
Actual selling price(※) | ¥2,300,800 | |
2024 conversion | ¥2,872,892 | |
10/15 mode (fuel cost) | 12.0 | |
WLTC (fuel cost) | 10.2 | |
3,600km (fuel cost) | ¥62,188 |
※エアコン(151,000円)、オーディオ&スピーカー(69,800円)のショップオプションを含む
2024年換算は、物価上昇分+消費税(+7%)を含む
MAZDA ROADSTER NR Limited(NB1) 251万 → 288万
マツダロードスター(NB1)NRリミテッドは、先代(VRリミテッド)をリスペクトしたMT専用の限定車(500台)です。エクス輝アはアールヴァンレッド(※)のボディカラーを継ぎ、バフ仕様の純正15インチホイールを履いています。インテリアにおいてはカタロググレード(VS)の「タン」よりもトーンを上げた「ベージュ」を採用しつつ、差し色としてダークウッドのナルディインテリアパーツを架装しています。
※色名は同じだがカラーコードが刷新されている
2000 | MAZDA ROADSTER NR Limited | |
ExteriorColor | Art Vin Red Mica/Merlot/Mahogany | A7/23E |
Wheel | 15inch buff | |
SoftTop | Beige(Vinyl) | |
InteriorColor | Beige | |
Seat | Beige(Leather) | |
Steering | NARDI DarkWood | |
Shift/Brake | ||
Price | ¥2,516,000 | |
2024 conversion | ¥2,880,904 | |
10/15 mode (fuel cost) | 13.0 | |
WLTC (fuel cost) | 11.05 | |
3,600km (fuel cost) | ¥57,405 |
2024年換算は、物価上昇分+消費税(+5%)を含む
MAZDA ROADSTER VS Combination B(NB3/4)240万 → 286万
マツダロードスター(NB3/4)VSコンビネーションB(1800cc専用)はカタログ選択が可能でした。インテリアは先代NRリミテッド(NB1)に準じるベージュ内装+ダークウッド・ナルディインテリアが採用されており、さらにワインレッド(ガーネットレッドマイカ(2002)/ラディアントエボニーマイカ(2003))のボディカラーを選択することが可能でした。細かい違いでは2004年生産からはナルディウッドパーツが廃止され、相応品(OEM)に代替されています。カタログモデルなのでAT選択も可能であり、その際は14インチホイールへの変更とともに+48,000円のコストが加算されました。
カタログモデルなので売れた・・・と書きたいところですが、当時はNBロードスターがモデル末期で不人気だったこともあり、今回のコーディネート対象としてはかなり少ない出荷台数になっています(ガーネット96台/ラディアント14台)。ただし、当時「WebTuned」というメーカーカスタマイズが可能な仕様もあり、NB6(1600cc)でも何台かこのコーディネートが選ばれたNBロードスターも存在しています。
2002/2003 | MAZDA ROADSTER VS Combination B | |
ExteriorColor | Garnet Red Mica | 25F |
Radiant Ebony Mica/Black Cherry | 28W | |
Wheel | 15inch Nomal | |
SoftTop | Beige(Cloth) | |
InteriorColor | Beige | |
Seat | Beige(Leather) | |
Steering | NARDI DarkWood | |
Shift/Brake | ||
2002 | 2003 | |
Price | ¥2,398,000 | ¥2,400,000 |
2024 conversion | ¥2,859,840 | ¥2,822,413 |
10/15 mode (fuel cost) | 13.0 | |
WLTC (fuel cost) | 11.05 | |
3,600km (fuel cost) | ¥61,086 |
2024年換算は、物価上昇分+消費税(+5%)を含む
MAZDA ROADSTER Blaze Edition(NC1) 284万 → 336万
マツダロードスター・ブレイズエディション(NC1)は「きらめき、強い光、燃え立つような色彩」というテーマを持った特別仕様車(期間限定受注車)です。専用ボディカラーにはラディアントエボニーマイカが塗られ、インテリアはサンドベージュとともにアルミ調パーツでアクセントが加わります。兄弟車としてハイランドグリーンマイカ(緑)も選択することができ、幌だけでなくRHTも選択が可能でした。ちなみに海外市場では、マイナーチェンジモデルとなるNC2でもラディアントエボニーマイカのボディカラーが提供されています。
本仕様はNA/NB時代の「Vスペシャル/VS」をリスペクトしたものではありますが、NCロードスターのキャラクターや法規の関係からウッドパーツは採用されず(ショップオプションでは選択可能)、幌も黒となりました。ただし、NCロードスターで唯一のサンドベージュ内装を採用していることから、貴重なクルマであることは間違いありません。ATモデルも選択可能で、幌は+30,000円、RHTは+95,000円のコストが加算されます。
2006 | MAZDA ROADSTER Blaze Edition | |
ExteriorColor | Radiant Ebony Mica/Black Cherry | 28W |
Wheel | 17inch BBS | |
SoftTop | Black(cloth) | |
InteriorColor | Sand Beige | |
Seat | ||
Steering | Cloth(Beige stitch) | |
Shift/Brake | ||
Price | SoftTop | RHT |
¥2,840,000 | ¥3,040,000 | |
2024 conversion | ¥3,364,929 | ¥3,601,896 |
10/15 mode (fuel cost) | 13.0 | 11.8 |
WLTC (fuel cost) | 11.05 | 10.03 |
3,600km (fuel cost) | ¥61,086 | ¥67,298 |
2024年換算は、物価上昇分+消費税(+5%)を含む
MAZDA ROADSTER Caramel Top(ND2) 316万 → 346万
マツダロードスター・キャラメルトップ(ND2※)は、2018年のNDロードスター年次改良で設定された特別仕様車(期間限定受注車)です。ベースとなるグレードはSレザーパッケージで、そこへ専用のブラウン幌とスポーツタン(ベージュ)内装が架装されました。
赤系のボディカラーはND初期モデルのソウルレッドプレミアムメタリックからソウルレッドクリスタルメタリックに変更され、その陰影がもたらす深い色味はノワールレッドの系譜といって間違いないでしょう。なお、このスポーツタン(明るい内装)は北米MX-5のローンチエディション(2015)で先行採用されていたもので、待望の国内デビューとなりました。
同時期、NDロードスターRFにおけるVSグレードの内装もスポーツタンに変更されており、こちらはBBS製の17インチホイールが採用されています。カタログモデルなのでAT仕様も選択可能で、幌で+113,400円、RFで+20,000円のコストが加算されます。
(※海外では出力向上した2018年モデル以降をND2としている)
2018 | MAZDA ROADSTER Caramel Top(ND2) | |
ExteriorColor | Soul Red Crystal Metallic/Soul Crystal Red | 46 V |
Wheel | 16inch(High brightness) | BBS17inch(Black Metallic) |
SoftTop | Brown(Cloth) | |
InteriorColor | Sports Tan(Sand Leather) | |
Seat | ||
Steering | Leather | |
Shift/Brake | Leather/Chrome | |
Price | SoftTop | RF(VS) |
¥3,159,000 | ¥3,715,200 | |
2024 conversion | ¥3,457,701 | ¥4,066,493 |
WLTC(fuel cost) | 16.8 | 15.8 |
3,600km (fuel cost) | ¥40,179 | ¥42,722 |
2024年換算は、物価上昇分+消費税(+2%)を含む
ソウルレッドクリスタルメタリック塗装は+64,800円(税込)
MAZDA ROADSTER V Selection(ND3) 362万
マツダロードスター・Vセレクション(ND3※)は、デフ周りの改良や電子プラットフォーム刷新を中心に大幅なマイナーチェンジが行われた最新モデルで、スポーツタン(ベージュ)内装をコーディネートした仕様がカタログ追加されました。センターコンソール周りのソフトパットや最新マツダコネクト、編み込みが凝っているベージュ(ドリフトウッド)のクロス幌など、従来モデルから更なる質感境上を果たしています。
エクステリアにはソウルレッドクリスタルメタリックを組み合わせることが可能で、さらに高硬度塗装のアルミホイールや、ボディ同色のミラーもアクセントとして採用されています。
同じく、NDロードスターRFにおけるVSグレードもスポーツタン内装に統一され、さらに切削加工(ブラックメタリック)したマツダデザイン17インチホイールを履いています。もちろんATも選択可能で、幌は+115,000円、RFは+27,500円のコストが加算されます。
2024 | MAZDA ROADSTER V Selection(ND3) | |
ExteriorColor | Soul Red Crystal Metallic/Soul Crystal Red | 46 V |
Wheel | 16inch(High brightness) | 17inch(Black Metallic) |
SoftTop | Beige(Cloth) | |
InteriorColor | Sports Tan | |
Seat | Sports Tan(Nappa Leather) | |
Steering | Leather | |
Shift/Brake | Leather/Chrome | |
Price | SoftTop | RF(VS) |
¥3,619,000 | ¥4,220,700 | |
WLTC(fuel cost) | 16.8 | 15.8 |
3,600km (fuel cost) | ¥40,179 | ¥42,722 |
ソウルレッドクリスタルメタリック塗装は+66,000円(税込)
※海外市場では2024年以降の電子プラットフォーム改良モデルをND3と呼称します
35周年カラーの相場価格を並べてみる
最後に2024年換算価格を比較してみます。NA~NB世代が近しい金額になるのは想定内でしたが、実はNC~ND2の幌モデルまではほぼ同水準の価格であることが分かります。RFの価格が突出しているように見えるのは、エンジン仕様の違い(幌1.5 → RF2.0)が価格にオンされているものと類推されます。(屋根とエンジンが違うだけで約+60万円となりますが、欧州のRF1.5リッターモデルであれば、NC ↔ RHTのような価格レンジになるのでしょう)
ワインレッドの系譜で考えると、35周年記念車(幌)の375万円に対してNAが287万円ですから、35年の間に88万円の価格差が生まれた・・・といえるでしょう。
さらに現時点での中古車価格も調べてみると、VRリミテッド(NAロードスター)は定価よりも高いレストア車両しか流通しておらず、突出した価格になっていました。むしろNB/NCロードスターは中古車相応の価格が付けられています。それでも20年以上前のクルマがこの価格であること自体が凄いのですが・・・
もちろん中古車の方が価格面ではメリットがありますが、維持費用(修理費用)を鑑みると、旧世代はコストが上乗せされることも加味しなければなりません。一方で燃料費を並べてみますと、ハイオクガソリンであってもスカイアクティブ世代のコストパフォーマンスの良さが表れていました。
年代 | 世代 | 当時価格 | 2024年換算価格 | ※中古車価格 | 3600km燃料費 |
1996 | NA | ¥2,300,800 | ¥2,872,892 | ¥3,467,000 | ¥62,188 |
2000 | NB1 | ¥2,516,000 | ¥2,880,904 | ¥1,040,000 | ¥57,405 |
2002 | NB3 | ¥2,398,000 | ¥2,859,840 | ¥680,000 | ¥61,086 |
2006 | NC1 | ¥2,500,000 | ¥3,364,929 | ¥898,000 | ¥61,086 |
NC1RHT | ¥2,700,000 | ¥3,601,896 | ¥1,417,000 | ¥61,086 | |
2018 | ND2 | ¥3,159,000 | ¥3,364,929 | ¥2,197,000 | ¥40,179 |
ND2RF | ¥3,715,200 | ¥4,066,493 | ¥2,498,000 | ¥42,722 | |
2024 | ND3 | ¥3,619,000 | なし | ¥40,179 | |
ND3RF | ¥4,220,700 | ¥42,722 | |||
2025 | 35th | ¥3,753,200 | ¥40,179 | ||
35thRF | ¥4,354,900 | ¥42,722 |
※2024年12月17日時点のもの
なお、現時点で35周年記念車の価格が高いような気がしても、中古車における経年劣化はいかんともしがたく、「メーカー保証(メカとしての信頼性)」=「安心を買う」という観点では、プレミアムな存在であることも加えたうえで、35周年記念車はお得な存在なのかもしれません。
また、ロードスターRFの一部グレードがRX-7(FD)よりも高いことがファンの間で話題になりますが、2002年のRX-7「スピリットRタイプB」が約400万円。2024年換算をすると477万円になりますので、ロータリーの方が全然高かったりします。
最後にNDロードスターの標準車(Sグレード)の価格は約290万円。実はNAやNBの限定車とほぼ同じ価格であり、アフォーダブルという観点でロードスターはまだまだ頑張っていることが分かります。スポーツカーで損得を語るのはナンセンスかもしれませんが、何か参考になれば幸いです。
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