ロードスターの梅雨対策

ロードスターの梅雨対策

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高温多湿の日本では、5月末から7月にかけて雨季・・・つまり、曇りや雨の天候が続く「梅雨(つゆ)」に入ります。最近は夏の時期が早まってとんでもない暑さになったり、大きな天候崩れがあったりもしますけどね・・・ともあれ、オープンカーであるロードスターにとって、屋根が開けづらくなる寂しいシーズンでもあります。

また、(私事ですが)「世界一の手動幌」を持つとはいえ、我が家はガレージではなく青空駐車。さらに、仕事の関係で週末しかロードスターに乗れませんので、雨が降り続ければ放置されるクルマにそれなりの負担がかかっています。

そこで、梅雨シーズンに備えて私が行なっているメンテナンスをいくつかご紹介します。

湿気対策を行う


エアコン動作確認
梅雨は高温多湿な環境になるので窓ガラスが曇りがち。外気とキャビンの寒暖差を無くそうにも、雨が降っていたら窓を開けることもできません。したがって、エアコンのデフロスターやリアガラスのデフォッガー機能(ハードトップ/NBガラス幌以降)を使うことになるのですが・・・いざって時に動かないとストレスになります。近代車は常時エアコンが主流のようですが、NA/NBは明らかにパワーが落ちるので、時期が来ないとスイッチを入れないんですよね。

そこで、可能であれば梅雨入り前から「エアコン」の動作確認をお勧めします。どちらにせよ機能をしないと梅雨明けにはオープンカー泣かせの灼熱地獄(夏)が待っているので、涼しい風が出るか確認をしておいた方が安心です。

そこでエアコンユニットが壊れていたら大変ですけれど、そもそもエアコンガスは7~8年で抜けるので(2~3年で冷えないとどこからか漏れている可能性もある)、エアコンガス充填を検討したほうがいいかも知れません。個人的にコスパ抜群だったのが、カーショップで行ってくれる「エアコンガス・リフレッシュメニュー」でした。

これはエアコンのガス充填とともに、ラインの洗浄も兼ねたメニューで、失礼ながらNBロードスターとは思えないくらい冷えるようになりました。なお、近年はヒーターラインの加工を行うモデファイもありますが、そうでなくてもメンテされていれば十分にエアコンは機能することを実感できます。


除湿剤を配置する
地味に効果がある対策は、車内に「除湿剤」もしくは「新聞紙」を配置することです。見える場所にあると貧乏くさくなりますので、シート裏あたりに配置するといいでしょう。

 
シーズン途中にチェックをしてみると・・・結構な量の水が溜まっていることがわかります。これ、やっておかないとカーペットにカビが発生します(後述)。シーズンごとに溜まった水を処分することを楽しみにしています・・・

雨漏り対策をおこなう


オープンカーにとって一番厄介でストレスがたまるのはキャビンの浸水でしょう。

雨漏り要因の筆頭は「Aピラー頂点」、時点で窓ガラスが当たるモール周辺の密閉が怪しい感じです。屋根のないオープンカーはボディ開口部は経年劣化でどうしても歪んでくるし、ゴムシールも痩せていくからです。

まずは【日常的にできる対策】として幌にストレスをかけないことが重要です。NA/NBロードスターはロックを外したら幌を片手でバーンと空けて、ガバッと閉じることができる利点がありますが、開閉時はあえて左右一緒に(両手を使って)トップロックを操作することをお勧めします。

なぜなら、特にピラーの頂点は片側ずつ操作すると「左右の歪み」でどうしても微妙なずれが生じます。面倒がらずに車内に座りながら「儀式」(と思って)ロック操作を行いましょう。なお、NC以降のロードスターは中央一ヵ所にロック機構が備わっていますので、このあたりよく考えられていますよね・・・羨ましい。

また、意外と忘れがちなのはキャビン後方(Cピラーにあたる部分の根本)にある「水抜き穴」。雨の水流は幌の端に繋がっているレインレール(キャビン内に隠されています)を沿って外に排出される構造です。そこで水抜き穴が詰まると、シート裏に水溜まりが発生します。

NCロードスター以降はドレンボルト部分がカートリッジになっているので掃除をしやすいですが、NA/NBロードスターは太い針金等で突いて水抜き穴の「お通じ」を良くしておきましょう。こんなところが詰まる訳ないと思いきや、オープン走行時に紛れ込んだ落ち葉、虫、雨水に含まれていた泥などが堆積していくんです。

なお、内装が濡れたままだとカビが発生します。オーガニックカラーな緑色で汚れたカーペットは精神的にダメージが大きいので、見つけたらカビキラーで対処しましょう。晴れている日のタイミングが合えば、朝から天日干しをおこなってキャビンをカラッとしておきましょう。

参考リンク:NA/NBロードスター 雨漏り対策
https://mx-5nb.com/2025/04/21/rain-leak-prevention/


また、トランクルームが浸水することもあります。

原因は、ハードトップのデッキプレート(取付け部分の金具)下にある「パッキン」や「パネル接合部」のシール劣化、もしくはトランクまわりのウェザーストリップが劣化することで起こります。さらに、私のロードスターはナンバープレート裏の水路にあたるパネルに隙間があり、そこから思いっきり浸水してトランクに水たまりができていました。

特にNBロードスターであれば陥没しているスペアタイヤ部分に水が溜まり、スチール製のスペアタイヤが錆びてしまいます。水回りが怪しいと思ったら、シーラントやブチルテープで対策をしておきましょう。

参考リンク:NBロードスター トランクの雨漏り対策
https://mx-5nb.com/2021/06/14/leakage-in-the-trunk/

駐車時に想定外の雨!いざという時は


駐車時にボディカバーを装着していたり、もしくはハードトップに換装していれば雨漏りに対する安心感は格段に上がりますが、この季節はいきなり天候が崩れ滝のような雨が続くこともあります。雨漏り対策は万全と思っていても、暴力的な降雨の際には幌のキャパシティが心配になりませんか?

そこでまず、対策の前提としては「なるべく水平な場所」に駐車しておくことがポイントです。坂道などのスロープや、片輪を路側帯に上げていると、クルマに隙間が生じやすいので水が浸入してきます。


そういった事態も踏まえたうえで、緊急的に使えるのが「雑巾」です。カッコ悪いかも知れませんが、最も浸水する可能性が高いAピラーに「雑巾」を置いておくだけで、安心感が格段に向上します。

さらに、可能であればAピラー直下(シートの前端やサイドシルとの隙間)に吸水性のある雑巾やウエスを置いておくと、雨漏りをいていてもリカバリーが効きやすくなります。ただし、大雨のなかでドアを開閉をすると、そのまま水が染みてキャビンに入ってくることもあるので、対策はケースバイケースで対応しましょう。少しくらいの被害なら様子を見て、あえて雨が上がるまで待つ・・・というのもひとつの手かもしれません。

雑巾自体は100円ショップでも置いてあるし、ピンポイントでいい感じに水を吸って守ってくれるので、私はロードスターに常備しています。カッコ悪いかも知れませんけれど、緊急時にはコスパの良い対策といえるでしょう。ちなみにメンディングテープで対策できるか試してみましたが、ボディや幌に糊(のり)が残ってしまって微妙でした。

ただし、注意点もあります。ビニール幌であればあまり影響はありませんでしたが、クロス幌(特に明るい色)の場合は雨が上がったらすぐに雑巾を外しましょう。放置していると雑巾の持つ湿気により「黒カビ」が発生する要因になります。


【注意!】
安価なボディカバーは要注意。ここ最近の天候急変は大雨のちに急に晴れ、しかも急激な温度上昇などのハードな環境変化も発生します。メーカー名は記載しませんが、安いボディカバーは湿気が上手く抜けず、ボディのクリア層を侵して塗装(クリア層)が白化して笑えない状況になります。いわゆるクリア浮きですね。

当該ボディカバーのパッケージには「雨上がりにはカバーを外し、ボディを乾燥させましょう」と小さく注意書きがありましたが、そもそも平日のためにカバーを購入したのに、安心して使用できませんよね。したがって、ボディカバーは安心、安全なブランドを使用することをお勧めします。

シーズン明けの儀式


クラッチレリーズシリンダー(猫クラッチ対策)

そもそも、レリーズシリンダーに質のいいグリスが塗布されていればリスクが下がりますが、梅雨明けには「猫クラッチ」が発生することがあります。これはクラッチを踏んだ時に「にゃー」と猫の声のような異音がするものです。クラッチレリーズシリンダーのグリス切れです。新品パーツの購入でも対応できますが、DIYでも整備可能なので、鳴き始まった方はチャレンジをオススメします。

余談ですが、私は新車購入したNBロードスターでもこの現象が発生しました。そういえば、レリーズシリンダーを新品交換したら、パッタリ起こらなくなったな・・・

参考リンク:ロードスター「猫クラッチ」対策
https://mx-5nb.com/2020/04/15/mx5-cat-clutch/


ブレーキの固着
これはブレーキパッドの相性や走り方によるものですが、雨上がりにはブレーキディスクの鉄粉が固着することがあります。走りだす時に「パキン」とサビ割れ音があることも。

基本的にはクルマを始動した後、(迷惑にならない場所で)ブレーキを複数回踏みこむとディスク表面が慣らされて、鉄粉も除去されるはずです。最初は低速でも「キーッ」とスキール音がするので心配になりますが、音がなくなるまで錆を削っていきましょう。

これ、思い切りよくやらないとディスクの辺摩耗(というより波が残る)がおきますので、ギュッと踏み込みましょう。もちろんブレーキダストが固着したままだと異音やABS誤作動の原因にもなります。それでも違和感があるときはホイール内をチェックしましょう。


フェルリッドワイヤーの固着

たまにフェルリッドワイヤーの頂点が固着することがあります。給油時にリッドが開かないと困りますので、挙動が怪しければ矢印の部分を押して固着をなくしたり、シリコングリス等を塗布して動くようにしておきましょう。


電装品の固着に注意

湿気が高い状態が続くと電装系パーツに錆が発生していることがあります。私の愛車はヒューズが固着して取り外すだけでも一苦労でした。また、ロードスターはコストダウン・・・いや、軽量化のために予備ヒューズが用意されていない場合もありますので、いざという時に困ります。


そこで、予備をアクセスハッチの裏あたりに貼り付けておくだけでも安心です。チップチューンをするほどではないけれど、電装品が元気なことは安心に繋がります。不調だな?と思ったら、ヒューズボックスも確認してみましょう。

参考:ロードスターのヒューズ交換
https://mx-5nb.com/2021/10/11/fuse-replacement/

クルマにカビが発生するなんて、さすがロードスター・・・湿気対策も楽しいですが、オープンで走れる季節が待ち遠しいですね。

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