NBロードスター・トリビア集

NBロードスター・トリビア集

この記事を読むのに必要な時間は約10分です。

トリビア(trivia)とは「雑学的な事柄や知識、豆知識」。

今回ご紹介する内容は、本サイトの他トピックで取り上げたものもあるし、これらを知らなくてもNBロードスターの楽しさは何一つ変わりません。ただ、少しだけでも「へぇ」と思ってもらえれば幸いです。

エアロボードはステッカーを貼れるようになっている

NBロードスターに久々純正採用されたエアロボード。

その効果はオープントップ(幌を空けた)際に風流れをコントロールし、キャビンへの巻き込み防止(髪がボサボサにならないようにする)を図るものです。そのルーツはRX-7カブリオレ(FC-3C)にまで遡る、マツダオープンカーの由緒正しい装備として、現行NDロードスターにまで引き継がれています。

そんなNBロードスターのエアロボード、使用しない時は折りたたむことが可能であり、これはクローズ時に幌の格納スペース(内側)を「荷物置き場」とする際に隔壁として機能するアイディアパーツになっています。

また、エアロボードの表面は基本的に内装と同じ幾何学紋(きかがくもん)のテクスチャーが付けられていますが、展開すると(外から見える部分)サラサラな面になっています。これは「ミーティングやクラブチームのステッカーを貼る」ように配慮されているからです。

エアロボードはただの風よけの「板っぱち」のようで、様々なアイディアが盛り込まれているロードスターならではの機能パーツでいえるでしょう。なお、NBロードスターのエアロボードはボルトオンでNAロードスターにも取り付け可能です。(※ロールバーやブレースバーに対応した取り付けキットも存在します)

参考→https://mx-5nb.com/2020/06/29/loading-bond/

1000kg割っているグレードがある


NBロードスターの前期型(NB1)にのみ用意されたグレード「標準車」はこだわりの「パワステレス」「パワーウインドーレス」「幌熱線レス」「手動アンテナ」「エアロボード無し」「スチールホイール」といった、玄人好みな仕様で販売されました・・・が、実際は58台しかデリバリーされていません。

そのなかでも特筆すべきは、カタログにひっそりと「エアコンレス」仕様がきさいされていたことです。エアコンレス仕様の車重は1,000kgとなっていますが、これは諸元記載のルールに基づくものであり、実際は1,000kgを割っています。

しかし、ユーザーの手に渡ることは無かったようで、エアコンレス仕様の30台は(現在もNDロードスターで継続開催されている)メディア対抗レースの車両として使用されていました(その後、中古車として流通したかは不明)。その雄姿は当時の記事や、ベストモータリングのYoutubeチャンネルで、イコールコンディションを活かしたタイヤ性能比較特集などで、今も確認することが可能です。

なお、これら諸々の「レス仕様」は量産効果に反するものだから逆にコストがかかっていました。それでも特に、パワステレス機構は主査が「あの味(しっかり感)を、どうしても残したかった」と語っています。

参考→https://mx-5nb.com/2022/03/28/miata-tax/

サイドエアバッグが入る予定があった


NBロードスターの後期型(マイナーチェンジ)において、インテリアの基本構成(ダッシュボード)に変更はありませんでしたが、メーターパネル、センターコンソール、ドアトリム(ドアの内張)は分かりやすく差し替えられました。そのなかで、後期型のドアトリムには中央にメッシュのテクスチャーがあります。

ここはサイドエアバッグを格納するために用意されたスペースであり、パーツリスト上でも分割できる構成になっています。本来であればマイナーチェンジを重ねたタイミングでサイドエアバッグを搭載する予定でしたが、NBロードスター現役当時に装着できるレベルのものが完成せず(むしろ爆発すると人体が危なかった)、残念ながら不採用となってしまいました。※NCロードスターで実現することになります。

ただ、折角パーツ分割されているのでカラーバリエーションが展開され、グレードや限定車における、インテリアのアクセント(指し色)として機能しています。

参考→https://mx-5nb.com/2021/04/19/regulation1/

コーヒーカップの取手が配慮されている


NBロードスター前期型のカップホルダーはセンターコンソールボックスの中に配置されており、飲み物の転倒防止になるとはいえ「開けっぱなし」で使用しなければいけないことが、かなり不評でした。

そこで後期型のセンターコンソールではパワーウインドースイッチとアッシュトレイ(灰皿)の位置を見直し、リトラクタブル・カップホルダーが2ヵ所設置されています(片側は灰皿兼)。

注目すべきは、メインとなるであろう後ろ側のホルダーにはよく見ると「切り欠き」があることです。これはマグカップ等の把手(はしゅ:取手)が考慮されたもので、海外では通勤時にマイカップを持参してモーニングを注文するので、その文化に配慮した仕様となっています。

ちなみにNBロードスターの取扱説明書では「走行中にカップホルダーは使用しないでください」と記載されています。走行中にこぼれてしまうことを配慮した、「逃げ」の説明といえるでしょう・・・

参考→https://mx-5nb.com/2019/11/19/cupholder-repair/

10周年記念は日本だけ特別仕様


NBロードスターの限定車は基本的に世界統一仕様ですが、「10周年記念車(国内仕様500台)」のみ、エンジンにおけるバランスチューニングが施されています。

ロードスターはスポーツカーとはいえ量産車なので、エンジンにおいても組みつけ精度の公差・・・つまり「この程度はずれていても仕方がない」と公式に許容されている範囲が設定されています。

しかし、10周年記念車ではピストン、コンロッド、フライホイールが厳選されています。パーツ単位で重量を測り、なるべく近い公差内に収まるよう選別し、ベストバランスの組付けが行われているのです。運動部品にとっての重量バランスのレベルアップは、吹け・延び、レスポンス、エンジン音質の向上を促すとされています。

当時はホンダのタイプRシリーズや日産GT-Rなどでしか行われていなかった工程であり、マツダではNBロードスター10周年記念車か、もしくは現行の新品ロータリーエンジン(まだ購入できる)でしか行われていない、いわばメーカーチューンが行われていたのです。

ちなみに、現場からは「二度とやりたくない」と怒りの声が上がったというエピソードも残されています。もちろん現在の加工技術は上がっているので、吊るしでも精度は上がっていると思われますが、10周年記念車のエンジンはそれだけ「特別」なものになっています。

参考→https://mx-5nb.com/2020/12/18/almost-new-car-miata/

NBにも純正のシルバートップが存在する


2019年~2020年にかけて販売されたNDロードスターの特別仕様車「シルバートップ」は、シルバーの明るい幌が設定されたことで話題になりました。ただ、そのルーツはNBロードスターの限定車まで遡ります。

2003年mpNBロードスター後期型(NB3)における限定車「Twins」「Silver/Blues」「2003SE」などに、ストラトブルーマイカ(紺色)に明るい幌(シルバー幌)&インテリアが設定されていたのです。

こちら、国内では「SGリミテッド」として展開されたグレードの兄弟車でしたが、残念ながら国内のNBロードスターでは用意されませんでした。当時の日本では、NBロードスター自体が不人気だったことや、このカラーコーディネートが受け入れられないと判断されたからでしょうか・・・

しかし、当時から純正パーツとして用意されていたので「シルバーのクロス幌」「シルバー内装」はディーラーでパーツ注文をすることが可能でした。残念ながら現在はパーツ廃版になっていますし、WebTunedでもシルバーコーディネートをYSリミテッドのステアリングなど一部の限定車でしか明らかにしなかったので、国内で純正銀色のクロス幌を・・・未だ見たことがないのが残念ですが・・・

参考→https://mx-5nb.com/2021/02/22/newspaper-advertisement/

テールのマツダエンブレムは後付け


NBロードスターのハイマウントストップランプの下、テールにあるマツダのエンブレム。これは明らかに「強引に」配置されているように思えますが、その通りで・・・デザイン検討段階では配慮されていませんでした。

実は、NBロードスター開発当時マツダは完全にフォード資本の傘下に入りました。今でこそマツダデザインには「魂動」「流(ナガレ)」「アスレティック」「コントラスト・イン・ハーモニー(五角形グリル」という流れが定着していますが、それ以前にフォード主導でブランドレギュレーションの再構築が行われました。

その筆頭だったのが、エンブレム位置の統一であり、フロント、リア、ホイール中央、ステアリング中央にマツダエンブレム。リアには左に車名(ペットネーム)、右にマツダロゴを貼るという共通ルールが全車種に施されたのです。

既にデザイン完成直前だったNBロードスターにもそのルールが指示され「どんなに小さくてもいいからルールは守れ」ということで、ハイマウントストップランプを少し上に移して、あの小さなエンブレムが張り付けられました。美しいNBロードスターのデザインにおいて、若干アンバランスを感じるあのエンブレムは、そんな背景があったのです。

参考→https://mx-5nb.com/2020/02/21/nb-design3/

まだまだ隠されたネタが多いロードスター。何か話のネタになれば幸いです。

サイトへのご意見、ご要望、お問い合わせ、記事のリクエストはこちらからお願いします!
NBロードスターアーカイブ:Googleフォーム

特集まとめカテゴリの最新記事