NBロードスター・トリビア集その2

NBロードスター・トリビア集その2

この記事を読むのに必要な時間は約13分です。

トリビア(trivia)とは「雑学的な事柄や知識、豆知識」。

今回ご紹介する内容は、本サイトの他トピックで取り上げたものもあるし、これらを知らなくてもNBロードスターの楽しさは何一つ変わりません。ただ、少しだけでも「へぇ!」と思ってもらえれば嬉しいです。

前回のトリビアはこちら
https://mx-5nb.com/2023/01/16/trivia1/

純正オレンジ色がある


国内ではビビッドな「レーシングオレンジ」が設定され話題となったNDロードスター「30周年記念車」。ただ、モデル最後期のNBロードスターにも、海外仕様にて鮮やかなオレンジが用意されていました。

国内ではマツダ純正カラー「パッションオレンジマイカ(27Y:海外名Lava orange)」としてビアンテなどに塗られた珍しい色で、海外ではマツダスピードミアータ(国内名:ロードスターターボ)のカタログカラーや、海外仕様の最終限定車に設定されました。

色味はスパイシーオレンジ(2代目DYデミオのオレンジ)よりもマイカ配合が濃厚なのかギラギラしており、NBロードスター全30色のボディカラーのなかでも、イエロー系に負けず劣らずな明るさが特徴です。

余談ですが、赤系統のNBロードスターは「クラシックレッド」「アールヴァンレッドマイカ」「ガーネットレッドマイカ」「ライディアントエボニーマイカ」「ヴェロシティレッドマイカ」そして「パッションオレンジマイカ」と全6色。当時、マツダの経営事情により新車種がなかなか設定できなかったこともあり、結果ボディカラーやインテリアを変更しただけのバリエーション展開で乗り切った恩恵といえるでしょう。

参考→https://mx-5nb.com/2019/11/07/inport-color/

トランクにはロック機能がある


ロードスターはオープン状態で車両を放置しても大丈夫なように、グローブボックスやセンターコンソールなどの収納部に鍵が備えられています。また、あまり知られていませんがトランクには「ロック機構」が備わっています。

ロックの設定は簡単で、トランクの鍵穴にキーを刺して「左に回す」のみ。これを行うと、グローブボックス内に備えてある専用オープナーでもトランクを開けることはできません。ロック機構をキャンセルするには、トランクの鍵穴にキーを挿して「右に回す」ことで解除することができます。(この機能を知らないでトランクを施錠すると、普通に空かなくなるので心臓に悪いです)

ロードスターを知っている人ならば、センターコンソール内にオープナーがあるので機構がバレているので、貴重品の管理における最後の砦としてトランクのロック機構を活用するといいかも知れません。

余談ですが、海外仕様には内側(トランク内)からトランクを開くことができる「リリースハンドル」が設置されています。中に閉じ込められても脱出可能にする配慮の装備ですが、お国柄を感じますよね・・・(※ほぼ全ての北米車両に装備されている)

参考→https://mx-5nb.com/2021/05/31/license-light/

意図的にNAへ流用できるようになっている


NAロードスターからプラットフォーム(N系シャシー)を引き継ぎ、手を加えることができる部分は「全て見直した」とされるNBロードスター。ただ、基本設計はNAロードスターがベースになっているのは周知の通りなので、実質はマイナーチェンジモデルであるともいえます。

その背景には、ディーラーの多チャンネル化失敗による経営再建でフォード傘下となり、多くのラインナップをディスコンしていた当時のマツダにおいて、ロードスターは「人気があり」「儲かる」存在であったことと、混流生産に対応した「小型スポーツカー専用プラットフォーム」はリストラしなくても大丈夫だったことと、そして世界的名車となった「MX-5」ブランドを有効活用するなど、様々な事情が重なりました。

また、当時黒船到来といわれていたフォードチームは、実はすべからくカーガイ(クルマが大好き)だったことからも「ミアータは残すべき」と後押しがあったとされています。(その代わり、もっとサイズ(車格)を上げろ!と別の戦いがあったのですが・・・)

従って、NBロードスターの開発では個々の「パーツ」における精度と信頼性向上、そして「乗り味」にリソースを全振りして、ロードスターというキャラクターの熟成を図る方向でクルマが作られていきました。

したがって、幌や足周りの構造からも分かる通り、ほとんどのメカは意図的にNAロードスターへ流用できるよう設計されています。これは「ロードスターを継続させる」ためのもので、パーツ供給の面からも延命できる手段を残した、エンジニアの拘りです。

近年はトヨタ/スバルの86/BRZシリーズや、新型フェアレディZでもシャシーのキャリーオーバーという同様の処置が行われ、「それも致し方なし」とポジティブに受け入れられていますが、当時のNBロードスターは「顔がダサくなっただけで中身は変わっていない」と揶揄されていたました。でも、これは(経営再建というお家事情もありますが)確信犯的に行われていたのでした。

結果としてNBロードスターにおけるフルモデルチェンジの手法は、ライトウェイトスポーツとして「本物」と認定され、世界的に「売れた」ことに繋がった大英断でしたが、何も変わっていないと思われていた当時は、ロードスターは先がないのでは?と思われていたのでした。しかし、現在はロータリースポーツに変わるマツダのブランドピラーとしてNC、NDと継続車種が許されることに繋がっていったので、先見の明があったといえるでしょう。

余談ですが、ロードスターは非公式ながら2000年まで「デザイン凍結宣言(10年はフルモデルチェンジしない)」と中の人が公言していたのですが、国際安全基準に対応するため(延命をするために)前倒しでNBロードスターの企画は進められました。したがって、2000年に登場したNBロードスター後期型(NB2以降)においてはフルモデルチェンジ並みのアップデートが行われていますが、こちらが当初の世代交代におけるターゲットだったのではないでしょうか。

参考→https://mx-5nb.com/2020/05/08/kijima2018-5/

前期と後期、エクステリアで異なるパーツはほんの僅か


NBロードスターは年次改良が多かったモデルで、ざっくり分けると【前期型】といわれるNB1(車台番号100001~)と、マイナーチェンジが行われた【後期型】NB2~NB4(車台番号200001~)に分かれます。マイナーチェンジの内容は主にクルマの熟成で、1800cc/1600cc共にパワーユニットや剛性強化、インテリアの質感向上、各種信頼性向上などの商品力強化が行われました。(こっそりコストダウンもされている)

また、前期・後期で分かりやすく「変化」を魅せるためにエクステリア(外見)も変更されているのですが、手が入ったのは「ヘッドライト」「フロントバンパー」「テールランプ」の3か所のみになります。つまり、このパーツをコンバートすれば、見た目だけはどちらも再現可能です。注意したいのは、灯火類のハーネスはカプラーが変わっているので(かつては変換キットがショップ販売されていた)、配線の取り回しを調整する必要がある事でしょうか。


目は口ほどのものをいう・・・かのごとく、「目」と「口」の違いで大きく印象が変わってくるのは、クルマの面白さですね。

参考→https://mx-5nb.com/2020/09/07/earlytype_latetype/

NB3から燃料警告灯が付く


普通車に乗っている方から驚かれるのは、初代NAロードスターからNB2ロードスターまではメーターパネルに「燃料警告灯」が無かったことです。燃料が少なくなると点灯する「あのマーク」が存在しないのです。※燃料計はメーターパネルの左端に付いているので、最低限のインフォメーションを得ることは可能です。

ただ、「早期にドライバーに給油を促す」フェイルセーフ(信頼性設計)の観点からは必要であると判断されたのか、燃料警告灯が2003年モデル(NB3)から採用されました。


ちなみに、当該位置におけるそれ以前のメーターパネル警告灯は、国内仕様であれば「ABS警告」、海外仕様であれば「クルーズコントロール」が配置されていました。(ちなみにNB3以降はOBD2(車両診断共通規格)の採用と共に、「エンジン警告灯」もメーターに配置されています)

なお、保安基準において明確に「燃料警告灯」の規定は定められおらず、その機能は各メーカーに委ねられているようです。普通車であれば、残燃料が約6Lを切ると点灯するとされており、NBロードスターの燃費でいえば約50km走れる計算になります。その間にガソリンスタンドへ向かいましょう。

また、メーターパネルの警告灯が明滅しないと車検に通らないのですが、実際に検査でチェックされるのは「エンジン警告灯」「エアバッグ警告灯」「ABS警告灯」「制動装置警告灯(サイドブレーキ)」「シートベルト警告灯」の5か所になるようです。

参考→https://mx-5nb.com/2021/11/29/side-brake-warning-light/

NB4はナルディブランドを使っていない


2003年末頃からイタリアのナルディが経営難になっており、品質安定性に確証が持てなったことからNBロードスターに採用されていた同社ブランドのインテリアパーツは、国産ブランドに切り替えられました。したがって、2004年以降で生産されたロードスターにおけるインテリアパーツには「ND(ナルディ)」マークは入ってません。


逆に言うと、NB4でも2003年生産分のNS内装ではダークウッド系のナルディ・インテリアパーツが採用されているらしく、確認出来たところではロードスタークーペタイプE(※23台)のステアリング(インテリア)にはナルディのマークが入っています。(※写真のステアリングは2003年11月生産車の激レアパーツです)

なお、WebTunedやショップオプションカタログではナチュラルウッドカラーのナルディインテリアをアフターパーツで購入できましたが、VSグレード(コンビネーションB)に採用されていた「ダークウッド系のナルディ・インテリアパーツ」は実質NB3とNB4の極少数の装着となりました。


ちなみにNB4ダークウッドのステアリングにはNAロードスターVスペシャルと同じく、ステアリング中央にラインが入るタイプが採用されています。なお、ノーブランド扱いになっていますが実質ナルディのOEM品を製作していた国産メーカーの物になっているとの事です。

近年は資本関係も正され、ブランド再構築が行われたことから信用を取り戻しているナルディですが、当時のお家事情は大変だったようです。

参考→https://mx-5nb.com/2022/05/30/turbo_impression/

あの「スイッチ」はチャイルドセーフティのためにある


ロードスターあるあるで(特にNBロードスターで)乗降時に偶然押してしまう「パワーウインドーロックスイッチ」。このスイッチの存在を知らないとサイドウインドーが動かなくなるので「クルマが壊れた!?」と驚いてしまいます。

このスイッチは何のために?と思われることが多いのですが、ロードスターの説明書では「お子さまが同乗しているときはパワーウインドーロックスイッチをロックの位置にしてください。お子様が誤って操作した時、手や足をはさむと重大な損害に繋がる可能性があります。」と警告されています。

これはセンターコンソールにパワーウインドースイッチがある(子供が押しやすい位置にある)ロードスターならではの仕様であり、NDロードスターになるとパワーウインドーの開閉スイッチ自体がドアパネル側にあるので、そちらに移動されています。

ところが、海外仕様は事情が違うようで・・・NBロードスターでは「フォグランプ」「クルーズコントロール」「インストパネルライト(メーター光度調整)」などのスイッチが付けられています。また、エアコンパネル下の謎空洞も「エアバッグキルスイッチ」「シートヒーター」のスイッチが配されているのです。

「パワーウインドーロックスイッチ」自体、国内仕様のロードスターにしか装備されていないものになります。

参考→https://mx-5nb.com/2020/11/30/child-car-seat/

まだまだ隠されたネタが多いロードスター。何か話のネタになれば幸いです。

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