この記事を読むのに必要な時間は約7分です。
2018年4月28日に、マツダイベント(サステイナブル“Zoom-Zoom”フォーラム2018)に参加した際のレポートです。愛車のNBロードスターで横浜のマツダR&Dセンター(MRY)に向かいました。(※マツダ役員の敬称は当時のものです)
これはマツダが定期開催しているユーザー交流イベントで、現役エンジニアの生の声を聴くことが出来る貴重な機会なのです。さて、私が予約したのは下記プログラム。
4月22日 11:00-11:50
【セミナー】マツダデザインの挑戦
4月22日 12:00-12:40
【講演】名車”コスモスポーツ”の復元 ~ レストアプロジェクト第1弾
4月22日 13:40-14:20
これがまた、いい意味でも・・・悪い意味でも「気づき」があったイベントでした。
【フリートーク】語ろう!マツダへの想いや期待
これはグループディスカッションでマツダ社員のかたと意見交換するという、言葉だけ書くと結構な敷居を感じるセッション。個人的にはロードスター以外のマツダ乗りと話す機会が少ないので、どんなファンがいるのかな…と思ったことと、どんなファシリテーションがあるのか気になって参加しました。
しかし、「マツダにご意見やご要望はありますか?」とテーマが広すぎた事と、緊張していたのか、自分の意見がまとまらない人(話が長い人)が一方的に話していた感があって、あっという間に終わってしまいました。それにしても、ここでそれを言うか!?というのもチラホラ…
ただ、収穫もありまして…驚くぐらい安全基準というか、アクティブセーフティ(自動ブレーキ的なもの)の要望が多かったこと。これは先日書店で見た日本車購入ガイドブック的なものでも大きい価値観として取り上げられていたので、今はそういう時代なんだと感じました。
個人的な要望とすれば、ロードスターみたいなライトウェイト・スポーツカーは自動ブレーキなどの電子介入を増やすよりも、ブレーキ性能自体を高める方がブランドになるのでは?とマツダの方へお伝えしました。(偏った意見ですけどね…)
面白かったのはスカイアクティブの父、人見光男常務がマツダはディーゼルエンジンをやめないのか?ハイブリッドはどうする?という質問に対し、ハイブリッドへの軽い牽制とともに「ディーゼルの熱損失はまだ改善の余地があるし、その後は排気利用というテーマもある。私が生きている間に仕事は無くならない!」というコメントがあり、とても痛快でした。
【セミナー】マツダデザインの挑戦
実は一番期待していったこの講演、登壇するは中牟田泰デザイン本部長。NCロードスターやDYデミオのチーフデザイナーでも有名な方です。
内容は「魂動デザイン」のフィロソフィを様々な角度から語るもの。生物の躍動感をデザインに落とし込む手法はもとより、ボディカラーもデザインとしたソウルレッドのストーリーや、生産部門も一緒に「心揺さぶる」工業製品に取り組む姿勢のご紹介がありました。
でも、一番の聴きどころはRX-Vision以降の第二世代魂動デザインのコンセプト。本当はもっと奥深いのでしょうが、ざっくり書くと、キャラクターラインを極力排し「面」で魅せるという事と、撓り(しなり)を交えたワンモーションフォルムという、日本の美意識をクルマに取り込んでいるという事。個人的には魁(カイ)のグリル、シグネチャーウイングがブラックアウトしてあって、その色気が素敵だとおもいました。メッキのグリルはもういいんじゃないかな…
量産車では珍しい、ボディサイドを削る(えぐる)ことで、ハイライトに生物的な躍動感を盛り込むチャレンジをしているそうです。なんか、そんな話を聴いたらVisionクーペも新型CX-5も魁(カイ)コンセプトもカッコ良く見えてしまうのです。「ときめきのデザイン」以来のシンプル路線での勝負、これからが見ものです!
【講演】名車”コスモスポーツ”の復元 ~ レストアプロジェクト第1弾
これは年に1台社内有志でレストアしているマツダスタッフのレポートなのですが…これが一番とんでもない内容でした。ただ単に直して走らせるという話ではなく「なぜ、こんな作りになっていたのか?」という事を検証し、失われた技術から学ぶというもので、余りにも濃い内容で…目が覚めました。
・シートが市松模様(タータンチェック)なのは何故か?
・ホイールベースをどうやって伸ばしたのか?後期型の見分け方。
・電装品にマイナス端子(ケーブル)が存在しない理由は?
・コスモスポーツ以降のロータリーエンジンで、アペックスシールが変更された理由は?
・リアサスにド・ディオンアクスルを採用したのは何故か?
そして、レストアしたコスモスポーツの完成車チェックを行って走ってみると…なんて話をデータ付きで解説されまして、これらは講演のほんの一部です。これらを検証するために先輩エンジニア(OB会)から当時の話を聴いたりされたそうで、マツダスポーツカーのスピリットやルーツを感じる圧巻の内容でした。
もちろん、講演されたエンジニアの皆さんに最高でした!と賛辞を送らずにはいられません。そうしたら、スタッフが外に置いてあったレストア車のディティールをじっくり解説してくれて…そんなサービスをしてくれるのもマツダらしくて最高です。
余談とまとめ
DYデミオもNCロードスターも大好きな私としては、中牟田さん(デザイン本部長)とお話をする機会を狙っていたのですが、それが実現できてとても嬉しかった!ミーハーですので…
一番カッコいいNCロードスターの写真にサインを頂こうと用意したのはカーグラフィックの2005年8月号。表紙をお見せした時に「よくこんなの持ってきたね!ローンチエディションじゃん!(3rdジェネレーションリミテッド)」なんておっしゃっていましたが、もちろん一番カッコいいNCの写真が載っているものを持って行ったんです!英語サインはもちろん、日本語サインは裏テーマカラーのカッパーレッド掲載のページにお願いしたら、快諾頂けました。マジ嬉しい…!
さて、まとめですが(僭越ながら)とても濃ゆいレストアのレポートは、機会があれば絶対に聴かれることをお勧めします。実は、イベント自体は事前登録が必要なのですが、飛び入りでも空いている枠があったようです。
そんなマツダ漬けになれた文科系なイベント、毎年開催されているようなのでタイミングが合えば、次回はじっくり参加したいと思うのでした。