二軍の反骨精神

二軍の反骨精神

今では考えられないかもしれませんが、かつて「ロードスター乗り」は、モヤモヤした気持ちだった時代がありました。それはフラグシップ・スポーツカー「RXシリーズ」の存在です。

ロードスターは最高!しかし後ろめたさが・・・


私は新卒2年目に、なけなしの貯金すべてと両親に少しだけ借金をして(※きちんと返しました)やっと自分の愛車を手に入れました。H4年式の「ユーノスロードスターVスペシャル」は、ブリティッシュ・レーシング・グリーン(ネオグリーン)に本革の明るいタン内装、超絶おしゃれなナルディのウッドパーツたち。しかも、クルマで音楽CDを聴ける贅沢まで得ることができました。

それまで見たことなかったメッキのドアノブを引くと、開いたドアの足元に「Roadster」のロゴが入ったスカッフプレートが。こんなカッコいい存在が自分のものになるなんて!・・・と、失禁しそうなくらい感激した記憶が今でも残っています。もちろんハンドリングも最高で、ドライブに行きたくて週に何回もガソリンを入れる日々。

オープントップにする儀式がおっくうで、調子に乗ってジッパーを外さずに幌を開けたら・・・ビニールのスクリーンがバリッと割れてしまったのもいい思い出です。

ただ、こんな楽しい日々でも「マツダ乗り」としては、少し後ろめたさがありました。

いつかはロータリー!


それは、当時のマツダ・フラグシップといったらロータリーエンジン搭載車を指します。

今でこそロードスターはグローバル評価されている、由緒ある名車になりますが・・・当時のマツダ乗りならばロータリーに乗らなければ「ホンモノ」になれないという、謎の使命感に駆られていたのです。つまり、ロードスターはあくまでステップアップのための存在・・・という位置付けでした。

そんなわけで、私も例に漏れず貯金をはたき、(セブンではありませんでしたが)新車のエイト(RX-8)オーナーになりました。これで一人前!なんて感慨にふけながら、調子に乗ってアクセルを吹かすとみるみる減っていくガソリン残量に、やせ我慢をしていました。

なぜこんなしょうもない思い出を書いているのかというと、八重洲出版のNDロードスター特集冊子が記憶をほじくってきたのです。

二軍の反骨精神


あの時のモヤモヤを解消させてくれたのが、その冊子に掲載されていたエンジニア田中英明氏のインタビュー「二軍の反骨精神」という記事でした。


ざっくり内容を書きますと、当時のマツダのスポーツカー・フラグシップはRX−7(ロータリー)で、社内でも一軍のメンバーが集って全精力をかけて開発されていた反面、ロードスターは「二軍」が限りある資源の中で造りあげた・・・という内容で、本当に素晴らしい記事でした。

まさか、マツダの中の人から「二軍」という表現が出るとは思わなかったからです。


背伸びしてロータリーに乗っていた私としては、その使命感に肩が凝ってロードスターに帰ってきたのですが、自分が本当に求めているものは何だったのか・・・というのを、改めて肯定してくれた感覚を得ることができました。私が求めていたのは、モアパワーで一等賞でもなく、コンビニにいく普段使いでも楽しめる、そんなスポーツカーだったのです。

結果的に良かったのか

正直、NDロードスターデビュー時のプロモーションにおいて「ロードスターはマツダの魂です」というセリフには、とても違和感がありました。

NCロードスターの時代までディーラー試乗車なんて存在しなかったけど、NDロードスターはマツダを象徴する「魂」らしいので、ほぼ全てのディーラーに試乗車があるという、とんでもない状況になっています。

でも、特にNB~NC時代は「二軍扱いだった」という背景を、田中氏がインタビューで語ってくれたのが嬉しかったのです。


なるほど、過去のマツダ技報を読みますと、田中氏が平井元主査とならんで原稿を書いていらっしゃいます。まさにメインメンバー・・・だからこそこの話は説得力があります。


30年以上ライトウェイトスポーツ(LWS)としての「志(こころざし)」を継続したことが、ロードスターが「魂」に昇格できた理由だとは思いますが、実際ロータリーは滅亡してしまいましたし・・・反骨精神でブレなかったからこそある今の結果かな、と思うのです。

以上、あくまで個人的な見解でした。

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